輸入申告に係る過少申告加算税の計算方法

更新日:2020年4月2日

電卓とノートPCを触ってる人

通関士試験を目指して勉強を始められた方!基本的には法令の問題が多いなかで、延滞税・過少申告加算税・無申告加算税・重加算税のような附帯税の計算問題に苦手意識を持っている方も多くいます。ですが、計算問題はパターンさえ押さえておけば、確実な得点源になります。

今回は過少申告加算税の計算について、深堀りしていきます。実務でもきっと役立つはずです。

目次

一種のペナルティ?!過少申告加算税とは?

過少申告加算税は、適正な申告をしない者に対して課す行政上の制裁といったイメージです。

当初の納税申告書に記載した金額が過少で修正申告又は更正があった場合に、その修正申告又は更正に基づき新たに納付すべき税に通常10%の割合を掛けた金額が過少申告加算税として課されます。このような加算税があることで申告秩序の維持につながるとされています。

ちなみに、修正申告と更正の違いは、誰が誤った申告を正すのか?「輸入者・納税者自身」or「税関長」の違いです。

基本の過少申告加算税は10%ですが、当初納税申告の適正化と自主的な修正申告の履行を高めるため、早めに自発的に修正申告をする場合、段階的に税率が軽減されます。通関士試験、関税法などの過去問題でたびたび出題されていますので、ぜひ押さえておきましょう。

注目ポイントは、以下2点です。

  1. 更正予知の前or後?
  2. 税関の調査通知より前or後?

どの段階で修正申告が行われたか?で変わります。

予知されたものとは、納税者に対する実地又は呼び出しなどの具体的調査がされた後にされた修正申告のことをいいます。つまり、1.は具体的調査前or後?と言い換えることができます。

税関職員が調査をしてその申告が不適切かもしれないと思わせる資料を発見し、それによりそのまま調査が進行すればやがて更正にいたるであろうことが客観的にみてほぼほぼ確定した段階で、更正を予知しているといえます。

調査通知とは、納税義務者に対して、関税についての調査を行う旨や調査対象期間などが知らされることです。税関による調査予告のようなイメージです。

混乱しやすい無申告加算税と併せて簡単にまとめてみます。

大きく3段階に分かれます。3段階目が基本税率です。

段階 過少申告加算税税率/無申告加算税税率
当初納税申告~調査通知前 非課税0% / 5%
調査通知後~更正予知 5% / 10%
更正予知~調査終了 10% / 15%

つまり、調査通知「前」までにされた修正申告の場合は過少申告加算税が課されません。かつては「更正予知前」までであればセーフでしたが、調査通知直後に修正申告をして加算税を逃れるケースがあったために、平成28年度税制改正により当初申告の精度を高めるため上記のように見直されました。

覚え方は、“5%差”です。

各段階で5%差、過少申告加算税と無申告加算税との間も5%差。万一ド忘れしても思い出しやすいと思います!

ちなみに当初申告の誤りに「正当な理由」がある場合、課される過少申告加算税は控除すなわち少なくなります。正当な理由がある場合とは納税者の責めに帰すことができない、つまり、納税者のせいではない客観的な事情があり、過少申告加算税を課すことが不当、酷であるケースをいいます。

たとえば、法律の解釈に関し、申告書提出後新たに法令解釈が明らかになったため、納税者の解釈と違いが出てしまった場合は、その納税者の解釈について相当の理由があると認められるケースです。

申告水準を上げよ!“加重”される過少申告加算税とは?

通関実務科目において過少申告加算税の計算問題を解くときに、つい忘れがち、でも決して忘れてはいけないもの。それが、「加重」される過少申告加算税です。加算税の問題をみつけたら、条件反射的に「加重5%は?」という思考にしておくといいと思います。

加重される過少申告加算税とは、

過少申告加算税が課される場合に
修正申告や更正により納付すべき税額、
あるいは2回目以降の修正申告や再更正されたときの累積増差税額 が、

「当初申告税額」と「50万円」との「いずれか多い金額」を超えるとき、その超える部分に5%を乗じた金額が加重分として、通常の過少申告加算税に加えて加算されます。

つまり、ほんの少しだけ申告漏れの場合と、ほとんどが申告漏れの場合とで、加算税に実質負担の差をつけることで、納税者に大きな申告漏れにならないよう促し、申告水準を上げようとしているのです。

過少申告加算税と加重分を合わせてまとめるとこのようになります。

【通常分】増差税額(1万円未満端数切捨て)x10% =過少申告加算税の額

つまり、増差税額が1万円未満の場合、加算税は課されません。

【加重分】増差税額(端数切捨て前)― 当初申告額vs 50万円 多いほう = 加重分の課税対象

加重分の課税対象(1万円未満端数切捨て) x 5% = 加重された加算税の額

したがって、

【通常分】 + 【加重分】=新たに納付すべき加算税の額(100円未満端数切捨て)

また加算税が5000円未満の場合、過少申告加算税は徴収されません。

◇ポイント

手順① 修正申告・更正ごとに「新たに納付すべき税額」をチェックする。

「関税額〇〇円に修正申告した」との問題文にして、納付すべき税額を自分で引き算するひと手間があるかもしれませんので、一応確認しておきましょう。

手順② 1万円未満端数切捨てのうえ、税率をかける。

手順③ 加重がかかるか?チェック。加重分を計算する。

手順④ 過少申告加算税と加重分を合算する。

確認① 何を求める問題か?今一度設問をチェック。過少申告加算税だけ?

