証券外務員に落ちたら?再受験について解説
更新日:2022年2月21日
証券外務員という資格は、金融系の証券会社や銀行に就職する場合、ほぼ必須と言っても過言ではない資格になっています。金融系の会社に内定をもらったり、就労していたりすると、取得するように会社から言われる資格となっていますが、この証券外務員の試験に落ちてしまった場合、どのようになるのか気になる人も多いのではないでしょうか。
こちらの記事では、証券外務員の試験に落ちた時、再受験する場合の解説や、しっかりと受かるための勉強のコツなどを幅広く紹介していきます。
証券外務員の基本情報
まずは、証券外務員とはどのような資格なのか、それぞれの難易度やかかる費用などを詳しく解説します。企業などで資格が必要になったという人は、自分はどの資格を受験する必要があるのか、難易度はどの程度なのかということをしっかり確認してください。
証券外務員には4種類あり一般の人が受験できるのはそのうち2種
証券外務員の資格には、全部で4つの種類がありますが、そのうち一般の人が受けることができるのは一種外務員と二種外務員の2種類です。特別会員一種外務員と特別会員二種外務員という資格もあり、こちらは一般の人は受けられない資格となっています。
一種と二種を比較すると、一種の方が難易度が高いのが特徴です。どちらを取得するかというのは企業によって異なるため、必要になる方の資格に合わせて勉強することが必要になります。
一種、二種それぞれの難易度
一種の方が難易度は高くなっていますが、どちらも合格率は平均6割程度とされていて、実施回によってさまざまではありますが、一種の方が若干合格率も低めなことが多いようです。もともと、一種の受験には二種を保有していることが条件でしたが、2014年にその条件は撤廃されました。
それにより、初めての受験が一種という人も増えたため、一種の合格率は昔よりも低くなったとされていますが、また近年合格率は上昇傾向となっています。一種の合格に必要な勉強時間は80〜100時間程度、二種は50〜80時間程度の勉強が必要です。それほど難易度の高い資格ではありませんが、勉強せずに合格できるほど簡単ではないので、合格のための勉強時間を目安に学習を進める必要があります。
証券外務員試験の費用
証券外務員の試験を受けるには、一種でも二種でも13,860円(税込)の受験費用がかかります。自主的に受けるわけでなく、企業で勤めるために必要となる場合は、企業が受験費用を負担してくれることが多いです。
ただ、内定前などに取得が必要となり、企業から受験するように言われた場合、もし1度試験に落ちてしまい2度目の受験が必要になった時は、2度目以降の受験費用は自己負担になるケースも多いので注意しましょう。学生のうちに10,000円を超える出費を負担するのは大変な人も多いかと思うので、なるべく1度の受験で合格できるように準備をすることが大切です。
不合格になってしまった場合
ここからは、証券外務員の試験を受けて、不合格になってしまった場合にどのようなことが起こりうるのかを説明していきます。6〜7割程度の人が受かる試験だとはいえ、残りの人は落ちる可能性もある試験なので、万が一落ちてしまった後のことも考えておくことが大切です。特に注意しておきたいポイントが、試験に落ちた後はすぐに次の受験ができないという点なので、詳しく見ていきましょう。
落ちてしまったらすぐに次の試験は受けられない
証券外務員の試験は、平日ほぼ毎日実施されていますが、証券外務員の試験に落ちてしまった場合、すぐに「明日の試験を受けよう」ということはできないルールとなっています。落ちてしまった受験の日の翌日から30日間経過するまで、次の試験を改めて受けることができないため、試験に合格しなくてはいけない締め切りが決まっている場合は特に注意が必要です。
ただ、すぐには受けられないとはいっても、年に一度しかやっていないというような数少ない試験ではありません。基本的には、平日毎日開催されているため1ヶ月の待機で次が受けられます。なので、1回目を受ける前に万が一落ちた場合2回目を受ける日程はいつか、ということも考えておくと安心して試験に臨めるでしょう。
入社前に受ける場合、遅くとも1回目は2月に受けると安全
企業に内定をもらった後、入社までの間に証券外務員の資格を取っておくように指示があった場合、入社のギリギリのタイミングで1回目を受けてしまうともし落ちた場合に2回目を受験する日数が足りなくなります。
そのため、4月に入社するまでに絶対受かっておきたい場合は、1回目の受験を遅くとも2月には受けておくのが安心です。2月に受けておけばもし1度落ちてしまっても、3月になってからもう一度受験することができます。
また、入社前に限らず、この月までには必ず合格しておきたいという期日がある場合は、そこを目標にするのではなくなるべく早めに1回目を受験しておく方が安心です。しっかりとスケジュールを考えて動くようにしましょう。
入社前に落ちた場合どうなる?
