国債とは?|わかりやすくFP解説
更新日:2020年1月21日
国債とは
日本国政府が発行する国債には、中期~超長期の利付国債、割引短期国債、物価連動国債など様々な種類があります。これらのうち、個人が保有できるものには、以下のものがあります。
固定金利型とは
種類 | 償還期限 | 購入単位 |
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個人向け国債 | 3年、5年 | 額面1万円 |
中期国債 | 2年、5年 | 額面5万円 |
長期国債 | 10年 | 額面5万円 |
超長期国債 | 20年、30年、40年 | 額面5万円 |
変動金利型とは
種類 | 償還期限 | 購入単位 |
---|---|---|
個人向け国債 | 10年 | 額面1万円 |
変動利付国債 | 15年 | 額面10万円 |
新窓販国債とは
長期国債と中期国債については、平成19年10月より「新型窓口販売方式」による販売が始まりました。この方式によって販売される国債(期間2年・5年・10年の利付国債)を「新窓販国債」と呼んでいます。
新窓口販売方式について
金融機関における利付国債の販売方式には、二通りの方式があります。ひとつは、各金融機関が入札や市場で調達した国債に独自の価格を設定して販売する方式で、もうひとつは、財務省の定めた価格によって販売する一種の委託販売方式です。
後者は、郵政民営化前の郵便局においてのみ行われていた方式ですが、平成19年10月からは、これを郵便局以外の金融機関に拡大するとともに、募集期間(販売期間)が大幅に伸長されました。この方式を「新型窓口販売方式」といいます。
個人向け国債とは
個人向け国債は、販売対象を個人のみに限定して、一般の国債より購入単位を低くし、一定期間が経過すれば請求に応じて国が買い取る中途換金制度を設けた国債です。
固定金利型と変動金利型の2つのタイプがあり、平成22年7月から、固定金利型に期間3年のものが加わりました。概要は次の通りです。
購入対象者 | 個人のみ |
---|---|
購入単位 | 最低1万円から1万円単位 |
募集価格 | 額面金額100円につき100円 |
償還金額 | 額面金額100円につき100円 |
金利の下限(最低保証) | 0.05% |
利払い | 年2回(半年ごと) |
中途換金 | 発行後1年経過すればいつでも換金可能 |
中途換金調整額 | 直前2回分の各利子(税引前)相当額×0.79685 |
税金 | 申告不要制度も選択可能 |
発行予定 | 毎月 |
取り扱い機関 | 証券会社、銀行等 |
その他 | 「社債等の振替に関する法律」に基づいて発行されるペーパーレスの債券で、証券は発行されない |
国債・固定3年とは
償還期限が3年で、固定金利、基準金利(期間3年の固定利付国債の想定利回り)-0.03%が金利の商品です。
国債・固定5年とは
償還期限が5年で、固定金利、基準金利(期間5年の固定利付国債の想定利回り)-0.05%が金利の商品です。
国債・変動10年とは
償還期限が10年で、変動金利、基準金利(10年固定長期国債の平均落札利回り)×0.66%が金利の商品です。
中途換金とは
換金(国が買い取る)金額は、以下の算式で計算されます。
額面金額+経過利子相当額-中途換金調整額 |
源泉徴収とは
国債の利子は、受取時に20.315%(復興特別所得税を含みます)の税金が差し引かれます。
債券投資と税金とは
債券投資で得た利益には税金が課されます。利益には様々な種類があり、それぞれ異なった課税関係となりますので、以下で詳細を解説します。
利付債の税金とは
利付債の利子・償還差益・売却益の課税は、20%(別途復興特別所得税0.315%)の申告分離課税となります。マル優・特別マル優の利用も可能です。
平成28年1月以降法改正により、下記が変更となりました。
- 利子、償還損益、売却損益は申告分離課税になりました。
- 上場株式等との損益通算が可能になります。
- 特定口座の利用が可能になります。
- 特定口座の利用が可能になります。
割引債の税金とは
割引債の償還差益・売買益の課税は、20%(別途復興特別所得税0.315%)の申告分離課税となります。
平成28年1月1日以降に行う割引債の償還により支払いを受ける金銭の額については、上場(一般)株式等に係る譲渡所得等の収入金額とみなして、20%(所得税15%、住民税5%:別途復興特別所得税)が課税の税率による申告分離課税の対象とされました。
なお、平成27年12月31日以前に発行された割引債でその償還差益が発行時に源泉徴収の対象とされたものについては、償還差益に係る18%源泉分離課税が維持されます。
国債に関するよくある質問
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『固定期間が長期のものほど、固定期間が短期のものと比較すると、当初に適用される金利水準は高くなる傾向がある。住宅ローンの適用金利は、適用期間が短いほど低くなり、適用期間が長いほど高くなる傾向がある。』
とあるが、なぜ適用期間が長いほど金利が高くなるのですか。これは返済方法によっても何か関係があるのでしょうか。
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住宅ローンの変動金利は日銀が決定する短期金利、固定金利は市場で売買される10年物の国債の価格で決定される金利によって決定されています。
そして、固定金利が変動金利よりも高い理由は、金利変動リスクを避けるためのコストが上乗せされていると考えます。
おおまかに解説するならば、長期に資金を貸し出す場合、その長い期間分、金融機関は金利変動のリスクを負わなければならないので、そのリスクを顧客に転嫁するために金利が高く設定されています。
例えば、返済期間30年の住宅ローンの場合、資金を貸し出す時点での10年物の国債の金利を参考に金利を設定しますが、その時点での国債の金利が30年間同じであるはずがありません。当然、30年の間に変動します。したがって、その変動するリスクを顧客に負担してもらうために、高い金利が適用されています。
固定期間選択型の金利は、固定期間の長さが固定金利になりますから、考え方は同じです。また、返済方法の図にある利息と金利は同じではありません。
金利は、借入額に応じて年間に支払う利息の割合(%)です。利息は、返済額に金利を適用した場合の年間に支払う金額のことです。
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額面の意味がわかりません。額面金額(100)、とは、どの債券でも額面金額は100円になるということですか?
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額面金額は、債券や手形など有価証券の券面上に記載されている金額のことをいいます。債券の場合、券面上に記載されている5万円、10万円、100万円といった金額のことをいい、これらは「額面×申込み単位」で算出された金額で、発行・売買、償還する際の取引単位でもあります。
ちなみに、額面とは、有価証券に記載されている金額のことをいい、日本の債券の場合、額面を100円として発行されます。一般的に額面金額は、債券の種類によって異なり、また同じ債券でもいくつか異なった額面金額のものが発行されることもあります。
例えば、利付国債のほとんどは5万円、個人向け国債は1万円、という具合です。試験では、額面100円として出題されます。
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割引債の償還差益は発行時に源泉徴収されるのですか?それとも、割引債の償還差益は、雑所得として所得税が課税されるのですか?
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割引国債、割引金融債等の割引債の償還差益(償還金額と発行価額との差額)については、個人の場合、発行時に18%(特定のものは16%)の税率で源泉分離課税されて課税関係が完了します(住民税は非課税)。
なお、ゼロクーポン債の償還差益は雑所得となります。
金山浩晃(かなやま ひろあき)
合格の先をイメージして!
【出身】埼玉県
【趣味】NFL(アメフト)観戦、カフェ巡り
【座右の銘】雲外蒼天