債権と債務とは?|わかりやすく宅建・宅地建物取引士の解説

債権とは
ある人に対して、一定の行為を要求できる権利を言います。土地の売買で言うと、買う側の人が、お金を支払った後「土地を引き渡してもらう権利」が債権にあたります。

債務とは
債務をわかりやすく言うと、ある人に対して、一定の行為をしなければならない義務を言います。先ほどの土地の売買の例で言うと、売る側の人が、お金を受け取った後「土地を引き渡す義務」が債務にあたります。

指名債権
債権の中でも、債権者が特定されているものを指名債権と言います。お金の貸し借りについては、常に貸している人(債権者)が特定されていますので指名債権となります。

債権者代位権
債務者が持っている権利を、債権者が代わりに使うことができる権利を言います。
例)恵子さんは、近藤不動産からアパートを借りました。しかしそのアパートには、不法占拠しているホームレスがいました。このとき、恵子さんは「アパートを使用する権利」がありますので、「債権者」となります。
一方、近藤不動産は、「アパートを引き渡す義務」がありますので、「債務者」となります。
債務者である近藤不動産は、アパートの所有権を持っています。この権利に基づき、近藤不動産はホームレスを退去させることができます。
また、この権利を使い恵子さんが近藤不動産の代わりにホームレスに対し、アパートの引き渡し要求をすることが「債権者代位」です。

反対債権
2人以上の者が、お互いに持っている相手への債権を言います。
例)佐伯さんは、島袋さんに100万円を貸しています。島袋さんも佐伯さんに200万円を貸しています。
この状態のとき、佐伯さんは島袋さんに反対債権を持っている。島袋さんも佐伯さんに反対債権を持っているということができます。

債務不履行
義務を果たさないことを言います。
例)恵子さんは、近藤不動産から家を買いましたが、約束の期日になっても引渡しをしてもらえないので、やむを得ずマンションを借りて住んでいます。
恵子さんがマンションを借りなければならなくなったのは、近藤不動産が義務を果たさなかったため(=債務不履行)ですので、恵子さんはマンション代を近藤不動産に請求することができます。

債権譲渡
自分の要求できる権利を人に譲って、お金を回収することを言います。
例)島袋さんは佐伯さんに100万円貸していましたが、まだ返済の期限がきません。しかし、すぐにお金が欲しいので、第三者に佐伯さんに対する貸金債権を譲りました。
そして、100万円よりは少なくなりましたが、(利息などで引かれたため)素早く現金を手に入れることができました。
これを債権譲渡と言います。

債権と物権の違い
債権 | 物権 | |
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①意味 | 一定の行為を要求できる権利 | ある物を支配することができる権利 |
②権利の種類 | 相対的権利 債務者にのみ主張することができる |
全ての人に主張することができる |
③排他性 | 無 同じ物に対して複数の同じ権利を設定することができる |
有 同じ物に対して同じ権利を設定することはできない |
④例 | 賃借権、抵当権など | 所有権、先取特権など |
債権に関するよくある質問
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保証人と連帯保証人は相殺の抗弁権を援用できますか?
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保証人及び連帯保証人は主たる債務者がもつ反対債権をつかって、相殺することができます。
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「AがBに対して債権を有している場合でも、Aの連帯保証人のCは、その債権による相殺をBに主張することはできない」とありますが、連帯保証人は抗弁権はないのではないでしょうか?
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連帯保証の場合には催告の抗弁権と、検索の抗弁権がありません。
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債権の消滅時効の期間について、債権は10年たったら、消滅することはわかったんですが、建物の瑕疵は何年たったら、瑕疵の責任請求できなくなるかなど、試験で抑えておくべきところを全部教えてください。
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試験的には、債権は10年、債権または所有権以外の財産権(地上権、永小作権、抵当権など)は20年以上を覚えていただければと思います。