通関士の試験内容・受験資格

通関士の試験内容・受験資格

通関士試験は毎年10月に実施されます。年に一度のチャンスです。事前に知っておきたい試験に関する情報をご紹介します。周到に準備して本番に臨みましょう。

目次

試験科目

通関士試験は以下の3科目から構成されています。

  1. 通関業法
  2. 関税法、関税定率法、関税暫定措置法、NACCS法、ATA条約特例法、TIR条約特例法、外国為替および外国貿易法(以下、関税法等と表記)
  3. 通関実務

出題範囲

上記の法律のほか、それぞれの法律に基づく関係政令、省令、告示及び通達。例年、試験実施年7月1日時点で施行されているものです。

「わたしは法学部出身でもなんでもないから、法律や省令、通達なんて分からない!」という方やイメージが沸かない方は税関のホームページ所管法令等より、実際にどのようなものなのかご確認いただけますので、チェックしてみてください。

出題形式

マークシートだからと言って、あなどることなかれ!少々厄介なマークシート方式ですので、要チェックです。

※2019年度試験例
試験科目 (1)通関 業法 (2)関税法等 (3)通関実務
出題形式および配点 五肢 択一式 10点 (10問) 15点 (15問) 5点(5問)
語群選択問題 25点(5問) 25点(5問) -
選択式 10点(5問) 20点 (10問) 輸出申告書 5点 (1問) 輸入申告書 15点 (1問) 10点(5問)
計算式 なし なし 10点 (5問)
合計配点 45点 (20問) 60点 (30問) 45点 (17問)
合格基準ライン (60%) 27点 36点 27点
試験時間は下記のとおりです。
  • 通関業法50分
  • 関税法等1時間40分(100分)
  • 通関実務1時間40分 (100分)

五肢択一式

5つの記述のなかから正しいものもしくは誤っているものを1つ選びます。 該当がない場合は「0」とマークします。一筋縄ではいかない択一式です。

選択式

語群選択式

15の選択肢から適切な5つの語句を選びます。ここは点数の稼ぎどころです。

複数選択式

5つの記述のなかから正しいもの誤っているものを「すべて」選びます。 注意すべきは、すべて正解だった場合に得点できる点です。一部正解で部分点をもらうことはできません。学習内容を正確に把握しておく必要があります。

計算式

通関実務科目にて出題されます。

計算式は電卓を使用し課税価格、関税額、延滞税などを計算し、金額をマークします。 ここはパターンさえ習得しておけば、確実な得点源になります。

輸出申告書は、品名の記載されたInvoiceや輸出統計品目表などをみて、15の選択肢から統計品目番号を選びます。申告書は5欄まであるので、1欄から5欄までの品番を回答していきます。計5点の配点です。

輸入申告書は、輸出申告問題と同様に、実行関税率表を参照して15の選択肢から1欄~5欄に入る品目番号を選択します。それに加えて、申告価格の金額をマークします。申告価格は1つ2点、輸入申告問題の配点は計15点です。

通関士試験はマークシート方式ですが、運で点数を稼ぐことが困難な出題方式です。頻出テーマは内容を正確に理解しておくことが必須です。

もうひとつ知っておいたほうがいいことがあります。 通関実務科目の計算問題と、輸入申告問題の申告価格を求める問題の回答には注意が必要です。

マークシートの記入注意事項に「該当する位に記入すべき数値がない場合は『0』をマークすること」と明記されると思います。使わない桁に「0」をマークし忘れるとせっかく正しい数字を導き出せていても不正解になってしまいます。 見直しの際に「0」のマーク漏れがないかどうか? 自分の中でチェック項目を設けるとよいでしょう。

科目免除

全国に7000~8000人ほどの通関士ではない通関業務従業者が活躍中です。通関業務従事者は従事年数が条件を満たせば、通関士試験の一部科目免除が受けられます。

通関業務に従事した期間が通算で5年以上になるとき実務1科目免除です。つまり、通関業法と関税法等の2科目だけで受験が可能です。

さらに従事期間が15年以上で実務と関税法等の2科目が免除となります。比較的学習のしやすい通関業法1本で受験が可能です。2科目免除受験者の合格率は半数を超え、6割近くが合格しています。長期に渡り実務経験を積み、科目免除を受けて通関士試験に挑む人も多くいます。

受験資格

学歴、年齢、国籍問わず、どなたでも受験できます。もちろん通関実務未経験者でも大丈夫です。

合格点

財務省は通関士試験の合格基準を事前には公表していません。しかし例年合格基準は各科目で満点の60%以上です。3科目全体で6割ではなく、それぞれの科目で合格基準を満たす必要がありますので、全科目まんべんなく学習し苦手科目を克服しましょう。

ただし、出題内容によって出来が左右されやすい通関実務の科目など、出題年の難易度によって合格基準が50,55%に引き下げられることもあります。ですので、最後まであきらめてはいけません。

