簿記2級の「圧縮記帳」とは？仕組み・仕訳をわかりやすく解説！

簿記2級試験、平成29年から追加された新論点「圧縮記帳」とは？

圧縮記帳とは、国などから補助金をもらって、機械や設備などの固定資産を購入したとき、税金がかからないようにする処理のことです。圧縮記帳の処理方法には、「直接控除方式」「積立金方式」の2種類がありますが、日商簿記2級では「直接控除方式」による処理のみが試験範囲となっています。<figure class="table"><table><tbody><tr><td>&nbsp;</td><td>直接減額方式</td></tr><tr><td>助成金受取時</td><td>「国庫補助金受贈益」（収益）、 「工事負担金受贈益」（収益）の計上</td></tr><tr><td rowspan="2">助成対象資産購入時</td><td>資産購入の処理</td></tr><tr><td>「固定資産圧縮損」（費用）の計上（固定資産の減額）</td></tr><tr><td>決算時</td><td>圧縮後の金額にもとづく「原価償却費」の計上</td></tr></tbody></table></figure>

簿記2級、圧縮記帳（直接減額方式）って何？

圧縮記帳の助成金は3種類ある？

助成金に該当するものは「国庫補助金」「工事負担金」「保険差益」の3種類があります。<ul><li>国庫補助金……国や地方公共団体からの補助金</li><li>工事負担金……電気・ガスなどの公益事業会社が、利用者から施設や設備の建設資金として受け取った資金</li><li>保険差益……企業が所有する固定資産が、災害で滅失したときに受け取る保険金が、被害直前の簿価を超える場合における差額</li></ul>

例えば、ある企業が国から助成金をもらって、機械（固定資産）を購入しました。この際、もらった助成金に税金がかかってしまったら、せっかくの助成金が減ってしまいます。そうするとなんだか、損をしたような気持ちになりますよね。そこで、「固定資産圧縮損」という勘定で損失を計上し、補助金に税金がかからないようにすることを「圧縮記帳」といいます。ただ、注意しておきたいことは「圧縮記帳」は税金が免除される制度ではないということ。免除されるのではなく、「課税が翌年度以降に繰り延べられる制度」ということを頭に入れておきましょう。

圧縮記帳って何？　わかりやすく具体的に教えて！？

圧縮記帳の問題を解くコツは、以下のようになります。ちなみに、日商簿記2級の出題範囲となっている圧縮記帳の問題は「直接減額方式」のみのため、それほど難しくはありません。基本をしっかり理解しておけば、問題演習で十分に対応できるレベルと考えてよいでしょう。<ol><li>受け取った補助金をいったん、収益（国庫補助金受贈益、工事負担金受贈益など）として処理する。</li><li>税金を回避するため、収益として処理した金額と同額分を「固定資産圧縮損（費用）」として計上する。</li><li>圧縮記帳をしたときの固定資産の減価償却費は、減額された固定資産簿価をもとにして計算する。</li></ol>

圧縮記帳の問題を簡単に解くコツを教えて！？

それでは早速、圧縮記帳の問題を見てみましょう。

簿記2級の「圧縮記帳」ではどんな問題が出るの？

フォーサイト『簿記2級　商業テキスト』より

以下の取引について、仕訳を示してください。<ul><li>X1.4/1 当社は国から国庫補助金600,000円を現金で受け取った。また、国庫補助金の対象になっている備品3,000,000円を現金で購入した。なお、圧縮記帳は直接減額方式によることとした。</li><li>X2.2/31 決算日。定額法（残高価値ゼロ、耐用年数3年）、間接法により減価償却を行った。</li></ul>

解答

<figure class="table"><table><tbody><tr><td>&nbsp;</td><td>借方</td><td>貸方</td></tr><tr><td rowspan="2">X1.4/1</td><td>現金 600,000</td><td>国庫補助金受贈益 600,000</td></tr><tr><td>備品 3,000,000 固定試算圧縮損 600,000</td><td>現金 3,000,000 備品 600,000</td></tr><tr><td>X2.2/31</td><td>減価償却費 800,000</td><td>減価償却累計額 800,000</td></tr></tbody></table></figure>

解説

直接減額方式により圧縮記帳を行った場合には、固定資産の取得原価3,000,000円で減価償却の計算を行うのではなく、圧縮後の工程資産の価値（3,000,000円－600,000円）で原価償却の計算を行います。

例題1

フォーサイト『簿記2級　問題集』より

次の取引の仕訳を示しなさい。備品の取得を助成するため国より交付された補助金￥500,000を受け取り、当座預金とした。また、上記補助金と自己資金により、対象となる備品￥2,000,000を購入し、代金は月末に支払うこととした。なお、この備品について、直接減額方式による圧縮記帳を行った。

<figure class="table"><table><tbody><tr><td>借方科目</td><td>金額</td><td>借方科目</td><td>金額</td></tr><tr><td>当座預金 備品 固定資産圧縮損</td><td>500,000 2,000,000 500,000</td><td>国庫補助金受贈益 未払金 備品</td><td>500,000 2,000,000 500,000</td></tr></tbody></table></figure> &nbsp;&nbsp;&nbsp;&nbsp;&nbsp;&nbsp;&nbsp;&nbsp;&nbsp;&nbsp;&nbsp;

受け入れた助成金等は「国庫補助金受贈益」（収益）で処理します。 また、圧縮記帳を行った場合には「固定資産圧縮損」（費用）を計上するとともに、固定資産を減額します。これによって、「国庫補助金受贈益」（収益）と「固定資産圧縮損」（費用）が同額計上されることになり、助成金相当額が利益となって、配当などを通じて外部に流出するのを防ぐことが可能になります。

例題2

今回は、平成29年度から追加された「圧縮記帳」に注目し、その「仕組み」「仕訳」「出題傾向」についてご紹介しました。 圧縮記帳は、日商簿記1級の試験範囲から下りてきた論点のため、慣れるまでは少し難しく感じられるかもしれません。しかし、仕組みを理解してしまえば、それほど難しい内容ではありません。 最近の「日商簿記2級」試験では、新論点が必ず出題されているので、問題演習を繰り返すことで理解を深めておきましょう。<a target="_blank" rel="noopener noreferrer" href="https://www.foresight.jp/boki/column/calculator/">➡正しく電卓を選んで難問突破！</a>

まとめ

<figure class="image"><img style="aspect-ratio:660/300;" src="https://storage.googleapis.com/mcs-fs-pro-strapi-uploads-clone202504111055/boki2-reduction-entry/main-1739111333769-773197253.jpg" alt="圧縮記帳" srcset="https://storage.googleapis.com/mcs-fs-pro-strapi-uploads-clone202504111055/thumbnail_main-1739111333763-491840130.jpg 245w,https://storage.googleapis.com/mcs-fs-pro-strapi-uploads-clone202504111055/small_main-1739111333763-959822144.jpg 500w," sizes="100vw" width="660" height="300"></figure>「日商簿記2級」試験は、平成28年度から3年間にわたり、試験範囲の大改訂が行われました。この大改訂により、これまで1級の試験範囲だった「圧縮記帳（直接減額方式）」が、2級の試験範囲に下りてきました。ここでは、新たに追加された固定資産の新論点「圧縮記帳」に注目して、「仕組み」「仕訳」「出題傾向」を中心に解説していきます。

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