貿易用語 HSコードって何?!

HSコードって何?!

「6307.90-029」

何のことだか分かりますか?
2020年、新型コロナウイルスの世界的大流行により需要が急拡大し、中国などから輸入しようとする業者が急増した不織布マスク等繊維製品のHSコードです。

HSコードとは一体なにか?その概要についてまとめます。

目次

HSコードとは?

「HSコード(エイチエスコード / HS code)」とは、世界共通で使われる輸出入する品目のための分類番号のことです。

輸出・輸入する商品は何らかのHSコードに分類されますので、輸出入手続きを行う際は商品が何か?用途や素材など様々な属性を考慮し、ルールに従ってHSコードを決定、税関に対して申告を行います。

財務省はHSコードごとに集計を行い、貿易統計の品別表にしていますので、「輸出入統計品目番号」、HSコードごとに輸入貨物にかかる関税の税率が決められていますので、「関税番号」、略して「税番」などと呼ばれることもあります。

HS codeのHSとは、HS条約(商品の名称及び分類についての統一システムに関する国際条約:International Convention on the Harmonized Commodity Description and Coding System)に由来します。

Harmonizeは、名詞のハーモニーから調和や一致のイメージができるように「統一する」という意味を持ちます。Harmonized System Code(ハーモナイズド・システム・コード)、つまり、国際的な統一システムのコードを指します。

HS条約の締約国は、HS条約に基づき自国の関税率表および輸出入統計品目表を作成し運用することが義務づけられています。

2020年4月現在、日本をはじめ159の国と地域が加盟しており、HSコードを使用している国と地域は、未締約国を含み200以上に及びます。

HS条約で定められており、国際的に統一されているのはHSコードの6桁目までです。それ以降は各国の国内法で細分化されており、国によってHSコードの桁数は異なります。

つまり、冒頭で取り上げました不織布マスクのHSコード「6307.90-029」は、「6307.90」の6桁が世界共通であり、それ以降の「-029」は日本国内用、輸入関税率表のための細分番号であることを意味します。

なお、このHSコードは世界税関機構(WCO:World Customs Organization)という国際機関が管理しており、5年ごとに更新されます。

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HSコードの構造

前述の通りHSコードの6桁目までは世界共通です。HSコードの桁数について、日本で税関に申告を行う場合は、3桁の統計細分を加えた数字9桁、NACCS(ナックス)と呼ばれる通関業者や関連省庁などを繋ぐシステムを使用して申告する場合は、NACCS用番号を1桁加えた数字10桁です。

6桁目までは輸出・輸入で共通していますが、7桁目以降は国内的に細分化されており、輸出と輸入で必ずしも同じではありません。

HSコードの上2桁を「類(Chapter)」、上4桁を「項(Heading)」、上6桁を「号(Sub-heading)」といいます。

たとえば、トマトの輸入関税率表上のHSコードは、0702.00-0003です。
食用の野菜なので、07類 
トマトなので、0702項、0702.00号 と分類されます。

HSコードの調べ方

HSコードは税関のホームページより、輸出の場合は「輸出統計品目表」、輸入の場合は「実行関税率表」の品目一覧を確認することで調べることができます。英語版は、同サイトの言語を日本語からEnglishに変えて、Japan’s Tariff Schedule をチェックします。

物品が該当すると思われる類(Chapter:HSコードの上2桁)を選んで、探します。パソコンやスマートフォンのページ検索機能を用いキーワード検索が可能です。

以下は部と類の表題です。一部英語表現を追記しています。全体像を掴むのに参考にしてください。

輸出統計品目表や実行関税率表は、21部(Section)97類(Chapter)に分かれています。ただし、第77類は欠番です。

第1部 動物(生きているものに限る。)及び動物性生産品

第 1類 動物(生きているものに限る。)
第 2類 肉及び食用のくず肉
第 3類 魚並びに甲殻類、軟体動物及びその他の水棲無脊椎動物
第 4類 酪農品、鳥卵、天然はちみつ及び他の類に該当しない食用の動物性生産品
第 5類 動物性生産品(他の類に該当するものを除く。)

