通関士試験の試験内容は?試験日とともに解説

更新日:2023年9月8日

試験を受ける人たち

通関士試験の詳細を正確に知りたいと考えていませんか。通関士を目指す場合は、まず試験内容や日程を知る必要があります。

以上を踏まえれば本番までの時間や、それまでにすべきことを正しく認識でき、試験までの適切な準備につなげられます。今回は通関士試験に興味がある方のため、試験内容や日程などの情報を解説します。

こちらを読めば試験の詳細がわかり、適切な準備ができるでしょう。

目次

通関士試験の内容とは

まずは通関士試験の内容をチェックしてください。試験は毎年10月で、3科目にわたって行われます。また科目ごとに試験時間が違う点にも注意しましょう。試験の概要について、以下で解説します。

試験科目は3教科

通関士試験では通関業法、関税法等、通関実務の3教科を行います。いずれも通関士としての専門知識が必要です。出題内容は通関に関する法律や、計算式、申告書作成など多岐にわたります。正しい知識を備えるだけでなく、問題の形式に応じた素早い対応が大切です。

通関士試験は基本的にマークシートで答えます。ただし、正解にあたる選択肢がなかったり、語群から正解を選ばなければならなかったりする点に注意してください。以上を踏まえつつ、正解を素早く見分ける練習をしましょう。通関士試験は3つの科目に分かれており、さまざまな解答方法が用意されています。問題の形式に応じて、素早く答え続けることが大切です。

 

試験日程

試験は10月の第1または第2日曜日が通例です。受験申込の時期や合格発表と合わせて、日程をチェックしましょう。たとえば2023年の場合、受験申込から合格発表までは以下の日程です。

受験申込受付 7月24日
受験申込締切 8月7日
試験実施 10月1日
合格発表 11月7日(税関ホームページ)
11月24日(官報)

申込は本番まで約2カ月の段階で行われます。締切までに出願が間に合わないと、受験できない点に注意しましょう。一方で合格発表は、試験本番から約1カ月後です。

通関士試験の正確な日程は、年により違います。ただし本番が毎年10月上旬であるように、大まかな日程は変わりません。

試験時間

通関士の試験時間は科目ごとに異なります。以下の表で見ていきましょう。

試験科目 時間
通関業法 50分
関税法等 100分
通関実務 100分

通関業法が50分と短めですが、関税法等と通関実務は100分もあります。通関業法と関税法等は、限られた時間でマークシートの解答欄を埋めなければなりません。タイムロスを少なくするため、スムーズに答えていきましょう。

実施地域

通関士試験は2023年時点で、以下の13カ所です。

  • 北海道
  • 新潟県
  • 宮城県
  • 東京都
  • 神奈川県
  • 静岡県
  • 愛知県
  • 大阪府
  • 兵庫県
  • 広島県
  • 福岡県
  • 熊本県
  • 沖縄県

試験地が限られているので、在住地によっては遠征になります。そのため本番当日だけでなく、前日も含めた移動のスケジュールを考えてください。

たとえば東京都在住なら、そのまま東京都で受験できることがあります。一方で京都府在住の場合、そこでは通関士試験が行われません。この場合は大阪府か兵庫県へ移動することになるでしょう。自宅から試験地までのルートを調べておき、試験に遅刻しないように自宅を出るタイミングを決めてください。

通関士試験の試験地は13カ所しかないため、自宅から移動する方法やタイミングを慎重に検討しましょう。

通関士試験の受験について

通関士試験の受験に関する詳細を解説します。まずは試験公告が出るタイミングと内容を確かめてください。そこから受験資格、受験料、申込の期間などを見ていきましょう。受験に関する情報を、以下でまとめました。

まずは試験公告を確かめよう

試験公告は、6月下旬の発表が通例です。2023年では6月30日に試験公告が出ています。そこでは試験の概要や日程、申込の方法などが紹介されています。受験に関する大事な情報が揃っているので、間違えないように確かめてください。

また試験公告の後半では、よくある質問への答えがあります。通関士の仕事内容、合格後に通関士として働ける条件、受験の方法や手続きなど多岐にわたるのが特徴です。受験に関してわからないことがあれば、こうしたQ&Aを参考にすれば解決できるでしょう。

通関士に限らず、資格試験は本番が近づくと公告が出ます。ここで大まかな内容を知っておき、本番やその直前のスケジュールを決めてください。

受験資格

通関士試験では受験資格を問われないので、誰でも受験できます。学歴や年齢、国籍などを問わずにチャレンジできるのがポイントです。通関士になりたいと思い立ったら、無条件で受験できます。自信があると思うだけで、毎年10月に挑めるのです。

