履行とは?|わかりやすく宅建・宅地建物取引士の解説

履行とは
履行をわかりやすく言い換えると、「なにかを行うこと・行動を起こすこと」となります。
宅建ではよく「債務不履行」や「履行不能」「不完全履行」「履行の請求」「履行遅滞」「同時履行の抗弁権」などといったワードで出てくることが多いです。
宅建の試験対策としては、細かい理解が必要とされます。 頻出ワードを詳しく説明していきますので、順番にみていきましょう。

債務不履行とは
債務不履行とは、義務を果たさないことを言います。
恵子さんがマンションを借りなければならなくなったのは、近藤不動産が義務を果たさなかったため(=債務不履行)ですので、恵子さんはマンション代を近藤不動産に請求することができます。

履行不能とは
履行不能とは、履行ができなくなることを言います。
ただし、金銭債務では履行不能は認められません。 つまり、代金の支払いや借金の返済においては、どんな事情があろうともきちんと返しましょうということです。

不完全履行とは
一応行動を起こしたものの、不完全である場合を言います。

履行の請求とは
債務者が債権者から、債務を果たすよう要求されることです。

履行遅滞とは
履行遅滞とは、履行が遅れることを言います。履行遅滞の場合、いつから遅れたと判断するのかが重要です。
確定期限債務の場合
→期限到来時=8/12から履行遅滞となります。
不確定期限債務
→期限到来を知ったとき=父の死亡を知ったときから履行遅滞となります。
期限の定めのない債務
→請求されたとき=貸した側が「返して」と言ってきたときから履行遅滞となります。

同時履行の抗弁権とは
同時履行の抗弁権とは、1つの契約において相手方と自分に違う債務があり、相手が債務を履行してくれるまで、自分も債務を履行しないと主張することができる権利を言います。
引渡し予定日を過ぎても、鈴木不動産は家を渡してくれないのにも関わらず、先に支払いを済ませてくれと要求してきます。
このとき、佐藤さんは鈴木不動産に対し「引渡ししてくれるまでお金は支払いませんよ」と主張することができます。
これを「同時履行の抗弁権」と言います。

履行に関するよくある質問
金銭債務の場合、債務不能が認められないのはなぜでしょうか。
金銭の場合、洋服やスマホなどの「物」とは違い、特定ができません。特定ができる場合は、例えば「私のスマホ」が壊れてしまえば、引き渡すことができません。しかし、金銭の場合は特定ができないため、そのような概念がありません。そのため、返済の期限がきて返済を行わない場合には、「破損等」の理由で返済していないのではなく、ただ単に返済の履行を行っていないものと考えられるからです。
不法行為における履行遅滞がわかりません。
不法行為が行われた時点から履行遅滞となります。そのため、交通事故を起こして100万円の損害賠償と年利2%の利息の義務となった場合、交通事故が1/1で最終的に支払いが行われた時点が12/31とした場合は100万円に2万円の利息をつけて支払うこととなるとイメージして頂ければと思います。
連帯保証人に対する履行の請求の効力は、主たる債務者に及び、連帯保証人が承認した債務の時効の中断の効力は主たる債務者に及ばないという理解で合っていますか?
債務者が連帯保証人に対して履行の請求をした場合→主たる債務者も時効が中断します。連帯保証人が債務の承認をした場合→主たる債務者に影響は及びません。