第2部 植物性生産品

第 6類 生きている樹木その他の植物及びりん茎、根その他これらに類する物品並びに切花及び装飾用の葉
第 7類 食用の野菜、根及び塊茎
第 8類 食用の果実及びナット、かんきつ類の果皮並びにメロンの皮
第 9類 コーヒー、茶、マテ及び香辛料
第10類 穀物Cereals.
第11類 穀粉、加工穀物、麦芽、でん粉、イヌリン及び小麦グルテン
第12類 採油用の種及び果実、各種の種及び果実、工業用又は医薬用の植物並びにわら及び飼料用植物
第13類 ラック並びにガム、樹脂その他の植物性の液汁及びエキス
第14類 植物性の組物材料及び他の類に該当しない植物性生産品

第3部 動物性又は植物性の油脂及びその分解生産物、調製食用脂並びに動物性又は植物性のろう

第15類 動物性又は植物性の油脂及びその分解生産物、調製食用脂並びに動物性又は植物性のろう

第4部 調製食料品、飲料、アルコール、食酢、たばこ及び製造たばこ代用品

第16類 肉、魚又は甲殻類、軟体動物若しくはその他の水棲無脊椎動物の調製品
第17類 糖類及び砂糖菓子
第18類 ココア及びその調製品
第19類 穀物、穀粉、でん粉又はミルクの調製品及びベーカリー製品
第20類 野菜、果実、ナットその他植物の部分の調製品
第21類 各種の調製食料品
第22類 飲料、アルコール及び食酢
第23類 食品工業において生ずる残留物及びくず並びに調製飼料
第24類 たばこ及び製造たばこ代用品

第5部 鉱物性生産品

第25類 塩、硫黄sulphur、土石類、プラスター、石灰lime及びセメント
第26類 鉱石Ores、スラグ及び灰
第27類 鉱物性Mineral燃料及び鉱物油並びにこれらの蒸留物、歴青物質並びに鉱物性ろう

第6部 化学工業(類似の工業を含む。)の生産品

第28類 無機化学品Inorganic chemicals及び貴金属、希土類金属rare-earth、放射性元素又は同位isotopes.元素の無機又は有機の化合物
第29類 有機化学品Organic chemicals
第30類 医療用品
第31類 肥料Fertilisers
第32類 なめしエキス、染色エキス、タンニン及びその誘導体、染料、顔料その他の着色料、ペイント、ワニス、パテその他のマスチック並びにインキ
第33類 精油Essential oils、レジノイド、調製香料及び化粧品類
第34類 せつけん、有機界面活性剤、洗剤、調製潤滑剤lubricating、人造ろうwaxes、調製ろう、磨き剤、ろうそくその他これに類する物品、モデリングペースト、歯科用ワックス及びプラスターをもととした歯科用の調製品
第35類 たんぱく系物質Albuminoidal、変性でん粉、膠着剤及び酵素enzyme
第36類 火薬類、火工品、マッチ、発火性合金及び調製燃料
第37類 写真用又は映画用の材料
第38類 各種の化学工業生産品

第7部 プラスチック及びゴム並びにこれらの製品

第39類 プラスチック及びその製品
第40類 ゴムRubber及びその製品

第8部 皮革及び毛皮並びにこれらの製品、動物用装着具並びに旅行用具、ハンドバッグその他これらに類する容器並びに腸の製品

第41類 原皮(毛皮を除く。)及び革
第42類 革製品及び動物用装着具並びに旅行用具、ハンドバッグその他これらに類する容器並びに腸の製品
第43類 毛皮及び人造毛皮並びにこれらの製品

第9部 木材及びその製品、木炭、コルク及びその製品並びにわら、エスパルトその他の組物材料の製品並びにかご細工物及び枝条細工物

第44類 木材及びその製品並びに木炭
第45類 コルクCork及びその製品
第46類 わらstraw、エスパルトその他の組物材料の製品並びにかご細工物及び枝条細工物

第10部 木材パルプ、繊維素繊維を原料とするその他のパルプ、古紙並びに紙及び板紙並びにこれらの製品

第47類 木材パルプ、繊維素繊維を原料とするその他のパルプ及び古紙
第48類 紙及び板紙並びに製紙用パルプ、紙又は板紙の製品
第49類 印刷した書籍、新聞、絵画その他の印刷物並びに手書き文書、タイプ文書、設計図及び図案