それでは、もし内定をもらった企業から証券外務員の資格を取るように指示されて、入社までに合格することができなかった場合、どのようなことが起こりうるのかを考えていきます。最悪の場合は内定取り消しになることも考えられるので、しっかりと把握しておきましょう。
内定後の受験で落ちた場合、内定取り消しになることも
めったにないことではありますが、企業によっては証券外務員の資格を所持せずに入社することができないという可能性もあります。せっかくもらった内定が直前になって消えてしまうのは、とても困ることなので、そうならないようにしっかりと対策をして試験に臨むべきでしょう。
また、内定の取り消しまではなくても、証券外務員の資格がないことでできない業務が出てくる可能性も高いです。一緒に入社した新入社員の中で、自分だけが資格を保有していないとなると、仕事の内容や成長に差がついてしまうことが考えられます。いずれにしても、しっかりと入社までに所持しておくに越したことはないでしょう。
銀行や証券会社ではほぼ必須の資格
銀行や証券会社をはじめとした金融業界に入社するなら、証券外務員の資格はほぼ必須だと言われています。入社の段階で必要かどうか、入社してから取得するように指示されるかどうかは企業によって異なりますが、いずれにしてもいつかは取得する必要があると考えておく方がいいでしょう。
そのため、入社が決まってから取得を考えるのではなく、金融業界で働きたいと考えた段階で、資格取得を視野に入れておくのもおすすめです。証券外務員がどのような資格なのか、どのような問題が出るのかを知っておくだけでも、金融業界での仕事内容が少し把握できることもあるので入社試験でも有効でしょう。
再受験する場合の注意点
なるべく落ちずに1度の受験で合格したい証券外務員の資格ですが、万が一落ちてしまった場合再受験する場合の注意点を紹介します。待機期間と落ちた後の勉強時間がポイントになるので、注意しておきましょう。
受験から30日経過しないと再受験できない
先ほども説明しましたが、証券外務員の試験に落ちてしまったら、その落ちた試験の受験日の翌日から30日経過しないと、次の受験ができないことを覚えておいてください。急いでいる場合、早く受験がしたいと考えてしまいますが、ルールとなっているのでそれを見越して予定しておく必要があります。
また、試験は平日毎日開催されていますが、土日や祝日には実施されていません。なかなか平日に時間を取りづらいという人は特に、もし落ちてしまった場合の次の試験のスケジュールもしっかりと検討しておく方が安心です。
合格のための勉強時間目安は50〜100時間
もし落ちてしまった場合、次は受かるためにしっかりと勉強して臨む必要があります。1度目の受験でもしっかりと勉強していたなら、苦手なところを重点的にすると良いですが、あまり勉強せずに臨んでしまった、という場合、合格の勉強時間目安と言われている50〜100時間を確保してから受験をする必要があるでしょう。
特に一種はしっかりと勉強しておかないと、また落ちてしまう恐れもあるため、落ちてから1ヶ月で次の試験を受けるなら、1日2〜3時間勉強する必要があることを念頭に置いておいてください。何度も落ちてしまうのは、精神的にも金銭的にも負担となるため、特に1度落ちてしまった場合の勉強は効率よく学習したいところです。
次の合格に向けてやるべきこと
もし証券外務員の試験に落ちてしまったら、次の受験では絶対受かるために対策をしておきたいものです。次の受験で合格するためにやるべきこと、勉強の上手なやり方や効率的に学ぶコツなどを紹介していきます。
効率よく学習する
証券外務員の資格を取得しようとしている人の多くは、金融業界から内定をもらった学生や、金融業界で既に働いている社会人であることが多いでしょう。学業や仕事のかたわらに、証券外務員の勉強をする必要があるため、空いた時間を見つけて効率よく勉強する必要があります。
スマートフォンで見られるオンライン講座を受講したり、インターネットサイトを通勤時間や通学時間に見たりすることで、証券外務員の資格のためだけに時間が取れない人も効率よく勉強することができるでしょう。電車の中で字を書くのは難しいので、インターネットを上手に活用して知識をインプットする時間にするのがおすすめです。インターネットで検索をしてみると、無料で使うことができる学習サイトや学習アプリが紹介されているので、いろいろなツールを駆使していくといいでしょう。
テキストを読むだけでなく解く練習を繰り返す
