通関士とは?仕事内容や魅力・将来性は?

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通関士とは?

いわゆる「士業」と言われる資格は数多く、そんな士業の一つが通関士です。とはいえ行政書士や弁護士、司法書士のように、街中で看板を見かけたり、TVでCMをしているケースはほぼないので、多くの方は通関士がどのような業務を行う資格かご存じないかもしれません。そこでまずは通関士に関して簡単に説明していきたいと思います。

通関士とは、貨物の輸出入に関しては必須の資格であり、税関を通す、つまり通関にかかわる業務を行う資格です。実際にどのような資格で、どのような業務を行うかは後に詳しく説明するとして、まずは通関士の歴史に関してまとめておきましょう。

通関士という資格が誕生したのは1967年(昭和42年)。比較的新しく登場した資格になります。古くは江戸時代にペリーが浦賀に来航し、日本国の貿易が始まりました。この当時現在の税関の前身となった役所が「運上所」です。

その後江戸幕府が倒れ、日本の近代化が進む中で、他国との貿易もどんどん活発になり、税関(運上所から1872年に改称)の業務もどんどん増えていきました。しかし昭和に入ると第二次世界大戦が勃発します。この大戦で敗戦国となった日本は、それまでの大日本帝国憲法を破棄し、新たに日本国憲法を制定することとなります。

現在ある多くの国家資格もこの日本国憲法制定後に誕生しています。しかし、海外との貿易に関する資格である通関士資格に関してはもう少し時間が必要でした。

日本が敗戦国から世界の仲間入りを果たし、他国から貿易相手として認められるようになり、ようやく税関の仕事が本格的になります。そしてその後に制定されたのが通関業法です。この通関業法と同時に誕生したのが通関士の資格となっています。

通関士は国家資格

通関士は財務省が認定する国家資格であり、国家試験を受験して合格することでその資格が与えられます。通関士試験に関してはほかの記事で詳しく解説していますので、ここでは簡単に紹介しておきましょう。

通関士試験は毎年1度行われ、主に3つの科目が出題されます。3つの科目のうち2つは法律の知識を問う科目となり、ひとつは通関業法、もうひとつは関税法を始めとした、関税に関する法律分野となります。

3科目目は実務試験となり、実際に通関の申告に必要な書類の作成能力などが問われます。この実務試験が難関であり、資格取得者でもこの実務試験にもっとも手こずったという方が多いのが特徴の試験です。

通関士は国家資格ではありますが、明確な独占業務はありません。ただしある独占業務に必須の存在として知られています。このあたりは詳しく後述します。また、通関士は名称独占資格です。通関士の資格を所有していない者が「通関士」を名乗ることはできません。

では、独占業務の部分に関して詳しく触れていきましょう。

通関業者には設置が必須

どのような貨物でも、日本から輸出する、日本に輸入する場合、必ず税関を通す必要があります。これを通関といいます。日本全国にはこの通関を代行する通関業者が数多く存在しています。貿易会社などから業務委託を受け、税関に対して通関の申告などを行う業者になりますが、この業者が独占業務を持っています。

  • 通関申告書類の作成代行
  • 通関申請の代行
  • 関税計算書等の審査
  • 不服申し立ての代理
  • 主張・陳述の代行

これらは通関士の独占業務とはされていませんが、通関業者の独占業務となっています。そしてその通関業者に設置が義務付けられているのが通関士です。上記の業務は主に通関士の業務であり、細かく言えば独占業務ではありませんが、結果的に通関士の独占業務ともいえるような状態になっています。

ただし、通関業者に通関士の設置義務があるといっても、これは雇用の義務ではありません。通関業者が通関に関する業務の代行を行う際、必ずそこに通関士の有資格者を設置しなければいけないという設置義務であり、必ずしも正社員である必要はないというのが現状の法律解釈ですので覚えておきましょう。

近年注目を集める資格

通関士の資格試験は、年々受験者数が増加傾向にあります。近年日本経済はグローバル化が進んでおり、より多くの物資が輸出入の対象になっています。結果海外との貿易機会も増え、より多くの通関士が求められている状況にあります。

通関士試験の受験者数が増加するのと同時に、通関士試験対策を高じている通信講座や予備校なども増加の傾向にありますので、通関士を目指す方はこうした通信講座などを利用するのもいいでしょう。