第11部 紡織用繊維及びその製品

第50類 絹及び絹織物
第51類 羊毛Wool、繊獣毛fine animal hair、粗獣毛及び馬毛の糸並びにこれらの織物
第52類 綿Cotton及び綿織物
第53類 その他の植物性紡織用繊維及びその織物並びに紙糸及びその織物
第54類 人造繊維の長繊維並びに人造繊維の織物及びストリップその他これに類する人造繊維製品
第55類 人造繊維の短繊維及びその織物
第56類 ウォッディング、フェルト、不織布及び特殊糸並びにひも、綱及びケーブル並びにこれらの製品
第57類 じゆうたんその他の紡織用繊維の床用敷物
第58類 特殊織物、タフテッド織物類、レース、つづれ織物、トリミング及びししゆう布
第59類 染み込ませImpregnated、塗布しcoated、被覆しcovered又は積層したlaminated紡織用繊維の織物類及び工業用の紡織用繊維製品
第60類 メリヤス編物及びクロセ編物
第61類 衣類及び衣類附属品(メリヤス編み又はクロセ編みのものに限る。knitted or crocheted)
第62類 衣類及び衣類附属品(メリヤス編み又はクロセ編みのものを除く。not knitted or crocheted)
第63類 紡織用繊維のその他の製品、セット、中古の衣類、紡織用繊維の中古の物品及びぼろ

第12部 履物、帽子、傘、つえ、シートステッキ及びむち並びにこれらの部分品、調製羽毛、羽毛製品、造花並びに人髪製品

第64類 履物及びゲートルその他これに類する物品並びにこれらの部分品
第65類 帽子及びその部分品
第66類 傘、つえ、シートステッキ及びむち並びにこれらの部分品
第67類 調製羽毛feathers、羽毛製品、造花及び人髪製品

第13部 石、プラスター、セメント、石綿、雲母その他これらに類する材料の製品、陶磁製品並びにガラス及びその製品

第68類 石、プラスター、セメント、石綿、雲母その他これらに類する材料の製品
第69類 陶磁製品Ceramic
第70類 ガラスGlass及びその製品

第14部 天然又は養殖の真珠、貴石、半貴石、貴金属及び貴金属を張つた金属並びにこれらの製品、身辺用模造細貨類並びに貨幣

第71類 天然又は養殖のcultured真珠、貴石、半貴石、貴金属precious metals及び貴金属を張つたclad with金属並びにこれらの製品、身辺用模造細貨類並びに貨幣

第15部 卑金属及びその製品 部注

第72類 鉄鋼Iron and steel.
第73類 鉄鋼製品
第74類 銅Copper及びその製品
第75類 ニッケルNickel及びその製品
第76類 アルミニウムAluminium及びその製品
第77類 (欠番)
第78類 鉛Lead及びその製品
第79類 亜鉛Zinc及びその製品
第80類 すずTin及びその製品
第81類 その他の卑金属base metals及びサーメット並びにこれらの製品
第82類 卑金属製の工具、道具implements、刃物cutlery、スプーン及びフォーク並びにこれらの部分品
第83類 各種の卑金属製品

第16部 機械類及び電気機器並びにこれらの部分品並びに録音機、音声再生機並びにテレビジョンの映像及び音声の記録用又は再生用の機器並びにこれらの部分品及び附属品

第84類 原子炉、ボイラー及び機械類並びにこれらの部分品
第85類 電気機器及びその部分品並びに録音機、音声再生機並びにテレビジョンの映像及び音声の記録用又は再生用の機器並びにこれらの部分品及び附属品

第17部 車両、航空機、船舶及び輸送機器関連品

第86類 鉄道用又は軌道用の機関車及び車両並びにこれらの部分品、鉄道又は軌道の線路用装備品及びその部分品並びに機械式交通信号用機器(電気機械式のものを含む。)
第87類 鉄道用及び軌道用以外の車両並びにその部分品及び附属品
第88類 航空機及び宇宙飛行体並びにこれらの部分品
第89類 船舶及び浮き構造物

