寄託契約とは?を詳しく解説!|わかりやすく宅建・宅地建物取引士の解説

荷物の受け渡し
目次

寄託契約とは

寄託契約とは、物を預かって、保管してもらう契約を言います。身近な例としては、以下のようなものがあります。

  • 銀行にお金を預けること
  • コインロッカーに荷物を預けること
  • 友人に荷物を預かってもらうこと

銀行にお金を預けるなどの行為は消費寄託にあたり、寄託ではこれが一般的です。他にも混蔵寄託や商事寄託などがありますが、宅建の試験において出題されることはほとんどない分野です。英語では、deposition contactと表記します。「deposition」は「寄託する」「contact」は「交渉」という意味があります。

寄託契約~有償の場合と無償の場合~

寄託契約には、有償で行う有償契約と、無償で行う無償契約があります。有償で行う場合には、預かる側に「善管注意義務」が発生します。「善管注意義務」とは、善良なる管理者の注意義務のことを言い、簡単に言うと、よくよく注意して、預かったものを保管しておく義務があるということです。

つまり、お金をもらって、仕事として物を預かっているため、適当にこなしてはいけません。一方、無償で行う場合は、「自己のためにするのと同一の義務」で済みます。これは、自分の持ち物と同じように、そこまで神経質に、紛失や破損などに気を配らなくても良いといった意味の義務になります。

寄託契約と時効

預かった荷物を見つめる女性

返還要求権が時効により消滅したとしても、所有権に基づく返還要求権は認められるとされています。つまり、預けっぱなしで忘れてしまっていても、所有権はなくならないので、いつでも返してもらえる権利があるということです。

寄託契約と印紙

印紙税フリーの契約書

通常何かしらの契約を結んだ場合は、書面に記載し、記録として残しておきます。そして、その場合、契約書には印紙税がかかるのが一般的です。では、寄託契約を結んだ契約書に印紙税はかかるのでしょうか。

答えは、一部の寄託にのみ印紙税がかかります。印紙税がかかるのは、金銭または有価証券の寄託のみです。したがって、物を友人に預かってもらった場合などは、印紙税がかかりません。

寄託者による損害賠償

焦ってる女性
❝民法第661条「寄託者による損害賠償」寄託者は、寄託物の性質または瑕疵によって生じた損害を受寄者に賠償しなければならない。ただし、寄託者が過失なくその性質若しくは瑕疵を知らなかったとき、または受寄者がこれを知っていたときは、この限りではない❞

例)恵美子さんは、緒方さんにワインを預かってもらいました。そのワインのうちいくつかが発酵して、緒方さんの保管場所に被害を与えてしましました。このとき、恵美子さんは緒方さんに対し損害賠償する必要があります。

ただし、恵美子さんが一定の環境の下ではワインが発酵し、被害を与えてしまうことを知らなかったことを立証するか、もしくは、緒方さんがワインは発酵するという事実を知っていたことを立証できれば損害賠償はしなくて済みます。


寄託契約に関するよくある質問

「商人ではない受寄者」とはどういった意味ですか?

前提として、寄託とは、寄託者が物を預けて、受託者がそれを預かるという契約です。そして、注意義務については、無償寄託と有償寄託で異なります。

  • 無償寄託 - 自己の財産と同一の注意義務
  • 有償寄託 - 善良なる管理者の注意義務

「商人ではない受寄者」という表現が難しいですが、商法での寄託は民法とは異なり、無償と有償で区別をしていません。商人がその営業の範囲内において寄託を受けたときは、報酬を受けなかったときであっても、善良な管理者の注意を要します。

以上から、営業(商売)として寄託を受けない、というのが「商人ではない受寄者」となります。

使用賃借と寄託の違いを教えてください。

使用貸借と寄託の違いを説明させて頂きます。法律では使用貸借は「物を利用して返還する契約」、寄託は「役務(サービス)を提供する契約」という定義となっております。

そのため、「物を利用して返還する契約」場合は、しっかり借りた「物」をなるべく元の状態にして戻すという日本の考えが法律化されているため、「善良な管理者の注意義務」となります。

一方、「寄託」はサービスですので、有償の場合と、無償の場合の扱いが異なることになります。

  1. 現に建物が建っている土地
  2. 将来建物を建てる目的で取引される土地
注意義務について教えてください。

注意義務については以下の通りとなります。

  • 委任 - 有償・無償どちらの場合も善管注意義務
  • 有償寄託 - 善管注意義務
  • 無償寄託 - 自己の財産におけると同一の注意義務

ただし、商事寄託の場合には無償の場合であっても善管注意義務を負います。

この記事の監修者は
窪田義幸(くぼた よしゆき)

″栄光を掴む″ための講義、″強い意欲″を持ち続けるための講義をめざします
【出身】愛知県
【経歴】立命館大学文学部卒。宅建・マンション管理士・管理業務主任者・賃貸不動産経営管理士。
【趣味】神社仏閣巡り
【受験歴】1999年宅建試験受験、合格
【講師歴】2001年よりフォーサイト宅建講座講師スタート
【刊行書籍】3ヵ月で宅建 本当は教えたくない究極の宅建合格メソッド (最短合格シリーズ)
【座右の銘】雨垂れ石を穿つ
フォーサイト公式Youtubeチャンネル「くぼたっけん」
フォーサイト講師ブログ

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