通勤や通学の時間は、インターネットなどで知識をインプットする時間にするといいと書きましたが、受験で使える知識にするためにはアウトプットする作業もとても大切です。なので、演習問題や計算問題が載っているテキストを用意して、問題をどんどん解く練習も行うようにしましょう。
何度も計算問題や演習問題を解くことで、試験のイメージができ、問題を解くスピードもアップする効果があります。インプットしただけだと、内容はわかっていてもどうしても問題を解く練習ができていないので、本番力を発揮しきれないことが考えられるので注意しましょう。
自分が理解しやすいテキストを選ぶのもカギ
まず、はじめのテキスト選びの時点で、自分がわかりやすいと感じるものを、しっかりと内容をチェックして選ぶのが重要です。説明の仕方などももちろんですが、イラスト付きで説明されている方がいい、例題が載っている方がいいなど、自分の好みで選ぶことで頭に入りやすくなります。
反対に、自分の頭に入りにくいテキストを選んでしまうと、勉強の効率が落ちる上、そもそも勉強するやる気も湧いてこないものです。おすすめのテキストを選ぶのもいいですが、その場合でも一度中をチェックして自分に合うかを確認しましょう。内容が入りやすいテキストを選べば、短い時間でもしっかりと理解できるようになります。
不合格になる事項をしっかり確認する
証券外務員の試験には、禁止事項などのルールが決められています。当然、このルールに従わないと試験に落ちてしまうことになるので、受験する前にしっかりと確認しておくことが大切です。
大まかに内容を説明すると、携帯電話を試験中に使用すること、メモ用紙を持ち込むことなどがあります。カンニング行為につながるような内容は当然禁止になっているので、不正のないように注意して試験に臨みましょう。
証券外務員合格のための勉強のコツ
前述した通り、証券外務員の資格はそれほど難関ではありません。とはいえ、しっかりと勉強しておかないと落ちてしまうのも事実なので、1度で受かるための勉強法をご紹介していきます。証券外務員の試験の特徴として、専門用語が多いことや問題によって配点が違うこと、広範囲から出題されることなどがあるので、それを踏まえてコツを解説していきます。
専門用語、法令を間違いなく覚えること
証券外務員の試験は、専門用語や法令がたくさん出てくるのが特徴です。そのため、間違えずに正しく暗記しておくのが、試験合格への近道だといえます。言葉がわからないまま勉強を進めてしまうと、全ての内容が頭に入ってこないため、わからない言葉が出てきたらすぐに調べる癖をつけておくことで、勉強の効率がアップするのでおすすめです。
慣れないうちは、言葉がわからず内容が入ってきにくいかもしれませんが、わかる言葉が増えれば頭にも入りやすくなるものなので、まずは慣れない言葉をしっかりと覚えるところから始めてみましょう。
配点の高い問題を重視して正解率を上げること
証券外務員の試験は、問題によって配点が違うのがポイントです。そのため、ただ闇雲に学習するのではなく、配点の高い問題に重点を置いて勉強することで、得点を取りやすくなります。配点が高いのは5択問題となっているので、こちらをしっかりと勉強して正解率を上げるのがおすすめです。
特に、必ずたくさん出題されると言われている、計算問題をしっかりと勉強して、失点しないようにするのもポイントとなります。配点の低い問題が苦手な場合は捨てる選択も必要ですが、配点が高い問題の場合は少し時間をかけて勉強するといいでしょう。
難易度は普通でも試験範囲が広いことを知っておく
何度も説明している通り、証券外務員の試験はそれほど難易度が高くありません。ただ、難易度が高くないからといって、少し勉強したら合格できるだろうと考えるのは間違いです。証券外務員の試験は、範囲が広いのが特徴となっています。
そのため、しっかりと勉強しようと思うと、案外時間がかかるものです。さらに、その広範囲の中に、慣れない専門用語や法律などがたくさん出てくるため、しっかりと暗記しておくことが大変だと理解しておくようにしましょう。難易度が高くないと高を括るのではなく、広範囲から出題されると念頭に置いておく方が、しっかり勉強する意欲も湧くものです。
一種試験の合格を目指すなら信用取引、デリバティブ取引に注目
難易度の高い一種試験を受けるという人は、特に信用取引やデリバティブ取引をしっかりと勉強しておくようにしましょう。これらの問題の割合が多い傾向にあり、重要度が高いと言われています。
