資金計画とは?(1)住宅取得のための資金計画

資金計画
目次

資金計画とは

FPの主な役割として、ライフプランニングがあります。

ライフプランには以下の3つの領域あります。

  1. 精神的側面

    これは、生きがいに通ずるものです。いわゆるライフデザインと呼ばれる領域です。

  2. 身体的側面

    2つ目は、健康管理に関するものです。健康管理無くして、理想の実現は叶いません。

  3. 経済的側面

    最後は、資金計画に関するものです。これがいわゆる資金計画と呼ばれます。別の呼び方では、ファイナンシャル・プランニングとも言います。FPは、顧客の自己実現のお手伝いをするため、主にこの領域に関与していきます。

住宅取得のための資金計画

資金計画の大きな柱の1つに「住宅取得のための資金計画」があります。

多くの人にとって、マイホームの取得は人生の夢や目標であり、長い人生の中でもっとも高額な買い物と言えます。

さらに昨今の経済状況では、一度取得した住宅を家族構成やライフスタイルに合わせて容易に買い換えることは困難な時代であるといえます。

したがって、マイホームの取得の際には、生涯のライフプランを立て、それに基づいた住宅の種類、広さ、予算、購入時期などを決めることが必要です。

特に、予算を立てる場合は、通常は自己資金に借入金を合わせて購入するため、借入金額を決めるときに、「いくら借りることができるか」ではなく「いくらまでなら返せるか」という考え方を基に検討する必要があります。

とはいえ、これからの時代は高額な負担を要する「所有する」という考え方のみならず、定期借地権住宅や、賃貸住宅も含めた生活優先型の「利用する」という選択肢も一考です。

住宅の種類

  1. 所有権住宅…戸建て住宅・分譲マンション
  2. 定期借地権住宅…戸建て住宅・分譲マンション
  3. 賃貸住宅…借家(公営・民間)・賃貸マンション(公営・民営)
  4. 社宅・借り上げ社宅…戸建て住宅・集合住宅

それぞれのメリット

項目 所有権 定期借地 賃貸 社宅
1.自己資金負担 ×
2.取得時費用負担 ×
3.維持費(税金・地代・修繕費等) ×
4.ステータス ×
5.地価変動による影響 - -
6.50年後の住まいの確保 × ×
7.所有者死亡後のローンや家賃負担 × ×

住宅取得資金

住宅取得資金=自己資金+住宅ローン

自己資金には、住宅ローンの頭金や購入諸費用、税金、引っ越し費用などが含まれているものとします。

住宅取得資金

必要な自己資金

金融機関は、住宅ローン申込者の収入に対する返済割合を審査し、購入する住宅に対して担保の裏付けとなる評価額を設定して融資限度額を決定します。

担保評価は、一般的に物件価格の20~30%以上の頭金と諸費用を合計したものを自己資金として準備する必要があります。

購入(取得)時には、様々な費用として税金や手数料などが発生しますので、諸費用として物件価格の10%は用意した方がよく、また、将来の返済負担を軽くするためにもできるだけ自己資金は多く準備するようにしましょう。

購入時にかかる税金と諸費用

  • 不動産取得税
  • 登録免許税
  • 消費税(建物)
  • 印紙税(請負契約書、売買契約書、金銭消費賃貸契約書に添付)
  • 仲介手数料
  • ローンの事務手数料
  • ローン保証料(保証会社を利用する場合)
  • 団体信用生命保険料(フラット35利用の場合)
  • 火災保険料
  • 修繕積立金(新築マンションの場合)
  • 土地家屋調査士や司法書士への手続き報酬
  • 引っ越し費用

目安としては、新築物件は物件価格の3~7%程度。

中古物件は、物件価格の6~10%程度となります。

住宅取得のための貯蓄計画

資金の調達方法としては、大きく分けて2種類あります。

1つは、自己資金です。

これは、自助努力による貯蓄や積立、また、親や親類等からの贈与によります。

2つ目は、融資です。

公的融資や民間融資の利用や、親族等から借りる方法があります。

住宅関連貯蓄

住宅取得のための貯蓄として、財形住宅貯蓄があります。

財形住宅貯蓄は、財形貯蓄の1つで、持家取得を目的に、給与天引きにより積み立てることができ、「財形住宅貯蓄+財形年金貯蓄=元利合計550万円」まで利子等が非課税とされます。

対象者 申込時の年齢55歳未満の勤労者。1人1契約。
積立期間 5年以上定期的に積み立てることが必要。
5年未満でも目的払い出しは可能です。
資金使途 住宅の新築・購入・増改築(工事費が75万円を超えるもの)。
払出し 住宅取得以外の払出しは認められませんが、払出しは可能です。
その際貯蓄型は5年間・保険型は積立開始時からの利子に遡及課税されます。

住宅取得のための資金計画に関するよくある質問

提案書に関する質問です。

住宅ローンを組むに当たり、親からの援助を受ける場合は自己資金に加えるのでしょうか?それとも頭金という考え方ですか?

親からの援助を受けた場合、それを全額「頭金」に充当するのか、「頭金」に加えてそれ以外の取得費用等にも充当するのか、あるいは「頭金」に充当せず全額取得諸費用に充当するのかは相談者の考えや事情により異なりますので、よく相談者と話をしてどのように充当するかをご提案すべきですが、一般的に住宅ローンを組む場合「頭金」を少しでも多く用意すると、その分先々の返済金額を少なくすることができます。

なおキャッシュフロー表上は、親からの援助はその他収入に記載すればよいでしょう。

住宅取得資金について、借換えには公的融資は利用できないとありますが、フラット35は借換え可能となっています。利用できない公的融資は何があるのでしょうか。

借換え先としてフラット35を利用することは今は可能です。フラット35の前身である国民金融公庫時代の制度をひきずって、借換えに利用することはできない時期もありましたが、フラット35は、厳密にいえば公的融資ではないので、今は借換え先に利用することが可能です。

フラット35は独立行政法人が融資制度のバックアップをしており、貸出し資金そのものは投資家から集めた資金なので、公的融資ではないのです。一般的に、公的融資を借換え先として利用することはできません。例としては、財形住宅融資、地方自治体が実施している融資があげられます。

課題の提案書作成中ですが、キャッシュフロー表の一時支出に頭金を入れた場合、住宅取得費はその分差し引いた金額になりますか?
支出する頭金をキャッシュフロー表の一時支出に計上する場合、頭金以外に住宅取得費として支出するならば、一時支出に計上します。実際に支出した金額をキャッシュフロー表に計上していくことになります。
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