無権代理とは?|わかりやすく宅建・宅地建物取引士の解説

無権代理とは?|わかりやすく宅建・宅地建物取引士の解説

無権代理とは?|わかりやすく宅建解説

目次

無権代理とは

代理権がない人、あるいは以前はあったが、現在は代理権がない人が、頼みもしないのに、勝手に本人を代理して行動を起こすことを言います。これは、民法総則の第117条『無権代理人の責任』に記されています。

以下詳しく解説してきますので、一緒にみていきましょう。

効果

  1. 原則:本人に効果は生じません。
  2. 例外:本人が代理人もしくは相手方に追認すれば契約の時から有効な代理行為があったことになります。この場合、代理人もしくは相手方の同意は不要です。

追認とは

「例外」で出てきた「追認」について触れたいと思います。

追認とは、取り消し得る行為をもう取り消さないものとして、契約を確定的に有効なものとすることです。無権代理者が行った行為が、本人にとって有利な場合に行います。

法定追認とは

似たワードで「法定追認」があります。こちらも一緒にみていきましょう。

法定追認とは、追認できる者の意思に関係なく、社会通念上追認と認められるような事実があれば追認したことになるということです。

では、どんな事実があれば法定追認となるのでしょうか。以下の事項を行ったとき、法定追認とみなされます。

  • 強制執行
  • 更改
  • 全部または一部の履行
  • 履行の請求
  • 担保の供与
  • 取り消せる行為によって取得した権利の全部または一部の譲渡

無権代理人の責任

本人の追認がなければ、代わりにやった人=無権代理人が責任を負います。

責任の内容は、相手方の選択に従い、履行(契約を実行すること)、または損害賠償です。ただし、無権代理と言うことを相手方が知っていた(=悪意)か、または過失によって知らなかった場合と無権代理人が制限行為能力者の場合には、無権代理人の責任は生じません。

相手方の保護

相手方は相当の期間内に無権代理行為を追認するか否かを確答すべき旨を本人に催告することができます。

その期間内に本人が確答しないときは追認を拒絶したものとみなします。相手方は本人が追認しない間、無権代理人と結んだ契約を取り消すことができます。ただし、相手方が契約当時、無権代理だということを知っていた場合取り消すことができません。

追認とは?|わかりやすく宅建解説

無権代理と相続

無権代理人が本人を相続した場合

例1)星野さんの不良息子が親に黙って無権代理行為を行いました。その後、父親の星野さんが急逝したため、その地位を相続しました。この場合、息子は相手方の馬宮さんからの追認を拒むことはできるのでしょうか。

結論

無権代理人が本人を相続したときは、その無権代理行為は相続とともに当然有効になり、追認拒絶できません。

無権代理と相続

本人が無権代理人を相続した場合

例2)例1とは反対に、星野さんの父親が息子に黙って無権代理行為を行いましたが、急に無権代理人たる父親が死亡し、息子がその地位を相続しました。この場合、息子は相手方の馬宮さんからの追認の請求を拒むことはできるのでしょうか。

結論

本人が無権代理人を相続したときは、その無権代理行為は相続とともに当然有効になるものではなく、追認を拒絶できます。

本人が無権代理人を相続した場合

無権代理人が本人を共同相続した場合

例3)星野さんの不良息子が親に黙って無権代理行為を行いました。その後、父親の星野さんが急逝し、その地位を母と共に共同相続しました。この場合、不良息子は相手方の馬宮さんからの追認を拒むことはできるのでしょうか。

結論

判例では、共同相続した場合、無権代理行為を追認する権利は、相続人全員に不可分に帰属するとされています。

したがって、母が追認した場合は、無権代理行為の半分の責任を不良息子が負い、母が拒絶した場合には、全部の責任を不良息子が負うこととなります。つまり、不良息子は馬宮さんからの追認を拒むことはできません。

無権代理と他人物売買

無権代理と似たもので、他人物売買があります。

無権代理は、代理権がない人、あるいは以前はあったが、現在は代理権がない人が、頼みもしないのに、勝手に本人を代理して行動を起こすことを言います。

一方、他人物売買は、所有権が無い他人のものを第三者に売るという行為です。

無権代理と他人物売買を混同してしまう方がいますが、実はまったく内容が異なります。他人の物を代理人として売っている場合が無権代理で、他人の物を自分の物として売っている場合が他人物売買です。ややこしいところではありますが、それぞれをしっかりと理解するようにしましょう。

無権代理と他人物売買
無権代理と他人物売買

無権代理に関するよくある質問

「親権者Eが未成年者の子CとDを代理してBとの間で遺産分割協議を行うことは、CとDの利益が相反する行為となるため無権代理行為となる」の説明が良く理解できません。CとD、両者の代理になる事が「利益が相反する行為」なのでしょうか?

母がCとDを代理すると、例えば「Cに100%、Dは0%」というような、かたよった結論を出す可能性があります。このような利益相反行為を、親権者が子を代理してした行為は、無権代理行為であると考慮します。このため、本人(C、D)の有効な追認がないかぎり、この母の行為は無効となります。

無権代理人が死亡し、本人に相続されたとき、本人は相手方を追認拒絶できるとあります。相手方が善意無過失の場合でも追認拒絶できるのでしょうか?

ご質問の場合、本人は追認を拒絶することができます。

例えば売主AがBに、買主Cとの間で土地の売買契約を結ぶ代理権を与えていたとして、その売買契約締結前にBが破産者となり代理権が消滅したのにも関わらず、Cとの間で売買契約を締結した場合、Bは無権代理人の責任を負うのでしょうか?言い換えれば、Bが制限行為能力者であれば無権代理人の責任を負わないと書かれていますが、無権代理人が破産者の場合も無権代理人の責任を負わないのでしょうか?

代理権を与えたあとからその代理人が破産者となった場合には、ご理解の通り代理権は消滅しますので、無権代理行為となります。このため、Bは無権代理人としての責任を負うことになります。ただし、破産者は制限行為能力者ではありません。制限行為能力者は、未成年者、成年被後見人、被保佐人、被補助人をいいます。