通関士の仕事内容

では、ここからは通関士が行う実際の仕事内容を細かく確認していきたいと思います。簡単に箇条書きでお伝えするのであれば、上で紹介した通関業者の独占業務がそのまま通関士の行う業務ということになりますが、それだけではわかりにくい部分もあるかと思います。

そこで、貨物の輸出、輸入の際の手続きの流れを確認しつつ、どこでどのような業務が発生するかを確認していきましょう。

輸出入の流れ

物資を日本に輸入する手順を確認しておきましょう。海外から日本に到着した荷物は、まず保税地域にて保管されます。保税地域とは通関を待つ間、一時的に貨物を保管することができる地域です。

保税地域に貨物を保管した状態で、税関に輸入の申告を行います。必要書類を用意し申告を行うと、税関で貨物チェックが行われ、関税の金額が確定します。その後関税を納付すれば輸入手続きは完了です。

輸出の場合はまず海運業者に船積の予約を行います。船の予約が完了したら輸出する貨物を保税地域に移し、輸出申告を行います。輸出申告が認可されたら海運業者に運賃を支払船に積み込んで輸出手続き完了です。

この流れの中で、輸出申告、輸入申告を行うのが通関士の仕事ということになります。

通関書類の作成と審査

通関士の業務の中心となるのが、通関申告書類の作成代行です。通関には多くの書類が必要であり、またその書類を作成するには貨物の中身を知り、関税に関する深い知識が必要となります。

ひとつの例を挙げると、スニーカーを輸入するとします。通常スニーカーの輸入関税は一定と考えてしまうところですが、実はもっと細かい部分に注目する必要があります。それが素材です。

布や化学繊維などのスニーカーと、革素材を使用したスニーカーではかかる関税が変わってくるのです。

通関士はこのような細かい素材の部分までチェックし、間違いがないように申告書類を作成する必要があります。

実際に輸入や輸出にどのような書類が必要になるかも簡単に紹介しておきましょう。まず輸出をする場合に必要となるのが「仕入書」です。出荷企業(日本の企業)が受取企業(海外企業)に対し、出荷することを報告する書類であり、一般的に「インボイス」と呼ばれます。この書類には貨物の品名、数量、価格から受取企業の氏名、住所、連絡先まで細かく記載されています。

このインボイスを保管するのが「パッキングリスト」です。この書類には貨物の数量や重さ、内容物に関する情報が記載されています。さらに輸出の場合は先に船を確保しておく必要があり、船の確保が完了していることを証明する「船積依頼書」が必要となります。

これらの書類に「委任状」をつけて申告するのが輸出の基本となります。

輸入の場合はさらに書類が増え、輸出の際の書類に加え、「保険料明細書」、「運賃明細書」なども必要となります。

ひとつの貨物を送る、受け取るだけでもこれだけの書類が必要となり、通関士の仕事は細かい部分にも気を遣いながら、きっちりと進めていく必要があることがわかると思います。

通関申告の代行

通関士の業務は書類を作成して終わりではありません。準備した書類をしっかり審査し、税関に申告手続きを行うまでが一貫した業務となります。

税関への申告は、かつては日本各地にある税関の窓口に書類を持ち込むのが一般的でしたが、現在はオンラインでの申告が中心になっています。オンラインの申告ですから、極端な話日本のどこにいても通関士の業務は可能ということになります。

ただし、完全にオンラインで完了する業務ばかりではありません。例えば税関での立会検査があります。輸出入する品目や相手国の事情によっては、事前に貨物維持隊を税関職員とともにチェックする必要に迫られるケースもあります。

こうなった場合は、やはり現場に行く必要があり、書類作成から申告まではオンラインで可能も、やはり税関に近い場所で働く必要はあるといえるでしょう。

通関申請に関する不服申し立て

通関申請に関しては、何でも自由に輸出入することができるわけではありません。申告書類に不備があれば申告は却下され、輸出、輸入ができないということもあり得ます。この通関が却下されるような事態で、税関に直接不服を申し立てることができるのも通関士の業務になります。

もちろん改めて処理や貨物のチェックは必要となりますが、正式に税関に不服を申し立てる業務を担うのが通関士ということになります。

通関士が人気の理由

近年人気と注目を集める通関士という資格ですが、その理由にはどのような理由があるのでしょうか?もちろん仕事内容が魅力的であったり、そもそも貿易関係の仕事をしている方が取得を目指していたりという部分もあるかと思いますが、もう少し踏み込んだ理由に関して考えてみましょう。

