平成29年
権利関係 > 売買契約 > 債権・債務発生段階での学習事項 > 物的担保・人的担保 > 連帯債務
難易度
B 解答時間
2分
Q8
A、B、Cの3人がDに対して900万円の連帯債務を負っている場合に関する次の記述のうち、民法の規定及び判例によれば、正しいものはどれか。なお、A、B、Cの負担部分は等しいものとする。
- 1
- DがAに対して履行の請求をした場合、B及びCがそのことを知らなければ、B及びCについては、その効力が生じない。
- 2
- Aが、Dに対する債務と、Dに対して有する200万円の債権を対当額で相殺する旨の意思表示をDにした場合、B及びCのDに対する連帯債務も200万円が消滅する。
- 3
- Bのために時効が完成した場合、A及びCのDに対する連帯債務も時効によって全部消滅する。
- 4
- CがDに対して100万円を弁済した場合は、Cの負担部分の範囲内であるから、Cは、A及びBに対して求償することはできない。
ヒント
連帯責務の問題では、連帯債務者同士の動きがポイントです。
例えば1人が相殺した場合は全員の債務が減ること、1人請求されたら全員の時効が中断することを覚えておいてください。
例えば1人が相殺した場合は全員の債務が減ること、1人請求されたら全員の時効が中断することを覚えておいてください。

選択肢
1
× 誤り
解説
連帯債務者の1人に対する履行の請求は、他の連帯債務者に対しても、その効力を生じます(民法第434条)。このことは、他の連帯債務者が知っているかどうかは関係ありません。

ワンポイントアドバイス
債権者が債務者に支払いを請求すると、時効が中断します。
連帯責務の場合は請求された本人(A)だけでなく、B、Cの時効も中断します。
このように他の債務者にも影響を与えるものを絶対効と言います。
連帯責務の場合は請求された本人(A)だけでなく、B、Cの時効も中断します。
このように他の債務者にも影響を与えるものを絶対効と言います。
関連する条文
- (民法第434条)
第四百三十四条
連帯債務者の一人に対する履行の請求は、他の連帯債務者に対しても、その効力を生ずる。
選択肢
2
○ 正しい
解説
連帯債務者の1人が債権者に対して債権を有する場合において、その連帯債務者が相殺を援用したときは、債権は、すべての連帯債務者の利益のために消滅します(同法第436条第1項)。つまり、BおよびCのDに対する連帯債務も 200万円が消滅します。

ワンポイントアドバイス
請求と同様、相殺も絶対効です。
そのため、AとDが相殺すれば、B、Cの債務も消滅します。
そのため、AとDが相殺すれば、B、Cの債務も消滅します。
関連する条文
- (民法第436条)
第四百三十六条
1 連帯債務者の一人が債権者に対して債権を有する場合において、その連帯債務者が相殺を援用したときは、債権は、すべての連帯債務者の利益のために消滅する。
選択肢
3
× 誤り
解説
連帯債務者の1 人のために時効が完成したときは、その連帯債務者の負担部分(300 万円)については、他の連帯債務者も、その義務を免れます(同法第439条)。全部が消滅するのではありません。

ワンポイントアドバイス
1人の時効で全員分の債権が消滅してしまっては債権者は大損です。
時効を迎えた人の負担分だけ、債権は消滅します。
時効を迎えた人の負担分だけ、債権は消滅します。
関連する条文
- (民法第439条)
第四百三十九条
連帯債務者の一人のために時効が完成したときは、その連帯債務者の負担部分については、他の連帯債務者も、その義務を免れる。
選択肢
4
× 誤り
解説
連帯債務者の1 人が弁済したときは、他の連帯債務者に対し、各自の負担部分について求償権を有します(民法第442条第1項)。本肢の場合、CはAとBのそれぞれに対し、100万円の3分の1を求償することができます。

ワンポイントアドバイス
連帯債務者の1人が弁済した場合、他の債務者の債務も減ります。
Cが100万円返済したので、残りは800万円となります。
そしてCは負担割合に応じて求償することができます。
Cが100万円返済したので、残りは800万円となります。
そしてCは負担割合に応じて求償することができます。
関連する条文
- (民法第442条)
第四百四十二条
1 連帯債務者の一人が弁済をし、その他自己の財産をもって共同の免責を得たときは、その連帯債務者は、他の連帯債務者に対し、各自の負担部分について求償権を有する。
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