試験会場

通関士試験は、北海道、新潟県、東京都、宮城県、神奈川県、静岡県、愛知県、大阪府、兵庫県、広島県、福岡県、熊本県、沖縄県の全国13か所で実施されます。 全国同時に行われる試験ですので、たとえば、東京都内在住の人が神奈川県で受験することも可能です。ただし、その場合受験願書は受験地を管轄する税関に提出しなければなりませんので、注意しましょう。

なお、通関士試験に合格した人は受験地にかかわりなく、どの税関の管轄区域においても通関士になることができます。 なじみのある、もしくはアクセスしやすい受験会場を選択するのがよいでしょう。

試験日

通関士試験は10月上旬の日曜日に実施されます。例年10月の第1日曜日に行われることが多いですが、2018年度の試験は第2日曜日に行われていますので、第1日曜日は絶対ではありません。

7月上旬に通関士試験の日程や詳細が官報に公告されますので、正式発表を待ちましょう。 なお10月の日曜日に実施されますので、地域の秋祭りやこどもの運動会などと予定がバッティングしてしまう恐れがあります。早めにスケジュールを把握、対策を講じておきましょう。通関士試験は年に1回のチャンスです。万全の態勢で臨めるように努めましょう。

合格発表

通関士試験の合格発表について、11月下旬か12月上旬に合格者の氏名が官報に掲載されます。合格者受験番号は試験実施地を管轄する税関の主要な官署に掲示もされます。

合格者に対しては、受験地を管轄する税関から通関士試験合格証書が送付されますので、早ければ合格発表当日の午後には、合格証を手にすることができます。 また税関HPにおいても合格者受験番号を確認できるようになっています。

試験の申し込み

毎年7月上旬に官報にてその年の通関士試験の詳細が公告されます。受験案内は税関ホームページにも掲載されます。受験願書の提出は7月下旬から8月上旬にかけての2週間程度、受験希望の試験実施地を管轄する税関に対して行います。郵送でも可能です。また関連企業でお勤めの方は輸出入・港湾関連情報システム(NACCS)を利用して受験願書の提出・受験手数料の納付を行うこともできます。

通関士試験のFAQ

試験当日のスケジュールは?

2019年度試験の例です。
お昼をまたぐ試験ですので、軽食と飲み物を持参して会場に向かいましょう。
試験開始30分前の9:00までに受験会場に集合します。
(1)通関業法 9;30~10:20 (50分)
(2)関税法等 11:00~12:40 (100分))
(3)通関実務 13:50~15:30 (100分))
3科目フルで受験される方は特に、事前に模擬試験を受けるなど本番でしっかり全力を注げるように、当日スケジュールを想定した準備ができるといいと思います。

試験の持ち物は?

・受験票
・筆記用具 *1
・電卓 ※通関実務の試験時間のみ使用します。
・時計(通信機能・計算機能がないもの)

*1 机上に置ける筆記用具は、HB又はBの黒鉛筆(シャープペンシルを含む。)、プラスチック製消しゴムに加え、色鉛筆、蛍光ペン、色付きペン、定規も持ち込み可能です。
通関実務申告書問題において、輸出統計品目表と実行関税率表をチェックするのに、これらアイテムを駆使してみましょう。

問題冊子はメモできる?持ち帰れる?

問題冊子の空白にメモをとることができます。問題冊子は試験後持ち帰りますので、自宅にて自己採点ができるよう、しっかり自分の解答をメモしておきましょう。

試験後数日の間に資格スクールや通信講座を持つ各社から、解答の速報が出されます、正式解答ではありませんが、だいたいの点数が分かりますので、チェックしてみましょう。

英語があまり得意ではないけれど、通関士試験に合格できる?

通関士試験に高度な英語力は要りません。通関実務申告書問題では、英語で記された品名と、日本語と英語で併記された品目表とを照らし合わせて、分類を行います。

英語が得意な方はどのような品物なのか?すぐにイメージできるので有利ですが、とりわけ難しい英単語がでてくるわけではありませんので、英語があまり得意でない方でも大丈夫です。

実務未経験でも合格できる?

実務経験がなくても合格できます。実務経験者のほうが法律と現場をリンクさせて学習しやすいかもしれませんが、通関士試験は通関にまつわるありとあらゆることを学習しますので、すべてを実務現場と結び付けられる方はあまりいないと思います。

就職活動を控えた学生でもがんばれば合格できる資格ですので、実務経験がないから。経験が乏しいから。と早々にあきらめる必要はありません。
通関士試験は実務経験がなくてもしっかり学習し、対策を講じていれば合格できる資格なのです。

まとめ

通関士試験のフローについて振り返ります。

7月上旬 公告された試験の詳細をチェックする。
7月下旬~8月上旬 希望する受験地を管轄する税関に願書を提出する。
8月~9月 実力試しに模擬試験を受ける。
10月上旬のとある日曜日 試験当日
11月下旬か12月上旬 合格発表

通関業務に従事し財務大臣の確認を受ければ、晴れてあなたは「通関士」です。職業を聞かれたときに単に「会社員です」ではなく「通関士です!」と職種で答えることができるようになります。