簿記2級の財務諸表とは?問題・作成方法・出題傾向をわかりやすく解説
更新日:2019年3月19日
最近の日商簿記2級の試験では、第3問で「財務諸表の作成問題(損益計算書、貸借対照表)」又は「精算表の作成問題」のどちらかが出題されています。
財務諸表に苦手意識を持っている受験生は多いですが、「財務諸表」と「精算表」の作成問題の対策をしっかりと行っておくことが、合格のポイントとなります。
そこで今回は、日商簿記2級の第3問でよく出題される「財務諸表(損益計算書、貸借対照表)」にスポットをあてて、受験生に役立つ情報をご紹介していきます。
簿記2級、第3問で出題される「財務諸表」って何?
財務諸表には「損益計算書」「貸借対照表」「株主資本等変動計算書」がある?
財務諸表とは企業が1年に1回、作成する「自社の成績表」のこと。
「1年間にいくら儲けたか?」「財産がいくらあるか?」などを明らかにするための書類です。
財務諸表には、「損益計算書」「貸借対照表」「株主資本等変動計算書」の3種類があります。
最近の日商簿記2級の試験では、第3問で「財務諸表の作成問題(損益計算書、貸借対照表)」か「精算表の作成問題」のどちらかが出題される傾向があります。
損益計算書とは?
「損益計算書」とは、その会社が1年間でどれくらい儲けたかを表す、「収益」と「費用」をまとめた表です。
なお、3級では借方と貸方に分けて記入する「勘定式」を学びましたが、2級では縦に並べて記入する「報告式」を学習します。
(フォーサイト『簿記2級 商業テキスト』より)
貸借対照表とは?
「貸借対照表」とは、その会社が現金や商品、建物などの資産をどのくらい持っているかを表す表です。
「資産」「負債」「純資産」をまとめているため、会社の実際の財産がわかります。
(フォーサイト『簿記2級 商業テキスト』より)
株主資本等変動計算書とは?
「株主資本等変動計算書」とは、その会社の純資産が1年間にどれだけ変動したかを表す表です。
株主への配当金や別途積立金など、会社が利益を何に使用したかを知ることができます。
(フォーサイト『簿記2級 商業テキスト』より)
簿記2級、財務諸表の作成問題をチェック!
簿記2級、財務諸表の作成問題(サンプル問題)を見てみよう
日商簿記2級の試験では、第3問で以下のような「財務諸表の作成問題」が出題されます。問題文にボリュームがあるため、慣れないうちは時間がかかるかと思います。
ですが、心配する必要はありません。過去問演習を繰り返すことで出題パターンが分かり、解くスピードも自然と早くなっていくので、できるだけ多くの過去問を解き、解き方のコツを頭と体で覚えていきましょう。
次に示したX商会株式会社の[資料Ⅰ]、[資料Ⅱ]および[資料Ⅲ]にもとづいて、答案用紙の損益計算書を作成しなさい。なお、会計期間は平成25年4月1日から平成26年3月31日までの1年である。 [資料Ⅰ] [資料Ⅱ]未処理事項
[資料Ⅲ]決算整理事項
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(フォーサイト『簿記2級 問題集』より)
日商簿記2級、「財務諸表作成問題」の出題傾向を教えて!?(第3問対策)
先にも書きましたが、最近の日商簿記2級の試験では、第3問で「財務諸表の作成問題(損益計算書、貸借対照表)」又は「精算表の作成問題」のどちらかが出題されています。
出題頻度は、財務諸表の作成問題が140・142・143・145・147・150回、精算表の作成問題が141・144・146・148回、本支店会計が149回。
この結果から、「財務諸表作成問題」の出題率が非常に高いことがわかります。
試験勉強では、「財務諸表」と「精算表」の作成問題の対策をしっかり行いましょう。
日商簿記2級、「財務諸表作成問題」の解き方を教えて!?(第3問対策)
基本的に解き方は精算表と同じですが、問題にボリュームがあるので、仕訳を切るスピードが合否をわけるポイントとなります。
まずは、貸借対照表と損益計算書の基本的な形式を頭に入れ、直近の過去問演習で、解答スピードを上げていきましょう。
解き方は、「取引に応じて仕訳を切り、それを集計する」ことが基本のスタイルです。
ただ、日商簿記2級の試験は時間との戦いになるので、慣れてきたら「Tフォーム勘定で集計をする」テクニックも身につけておきたいところです。
試験では40分前後で解くこと、部分点を稼ぐことを目標にしましょう。
具体的な解き方としては、以下の手順となります。
(1)計算用紙にTフォーム勘定をつくる。
(2)残高試算表の勘定科目と残高を書き写す。
(3)頭の中で仕訳をイメージして、数字だけを書き込んでいく。
簿記2級、清算表って何?
日商簿記2級試験の第3問で、「財務諸表の作成問題」と並びよく出題されるのが、「精算表の作成問題」です。
精算表とは、「決算作業を一つにまとめた表」のこと。
決算整理前残高試算表から、損益計算書と貸借対照表を作成する過程を示した一覧表です。
精算表の作成方法は基本的に3級と同じなので、過去問演習を繰り返し、早く正確に作成できるようにしておきましょう。
ただ、2級試験では株式会社を想定したものになるので、その点は注意が必要です。
詳しくは 「簿記2級、精算表とは? 清算表の問題・解き方をわかりやすく解説」で説明しています。
日商簿記2級は平成28年4月以降、難問の出題が続いているって本当?
日商簿記2級試験では、平成28年6月から3年間にわたって、試験範囲の変更が行われました。
そのため毎回、新論点の出題があり、過去問演習では対応できない「初めて見る問題」に悩まされた受験生も多いようです。
第3問の試験範囲では、「サービス業の損益計算書」が新たに追加されました。
初見の問題にもしっかりと対応できるよう、問題文をしっかりと読み、新論点に対応したテキストや問題集で合格力をつけていきましょう。
まとめ
今回は、日商簿記2級の第3問でよく出題される「財務諸表(損益計算書、貸借対照表)」にスポットを当て、「財務諸表の作成方法」「試験の出題傾向」「財務諸表作成問題の解き方」「精算表とは?」「平成28年度以降、難問の出題が続いている?」などについてご紹介しました。
財務諸表の作成問題は、問題文のボリュームが多いため、苦手意識を持つ受験生が多いですが、基本的には精算表とほぼ同じことです。
過去問演習を繰り返すことで、パターンがわかり、解くスピードも早くなるので、できるだけ多くの過去問を解き、解き方のコツを身につけていきましょう。