信用取引やデリバティブ取引の範囲から、高い割合で出題される理由として、試験取得のあと実務で使用することを見越していると言われているので、これらをしっかり勉強しておくことで、実際仕事をする上でも役立つでしょう。
独学で勉強する場合のポイント
証券外務員の学習には、学校や通信に通うという選択肢もありますが、しっかりと自分で勉強をすれば独学でも十分取得できる資格となっています。ここからは、独学で証券外務員の資格の勉強をする場合、チェックしておきたいポイントを解説していきます。
最終的にどのようになりたいか、目的や目標を明確に持つ
証券外務員の資格の勉強を始める前に、この資格を取得するのにはどのような目的があるのか、最終的にどのようになりたいのかという目的を、明確にするのが重要です。ただ試験に合格したいだけなのか、それともその先金融業界での仕事に就く上で資格の内容を活かしていきたいのかで、勉強する気持ちが変わってくるでしょう。
金融業界に内定をもらっている場合や、すでに金融業界で働いているという人は、試験に合格するだけでなくそこで学んだ知識を業務に活かすことを見据えた勉強をするのが大切です。
100点を目指さず、できる問題を増やす
どのような試験にも言えることですが、効率よく勉強するためには、完璧を目指さないということを念頭に置いておきましょう。どうしても、苦手なところをなくしたいと考えてしまいますが、完璧に理解するにはいくら時間があっても足りません。それなら、苦手なところを闇雲に勉強するより、もともと得意なところを絶対に間違えないようにさらに強化したり、配点が高いところに比重を高めたりする方が試験合格のためには有効だといえます。
どの程度理解できていれば良いとするかの目安ですが、模擬テストや過去問題を解いて7割程度理解できていれば良いでしょう。その上で、どうしても理解できない部分があるなら、捨てる選択を検討することも重要です。ただし、前述した配点の高い問題は、全て捨ててしまうと合格に関わってくるので、そこだけは苦手でもしっかりと取り組む方が良いでしょう。
闇雲に勉強せず、しっかりと計画を立てて進める
学業や仕事のかたわらで勉強をしていると、どうしても無計画になってしまいがちです。そうすると、同じところばかり勉強してしまっていたり、気づけば試験が近づいていて全く手付かずのところがあったり、ということにもなりかねません。学校や通信教育に通って勉強すれば、計画的に授業を進めてくれるためこの心配がありませんが、独学でやっているとダラダラとした勉強になってしまうことが多いです。
そのため、まずは合格に向けてどのようなペース配分で学習を進めるのかという計画を立てることが重要です。できれば、試験勉強開始から試験の日までのざっくりとした計画が立てられるといいですが、最低でも先1週間分の計画を立ててから勉強すると、効率よく進めることができるでしょう。
質問できる人がいれば安心
独学で勉強していると、基本的に頼れるものはテキストやインターネットの情報しかありません。ただ、もし可能ならば、わからない問題が出てきた時に質問して教えてくれる人がいると、勉強がスムーズに進みます。学校に通っているなら大学の教授に質問したり、仕事をしているなら試験を先に取得している上司や先輩に質問したりできるといいでしょう。
もし、どうしても周りに相談に乗ってくれる人がいない場合は、インターネットの質問サイトなどで聞いてみるのも1つの手です。悩んでいることの突破口にはなるかもしれません。ただし、相手がどのような人かわからないので、しっかりと返事が返ってくるかわからないことは頭に置いておきましょう。
まとめ
こちらの記事では、証券外務員の試験に万が一落ちてしまった場合に考えられることや、再受験についてなどを詳しく解説しました。証券外務員の試験に落ちたら、再受験するまでには30日間の待機期間があることは、受験する人はしっかりと覚えておく必要がある情報です。
また、証券外務員の試験にそもそも落ちないためには、前もってしっかりと準備をしておく必要があります。そのための知識として、証券外務員の試験はそれほど難易度の高い資格ではないけれど、広範囲から出題されるということをしっかり理解しておくこと、合格率は約6割なので一度では受からない可能性もあることを知っておきましょう。独学で学習することもできますが、その場合はしっかりと計画を立て、効率的に勉強していくことが大切です。これらの情報をしっかりと理解して、受験までにしっかりと学習し、落ちないように受験に臨んでみてください。