電子情報処理組織を利用して納税をする場合の納税方法の一つ「口座振替納付」とは

口座振替納付

国際貿易の発展に伴い輸出入貨物の量、手続が増加したため、従来の納税システムでは迅速かつ的確な手続きの実施に困難をきたす恐れが出てきた昨今の現状。

そこで、この課題を解決するためにコンピュータを使用した通関情報処理システムが導入される運びとなったのは周知のところでしょう。これが、NACCS(ナックス)、正式名称が「Nippon Automated Cargo and Port Consolidated System」です。

この電子情報処理組織を利用して納税を行う場合の一つに、口座振替納付の方法があります。

今回は、その都度銀行の窓口まで行って納付する手間なく輸入許可を得ることが出来る口座振替納付に関して、ご説明いたします。

目次

口座振替による関税等の納付とは

税関長はNACCSを使用して申告等を行わせた場合において、預金の払い出しと、その払い出した金銭による関税の納付を、その預金口座のある金融機関に委託して行おうとする者から、その納付に必要な納付書を金融機関へ送付することの依頼があった場合には、その依頼を受けることが出来ると定義されています(NACCS法第4条第1項)。

尚、NACCSを利用して申告した場合であっても、その方法は口座振替に限定されることはありません。つまり金銭や小切手等でも関税を納付することが出来ます。

電子情報処理組織を利用して納税する場合の納付方法4つ

NACCSを利用して納税申告をした場合の輸入者は、その納税申告に係る関税の納付に関して、次の4つの方法のいずれかを選択することが出来ます。

①直接納付方式

関税の納付における原則的かつ最も一般的な方法です。

輸入者は、金銭(または金銭に代えて証券等でも可)に加えて納付書を添えることで、「日本銀行」または「関税の収納を行う税関職員」に対し、直接納付する方法です。

②納付指示方式

MPN(インターネットバンキングやATM、携帯電話等)を利用した輸入者の一般預金口座からの振替納付のうちの一つです。順序だてて説明すると、以下のような流れになります。

手順① 輸入貨物の輸入(納税)申告のたびごとに、税関長に対して、電子処理組織を利用して納税する旨を届け出る
手順② 税関から輸入(納税)申告をした貨物に関して、納付情報の通知を受領する
手順③ 上記の納付情報の通知に基づいて、取引先の金融機関に対してMPNのサービスを利用して納付指示を受け、一般預金口座から国庫金口座に振替納付をする

③ダイレクト方式

②と同様にMPN(インターネットバンキングやATM、携帯電話等)を利用した輸入者の一般預金口座からの振替納付のうちの一つです。この方法に関しても順序だてて説明すると、以下のような流れになります。

手順① 「輸入者」、「輸出入・港湾関連情報処理センター株式会社」、そして「金融機関」の三者間で口座振替契約を締結する
手順② 輸入申告時にリアルタイム口座振替方法を選択し、併せて指定の口座番号を入力する
手順③ 税関から輸入者指定の金融機関に対して、納付情報(口座番号や税額、納付期限等)が電子送付される
手順④ 当該の金融機関が、輸入者の一般預金口座から国庫金口座に振替納付をする

④輸入者の関税等納付専用口座からの振替納付

電子情報処理組織を利用した輸入者の関税法納付専用口座から振替納付をする方法です。同様に順序だてて説明すると、以下のような流れになります。

手順① 輸入者は、税関長に対して、輸入者が指定した電子情報処理組織の加入金融機関に開設した関税等納付専用口座から振替納付をしたい旨を申請する
手順② 税関長から、当該の金融機関に対して納付書を電子送付する
手順③ 当該の金融機関が、輸入者の関税等納付専用口座から自動的に国庫金口座へ振替納付をする

納付書の送付

冒頭でNACCS法第4条第1項を挙げることで、税関長による輸入者からの口座振替の受領に関して説明しましたが、この税関長の依頼の受領に関しては、「その納付が確実であることが確認できたときに限り」という注釈がつきます。