グローバル化に伴う輸出入の増加

日本経済は全体的にグローバル化の方向に舵を切っています。元来日本は自国で燃料や食料を自給することができない島国であり、経済の面で輸出入に頼る部分が多い国です。しかし近年ではこれまで国内向けに仕事をしてきた企業も、海外に活路を求めるケースが増えており、輸出入で扱う貨物の量や種類が増えています。

輸出入を行う企業、業種が増えるということは、それだけ通関士の仕事が増えるということになります。また、これまで海外を視野に入れて来なかった企業が海外市場をにらんだ場合、櫃世に駆られて社内に通関士を抱えるというケースも増加しています。

インターネットの力もあり、比較的海外進出がしやすくなった現代、通関士の需要が高まるのも当然かもしれません。

高収入が目指せる資格

通関士の資格を持つことで、就職や転職に有利になります。有利になるということは、それだけ好条件での職探しも可能ということになります。すでに貿易関係の仕事に就いている方が、通関士の資格を取得することで収入をアップさせることも可能です。

通関士の設置義務があるのは通関業者のみですが、通関業者に限らず、貿易を行う企業、海運業者、倉庫業者、運送業者などでは、自社内に通関士の資格を持つ社員を持ち、通関に関する通関業者の業務をチェックするということも少なくありません。

ほかの方にない知識を持つ通関士の有資格者は、それだけで現状以上の収入を望めるといえるでしょう。

通関士の魅力とは?

通関士の資格試験では通関業法や関税法などの法律知識を問われます。さらに実務試験では、実際のケースを想定した実務能力も問われます。これらの科目に対応するには、それなりの勉強時間が必要となるでしょう。

法律知識がすでにある程度ある方、実際に貿易の現場で働き、申告書類に触れている方にとってはさほど難易度の高い試験ではないかもしれませんが、それは限られた一部の方のみ。

多くの方にとっては難関試験と言えるのが通関士試験です。そんな通関士試験に合格するには、それなりに勉強時間を確保する必要があります。特に社会人の方にとっては、毎日仕事を詩ながら勉強時間を確保するのは至難の業です。そこまでする魅力が通関士の仕事にあるかどうか、その点をチェックしていきましょう。

就職や転職に有利になる

これから就職活動が控えている、もしくは本格的に転職を考えている方には、資格を取得することでどれだけアドバンテージがあるかは重要なポイントでしょう。

通関士を求める業界は多く、就職や転職には有利な資格といえます。たとえ通関士としての仕事のない業界でも、通関士の資格を取得しているということでアピールになるのは間違いありません。通関士の国家試験に合格しているということは、それだけ通関業法や関税法に関する知識があるという証明でもあります。この知識を求める企業も少なくありません。

通関業者はもちろん、その他の業者に対しても強いアピールポイントとなるのは、通関士資格の大きな魅力と言えるでしょう。

収入アップが望める

通関士の仕事は専門知識が多く必要であり、ほかの無資格者で代用できる仕事ではありません。多数ある書類の作成や審査、万が一に備えての不服申し立ての代行者としても必要な人材になりますので、資格を持たない人と比較すると、高収入が望めます。

ただし、繰り返しになりますが独立開業は難しい資格です。大幅に収入がアップするということはあまり考えにくい資格でもありますので、その点は覚えておきましょう。

今後も需要が高くなることが予想される

通関士の仕事において魅力的な部分は、「テレワーク」にも対応できるという点です。上記の通り、通関申告書類の作成や、通関申告に関してはほぼオンラインで作業が可能になっています。そう考えると、自宅にいながらの業務も不可能ではないということになります。

2020~2021年のように、世界中で新型コロナウイルスが猛威を振るうような緊急事態でも、安定した仕事が可能な資格でもあります。もちろん、税関での立会検査などを考えるとすべてテレワークとはいかない部分もあります。

ただし、その点に関しては社内で役割分担ができれば対処可能です。テレワーク組が書類作成や申告業務を行い、税関近くに勤務する組が立会検査や打合せ、税関との協議に参加するように役割分担できれば問題は解決です。

新型コロナウイルスの影響で働き方改革が叫ばれる状況では、非常に心強い資格ということもできるでしょう。

通関士の将来性は?

