金融関連法制とは?|わかりやすくFP解説

金融関連法制とは?
目次

金融関連法制とは

消費者契約法や金融商品販売法、消費者契約法などの、社会的弱者である消費者を守ることを目的とした法律をいいます。
このような法律を正しく理解し遵守していくことがファイナンシャルプランナーには求められます。

消費者契約法とは

消費者と事業者との間の格差を考慮して、消費者を擁護するための法律です。消費者と事業者との間で締結される契約は、労働契約を除き、すべて「消費者契約」としてこの法律の適用を受けます。ただし、この場合の「消費者」とは個人に限られます。
消費者は、事業者の不適切な行為により誤認または困惑させられたことを原因として消費者契約を締結したときには、その契約を取り消すことができます。
事業者の損害賠償責任を免除する条項など、消費者の利益を一方的に害する契約条項は無効とされます。
消費者契約法の時効については、消費者が誤認や困惑に気づいたときから1年、もしくは契約締結時から5年を経過したときとされています。
事業者が消費者を誤認・困惑される行為には次のようなものがあります。

誤認行為とは

  • 不実告知…重要事項について事実と異なることを告げることが不実告知に当たります。
  • 断定的判断…将来における変動が確実な事項につき断定的判断を提供することがこれに当たります。
  • 不利益事実の不告知…重要事項についての消費者の利益となることを告げ、かつ、不利益となる事実を故意に告げないことがこれに当たります。
金融関連法制とは?

困惑とは

  • 不退去…消費者の自宅や会社から事業者が立ち去らないことがこれに当たります。
  • 監禁…事業者の営業所等から消費者を帰してくれないことがこれに当たります。

金融商品販売法とは

金融商品販売法では、金融商品販売業者に重要事項の説明、損害賠償責任、勧誘方針の策定・公表を求めています。保護の対象は個人と法人で、プロは除きます。
説明すべき重要事項には、元本欠損を生ずるおそれ(リスク)の有無およびその要因、権利行使期間や解約期間の制限などがあります。ただし、重要事項の説明についての顧客が不要であると申し出た場合には、行わなくても良いとされています。
金融商品販売業者が重要事項の説明を怠ったり、不確実な事項について断定的判断を提供したりしたことによって顧客に損害が発生した場合には、顧客が業者の違反を立証すれば、業者に対して損害賠償を請求することができます。
損害賠償の請求に当たっては、元本欠損額が顧客の損害額と推定されます。

金融商品販売法の対象商品とは

金融商品販売法の対象は、有価証券(株式、債券、投資信託等)の他、預貯金、信託、保険、外国為替証拠金取引(FX)など、金融商品全般に及びますが、商品先物取引とゴルフ会員権は対象外となっています。

消費者契約法と金融商品販売法の関係とは

金融商品取引においては、消費者保護のため、金融商品販売業者に対して、2つの法律がそれぞれ次のように機能します。

  • 業者の不当な勧誘行為により契約した場合(損害の有無は問いません)
    この場合、消費者契約法の適用で契約が取り消されます。
  • 業者の説明義務違反や断定的判断の提供により損害を被った場合
    この場合、金融商品販売法の適用により、損害賠償を請求することができます。
  • 上記の両方に当てはまる場合
    この場合、両方の法律を併せて適用します。

犯罪収益移転防止法とは

国際的なマネー・ロンダリング防止やテロ資金対策の為、金融機関等には顧客の本人確認と取引記録の保存が義務付けられています。
これにより、銀行等の窓口で10万円を超える現金による振り込みを行う場合には、運転免許証や保険証等の本人確認書類の提示が求められ、ATMでの10万円を超える現金振込はできなくなりました。
現金ではなく、自分の預金口座を通じて振込を行う場合には、本人確認は不要とされています。

マネー・ロンダリングとは

資金洗浄のことをいいます。犯罪などによって得られた不当な資金の出所をわからなくすることをいいます。

金融商品取引法とは

従来の証券取引法を抜本的に改正した法律です。これまで金融商品ごとに別々の法律で定めていた販売・勧誘ルールを一本化して、投資性の強い金融商品を幅広く対象とする横断的な制度を整備し、利用者保護ルールの徹底と利用者利便の向上を図っています。
預金や保険は対象となりませんが、投資性の強い外貨預金・デリバティブ預金(仕組み預金)や外貨建て保険・変額保険等(特定保険契約)については、それぞれ銀行法、保険業法の改正によって、金融商品取引法の販売・勧誘ルールが適用されます。
金融商品取引法に定められた販売・勧誘ルールには、次のようなものがあります。

  1. 広告の規制
  2. 契約締結前の書面交付義務
  3. 断定的判断の提供の禁止
  4. 適合性の原則

金融関連法制に関するよくある質問

金融商品取引法における書面の交付義務について教えてください。
書面の交付義務ですが、金融商品取引法においては、契約を締結する前と後に一定の書面を交付しなくてはならないと規定されていますが金融商品販売法においては、書面の交付義務は規定されておらず重要事項を説明しなさい、としかありません。
金融商品取引法の対象商品を教えてください。
金融商品取引法の対象商品は、投資性のある金融商品で、国債、地方債、社債、株式、投資信託、信託受益権、集団投資スキーム持ち分、様々なデリバティブ取引となっております。一般の預金、保険等は対象外です。いっぽう、金融商品販売法の対象商品は、預貯金、定期積金、国債、地方債、社債、株式、投資信託、金銭信託、保険・共済、抵当証券、集団投資スキーム持分、様々なデリバティブ取引、有価証券オプション取引、海外商品先物取引などが対象で、金融商品取引法の対象範囲より広くなっています。ただし、商品先物取引(国内)は対象外です。金融商品販売法は、幅広い金融商品の販売に関して損害賠償請求ができるとした法律で、金融商品取引法と金融商品販売法は、いわば車の両輪です。

金融商品取引法は、契約内容(重要事項等)について記載した書面の交付を義務づけています。金融商品販売法は、販売業者が・契約内容のうち、特に重要な事項について販売業者に説明義務を課し、その違反により損害を被った場合、・販売業者に断定的判断の提供等を禁止し、その違反により損害を被った場合、といった行為により損害を被った場合には、販売業者に損害賠償請求ができます。
金融商品販売法は、重要事項の説明義務がありますが、(宅建業法35条の重要事項説明のように)書面作成が要件なのですか。口頭説明のみですか。金融商品取引法では、(宅建業法37条の契約のように)契約の書面交付が義務づけられているようですが。ピンときません。
金融商品販売法の条文上は、書面作成交付は要件とはなっておりませんが、各金融機関では文字で表記することで説明しているところもあります。一方、取引法では、重要事項が記載されている書面を、契約締結前に交付することが義務となっております。購入する金融商品の重要事項の説明は必須だからです。
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