社労士試験は公務員にも役立つ?科目免除のメリットや合格率・注意点も解説

更新日:2024年7月16日

「社労士試験は公務員が有利」と聞いたことはありませんか? 公務員の業務は社労士が行う業務と重なる部分があり、とても相性がいい職業です。

そのため、公務員として一定の勤務実績がある人には、社労士試験の一部の科目が免除となる制度もあり、この免除制度を利用して受験した人の合格率は全国平均の2倍近くにもなります。

社労士を目指すにあたり、公務員としてのキャリアはどの程度役に立ち、どのようなメリットがあるでしょうか?

この記事では、公務員が社労士試験を受験する際に利用できる公務員特例の内容や免除科目についてはもちろん、公務員特例の申し込み方法や注意点、さらに、公務員が社労士を目指すメリットなどについて解説します。

  • 社労士と公務員はそもそも、とても相性がいい。
  • 公務員の実務経験があれば、社労士試験の一部が免除になる「公務員特例」制度があります。
  • 公務員特例免除者の社労士試験の合格率は、合格者全体の2倍近くです。
  • 公務員特例を受けたい場合、事前に手続きしなければいけません。
  • 公務員特例を利用するときに覚えておきたい注意点もあります。

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目次

社労士資格と公務員は相性がいい

公務員が社労士試験合格を目指すのが有利といわれるのは、社労士と公務員の仕事が、そもそも大変相性がいいからです。公務員の仕事には、医療保険、介護保険、年金などを扱うものが含まれます。

一方、社労士は、社会保険労務士法にもとづいた国家資格で、労働保険や社会保険の新規加入や脱退手続き、健康保険、各種助成金申請などを行う仕事です。公務員と社労士の業務内容には重なる部分が多くあります。

さらに、社労士として働く場合、実務経験がある人が優遇されやすいことはいうまでもありません。 公務員としての勤務経験がありながら、社労士として転職したい場合、その経歴は就職活動でかなり有利になるといえるでしょう。

関連記事:
社会保険労務士(社労士)とは?なるにはどうすれば良い?仕事内容や取得するメリット、向いている人まで徹底解説
公務員の魅力とは?

社労士試験が一部免除になる「公務員特例」とは?

公務員と社労士の相性がいいといわれるのは、公務員の実務経験があれば、社労士試験の一部が免除になる「公務員特例」という制度があることも、ひとつの理由です。

社労士試験は合格率が6〜7%程度と、国家試験の中でも難関の部類に入ります。 試験問題は全部で10科目と広範囲にわたり、各科目で設定された合格基準点を下回ると、それだけで不合格になります。

そのため、公務員特例によって一部の試験が免除になることは、とても有利なのです。 自分が受けなければならない科目だけ集中して勉強できるので、合格に近づきやすくなります。

公務員特例の主な免除資格は、「国や地方公共団体の公務員として労働・社会保険関係法令の施行事務に従事した期間が通算して10年以上になる者」です。

特定の職に就き実務に携わった経験が5年以上ある人なども要件に含まれます。 免除となる試験科目は、社労士試験科目すべてで設定されており、試験センターが公開する「試験科目の一部免除資格者一覧」で確認できます。

参考:試験科目の一部免除資格者一覧

公務員特例免除者の社労士試験合格率

社労士試験を受験した人のうち、公務員特例免除の制度を利用して受験した人の数、さらに合格者数などの詳細が公表されています。

直近の合格率についてまとめると、以下のとおりです。

直近の社労士試験合格率 参考:社会保険労務士試験オフィシャルサイト「合格発表」
厚生労働省「第54回(令和4年度)社会保険労務士試験の 合格基準について 」
全体 公務員特例免除者
年度 受験者数 合格者数 合格率 受験者数 合格者数 合格率
2023(第55回) 42,741人 2,720人 6.4% 364人 56人 15.4%
2022(第54回) 40,633人 2,134人 5.3% 841人 115人 13.7%
2021(第53回) 37,306人 2,937人 7.9% 841人 106人 12.6%

公務員特例免除を受けた受験者は、全体の受験者のうち1〜2%と、ごく一部の人のみです。

しかし合格率を見ると、受験者全体の合格率は5〜7%であるのに対して、公務員特例免除者は12〜15%ほどと、受験者全体の合格率の2倍近くになります。

その結果から、公務員特例免除者は社労士試験の合格に大変有利であることがわかるでしょう。

公務員特例で免除となる社労士試験科目とは?

