少額投資非課税制度(NISA[ニーサ])とは?|わかりやすくFP解説

更新日:2023年12月4日

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NISAとは

「少額投資非課税制度」のことで、イギリスのISA(Individual Saving Account:個人貯蓄口座)を参考とした日本版ISAとして、NISA(ニーサ/Nippon Individual Saving Account)と呼ばれています。

上場株式や公募株式投資信託等の譲渡益や配当について、2014年1月から軽減税率が廃止され、一律20%(所得税15%、住民税5%、別途復興特別所得税0.315%)の本則税率に戻りました。

これに伴い新しく導入されたのがNISAで、NISA口座内で毎年一定金額の範囲内で購入した、特定の金融商品から得られる利益は非課税になるというメリットがあります。

NISAの概要(2023年までの制度)

NISAには、一般NISA、つみたてNISA、ジュニアNISAの3種類があります。

<2023年までのNISA>

NISA(20歳以上) ジュニアNISA
(20歳未満)※1
一般NISA つみたてNISA
制度開始 2014年1月から 2018年1月から 2016年4月から
非課税保有期間 5年間 20年間 5年間
年間非課税枠 120万円※2 40万円 80万円
投資可能商品 上場株式・投資信託等 一定の要件を備えた投資信託等 一般NISAと同じ
買付方法 通常の買付・積立投資 積立投資のみ 一般NISAと同じ
払出し制限 なし なし あり(18歳まで)
備考 一般とつみたてNISAは年単位で選択制
2023年1月以降は18歳以上が利用可能
2023年末で終了

※1 成人年齢の引き下げに伴い、2023年は0歳~17歳が利用可
※2 2016年より100万円から120万円へ増額

<NISA口座で非課税になる利益>

例:つみたてNISAを利用した場合
※想定利回り5%で40万円(年間非課税枠)を運用した場合

グラフ

新NISAの概要(2024年からの制度)

2023年度税制改正大綱では、NISA制度の拡充が記載され、中長期的な個人の資産形成上さらに重要となる仕組みへと変わることになりました。

3種のNISAを一本化へ

2023年まで利用できるNISAの種類は、一般NISA、つみたてNISA、ジュニアNISAです。このうち、ジュニアNISAについては2023年末で終了します。

これまでのNISA制度では、1月1日時点で18歳以上の者の場合、一般NISAもしくはつみたてNISAのいずれかを選択しなければなりませんでした。また、一般NISAに関しては年間120万円(最長5年の非課税期間を利用した場合で累計600万円)、つみたてNISAに関しては年間40万円(最長20年の非課税期間を利用した場合で累計800万円)という投資枠の上限があり、さらに投資したい人、資産形成をはかりたい人にとっては物足りないものとなっていた側面がありました。

そこで、NISA制度を一本化し、投資枠の拡充をはかることで、さらに使いやすいものへと改正が行われることになりました。

新NISA制度の改正点

2024年から大きく改正されるポイントは4つあります。

1つめは、つみたてNISAと一般NISAが一本化され、投資信託による積立部分と上場株式等売買部分の2つに年間投資枠が設けられます。これにより、長期の資産形成を目的とした積立投資枠が年間120万円、大きな資産形成を目的とした上場株式等の成長投資枠については年間240万円が上限となります。

合算して年間360万円まで非課税投資が可能になりますので、一般NISAの3倍というまとまった資金を投資できるようになります。

2つめは、投資可能期間が恒久化されることです。2023年までのNISA制度では、一般NISAが2028年まで、つみたてNISAが2042年までと非課税で投資できる期限が限られていました。

そのため、若年世代では短い期間しか非課税の恩恵を受けられない恐れがありました。ですが、今回の改正により投資可能期間が恒久化されることで、今後資産形成を行いたい若年世代も期間を気にせずに資産形成を図ることができるようになります。

3つめは、非課税保有期間が無期限化されることです。2023年までの一般NISAでは非課税保有期間が5年、つみたてNISAでは20年でしたが、こうした期間も気にする必要がなくなります。

いつまででも運用益非課税の恩恵が受けられるようになることで、NISA口座で運用している投資分をいつ売却するかといった、個々人のライフプランに合わせた出口戦略がより設計しやすくなると言えます。

4つめは、非課税限度枠です。年間投資額の上限は360万円ですが、注意したいのは毎年継続して360万円が投資できるというわけではないということです。

非課税で保有できる限度額は、つみたて投資枠と成長投資枠を合せて1,800万円までとなります。言い換えると、一生涯でNISAを使って投資できる投資上限額が1,800万円となったわけです。ただし、上場株式等に投資できる部分は合計で1,200万円までとなります。

これまでの累計600万円や累計800万円と比較すると大幅な投資枠拡充となります。使い勝手が良くなり、老後の資産形成等で大きく活用できる仕組みへと変貌しそうです。

<2024年からのNISA>

新NISA
つみたて投資枠
成長投資枠
併用
年間投資枠
120万円
240万円
非課税保有限度額
1800万円
(うち成長投資枠1200万円)
非課税期間
無期限化
口座開設期間
恒久化
投資対象商品
つみたてNISAと同じ
上場株式・投資信託等
(一部対象除外あり)
対象年齢
18歳以上

少額投資非課税制度(NISA)に関するよくある質問

つみたてNISA、一般NISAから新しいNISAへの切り替え方法を教えてください。また、今NISA口座で保有している資産は、売却しなければいけませんか?

新NISAを利用するには新NISAの口座開設が必要ですが、現行NISAを利用している場合は、今利用している金融機関に自動的に新NISAの口座が開設されます。そのため、口座開設にあたって特別な手続きは必要ありません。また、現行のNISA制度で保有している資産を売却する必要はありません。

今つみたてNISA口座で運用している資産は2024年以降どうなりますか。

現行NISAでの新しい投資はできなくなりますが、保有している資産は、新NISAの投資枠とは別枠で、現行NISAの非課税期間終了まで保有することができます。

例えば、2023年につみたてNISAで投資している資産は、2042年まで運用することができます。

つみたて投資枠の、身の丈にあった投資額の算出法を教えてください。ひと月の可処分所得の何%くらいが投資額の目安、など…世間一般的にみて妥当、というくらいの考え方で構いません。

新NISAでのつみたて投資枠は年間120万円が上限です。したがって、月々10万円まで投資できますが、上限枠いっぱいまで投資する必要はありません

投資額を決める際の目安として、一般的に言われていることは、
・無くなっても困らないお金であること(生活費から捻出しないこと)
・数年間使わないお金であること(将来使う予定があるお金は確保しておくこと)
・目標金額から割り出し、決めること
となります。

この記事の監修者は
金山浩晃(かなやま ひろあき)

合格の先をイメージして!
【出身】埼玉県
【趣味】NFL(アメフト)観戦、カフェ巡り
【座右の銘】雲外蒼天

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