金融資産運用とは?|わかりやすくFP解説

金融資産運用とは?
目次

金融資産運用とは

金融資産運用とは、個々の金融資産の性格を見極め、それぞれに適した方法で無駄の無いよう資産を運用していくことをいいます。

このコラムでは、金融商品の特性やリスクを押さえることで、どのような方法が効率的に運用していくことができるのかをみていきたいと思います。

金融商品の性格とは

実際に金融商品を選択する際には、次の3つの性質に留意しなければなりません。

換金性とは

いつでも簡単に現金化できるかどうかの度合いのことをいいます。換金性は別名「流動性」とも呼ばれます。

資金が必要になったときにすぐに引き出すことができる商品を「換金性が高い商品」といいます。銀行の普通預金、ゆうちょ銀行の通常貯金が代表的商品です。

安全性とは

値上がり、元本割れのリスクがどのくらい小さいかという度合いをいいます。安全性は別名「確実性」とも呼ばれます。

預け入れた金額が保証される商品を「安全性が高い商品」といいます。銀行の定期預金や国債が代表的商品です。

収益性とは

どれだけ資金(=元本)を大きく増やせるかという度合いのことをいいます。収益性は別名「利殖性」とも呼ばれます。

同じ元本でも増え方が大きい商品を「収益性が高い商品」といいます。株式が代表的商品です。

資金の3分類とは

資金は、それぞれの特性に応じて以下の3つに分けることができます。

流動性資金とは

日常の生活資金や、いざというときのためにいつでも引き出せるようにしておきたい資金をいいます。

確実性資金とは

資金の使途が決まっており、元本を保全しながら安全かつ確実に運用したい資金をいいます。

利殖性資金とは

当面使うことのない余裕資金で、元本に多少損失が生じても家計に影響を与えない、高収益を狙いたい資金をいいます。

リスクとリターンの関係とは

運用によって得られる収益をリターンといいます。金融商品は、リターンの大きい(=収益性が高い)商品ほど、リスクも大きくなる傾向があります。

したがって、金融商品の性質のうち、安全性(=リスクの小ささ)と収益性(=リターンの大きさ)は、トレード・オフの関係にあり、一般に、安全性が高いものほど収益性は低く、収益性の高いものほど安全性は低くなります。

トレード・オフの関係とは

トレード・オフの関係とは、一方を立てれば他方が立たない、二律背反の関係を意味します。

安全性と収益性はトレード・オフの関係にありますが、リスクとリターンについては、一方が大きくなるほど他方も大きくなるという比例関係にあります。したがって、リスクとリターンはトレード・オフの関係にはありません。

しかし、以前のFP2級の試験問題で「リスクとリターンの関係がトレード・オフの関係にある」という表現が出たことがあります。これは、本来は誤りですが、試験問題の上では正しいとされました。

この表現は「リスクの小ささ(=安全性)」と「リターンの大きさ(=収益性)」がトレード・オフの関係にあるという意味だと理解しましょう。

トレード・オフの関係とは

リスクと分散投資とは

リスクには様々な種類があります。まずは、それぞれのリスクをみていきましょう。

金融商品のリスクとは

そもそも、金融商品のリスクとはどのようなものを指すのでしょうか。

金融商品には必ず何かしらのリスクがあります。リスクのない金融商品は存在しません。金融の分野で言うリスクとは、本来、「変動が生じる可能性(=不確実性)」を意味します。しかし、一般的には、おもに「損失を被るような変動が生じる可能性」を意味することが多いです。

FPとしては、考えられるすべてのリスクを考慮して、できるだけリスクを低減するような手法をとる必要があります。

信用リスク・デフォルトリスクとは

資産を預けている金融機関、債権や株式等の発行体、契約している保険会社等の信用低下や倒産によって、元本および利息の回収不能や保険契約の不履行が生じる可能性をいいます。

価格変動リスクとは

文字通り、金融商品の価格が変動することによって、資産価値が増減する可能性をいいます。

金利変動リスクとは

金利の変動により債権の価格が上下する可能性です。

流動性リスクとは

資金が必要なときにすぐに換金できない、または予定を下回る金額でしか換金できない可能性をいいます。

インフレリスクとは

物価上昇によって、資産価値が目減りする可能性をいいます。

為替リスクとは

為替相場の変動によって、資産価値が増減する可能性をいいます。

カントリーリスクとは

発行体が属する国の政治・経済情勢に起因して債券や株式の価値が変動する可能性、いわば国家の信用リスクをいいます。

分散投資とは

金融商品の持つ様々なリスクを低減させるために、最も有効な手段と考えられているのが分散投資です。

様々なリスクから資産を守るために大切なことは、様々な資産を持つようにすることです。分散投資の基本は、「ある要因によって同じような価格変動をする商品を同時に所有しない」、言い換えれば「ある要因によって逆の価格変動をする商品を同時に所有する」ということです。

投資対象の分散とは

一般に、単に分散投資といえば、投資対象の分散(様々な対象へ分散して投資すること)を指します。

投資対象の分散には、株式・債券・預金・不動産などの異なる資産(市場)への分散、同一市場の中での銘柄分散、国内および諸外国への国際分散など、様々な分散方法があります。

時間分散とは

投資するタイミングを何回かに分けることで、価格が変動する商品を高値で買ってしまうリスクを避ける方法です。代表的な手法はドルコスト平均法です。

運用を長期に続けるほど、価格変動リスク(リターンのブレ)が平均かされて、1年あたりのリスクが小さくなる効果があります。また、運用期間の長さを分けて複数の商品で運用することを投資期間の分散といいます。

金融資産運用に関するよくある質問

金融資産の分類に関し、収益性の高い商品はすべてリスクが高いのでしょうか。

一般に収益性の高さとリスクの低さはトレード・オフの関係にあると言われています。すべてと言い切ることはできませんが、多くの金融商品は、上記のような状態であるとご理解ください。

2つの資産に分散投資する場合、両資産の相関係数が-1だと、値動きが全く逆の動きをすることを意味し、リスク低減効果は大きくなるということは、リスク低減効果が大きくなる代わりに、リターンはあまり期待できませんという意味に繋がりますか。

リスク低減効果が高い、大きいということは、その分高いリターンは期待できないことになります。したがって、正しい認識です。

分散投資には、具体的にどのようなものがありますか?

分散投資には、投資対象の分散、投資時期の分散、長期投資による分散があります。

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