確認② 端数処理のタイミング

  • 加算税率を掛けるときは、1万円未満端数切捨て
  • 【通常分】 + 【加重分】の過少申告加算税は100円未満端数切捨て

無申告加算税についても税率が異なるだけで計算方法の考え方は同じです。無申告加算税は無申告なので当然当初申告は0円です。必然的に50万円が多いほうになり、基準額になります。

つまり、新たに納付すべき金額が”50万円”以上であれば加重分が課されることになります。

実際に計算してみます。

過少申告加算税の計算例① 

シンプルな計算パターンです。

当初申告税額120万円

更正:本来は300万円納税でした⇒納付すべき増差税額 180万円

【通常分】180万円×10%=18万円

【加重分】新たに納付すべき180万円は、

「当初税額120万円」vs「50万円」の多い方、120万円を超える分、差額60万円×5%=3万円 が、加重分として課されます。

合計21万円の過少申告加算税が課されます。

過少申告加算税の計算例②

2回の修正申告があり、1回目では加重分なし、2回目では加重分ありの計算パターンです。

当初申告税額40万円

1回目の修正申告:本来は50万円納税でした⇒納付すべき増差税額 10万円

2回目の修正申告:本来は100万円納税でした⇒納付すべき増差税額 50万円

  • 1回目の修正申告

    このたび納付すべき10万円は、「当初税額40万円」vs「50万円」の多い方、50万円を超える分はないので、通常の過少申告加算税のみで、加重分は課されません。

    1回目の修正申告でかかる過少申告加算税は、10万円×10%=1万円です。

  • 2回目の修正申告

    【通常分】50万円×10%=5万円

    【加重分】累積増差税額10万+50万=60万円 は、「当初税額40万円」vs「50万円」の多い方、50万円を超える分、差額10万円×5%=5,000円

    2回目の修正申告では55,000円の過少申告加算税が課されます。

過少申告加算税の計算例③

2回ある修正申告のいずれにおいても加重分が課される、かつ端数処理が必要なパターンです。

当初申告税額496,600円

1回目の修正申告:本来は1396,500円納税でした⇒納付すべき増差税額 899,900円

2回目の修正申告:本来は1,899,900円納税でした⇒納付すべき増差税額 503,400円

  • 1回目の修正申告

    【通常分】89万円(1万円未満端数切捨て)×10%=8.9万円

    【加重分】増差税額899,900円 は、当初税額496,600円(端数切捨て前)vs 50万円 多いほう、50万円を超える分、差額399,900円

    39万円(1万円未満端数切捨て)×5%=1.95万円

    【通常分】+【加重分】= 8.9万円+1.95万円=10.85万円

    したがって、1回目の修正申告では、108,500円(100円未満端数切捨て)の過少申告加算税が課されます。

  • 2回目の修正申告

    【通常分】50万円(1万円未満端数切捨て)×10%=5万円

    【加重分】1回目の修正申告時にすでに加重分の課されない50万円(基準額)の枠を使い果たしているので、2回目の修正申告で納付すべき税額503,400円すべてに対して5%の加重分が課されます。つまり、二重課税が回避されるようになっています。

    50万円(1万円未満端数切捨て)× 5% = 2.5万円

    【通常分】+【加重分】=5万円+2.5万円=7.5万円

    したがって、2回目の修正申告では、75,000円(100円未満端数切捨て)の過少申告加算税が課されます。

参考 重加算税

過少申告加算税は附帯税のうちのひとつです。附帯税は過少申告加算税の他、無申告加算税、延滞税、重加算税があります。

重加算税とは、過少申告加算税・無申告加算税が課される場合に、計算の基礎となる事実を隠蔽又は仮装した悪質なケースで課される加算税です。

「隠蔽・仮装」には、二重帳簿の作成、架空仕入や架空経費の計上、他人名義の使用、虚偽答弁などが挙げられます。

「隠蔽・仮装」といった悪質なケースだからでしょう。下のようにとても高い税率が課されます。

  • 過少申告加算税に代えて課される重加算税⇒35%
  • 無申告加算税に代えて課される重加算税⇒40%

なお過去5年以内に無申告加算税などが課されたことがある場合はさらに10%加算されます。

加算税に代えて課される重加算税は、「代えて」と表記されている通り、重加算税が課される部分については、通常の過少申告加算税や無申告加算税が同時に課されることはありません。重加算税のみがかかります。また重加算税に加重分5%加算はありません。

まとめ

通関士試験の通関実務は出題内容によって出来が左右されやすい不安定な科目です。ただし、受験者の出来、その年の難易度によって合格ラインが引き下げられることもありますので、あきらめずに取り組んでいただきたいです。

一生懸命学習した自分が分からない問題はきっと他の人も分からないと思えるマインドを持ち、他の受験者ができる問題をいかに取りこぼさないようにするかが通関士試験の合否の分ける重要なポイントだと思います。

そのなかでも計算問題は仕組みさえ理解しておけば確実に点数を稼げるところです。ぜひ過少申告加算税を習得して試験に臨みましょう。

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