日銀短観と物価指数とは?|わかりやすくFP解説

日銀短観と物価指数とは
目次

日銀短観とは

日銀短観とは、全国企業短期経済観測調査のことをいいます。
これは、全国約1万社の企業の経営者を対象としたアンケート調査です。
日本銀行が、資本金約2,000万円以上の企業を対象に、年4回調査し発表します。
年4回とは、3月・6月・9月・12月に行われます。
調査対象の企業の業種は、製造業から非製造業まで多岐にわたっています。
調査の結果は、回答率が高く速報性もあるため、市場関係者の注目度も高くなっています。
日銀短観の中で最も注目されるのが、業況判断(DI)です。

業況判断(DI)とは

業況判断(DI)とは、「良い」と回答した割合―「悪い」と回答した割合を示しています。
業況判断(DI)が上昇に転じたときは景気が拡大(回復)局面に入り、下降に転じたときは景気が縮小(後退)局面に入ることが多いとされています。

日銀短観の調査内容とは

業況、国内需要、海外需要、在庫水準、流通在庫水準、雇用人員、資金繰り、金融機関の貸出態度、借入金利水準、CPの発行環境、販売価格、仕入価格をいいます。

日銀短観の調査方法とは

調査では、調査内容の項目の「最近」と3カ月先の「先行き」について企業の判断を求め、「良い」、「さほど良くない」、「悪い」などの選択肢から企業が回答した結果を指数化します。
この指標は、経営者の主観的な判断に基づく数値ですが、それだけに実感とのズレが少なく、DIの動きと景気の山・谷の動きが一致することが多いことが特徴です。

物価指数とは

物価指数には、企業物価指数(CGPI)と、消費者物価指数(CPI)があります。
それぞれの違いや特徴をみていきましょう。

企業物価指数とは

国内の企業間取引における商品の価格変動を指数化したもので、この中にサービスの価格は含まれません。広義の企業物価指数には、上記の国内企業物価指数(CGPI)のほか、輸出品の価格を対象とした輸出物価指数(EPI)、輸入品の価格を対象とした輸入物価指数(IPI)があります。
日本銀行が毎月公表しています。翌月に速報値を、翌々月に確報値を公表します。 企業物価指数は為替や原油価格などの変動が直接影響しますので、短期的に大きく変動することがあります。
したがって、長期的な判断を行う場合には、消費者物価指数を用いることが多く、マーケット関係者も消費者物価指数に注目することが多いようです。

消費者物価指数とは

全国の世帯が購入する商品やサービスの物価変動を指数化したもの、すなわちある時点の世帯の消費構造を基準に、これと同等のものを購入した場合に必要な費用がどのように変動したかを指数値で表したもので、消費税を含んだ価格で集計され、各種経済施策や公的年金額の改定などに利用されています。
これは毎月総務省が公表します。
為替や原油、輸入小麦などの原材料価格の変動は、企業物価指数にはすぐに影響しますが、 それは小売価格に反映されて消費者物価指数に影響を与えるまでには時間がかかりますので、企業物価指数は消費者物価指数の先行指標ともなります。

物価指数とは

マネーストックとは

マネーストックとは、市中に出回る通貨量の残高を示す統計で、日本銀行が毎月、前月の数値を公表しています。
2008年6月公表分より、旧来のマネーサプライ(通貨供給量)から名称が改められ、通貨保有者の対象と各指標の範囲も変更されました。
政府と金融機関を除く、個人(家計)、一般法人、地方公共団体等が保有する通貨の総量を表すもので、通貨の範囲に応じて次の4つの指標があります。

  1. M1
    現金通貨(銀行券、貨幣)+預金通貨(当座・普通預金等)
    M1の対象は、全預金取扱機関です。この金融機関にはゆうちょ銀行や信用組合、農協等を含みます。
  2. M2
    現金通貨+国内銀行等に預けられた預金
    M2の対象は、日本銀行、国内銀行等です。この金融機関にはゆうちょ銀行を含みません。
  3. M3
    M1+準通貨(定期預金+据置貯金+定期積立+外貨預金)+CD(譲渡性預金)
    →現金通貨+全預金取扱機関に預けられた預金
    M3の対象は、全預金取扱機関です。この金融機関には、ゆうちょ銀行や信用組合、農協等を含みます。
  4. 広義流動性
    M3+金融信託+投資信託+金融債+銀行発行普通社債+金融機関発行CP+国債+外債 広義流動性の対象は、M3対象金融機関、国内銀行信託勘定、中央政府、保険会社等、外債発行機関です。

マネーストックは実体経済や物価の動向と密接な関係を有していますので、重要な経済指標とされています。

その他の経済指標とは

その他の経済指標に、新設住宅着工戸数があります。
これは都道府県知事に新築や増改築の着工の届出があった居住用区画の件数です。
国土交通省が毎月発表します。住宅の増加は、住宅用設備のほか、家具や家電製品等、様々な需要を生みますので、消費動向、景気動向を判断する指標の一つとなります。

日銀短観と物価指数に関するよくある質問

景気と金利の関係には景気が良くなると金利は上昇とありますが、公開市場操作には買いオペをすると金利は低下して景気回復となります。
景気が上がるには金利は低下なのか上昇なのか知りたいです。
  • 買いオペにより景気拡大すると、企業活動拡大のためお金を借りたいと考える人が増え、金利は上昇する。
  • 売りオペにより景気抑制すると、企業活動縮小のためお金を預けたいと考える人が増え、金利は低下する。
ということとなります。
この一連の流れをまとめて考えられると、金利と景気の関係がご理解いただけるかと思います。
日銀短観は、前回の結果と比べて景気の良し悪しを判断するのですか。
日銀短観が始まったのは、1974年5月です。すでに46年以上続いており、歴史が長い分同じ調査項目についてのデータが蓄積されています。
過去の同じような景気の局面と比べてどのような水準にあるのか、調査の結果を比較したり、業種ごとの特徴を探ったりすることができます。
このように時系列での評価や産業横断的な分析などをおこなって判断します。
マネーストックとは全世界共通の概念なのでしょうか。
通貨(マネー)として何を金融商品に含めるかについては、国や時代によって異なります。日本ではM1~3と広義流動性の4つの分類をして数量を掌握しています。
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