損害保険の満期返戻金・解約返戻金等と税金とは?|わかりやすくFP解説
更新日:2020年1月17日
損害保険の満期返戻金・解約返戻金と税金とは
損害保険の満期返戻金や解約返戻金は、一時所得や雑所得として処理をしていきますが、契約者が個人であるか個人事業主であるか、法人であるかで処理が異なります。
契約者ごとに処理の方法を見ていきましょう。
個人契約の場合
一時所得
契約者が受取人の場合、支払保険料との差額(差益)が、一時所得として所得税・住民税の課税対象になります。この場合の契約者とは、保険料負担者を指します。
なお、一時所得の金額は、総合課税として他の所得と合算するときはその2分の1の金額を合算します。
源泉分離課税
下記の3つの要件を満たす契約に限り、20%の源泉分離課税の対象となります。
- 保険料の払い込みが一時払いのもの
- 保険期間が5年以内(5年以内に解約されたものをふくみます)のもの
- 補償倍率(満期返戻金に対する保険金額の倍率)が5倍未満のもの
源泉分離課税の場合の源泉徴収税額={(満期返戻金+配当金)-(払込保険料の総額)}×20%となります。
雑所得
年金払積立傷害保険の給付金は、雑所得の扱いになり、他の所得と合算して課税されます。これは、個人年金と同じ扱いです。
解約返戻金に係る税務とは
解約返戻金は満期返戻金と同じ処理となります。ただし、受取額が払込保険料より少ない場合、個人・個人事業主は差損が生じるため課税されません。一時所得の扱いとなるときで他の一時所得があるときは内部通算をします。
法人の場合は、雑損失となります。
個人事業主が契約者の場合
一時所得
積立保険の満期返戻金および契約者配当金は、一時所得の扱いになります。
他の所得と合算して個人事業主の所得税・住民税の課税対象となります。ただし、積立保険料以外の保険料をすでに必要経費に算入しているときは、一時所得の計算上、積立保険料しか差し引くことはできません。
法人契約の場合
課税対象額
積立保険の満期返戻金および契約者配当金は益金に参入し、資産計上していた積立保険料を損金算入します。その差額が雑収入となります。
課税対象額={(満期保険金+配当金)-(積立保険料の総額)}となります。
損害保険の満期返戻金・解約返戻金等と税金に関するよくある質問
-
火災保険を個人で契約している場合、保険金には所得税はかかりますか?
-
個人契約の火災保険の場合、所得税はかかりません。なお、住民税に関しても所得税と同様に課税対象とはなりません。
-
個人事業主が被保険者として契約した傷害保険の保険料は、所得税のうちの何の所得として計上するのですか?
-
個人事業主が被保険者である傷害保険の保険料は、事業所得の計算上、必要経費とはなりません。したがって、計上することはできません。
-
個人事業主が契約をした積立保険の満期返戻金は、どのように処理するのですか?
-
個人事業主が契約をした積立保険の満期返戻金は、一時所得として経理処理をします。事業所得ではないことに注意が必要です。
金山浩晃(かなやま ひろあき)
合格の先をイメージして!
【出身】埼玉県
【趣味】NFL(アメフト)観戦、カフェ巡り
【座右の銘】雲外蒼天