2014年(平成26年)宅建の「過去問」‐第1問(権利関係)

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平成26年

権利関係 > その他の契約 > すべての契約のまとめ

難易度
解答時間
2
Q1

次の記述のうち、民法の条文に規定されているものはどれか。

賃借人の債務不履行を理由に、賃貸人が不動産の賃貸借契約を解除するには、信頼関係が破壊されていなければならない旨
当事者は、債務の不履行について損害賠償の額を予定することができる旨
債務の履行のために債務者が使用する者の故意又は過失は、債務者の責めに帰すべき事由に含まれる旨
債務不履行によって生じた特別の損害のうち、債務者が、債務不履行時に予見し、又は予見することができた損害のみが賠償範囲に含まれる旨

ヒント

民法の基本原則により、私的な法律関係については、「契約自由の原則」と「過失責任の原則」を前提として、当事者の「権利」と「義務」が規定されています。個々の契約内容は自由で、当事者の合意のもとで締結され、結果は自己責任という考え方です。このため、個々の契約から生ずる紛争を想定して条項が設けられているわけではありません。一方で判例は、この権利と義務の解釈について生じた紛争に対する判決と、その理由を示しているものです。このことから、条文か否かの目安としては、「権利」・「義務」と判断できる文言は条文規定、個別契約に係る説明的な文言は「判例」といった見方ができます。しかしこれは、あくまで目安ですので、債権の効力や契の関係条項と判例を読み込んで、知識を整理しておくことが重要です。
「契約自由の原則」と「過失責任の原則」
選択肢 1 × 誤り
解説
「賃借人の債務不履行を理由に、賃貸人が不動産の賃貸借契約を解除するには、信頼関係が破壊されていなければならない」旨は、判例で採用されていますが、民法の条文には規定されていません(最判昭28.9.25)。

ワンポイントアドバイス

このような主旨の条文は規定されていません。「信頼関係が破壊」という表現は、民法の基本原則たる「信義誠実の原則」に反する状況であることを説明した文言です。法律の条項は、「説明」ではなく、「権利」と「義務」について規定しています。説明が必要なのは、判断に至った理由を述べなければならない判例だということを覚えておくと、条項の記憶が曖昧な時の判断の目安になります。そもそも、信義誠実の原則(信義則)違反の法律行為は効果が生じないので、契約の解除要件として規定する必要がありません。
選択肢 2 ○ 正しい
解説
「当事者は、債務の不履行について損害賠償の額を予定することができる」旨は、民法の条文に規定されています(民法第420条第1項)。
債務不履行による損害賠償請求

ワンポイントアドバイス

債務不履行による損害賠償請求をするためには、債権者が、損害の発生とその金額について具体的に立証する必要があり、この立証のために債権者は非常に大きい負担を強いられます。賠償金額の予定を可能とする「権利」を規定することで、この負担を減らすことができると同時に、契約自由の原則から「予定しないこと」も当事者の契約で約定することができるため、合理性が確保されます。ちなみに、本条後段で、「この場合において、裁判所は、その額を増減することができない」と規定して、契約自由の原則を貫いていることも知っておくと、より理解が深まると思います。
関連する条文
(民法第420条第1項)
 当事者は、債務の不履行について損害賠償の額を予定することができる。この場合において、裁判所は、その額を増減することができない。
(以下、略)
選択肢 3 × 誤り
解説
「債務の履行のために債務者が使用する者の故意または過失は、債務者の責めに帰すべき事由に含まれる」旨は、判例で採用されていますが、民法の条文には規定されていません(大判昭4.3.30)。
被用者の故意又は過失から生じた結果に使用者の責任を認定した判例

ワンポイントアドバイス

債務の履行をさせる範囲において、被用者の故意又は過失から生じた結果に使用者の責任を認定した判例(大判昭4.3.30)で示された内容です。なお、被用者の不法行為に係る使用者責任は民法第715条に規定があるので、混同しないよう違いを整理しておく必要があります。
選択肢 4 × 誤り
解説
「債務不履行によって生じた特別の損害のうち、債務者が、債務不履行時に予見し、または予見することができた損害のみが賠償範囲に含まれる」旨は、判例で採用されていますが、民法の条文には規定されていません(大判大7.8.27)。たしかに、民法では「特別の事情によって生じた損害であっても、当事者がその事情を予見し、または予見することができたときは、債権者は、その賠償を請求することができる」(民法第416条第2項)と規定されていますが、「当事者」を「債務者」、「予見時期」を「債務不履行時」としているのはあくまでも判例となります。

ワンポイントアドバイス

条文の文言を問う、引っ掛け要素の強い設問です。条文では、「特別の事情によって生じた損害であっても、当事者がその事情を予見し、又は予見することができたときは、債権者は、その賠償を請求することができる」(民法第416条第2項)と規定するに止まります。一方、判例(大判大7・8・27)では、この当事者を「債務者」と特定し、「特別の事情を予知しながら債務の履行をしなかったり、履行不能を生ぜしめたときは損害賠償責任を負わせる」旨を、また、予見可能性の判断の時期を「債務の履行期まで」と明確にしています。したがって、設問の内容は判例で示されたものです。
※掲載している問題および解説は、必ずしも最新の法改正に対応したものではありません。直近の試験に向けて法改正に対応している問題および解説については、フォーサイトの過去問講座(有料)にてご提供しております。