ここでいう「納付が確実な場合」とは、関税の納付をするための預金口座残高が、納付すべき税額を下回らないことがNACCSを通じて確認された場合を指しています。

つまり、口座振替納付をするに当たっては、当該預金残高が納税額より常に上回った状態でなければならないことを意味します。そしてそのことがNACCSを通じて確認をすることが出来ない場合には、税関長は、輸入者からの納付書送付の依頼を断ることが出来るのです。

みなし納付

口座振替納付と輸入の許可の相互関係をしっかり理解しておくことも重要です。

税関長は、輸入者からの依頼により関税の納付に必要な納付書を金融機関へ送付した場合には、その納付書送付の時に当該納付書に係る関税が納付されたこととみなし、輸入申告された貨物の輸入許可をするとされています。

つまり、納付書の送付時には厳密には輸入(納税)申告があった貨物に関しての関税の納付が済んでいませんが、関税が納付されたと「みなす」ことで、輸入を許可するという概念です。

延滞税の特例

上記の通り、税関長は納付書を金融機関へ送付した時点で関税が納付されたこととみなし、輸入申告された貨物の輸入許可をするとされています。

したがって関税が納付期日(つまり、納付書の送付があった日の翌日)までに納付された場合においては、納付が納付書の送付の日にされたものとみなして、延滞税に関する規定が適用される形となります。

つまり実際には法定納期限を過ぎた日という形にはなりますが、納付書の送付日に関税の納付が行われたとみなすことで、延滞税を発生させないという趣旨です。

一方で預金口座のある金融機関から納付期日までに納付された関税額が、税関長から送付された納付書に記載された額よりも少なかった場合には、納付書の送付の日に関税が完納されなかったということになります。すなわち、その未納の関税額分は納付書の送付の日の翌日から当該未納関税額を納付する日までの日数に応じて、延滞税が加算されることになるのです。

通関業者の義務

これら電子情報処理組織を利用して貨物の輸出入申告(納税申告を含む)を行うことは、その輸出入を行う者の依頼を受けた通関業者でも可能となります。ただしそれらの行為には、必ず通関士による各種行為が必要となってきます。

①通関士の審査の義務

通関業者は、他人の依頼を受けて電子情報処理組織を利用して申告等を行う場合には、その内容等を通関士に審査させなければなりません。また、税関官署に提出する書類のうちの一定の通関書類に関しては、通関士に内容を審査させるだけではなく、記名・押印させる義務も生じます。

②通関士の審査の方法

電子情報処理組織を利用して申告をする場合には、人の知覚によっては認識することができない方式により入力されていることから、通関士の審査に当たっては、その入力内容を紙面又は入出力装置の表示装置に出力して行うこととされています。

つまり、必ずしもプリントアウトしたものを使って審査をしなくても良いと捉えることも出来ます。

また、この通関士による入力内容の審査に関しては、通関士識別符号を使用させて入力させるものと規定されています。

通関士識別符号とは、電子情報処理組織を利用して申告をする場合において、入力という行為を行う通関士を識別するための符号です、輸出入港湾関連情報処理センター株式会社が付与し、通関士の記名押印に相当するものとされています。

まとめ

電子情報処理組織を利用して納税をする場合の納税方法は、大きく4つあることをお話してきました。直接納付、納付指示方式、ダイレクト方式、そして輸入者の関税等納付専用口座からの振替納付の4つが該当します。

前の3つに関しては、税関長は、輸入者から領収証(MPNの場合は取引金融機関から関税振替納付通知)を受理しない限り輸入を許可しませんが、口座振替納付に関しては、税関長は、納付書を指定の金融機関に送付したときに、「その納付書に記載した関税の納付があったものとみなして」、輸入を許可する、というのが決定的な違いです。

口座振替納付はこのように、厳密にはまだ関税が納付されていない中で「みなし」として扱われる信頼関係の上で成り立っている概念です。通関士、通関業者、そして輸出入業者の三者による日頃からの真摯な業務遂行の下で成り立っている、稀有な例とも言えるのではないでしょうか。

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