資格取得を考える方がもっともポイントにするのがすの資格の将来性ではないでしょうか?一部限られた方を除けば、仕事をしながら資格取得を目指せる機会はそう多くはありません。

こういった状況で資格取得を目指す以上、その資格に魅力があり、さらに将来性がなければ挑戦するモチベーションを保つのは難しくなります。

近年の傾向を考えると通関士という資格は需要も多く、高収入が目指せる資格であることは間違いありません。では、将来的に通関士の資格はどのような資格となっていくのかを考えてみましょう。

輸出入は拡大の傾向

日本国内にエネルギー資源がなく、しかも自給自足ができるほどの食料生産も望めないというのは、将来的にも変わることはないでしょう。この点が変わることがない以上、日本経済の中心は輸出入ということになります。

少なくとも現状よりも輸出入が減少する将来は考えにくく、むしろこの先日本経済が好調になろうと、不調になろうと輸出入の量が減ることはないでしょう。

近い将来のことを想像すると、想像できるのは輸出入にかかわる貨物の種類が増える、細分化されることです。通関士の業務は、貨物の中身を正確に判断し、正しい関税を納付するように準備することです。

そう考えると近い将来の通関士に求められるのは専門性。ある分野に特化した知識があることで、通関士として安定した業務を行うことができるでしょう。専門性の高い通関士を考えると、現状貿易などに携わる仕事をしている方よりも、別の分野から通関士を目指すのがおすすめ。現在就いている仕事で得た専門的知識を生かしつつ、通関士の資格を取得することで、将来的にも安定した収入を目指すことができるでしょう。

EPA・FTAについて

近年日本は多くの国や地域とEPAやFTAを締結しています。これらの動きも輸出入の活発化に直結する政策といえるでしょう。FTAやEPAにより、今までに以上に多くの貨物が輸出入の対象となる可能性があります。通関士に求められるのは、より専門的な知識となります。

将来的に考えると、専門性の高い通関士が増える可能性が高いといえるでしょう。専門性の高い通関士が増えるということは、それだけ多くの通関士が必要になると考えることもできます。将来性を考えても通関士は魅力的な資格といえます。

ちなみにEPAとFTAに関しても簡単に説明しておきましょう。FTAとは「Free Trade Agreement」の頭文字で、直訳すれば「自由貿易協定」です。一方EPAは「Economic Partnership Agreement」の頭文字であり、同様に直訳すれば「経済連携協定」となります。

FTAはEPAに含まれるひとつの項目であり、「特定の国・地域の間で、物品の関税やサービス貿易の障壁等を削減・撤廃することを目的とする協定」とされています。つまり貿易における関税などの障壁をできるだけ取り払い、もっと活発に貿易を行いましょうという協定です。

EPAにはさらに広い意味があり、FTAに加えて知的財産の保護や投資ルールも統一しようという協定です。少し前に頻繁に話題になっていたTPP(環太平洋パートナーシップ協定)は、参加国全体が参加するEPAということになります。

通関士に向いている人とは?

通関士の仕事の内容や魅力、将来性を解説してきましたが、この解説を読んでより通関士に興味を持った方もいらっしゃるかと思います。しかし、貿易関係の仕事をしていない方にとっては、自分に合っている仕事かどうか判断しにくい部分もあるでしょう。

そこでどのような方が通関士に向いているかをまとめて解説していきたいと思います。

書類作成などデスクワークが好き

通関士の仕事は、通関書類の作成、審査、申告の代行が中心となります。前述の通り、通関申告はオンラインでも行えるようになっていますので、業務の多くはデスクワークということになります。その点ではデスクワークが好きという方に向いている仕事といえるでしょう。

ただし、通関士の仕事は単純なデスクワークではありません。多くの企業の輸出入にかかわる仕事であり、ひとつでもミスをしてしまえば、物流が止まってしまう可能性のある非常に重要な仕事です。

書類の作成や申告の代行など、一見地味な仕事にしっかりとやりがいを感じることができる方に向いている資格といえます。

責任感と集中力がある

通関士が多く務める通関業者は、通関を代行することを業務としており、この業務には大きな責任が伴います。

通関業身における過失があると、通関業者にはマイナスポイントがつけられます。マイナスポイントが重なる、もしくは大きなマイナスポイントがついてしまうと、通関業者は営業停止処分などの行政処分を受けることになってしまいます。