第18部 光学機器、写真用機器、映画用機器、測定機器、検査機器、精密機器、医療用機器、時計及び楽器並びにこれらの部分品及び附属品

第90類 光学機器Optical、写真用機器、映画用機器、測定機器、検査機器、精密機器及び医療用機器並びにこれらの部分品及び附属品
第91類 時計及びその部分品
第92類 楽器並びにその部分品及び附属品

第19部 武器及び銃砲弾並びにこれらの部分品及び附属品

第93類 武器Arms及び銃砲ammunition並びにこれらの部分品及び附属品

第20部 雑品

第94類 家具Furniture、寝具、マットレス、マットレスサポート、クッションその他これらに類する詰物をした物品並びにランプその他の照明器具(他の類に該当するものを除く。)及びイルミネーションサイン、発光ネームプレートその他これらに類する物品並びにプレハブ建築物
第95類 がん具、遊戯用具及び運動用具並びにこれらの部分品及び附属品
第96類 雑品

第21部 美術品、収集品及びこつとう

第97類 美術品、収集品及びこつとう

HSコードの決め方

HSコードは、「関税率表の解釈に関する通則」と呼ばれる原則に従って、物品の所属を決定します。この通則も品目表同様、HS条約の附属書に記されています。通則の原文は抽象的で分かりにくいので、いくつかを簡単な言葉でご紹介します。

  • 部・類の表題はあくまで参照するのに便宜上設けられたものであり、物品の所属は、項(上4桁)の規定とこれに関係する部や類の”注”に従います。
  • いくつかHSコードの候補がある場合、最も”特殊な限定”をして記載をしている項を優先します。
  • 混合物や小売用のセットにした物品は、その物品に”重要な特性”を与えている材料や要素から成るものとし、材料や構成要素の性質(容積、数量、重量、価格など)、その物品を使用する際の構成材料の役割によって決定します。
  • 特殊な限定をしている項も、重要な特性を与えている要素も明らかにできないものは、等しく考慮に値するHSコード候補のうち、関税率表などの数字上において最後となる項に属します。
  • それでもHSコードを決定できなければ、その物品に最も類似する商品が属する項に分類されます。

ほかには、組立て前の未完成品やケース・容器などについて、どのように扱うかが規定されています。

通関士試験 通関実務科目におけるHSコード

貿易業界で唯一の国家資格である「通関士」。輸出入手続きのスペシャリスト「通関士」になるためにはHSコードの分類を迅速かつ正確に行うスキルがマストです。

ここで、通関士試験におけるHSコードの分類について、少しご紹介します。

受験生を悩ませるひとつの要因として、関税率表などの部や類の注やカッコ書きが多すぎる点が挙げられると思います。

たとえば、
この類には、次の物品は含まない。
□□のもの(〇〇又は△△するものに限る。)
第XX.XX項及びこの類の他の項(第OO.OO項を除く。)に同時に属するとみられるものは、第XX.XX項に属する。

日本語の読解力も必須です。

わからないときは、税関のホームページより関税率表解説・分類例規などを参考にします。読んでいると「私は一体なんの専門家を目指しているのか…」と感じることがありますが、分類のヒントを得られることが多いです。

もし分類を誤って、異なるHSコードで輸入申告をしてしまうと、関税率、輸入者が支払う関税額に影響がでてしまいます。顧客に多大な損害を与えかねません。

同時に、顧客が輸入貨物を早く引取りするためには、迅速に手続きを進める必要があります。通関士試験においても、限られた時間内に正確な答えを導き出す力が求められます。

通関士試験学習者の方より、
「品目分類に時間がかかる上に間違いが多くどうしたらいいですか?」とご相談を受けることがあります。

問題演習を繰り返して品目表などを見慣れることです。たくさん演習することで基礎知識が増え、品目表などを何度もみているうちに効率的に読み解けるようになり、正確にHSコードを特定できるようになります。

ちょっとしたことですが、身近にあるもののHSコードの類(上2桁)を当ててみるゲームがおすすめです。普段からアンテナを張っておくことで、よりHSコードの分類スキルを向上させることができると思います。