株式の投資指標とは?|わかりやすくFP解説
更新日:2020年1月28日
株式の投資指標とは
株式に投資する際に指標となるものとして、配当利回りや配当性向、株価収益率などがあります。これらを株式の投資指標といいます。
それぞれの意味やどのような場合に用いられるのかなどを詳しく解説していきます。
配当利回りとは
投資(購入)金額に対する配当金の割合を示す指標です。
配当性向とは
税引後の純利益がどれくらい配当に回されているかを示す指標です。
または、
width=""当期純利益とは
当期純利益とは、企業の1年間の純利益から税金を差し引いた後に残る利益(税引後利益)です。この税引後利益を株主、役員、企業で分け合います。
株主には配当金、役員は賞与、企業には積立金という形で配分されます。配当性向が大きいということは、より多く株主に分けられていることを示します。
大きければいいように思えますが、配当性向100%であれば、儲けのすべてを株主に配分しているということを示していますので、要注意です。一般に、成長企業は成熟企業に比べ配当性向が低いようです。
株価収益率(PER)とは
株価が1株当たり税引後利益の何倍まで買われているかを示す指標です。
PER(株価収益率)は、「株価」と「利益」の関係を数値に表したもので、「利益」に対して「株価」が買われすぎるとPERは高くなり(割高)、「株価」が売られすぎると、PERは低くなります(割安)。
PERと株価とは
同じ業種の会社で、規模や財務内容、利益水準などがほぼ同じような企業であればPERに大きな違いはないと考えられます。
株価 | 1株あたりの利益 | PER | |
---|---|---|---|
A社 | 700円 | 40円 | 700円÷40円=17.5倍 |
B社 | 900円 | 45円 | 900円÷45円=20.0倍 |
- A社が割安の場合
- B社が割高の場合
A社の1株あたりの利益が変わらなければ、A社の株価が上昇することでB社の株価に近づき、A社のPERも上昇します。
→割安な分、A社の株価の上昇が期待できます。このことは買えば儲かるということに繋がります。
B社の1株あたりの利益が変わらなければ、B社の株価が下落することで、A社の株価に近づき、B社のPERも下落します。
→割高な分、B社の株価の下落が期待できます。このことは売れば儲かるということに繋がります。
なお、将来の企業への成長期待が大きければ大きいほど株価は高く、PERも高くなり、成長期待が小さければ小さいほど株価は安く、PERは低くなる傾向があります。
株価純資産倍率とは
株価が1株当たり純資産の何倍まで買われているかを示す指標で、企業の解散価値(資産価値)を示します。
PBR(株価純資産倍率)は「株価」と「純資産」の関係を数値に表したものです。1株当たり純資産に対して株価が買われすぎるとPBRは高くなり、株価が売られすぎるとPBRは低くなります。PBRはPERと同じように数値の大きい方が割高、小さい方が割安と判断します。
理論的には株価=1株当たり純資産と考え、PBR=1倍となります。仮に会社が解散するとすれば、総資産から借入金などの費用や従業員の給与、退職金を支払い、残った資金はすべて株主のものになるからです。
しかし、実際の株価は将来の利益予想や期待、変化を織り込んで変動しますから、買われすぎたり、売られすぎたりすることがあります。
なお、将来の成長や企業業績などに不安がある企業の株価は売られやすくなりますので、PBRが1倍(解散価値)を下回るケースがあります。特に、2007年のリーマンショック後は、世界的な景気不安が企業業績に大きな打撃を与えられるとされ株価が大きく下落し、PBRが1倍以下の企業が多く見られました。
自己資本利益(ROE)とは
自己資本に対してどれだけ利益を上げたかを示す指標です。
または、
ROEが高い企業ほど株主資本を効率よく使って利益を上げ、逆に低い企業ほど株主資本をうまく使っていないことを意味しますから、ROEは会社の投資価値を判断する指標の1つとなっています。
企業は株主から集めたお金を事業に投入し、利益を獲得しています。企業全体としては株主から集めたお金(元本)に対してどのくらいの利益(利息)を得ることができたのかを計算する必要があり、それが自己資本利益率です。
なお、株主から集めたお金に利益剰余金等を加えたものを株主資本といい、それに評価・換算差額等を加えたものを自己資本といいます。
総資本利益率(ROA)とは
企業が集めたお金の総額に対してどれだけ利益を上げたかを示す指標です。
企業は株主からお金を集めて事業を行います。しかし、銀行などから借り入れることによってお金を集めることもあります。
したがって、株主から集めたお金だけでなく、銀行などから集めたお金も合わせて、合計でどれだけのお金を集めてそれに対してどれくらいの利益を得たのかを計算することも必要です。
株式の投資指標に関するよくある質問
-
株価収益率の覚え方を教えてください。
-
株価収益率の覚え方は、「株価収益率」という5つの漢字を2つにわけてそのまま公式に見立てて暗記するのはいかがでしょうか。
株価/収益率
↓
株価÷純利益
という具合です。
-
株価純資産倍率の覚え方を教えてください。
-
株価純資産倍率は、「株価純資産倍率」という7つの漢字を2つにわけて
株価/純資産倍率
↓
株価÷純資産
という具合です。
-
PBRの計算において、純資産とは自己資本の事ですか?
-
PBRの計算は、1株当たり純資産にて計算するわけですが、問題のデータの中に純資産というデータがない場合は、自己資本のデータを使用して計算してもOKです。
純資産と自己資本の意味ですが、自己資本は、貸借対照表上の「純資産の部」から新株予約権と少数株主持分を引いたものなので、厳密には同じとは言い難い場合もありますが普通は、同じだと表現することが多いです。
FP2級の試験では、ほぼ同等の意味として扱われることが多いので、試験のデータの中に自己資本とあれば、それが純資産だとして考えてしまってOKです。
金山浩晃(かなやま ひろあき)
合格の先をイメージして!
【出身】埼玉県
【趣味】NFL(アメフト)観戦、カフェ巡り
【座右の銘】雲外蒼天