公務員特例で免除となる具体的な試験科目についてご紹介しましょう。

詳細は試験センターが公開する「試験科目の一部免除資格者一覧」で確認できますが、当該業務に通算10年以上従事した経験のある公務員は、主に以下のような科目が免除となります。

参考:試験科目の一部免除資格者一覧
受験科目 種別 従事した業務
労働基準法及び労働安全衛生法 国家公務員 労働基準法、労働者災害補償保険法または労働安全衛生法の施行事務
労働者災害補償保険法 国家公務員 労働基準法または労働者災害補償保険法の施行事務
雇用保険法 国または地方公共団体の公務員 雇用保険法または職業安定法の施行事務
労働保険の保険料の徴収等に関する法律 国または地方公共団体の公務員 労働保険の保険料の徴収等に関する法律の施行事務
健康保険法 国または地方公共団体の公務員 健康保険法の施行事務
厚生年金保険法 国または地方公共団体の公務員 厚生年金保険法の施行事務
国民年金法 国または地方公共団体の公務員 国民年金法の施行事務
労務管理その他労働及び社会保険に関する一般常識 国または地方公共団体の公務員

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社労士試験の免除加算点とは?

公務員特例で免除される社労士試験の科目の点数はどのようになるのかをご紹介します。

  • 公務員特例で試験科目の一部が免除になった場合は、免除科目が満点や0点でカウントされるのではなく、免除科目には「免除加算点」が加えられる
  • 免除加算点とは、選択式試験と択一式試験それぞれの総得点の「合計基準点」が用いられ、毎年変動する
参考:免除加算点(社会保険労務士試験オフィシャルサイト

上記の詳細については、当記事内で追って解説します。

社労士試験の合格基準点は?

免除加算点を出すときに用いられる「合格基準点」とは、社労士試験の合格ラインのことです。 社労士試験を受けて、選択式試験と択一式試験のそれぞれで「合格基準点」を満たせば合格することができます。

  • 選択式試験
    80分間で8科目、40問出題(1つの大問につき、小問5つずつ)
    合格基準:40点満点のうち、合計28点以上かつ各科目3点以上
  • 択一式試験
    210分間で7科目、70問出題(1つの大問につき、小問10つずつ)
    合格基準:70点満点のうち、合計49点以上かつ各科目4点以上
  • さらに、総得点の合格基準点と、各科目ごとの合格基準点も定められており、それらを上回なければ合格できません。

  • 総得点の合格基準点
  • 各科目ごとの合格基準点

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免除加算点の計算方法は?

先ほどご紹介した、公務員特例免除受験者に対して免除科目に加算される「免除加算点」は、以下のような計算方法で算出されます。

  • 選択式試験の免除科目
    総得点の合格基準点÷40点満点×免除となる科目の満点
  • 択一式試験の免除科目
    総得点の合格基準点÷70 点満点×免除となる科目の満点

このように、公務員特例で一部の科目が免除されても、その科目について満点が加算されるわけではありません。場合によっては、免除せず受験した方が高い得点を得られる可能性もあります。

そのため、得意分野の科目ならば免除を受けずに受験するという選択肢を考えてもいいでしょう。

社労士試験は「公務員優遇」?科目免除の条件や合格率・注意点も解説

公務員特例の手続き方法

公務員特例を受けて社労士試験を受験したい場合、事前に手続きをする必要があります。 手続きをしなければ、免除をされることはありません。

免除を受けないという選択肢もあるため、免除を希望する場合は必ず事前に申請しましょう。

公務員特例免除の申請は、受験申込と同時に行います。 「実務経験証明書」に必要事項を記入して提出すると審査が行われ、後日結果が郵送されます。

自分が公務員特例免除を受けられるかどうかがわからない場合は、事前に試験センターに問い合わせることが可能です。 前もって確認をしておくことをおすすめします。

参照:試験科目の免除申請の方法(社会保険労務士試験オフィシャルサイト)

公務員が社労士試験を受けるメリット

ここまでは、社労士試験が一部免除になる「公務員特例」についてや、公務員特例免除者の社労士試験合格率、免除となる社労士試験科目、公務員特例の手続き方法などについて解説してきました。