受験資格を問われないことで、門戸の広さがうかがえます。資格によっては最終学歴や国籍などで制限を設けており、主催者が決めた条件を満たさない限り受験できません。しかし通関士試験には、学歴や国籍などに関する条件が一切ないので、経歴を気にしなくて大丈夫です。資格を目指したいと思えば、すぐに勉強に取りかかり、本番へ挑みましょう。

受験料

通関士試験の受験料は応募方法によって違います。基本的には3000円かかりますが、NACCSを使って応募した場合は2900円です。100円の違いでも、条件次第で受験手数料が安くなる以上、お得に感じる人もいます。ただしNACCSは通関業務用のシステムなので、一般の方には使いにくいでしょう。受験料もNACCSの使用の有無で大きく変わらないため、通常の願書提出でもそれほど問題はありません。

通関士試験の受験料はただ払うだけではなく、その証明も必要です。通常の申請の場合、支払額分の収入印紙を、願書の所定欄に貼りましょう。またNACCSを使う場合は、電子納付になります。受験料の支払いに関する手続きが独特なので、公告を確かめながら準備してください。

通関士試験では原則3000円の受験料がかかりますが、条件次第では2900円で受けられます。手続きの方法に応じて、納付の仕方まで確かめながら用意しましょう。

受験申込の受付期間

通関士試験は7月下旬から8月上旬まで申し込めるのが通例です。ただし年によって、開始から締切までの詳細な日付が異なります。そのため詳しい日付は、通関士の試験公告を確かめましょう。申し込める期間を調べておき、その期間内で手続きを済ませるのです。

たとえば2023年の通関士試験では、7月24日に申込の受付が始まり、8月7日に締め切られます。スケジュールに余裕を持たせるため、なるべく申込開始に近い日に送ってください。申請に必要な書類は、試験公告が出た日から申込受付の開始日までに揃えるのがおすすめです。

通関士試験の申込は、本番まで2カ月程度が原則です。受付開始と締切の正確な日程は、試験公告をチェックしてください。

通関士試験の申込方法は2種類

通関士試験には2種類の申込方法があります。通常の願書提出に加え、NACCSによる申請も可能です。通常の願書提出は、多くの資格で取り入れられています。専門の願書を取り寄せ、受験票をはじめとした必要書類を準備しましょう。以上によって、通関士試験の願書を提出できます。

NACCSはオンラインシステムの一種で、税関や行政機関への手続きを処理します。通関士試験では、これを使って受験申込もできるのです。ただし業務用のシステムなので、通関業務を扱う企業以外はあまり使いません。そのため一般の方は、通常の願書提出が推奨されます。

通関士試験には2通りの申込方法がありますが、通関業務に関わっていない場合は通常の願書提出がおすすめです。

通関士試験の書面による出願の方法

通関士試験では、専用の書面を使った出願ができます。必要書類を揃えたうえで、正しい手順で申し込んでください。その詳細を以下で解説します。

出願書類を揃える

ますは出願書類を揃えてください。原則として受験願書と受験票が必要です。受験願書には必要事項を書かなければいけません。とくに氏名や生年月日は、合格証書に使われる関係上、戸籍のような公的書類と同じものにしてください。また受験料の証明として、3000円分の収入印紙を願書の所定欄に貼りましょう。

受験票にも必要事項を記入しなければなりません。郵送で出願する場合は、原則63円分の切手が必要です。受験票に貼る写真は無背景かつ脱帽していて、正面を向いた上半身の姿を撮らなければなりません。縦4cm、横3cmで、裏面に氏名を書きましょう。以上の条件を満たした写真を、願書提出の1年前以内に撮ってください。また試験科目の一部免除を希望する場合は、原則として専用の申請書が必要です。

通関士試験では受験願書と受験票を提出しなければなりません。試験科目の一部免除を望むなら、それに見合った申請も必要です。

申し込み方法

受験願書と受験票は、試験実施地にある通関業監督官に請求してください。郵送で請求する場合は、封筒に「通関士試験」と赤い字で書きましょう。それから返信用封筒に140円切手を貼ったうえで同封し、通関業監督官に送ってください。

受験願書と受験票が届いたら、それぞれに必要事項を書いてください。ここでも封筒には「通関士試験」と赤い文字で記しましょう。受験票への写真のように、添付物も忘れないでください。ちなみに郵送の場合は消印有効です。