また、通関士個人のミスが重なれば、通関士としての業務禁止処分、取り消し処分を受ける可能性もあります。

そうならないためにも、通常の業務から非常に思い責任感と、高い集中力が求められます。通関士に向いている方は、こういった高い集中力を持ち、強い責任感がある方と言っていいでしょう。

交渉能力などに自信がある

通関士の仕事は基本的にデスクワークが多いと書きましたが、デスクワークのみということではありません。場合によっては直接交渉を行うケースもあり、最低限の交渉能力は必要な仕事ともいえます。

もちろん税関に対する不服の申し立てなどもその交渉能力が問われる場面ですが、ほかにも通関申告書類の審査を行った場合にもコミュニケーション能力は必要となります。通関士は書類をチェックする立場です。もし書類に不備があった場合は指摘をする必要がありますが、正しいことを言っているからと冷たく指摘をするだけでは業務はスムーズに進みません。

間違いは間違いと指摘しながら、社内に険悪なムードを持ち込まないような大人の対応も求められます。

通関士は独立開業が難しい資格だけに、通関業者などの社内で業務を行う機会も多くなります。資格を持っていても一企業に務める社会人として、最低限の交渉能力、コミュニケーション能力が求められる仕事でもあります。

通関士の仕事のデメリット

通関士の資格取得は比較的メリットが目立ちます。とはいえ、通関士の仕事にはメリットだけではなくデメリットもあります。そんなデメリットについて確認しておきましょう。

大きな責任を負うことになる

通関士の仕事には大きな責任が伴い、その分やりがいを感じることができる仕事です。ただしこの責任は想像以上に重い結果をもたらすことがあります。これが通関士の持つデメリットでありリスクともいえるでしょう。

通関業者は常に税関に監督されている業種になります。通関業者の業務が税関法や通関業法にそぐわないものであれば、業務停止命令や営業許可の取り消しなど重い行政処分が科せられる可能性があります。

また、通関士自身が通関業法や税関法に違反するような業務を行うと、通関士にも罰則があります。通関業者に対する業務停止命令とは別に、通関士個人に対し口頭注意、資格停止命令、資格はく奪などの行政処分が傘られる可能性があります。

繰り返しになりますが、通関士は独立開業が難しい資格です。資格を取得しても通関業者などに勤務する必要があり、個人の力で収入を得るのは難しくなります。

勤めていた通関業者が営業停止命令を受ければ収入はなくなります。最悪の場合退職という可能性も当然考えられます。そうした場合通関士は新たな勤務先を探す必要が生じます。ここが独立できない部分の厳しさです。

仮に勤務していた通関業者が営業停止命令を受けてしまい、新たに通関業者への就職を目指すと考えた場合、前職の会社が営業停止命令を受けているというのはどうしてもマイナス評価となります。もちろん自身が資格停止命令を受けていればなおさらです。

通関士は将来性もあり、やりがいもあり、高収入も目指せる資格であることは間違いありませんが、同時に大きな責任とリスクを背負いう仕事でもあります。メリットや魅力だけに注目し、軽い気持ちで目指すのはおすすめできない資格といえるでしょう。

まとめ

通関士は貨物の輸出入には欠かせない国家資格であり、国家試験に合格することで取得することができる資格です。日本経済のグローバル化、各国・各地域と締結が進むFTAやEPAの影響もあり、近年非常に注目度の高い人気の資格となっています。

今後も日本経済は輸出入に頼る部分が大きいという事実は変わらないと考えられているため、通関士の仕事は将来性のある資格です。また、通関士の資格を持っていることで就職や転職でも有利になり、より高収入の仕事が目指せるでしょう。

安定感のある資格としては、行政書士や弁護士といったいわゆる「八士業」と言われる資格試験ほど難しい試験ではありませんので、挑戦するだけの魅力は十分にある資格と言えるでしょう。

ほかのいわゆる難関資格と比較すれば難易度は高くありませんが、誰でも簡単に取得できる資格ではありません。当然ながら資格取得には勉強が必要となります。通関業法や関税法といった法律知識を深める必要があるため、独学での挑戦は難しいというのが現実です。特に現在社会人であり、資格取得を目指すというのであれば、独学での挑戦はかなり難易度が上がります。

実際に通関士の資格取得を目指すのであれば、通信講座などを受講し、効率的な勉強をするのがおすすめです。