実務家密着取材

直撃インタビュー
宅地建物取引士 中下陽介さん

宅地建物取引士

中下陽介さん

一流の不動産投資エキスパートを目指し
お客様と相対しながら日夜勉強

2005年 埼玉大学経済学部を卒業
2006年 IT系企業に入社
2010年 不動産業界へ転職
2012年 宅地建物取引士資格取得
2013年 富士企画株式会社に入社


URL : http://www.fuji-plan.net

投資不動産を専門に仲介する富士企画株式会社(東京・四谷)で、営業主任を務める中下陽介さん。不動産業界で働き始めてから宅地建物取引士試験の受験を決意。苦労の末、3度目のチャレンジで合格しました。さらに、現在の業務に生かすべく、ファイナンシャル・プランニング技能士の資格取得に向け、多忙な仕事の合間を縫って勉強に励む毎日。これまでクリアしてきた大学や宅建の受験と同様に、FPも独学で合格をめざしています。「会社に所属していても、お客様には“中下さんだからお願いしたい”という信頼感を与えることが大切」と話す中下さんに、これまでの歩みをお話しいただきました。

合格まで予想外に時間を要した宅建試験

穏やかな広島湾に浮かぶ広島県江田島市。中下さんは広島市の南に位置する、瀬戸内海で4番目に大きい島で生まれ育ちました。実家は祖父の代から続くオレンジの農園を営んでいますが、中下さんは大学進学を機に親元を離れ、遠く埼玉へ。大学は経済学部に入学し、かねて興味のあった経営に関する知識を深めました。
大学卒業後、デジタルコンテンツの販売を主な業務とするIT系企業に入社。その会社に4年間勤務し、不動産業界へ転職します。転職先の会社での業務は、不動産投資の営業でした。

「当時、投資で食べていきたいという願望があったんです。実際はそんなうまいこといきませんでしたが(苦笑)。でも、投資家向けの不動産を扱うという仕事は、自分の関心にピッタリでした。前職ではデジタルコンテンツを投資ファンドという形で紹介して売るのが仕事でしたから、“投資”というキーワードは共通。不動産投資となれば一つひとつの物件の金額がケタ違いですし、いっそうやりがいは増しました」

しかし、仕事のおもしろさと対照的に苦しんだのが、宅地建物取引士の試験です。初めての受験は「どんなものなのか様子見みたいなもの」だったということですが、2度目のチャレンジは、ほんの数週間だけの勉強で受験日を迎えて失敗。「次こそ“三度目の正直”を」と挑んだ試験で、ようやく合格を果たしました。


試験勉強は仕事でもアドバンテージに

「仕事をしていたということもありますが、試験のために学校へ通うつもりは全くありませんでした。大学受験のときもそうでしたが、自分には独学が合っていると思うんです。宅建になかなか受からなかった要因は、何といっても準備不足。さすがに3度目の受験は、勉強計画も立てて臨みました。試験3カ月前あたりから、仕事が休みの日に一日2、3時間は勉強するようにしましたし、試験まであと1カ月という段階からは、営業で乗っている車に参考書を積み込んで、ちょっとの時間でも無駄にしないよう努めましたね」

こういった苦い経験から中下さんは「宅建の資格は、できるだけ学生のうちに取っておいたほうがいい」とアドバイスします。

「学生の特権のひとつは、時間を比較的自由に使えること。宅建に限ったことではないかもしれませんが、資格の勉強は計画的に、じっくり取り組めば、早期に好結果につながりやすいはずです。資格取得のために身につけた知識が、必ずしも実務とすべて直結するわけではないのですが、試験勉強をがんばることは決して無意味ではありません。むしろ、お客さまのためになる仕事をするうえでアドバンテージとなります」

2013年、宅地建物取引士に登録。同年4月に現在勤務する富士企画株式会社に移ります。

「前の会社は社員数が40名ぐらいでしたが、今度は代表取締役1名、社員3名という小さな組織。正直にいえば、縁あって代表(新川武夫氏)から声をかけていただいたときは、半信半疑のところもありました。でも、不安よりも少数精鋭の一員として働いてみたい気持ちがまさったんです」


顧客とのタッグで不動産投資を成功へ導く

投資不動産を専門に仲介する富士企画は、投資物件、収益不動産の市場に出回らない投資不動産の紹介、さらには事業承継問題に取り組む、投資専門アドバイザーの集団。顧客とのつながりは、家族や友達同然といえるほど密接なものになることもあるといいます。

「一般的な不動産業のイメージとは違う業態ですよね。お客さまとの関係でいえば、物件を売るというよりも、タッグを組むという考え方でしょうか。お客さまの不動産投資が成功するように、われわれが専門家としてサポートします。その結果、お互いが儲かればいいわけです」

仕事をしていて何よりもうれしいのは「お客さまの“ありがとうございました”というひと言」という中下さん。そして、その顧客から知り合いなどを紹介してもらい、人脈が広がっていくことに醍醐味を感じているそうです。

「会社に所属していても、お客さまには“中下さんだからお願いしたい”という信頼感を与えることが大切だと考えています。不動産投資は物件選びだけでなく、融資審査、契約内容のチェック、物件の管理など、慣れていない人にとってはいろいろと忙しい買い物です。そこでわれわれを上手に利用していただきたいですね」


マザー・テレサの名言を心にとめて

「じつは私、営業はあまり得意ではないんですよ(苦笑)。ただ、“人当たりがいい”とはよく言われます。ですから、これを自分の強みとしてお客さまに接することが、業績に結びつくのではないかと。また、インターネットやメールによるやりとりが多いですから、迅速な対応も常に心がけています。オフィスにいるとき以外、自分の部屋にいても、たとえ深夜であろうと、お客さまのことを思えば、すぐに動こうという気持ちに自然となりますね」

そんな中下さんは、いつも心にとめている大切な言葉があります。富士企画の上司である新川部長から教えられた、マザー・テレサの名言です。

“思考に気をつけなさい、それはいつか言葉になるから。
言葉に気をつけなさい、それはいつか行動になるから。
行動に気をつけなさい、それはいつか習慣になるから。
習慣に気をつけなさい、それはいつか性格になるから。
性格に気をつけなさい、それはいつか運命になるから。”

「新川部長には仕事からプライベートまで、ありとあらゆることを面倒見ていただいています。ダイビングやサーフィンといったマリンスポーツ、さらにランニングも、部長に誘われたのがきっかけでハマりました。今ではトライアスロンの大会に出場することが目標になっています」

現在、2級ファイナンシャル・プランニング技能士の資格取得に向け、多忙な仕事の合間を縫って、独学で勉強に励む中下さん。1級ファイナンシャル・プランニング技能士の新川部長をお手本として、一流の不動産投資エキスパートへの階段を上り始めたところです。



宅地建物取引士   中下陽介 さんの、ある1日


ある日のスケジュール
2005年 埼玉大学経済学部を卒業
2006年 IT系企業に入社
2010年 不動産業界へ転職
2012年 宅地建物取引士資格取得
2013年 富士企画株式会社に入社