開発許可に関連した建築規制とは?|わかりやすく宅建・宅地建物取引士の解説
更新日:2019年8月1日
開発許可に関連した建築規制とは
開発許可に関連し、様々な建築規制が行われます。
場所や時期による規制の違いがありますので、開発区域の中/外での規制なのか、工事完了の公告前/後の規制なのか場合分けをして1つずつ見ていきましょう。
開発区域内での建築規制
工事完了の公告前の規制
原則
工事完了の公告があるまで建築物・特定工作物を建築してはいけません。ただし、土地の分譲は可能です。
例外
次の場合は、建築できます。
- 工事用の仮設建築物等
- 都道府県知事が支障がないと認めたとき
- 開発区域内の土地所有者その他の権利者で、開発行為に同意していない者がその権限に基づいて建築物を建築するとき
工事完了の公告後の規制
原則
開発許可の内容である予定建築物以外のものの新築や改築・用途変更はできません。
例外
次の場合は建築できます。
- 知事が許可したとき。ただし、国が行う行為については、知事との協議が成立することをもって、この許可があったものとみなします。
- 用途地域等が定められているとき。
開発区域外での建築規制
市街化区域内での建築規制
都市計画法上の建築規制はありません。ただし、建築基準法により用途規制が及びます。
市街化調整区域内での建築規制
原則
知事の許可がなければ、建築物の新築・改築・用途変更または第一種特定工作物の新設を行うことはできません。
例外
次の建築物は、知事の許可不要です。
- 農林漁業用建築物
- 公益的建築物(駅舎・公民館等)
- 公的機関が建築する建築物(都市計画事業等の建築)
- 非常災害のため必要な応急措置
- 仮設建築物の新築
開発許可を受けた土地以外の土地への制限
土地が未造成の場合
開発行為の許可→土地造成→建築確認→家を建てるという順序になるので、開発行為の許可の段階で、市街化を抑制することができます。
土地が造成済の場合
土地を造成する必要がないので、直ちに無制限に建物を建築しうるとするのでは、市街化を抑制しえず、市街化調整区域に指定した意味を失ってしまいます。
そこで、開発許可を受けた開発区域以外でも開発許可に相当する内容をもった建築の許可の制限を設けました。
それゆえ許可の要否は、開発行為における許可不要の開発行為とほぼ同じです。
開発許可に関するよくある質問
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工事完了の公告があるまで建築物などを建築してはいけないということですが、この「工事完了の公告」とは、なんでしょうか?
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工事完了公告とは、「開発許可に基づく工事が法律的にも完成したと宣言すること」です。工事完了公告がされると、開発行為により設置された道路・公園などの公共施設、又はその公共施設の敷地は次のようになります。
- 道路・公園などの公共施設は、工事完了公告の日の翌日に原則として市町村の管理に属する。
- 道路・公園などの公共施設の敷地は、工事完了公告の日の翌日に原則として公共施設の管理者に帰属する。
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開発許可と建築確認の違いがいまいちわかりません。この違いを教えてください。
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開発許可と建築確認の違いは、土地については開発許可、建物については建築確認となります。
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開発区域内での工事完了公告前の規制の例外として「開発区域内の土地所有者その他の権利者で、開発行為に同意していない者が、その権限に基づいて建築物を建築するとき」とありますが、実際にそのような建築物が建築された場合で本来の開発許可を受けた開発行為の遂行に支障をきたす場合、どのような調整が図られるのでしょうか?
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立退き費用を出すなど、交渉をすることが多いと思われます。反対する所有者の建築行為もやめるように交渉します。事業主も、反対する所有者の物件を避けて、無理矢理開発行為をするようなことはありません。
窪田義幸(くぼた よしゆき)
″栄光を掴む″ための講義、″強い意欲″を持ち続けるための講義をめざします
【出身】愛知県
【経歴】立命館大学文学部卒。宅建・マンション管理士・管理業務主任者・賃貸不動産経営管理士。
【趣味】神社仏閣巡り
【受験歴】1999年宅建試験受験、合格
【講師歴】2001年よりフォーサイト宅建講座講師スタート
【刊行書籍】3ヵ月で宅建 本当は教えたくない究極の宅建合格メソッド (最短合格シリーズ)
【座右の銘】雨垂れ石を穿つ
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