試験科目の一部免除を希望する場合は、免除可能な科目を最初に確かめてください。科目によって、実務経験に関する免除の条件が異なります。条件を満たす科目があれば、免除申請書に実務経験の証明書を添え、受験願書とともに出しましょう。

一方で以前の通関士試験で免除通知書をもらっている場合は、こちらを提出すれば引き続き一部科目の試験免除を受けられます。以上から受験願書と受験票は、試験公告が出たら早めに請求しましょう。自宅に届いたら必要事項を記入し、適切な準備を整えたうえで通関業監督官に提出してください。このとき試験科目の一部免除が可能なら、免除申請書も添えましょう。

NACCSによる出願の方法

通関士試験は、NACCSを使った出願も可能です。出願書類を揃えて、適切な方法で申し込んでください。出願方法について以下で解説します。

出願書類を揃える

出願書類のうち受験願書は、NACCSで出せるので、請求する必要はありません。ただし受験票はNACCSで出せないので、通常の願書提出と同様に事前請求をしましょう。自宅へ届いたら必要事項を記入し、写真を添えてください。以上から受験願書はデジタルでの手続きになりますが、受験票は紙媒体として通関業監督官に送らなければなりません。

試験科目の一部免除通知書のコピーも、基本的には通常の願書提出と同じです。ただし出願時の前回までに免除通知書の交付を受けている場合は、NACCSを使って提出できます。

通関士試験ではNACCSを使って、受験願書を提出できるしくみです。ただし受験票は届出か郵送での提出になるので、忘れないようにしましょう。免除通知書のコピーは条件次第で提出方法が違う点に注意してください。

申し込み方法

受験願書はNACCSを使うので、パソコンがあれば必要事項を満たして提出できるでしょう。ただし受験票はNACCSに対応していないので、試験公告が出たら早めに請求してください。

請求どおりに自宅へ届いたら必要事項を記入し、写真に加えて郵送の場合は切手を貼るなど添付物を忘れないようにしましょう。受験票を郵送するなら、封筒に「通関士試験」という赤い字を書きましょう。この場合も消印有効です。受験願書をNACCSで提出した場合、受験料の納付情報を受け取ったら2,900円を電子納付してください。

試験科目の免除申請は、免除につながる証明書のコピーを電子ファイルとして添付すれば、NACCSで提出できます。ただし以前の試験で免除通知書をもらっていない場合は、通常の願書提出と同じく免除申請が必要です。以上でNACCSを通した出願手続きが完了します。

通関士の試験内容

通関士には3つの試験科目があります。合格基準は各科目6割程度の正解が目安なので、バランスよく点数を取らなければいけません。試験内容について、以下で2つのポイントから解説します。

試験科目

通関士の試験科目は以下の3科目なので、出題数や配点、試験時間とともに以下を確かめてください。

試験科目 試験形式/出題数(配点) 試験時間
通関業法 択一式/10問(10点)
選択式/10問(35点)
50分
関税法等 択一式/15問(15点)
選択式/15問(45点)
100分
通関実務 択一式/5問(5点)
選択式/5問(10点)
計算式/5問(10点)
申告書/2問(20点)
100分

配点の合計は通関業法が45点、関税法等が60点、通関実務が45点です。もっとも形式が複雑な通関実務には注意してください。とくに難解とされる申告書は20点ですが、実はほかの3形式の合計の方が25点と高めです。申告書だけでなく、あらゆる形式への対応力が欠かせません。通関士試験には3つの試験科目がありますが、いずれも複数の形式があります。

合格基準

合格基準は絶対評価で、各科目6割程度が目安になります。科目ごとの基準点の相場を見ていきましょう。

試験科目 合計配点 基準点相場
通関業法 45点 27点
関税法等 60点 36点
通関実務 45点 27点

以上から基準点相場を超える得点なら、合格の可能性が上がるでしょう。

ただし合格基準は年によって違います。たとえば関税法等の場合、合格点は36点の年があれば、34点や38点になる年も考えられます。以上から基準点を目標にしすぎると、実際の点数が足らないこともあるのです。余裕を見て7~8割程度の正解を目指しましょう。

このように通関士試験の合格点は一定ではありません。各科目6割が相場ですが、確実に資格を得るには、それぞれ7~8割程度の点数を目指しましょう。

試験科目の一部免除について

通関士試験では試験科目の一部免除があります。科目によって条件が違い、提出方法も決まっています。免除が決まれば通知書が届くしくみです。免除の要件について、以下で解説します。