ここからは、公務員が社労士試験を受けることで、どのようなメリットがあるのかを見ていきましょう。 主なメリットと考えられるのは、次の2つです。

公務員のキャリアアップにつながる

メリットの1つめは、公務員からキャリアアップできることです。

公務員としての経験を積んでいれば、その実務経験を活かし、難関の社労士試験を突破して、社労士として働くことができるようになります。

また、公務員としての実務経験があるからこそ、社労士の資格取得で得られる知識を仕事に活かしやすくなります。 新米の社労士に比べると、公務員の実績を持つ社労士はとても重宝されるはずです。

社労士開業や転職する際に「元公務員」の肩書を生かせる

公務員の経験がありながら社労士として働く場合、「元公務員の社労士」という肩書きになるため、箔が付くことはもちろん、顧客から絶大なる信頼を得ることも可能です。

社労士として転職するときにも、また、社労士として独立開業するときにも、その肩書きが有利に働くでしょう。 公務員としての幅広い知識と経験が、社労士としてのキャリアにもきっとプラスになるはずです。

社労士試験で公務員特例を利用する際の注意点

難関試験である社労士試験で、一部の科目が免除されるのが公務員特例です。

公務員として勤務をしており、いずれ社労士になることを考えている人にとって、とても魅力的な制度であることはいうまでもありません。

しかし、公務員特例を利用するときに覚えておきたい注意点もあります。 ここからは、公務員特例を活用する際に気を付けるべきポイントを解説していきます。

社労士試験と公務員試験はそもそも毛色が異なる

社労士と公務員は業務に似た部分があり、相性がいいことをご紹介しました。 しかし、社労士試験と公務員試験の内容を比べた際、それらはかなり異なる試験であることを覚えておかなければなりません。

公務員試験では社会科学分野の法律を学ぶ必要がありますが、社労士試験で問われる法律は異なるうえ、難易度は社労士試験の方が圧倒的に高いといえます。

「公務員試験に合格したから、社労士試験も受かるだろう」と安易に判断して、油断をするのは禁物です。 公務員として実務に携わっている法律以外の科目においても、知識を身につけておく必要があります。

受験申込時に申請が必要

公務員特例免除制度を利用して社労士試験を受験したい場合、条件を満たしている場合でも、自動的に免除されるわけではありません。

公務員特例免除を利用する場合は、受験の申し込みと同時に免除の申請を行う必要があります。 また、その際に、実務経験等を証明する書類の提出が求められます。

それらの書類を準備するためには、所属部署から必要な証明を受けなければならず、周囲の人に社労士試験を受験することがオープンになってしまう可能性もあります。

免除科目を普通に受験した方が良いことも

公務員特例免除制度を利用すれば、一部科目が免除される優遇を受けることができます。 しかし、免除科目について満点が加算されるわけではないことを先にご紹介しました。

場合によっては、免除を受けずに受験したほうが高い点数を獲得できる可能性もあるでしょう。 社労士試験は1点の差が合否を分ける試験といわれるほど、厳しい内容となります。

得意分野の科目については、免除を受けずあえて受験して満点を狙うという戦略も考えられます。

フォーサイトで資格取得した人の勉強方法・合格できた秘訣

実際に公務員から社労士試験に合格した人についてご紹介しましょう。

例えば、福井県在住の30代男性は、6か月間の勉強を行い、見事1回目の受験で社労士試験に合格しました。 社労士になることを考えた時期は、社労士試験の約6か月前だったため、翌年の受験を想定していたそうです。

しかしフォーサイトの合格体験記に「6か月で合格」と書かれていたこともあり、一念発起。

最初の1か月半で一般常識科目を除く基礎講座と過去問講座を一気に終わらせ、「問題を解いたら、解答を読むだけでなく、必ずテキストの該当箇所と周辺の記載も読んで確認する」ことを繰り返したそうです。

社労士・公務員最短合格なら通信講座がベスト

難易度が高い社労士試験で合格を勝ち取るためには、通信講座を利用するのが最適です。

この選択がいちばんいいといわれる理由は、主に3つあります。 1つめは、通信講座は自分のライフスタイルに合わせて、自分のペースで勉強ができることです。

時間や場所を問わずに学習できるので、通勤通学の時間、家事の合間、昼休みなど、さまざまなスキマ時間を効率的に利用して学習を進められます。

公務員として働きながら忙しい日々を過ごすなかでも、個人のスケジュールに合わせた柔軟な学習を実現することができます。

平日は公務員の仕事を行い、週末だけ受験勉強に集中することもできるでしょう。 2つめは、通信講座だからこその高コストパフォーマンスが挙げられます。

通学式の講座の場合、授業料のほか、交通費も負担しなければなりません。 しかし、通信講座なら受講料がリーズナブルなうえ、交通費は不要です。

そして、3つめは、充実した学習支援があることです。 独学のよく聞かれる懸念点としては、自習しているときに答えがわからない問題に直面することが挙げられます。

しかし、通信講座なら、質問や不明点の解消に向けて充実したサポート体制が整っているため、一つ一つの疑問をクリアにしながら、より効率的に学習を進められます。

フォーサイトの社労士・公務員通信講座の魅力とは?

フォーサイトの社労士・公務員通信講座は高合格率であることが知られています。

通常であれば、1000時間以上の勉強が必要といわれている社労士試験ですが、フォーサイトのコースを受講すれば、4ヶ月で合格することも夢ではありません。

これほど短期間で合格できるのは、フォーサイトが合格点を目指した教材作りに注力しているからです。 テキストはフルカラーで、試験に出るポイントや重要項目がわかりやすく明記され、利用者の満足度は驚異の90%です。

また、神大貴講師・小野賢一講師・加藤光大講師・竹田裕一郎講師など、20年以上のキャリアがあるベテラン講師陣が揃っているので、わかりやすい指導を行ってもらえます。

さらに、通信講座でありながら、ライブ配信の授業が受けられる「eライブスタディ」も充実しています。 独学が基本である通信講座ですが、「eライブスタディ」を利用することで授業のペースを保って学習進度の遅れを防ぐことができます。

万が一、試験に不合格だった場合は、受講料が全額返金されるのも、他には類を見ないうれしいポイントです。

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通信講座はさまざまな魅力がある勉強法ですが、一度も通信講座を受けたことがない人や、過去に利用して挫折した経験のある人にとっては、はじめにくいと感じることもあるのかもしれません。

また、通信講座のメリットがいまいちわからない、という人もいるでしょう。

そんな人たちにおすすめなのが、資料請求です。 フォーサイトでは、資料請求はすべて無料です。

サンプルテキストや問題集が届くため、実際に使われている教材を手に取ってみて、どのくらいわかりやすくまとめられているか、自分が学習しやすいかを実感できます。

通信講座を利用して独学で合格を目指すときのイメージがわきやすくなるでしょう。 さらに、スマホひとつでどこでも勉強できる「eラーニング」も無料で体験OK。

通信講座であるにもかかわらず、通学式のスクールに行ったような体験もできます。 「eラーニング」を定期的に利用することで、勉強にハリが出たり、モチベーションアップにつながったりするはずです。

おまけに、資料請求をすると、さまざまな資料のほかに、社労士試験合格のためのノウハウ本のプレゼントもついています。

難関の社労士試験を最短でクリアするためのコツがまとめられているので、大いに参考にできるはずです。 公務員から社労士を目指す人は、特典がもりだくさん、かつ、無料である資料請求を、まずは行ってみてください。

公務員から社労士の道を目指そう

公務員と社労士は業務内容が重なる部分が多く、とても相性がいい職業です。 公務員としての経験を積んでいる人であれば、社労士として活躍するキャリアパスも考えられます。

また、社労士試験は合格率が低い難関ですが、公務員としてある一定の条件を満たしていれば、一部科目が免除される公務員特例免除制度を受けることができるため、合格に有利になります。

公務員として活躍している人は、さらなるキャリアアップも視野に入れ、社労士試験を受験するという選択肢を考えてみてはいかがですか?

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この記事の監修者は
小野賢一(おの けんいち)

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【出身】北海道
【経歴】横浜国立大学大学院国際社会科学府修了。社会保険労務士、日商簿記2級等の資格を保有
【趣味】楽器演奏
【受験歴】2022年社労士試験初回受験、合格
【講師歴】2023年よりフォーサイト社労士講座講師スタート
【座右の銘】昨日から学び、今日を生き、明日へ期待しよう
フォーサイト公式講師X 小野賢一@社労士専任講師

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