免除される条件と免除科目

試験科目によって免除を受けられる条件は、以下のとおりです。

免除科目 条件
関税法等、通関実務 通関業務か官庁での関税や通関関連事務を通算15年以上経験
関税法等 通関業務か官庁での関税や通関関連事務を通算5年以上経験

このように特定の実務経験によって、一部試験科目の免除を受けられます。

以上から通関士の業界では、実務経験が重視された印象です。通関や関税に関わる業務を長くしていれば、自然と専門知識が備わっていきます。関税法への熟知や、申告書の作成方法をある程度心得ている方もいます。このような背景から、通関士では一部試験科目の免除が設けられているのでしょう。

通関士試験では、実務経験によって試験科目の免除を受ける方がいます。関税や通関の業界で働いている方にとっては、アドバンテージになるでしょう。

免除申請に必要な書類と提出方法

免除申請では原則として、試験科目の一部免除申請書が必要です。そこに特定団体や官庁による証明書を添え、受験願書とセットで提出してください。さらに返信用封筒も所要切手とあて先を添えたうえで出しましょう。

一方で以前に通関士試験を受けたことがあり、試験科目の一部免除通知書をもらったことがあれば、それを提出すれば免除を受けられます。

NACCSで出願している場合も、基本的に免除申請に関する手続きは通常の願書提出と変わりません。ただし一部免除通知書のコピーがある場合、それを電子ファイルとして添付してください。これをNACCSを通して提出すれば、一部科目の試験免除を受けられます。以前に試験免除を受けたことがある場合、願書の出し方によって免除申請の方法が異なるのです。

免除決定なら通知書が届く

試験科目の免除申請をすれば、審査を受けます。免除を認められれば、受験票とともに免除通知書が届くしくみです。この書類には有効期限がないので、不合格になったあとで受け直すときも、申請に使えます。ただし免除を認められない場合は、免除申請却下通知書を受け取ることになります。以上のしくみは、NACCSを使って願書を出した場合も変わりません。

免除通知書を受け取るために、一部科目の試験免除の条件を確かめ、不備のないように手続きを済ませてください。

通関士試験の合格発表

通関士試験は公式サイトと官報の2カ所で合格発表をします。それぞれを詳しく見ていきましょう。

公式サイトへの掲載

通関士試験は、11月上旬に合格者の受験番号を税関の公式サイトに載せます。2023年は11月8日に合格発表の予定です。この日になったら、自身の受験番号を探しましょう。

税関の公式サイトでは、通関士試験に関する情報を逐一掲載しています。そのためアクセスすれば、合格者の受験番号を確かめられるしくみです。パソコンやスマートフォンを使って、手軽に試験結果を見られます。

官報への掲載

通関士試験は11月下旬になると、官報にも合格者の受験番号が掲載されます。2023年は11月24日に掲載予定です。官報は全国の官報販売所で売られているほか、国立印刷局の公式サイトでは、直近30日分の官報が載せられます。一方で合格証書の発送は、官報に合格者番号が公開された日から始まる形です。

しかし現代社会はインターネットの使用機会に恵まれているため、多くの方がすでに公式サイトで合格者番号を確かめているでしょう。

試験日から逆算して勉強計画を立てよう

通関士試験に限らず、資格試験の勉強では試験日からの逆算を行い、適切な計画を立てましょう。そこでおすすめなのが、フォーサイトのeラーニング「ManaBun」のスケジュール機能です。学習方法を自動で決めてもらえます。

スケジュール機能に対して、自分のライフスタイルに関する情報を入れてください。そうすれば学習可能時間を割り出し、最適な計画を作ってもらえるのです。自分で学習計画を決めるのは、時間がかかるでしょう。しかしManaBunのスケジュール機能を使えば、短時間で適切な学習方法がわかるので、それを実践すればよいのです。

まとめ

通関士試験は毎年10月上旬に開催され、11月に合格発表があります。出願は7月下旬から8月上旬が通例なので、試験公告を確かめながら、日程どおりに手続きを済ませてください。書面による出願が一般的ですが、NACCSも利用できます。

試験科目は通関業法、関税法等、通関実務の3つで、最後の通関実務には申告書作成のような難しいポイントもあります。加えて試験時間が100分あるので、集中力が欠かせません。以上を踏まえ、通関士試験の日程を確かめつつ、適切な準備を整えてください。

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