FP2級の難易度と合格率は? 他の級や資格とも比較

ファイナンシャルプランナー2級の難易度

ファイナンシャルプランナーとしてのステータスを上げたり、その道で活躍したりするために、FP2級を狙う方もいるでしょう。その準備段階として、難易度や合格率を知ることが大切です。

難しさを知ることで、必要な勉強量を考えられます。自身がFP2級に通用する可能性を知れるでしょう。ここではFP2級の難易度を、さまざまなポイントから分析してみました。資格取得のヒントがわかるので、ぜひ最後までご覧ください。

目次

FP2級の合格率

FP2級の合格率は、学科と実技で分かれています。2019年からのデータを確かめてください。

試験時期 学科 実技
2019年1月 48.26% 50.31%
2019年5月 40.17% 62.65%
2019年9月 43.42% 62.63%
2020年1月 41.86% 62.61%
2020年5月 中止 中止
2020年9月 49.19% 57.37%
2021年1月 44.02% 71.01%
2021年5月 55.61% 66.67%
2022年1月 41.51% 56.33%


FP2級の難易度は、実技よりも学科の方が高い印象です。実技では6割以上の合格率が相場になりますが、学科だと5割弱にとどまります。以上から学科試験でつまづく方が比較的多いようです。

FP2級同時受験者の合格率は?

FP2級では、一回のうちに学科と実技の両方に合格する方もいます。その対象者のデータを以下にまとめました。

試験時期 合格率
2019年1月 40.39%
2019年5月 40.68%
2019年9月 43.41%
2020年1月 41.90%


学科と実技の両方に合格する可能性は、約40%が相場です。FP2級の難易度は資格試験としてはそれほどハイレベルとはいえません。入念な準備を整えていれば、多くの問題を解けます。

FP2級の資格の早期取得では、学科だけでなく実技の準備も重要です。2つの科目をバランスよく学べば、FP2級に合格するだけの知識をある程度備えたことになります。以上から、FP2級合格まで時間がかかりそうだとおそれすぎる必要はありません。

FP2級と3級の難易度の違い

FPには1級から3級まであります。3級に合格してから2級にチャレンジする方もいるでしょう。ここでは2級と3級のレベルの違いを紹介します。級がひとつ違うだけで、どこまで難易度が変わるかを知りましょう。

2級と3級の合格率の違い

2級と3級の合格率の差は、学科と実技の同時受験でともに合格した方の割合でわかります。それぞれのデータを確かめてください。

試験時期 2級合格率 3級合格率
2019年1月 40.39% 73.50%
2019年5月 40.68% 70.61%
2019年9月 43.41% 72.43%
2020年1月 41.90% 76.71%


2級と3級の合格率の差は、およそ30%です。学科と実技の同時合格率相場では、2級が約40%、3級は約70%になります。3級を簡単にクリアできても、2級でつまづく方が多いと想定してください。

同じ資格でもランクが上がれば、一気に難しくなる可能性があります。受験予定の級に応じて、テキストや過去問から入念に学びましょう。

2級の方が出題範囲が広い

2級と3級では、前者の方が出題範囲が広いといえます。同じ資格でも級が上がれば、問われる範囲が広くなるうえ、求められる知識も細かくなりがちです。3級の知識だけでは対処できないものが多くなることに気をつけてください。

たとえばFPの出題分野のうち、ライフプランニングでは3級にはなかった中小法人資金計画があります。3級では個人の金融相談に備える知識が中心でしたが、2級では法人からの相談に応じられるだけの知識も重要です。

タックスプランニングの分野でも2級に限り、法人税や法人住民税、消費税などの問題が出ます。さらに相続や事業承継の分野では2級に限り、事業継承対策や事業、経営関連の問題が出る仕組みです。

このように2級では、法人や企業への対応に関する知識が必要になります。以上から3級よりも題材が多くなり、難易度も上がるのです。

2級は回答形式も難しい

3級よりも2級の難易度が高い要因として、回答形式の違いもあります。2級は実技で記述式の問題に答えなければなりません。回答形式について、以下の表を確かめてください。

試験形式 3級 2級
学科 マークシート60問 マークシート60問
実技 マークシート20問 記述40問

FP2級では、記述問題への対応力がカギになります。3級は実技もマークシートで答えるため、比較的プレッシャーを感じなくてよいでしょう。しかし記述問題は選択肢がないぶん、事前に得られる情報が少ないのが難点です。問題に関連した知識が少ないと、まったく答えられないリスクもあります。

またマークシートに関しても3級は2択か3択で構成されています。一方で2級はすべての択一問題が4択です。ダミーが多いほど、正解を見分けづらいといえます。このように2級は3級と比べて、格段に答え方が難しくなるのです。

2級は受験資格を得るまでも難しい

FP2級と3級では受験資格も違います。とくに2級は無条件で受けられるわけではありません。資格を得るまでのプロセスも難しい点に気をつけてください。

たとえば3級は、FPへ従事しているか、そうしようとしている人物が受験資格です。しかしFPに従事しようとする意思は、受験者なら誰にでも当てはまるでしょう。以上から実質的な条件はないと考えられます。

しかし2級は受験資格について、以下のように厳密な規定があります。

  • FP技能検定3級、または旧審査試験である金融渉外技能審査3級に合格
  • 日本FP協会によるAFP認定研修修了証明書を持っている
  • 2年以上のFP業務における実務経験

以上のどれかに当てはまらないと、FP2級にはチャレンジさえできません。一般的とされるのが3級合格からの挑戦です。以上からファイナンシャルプランナーになりたくても、いきなり2級に挑むのは難しいといえます。

FP2級と1級の難易度の違い

FP2級と1級の難易度比較もしてみましょう。それぞれの違いを比べれば、1級との難易度の差がわかります。合格率や出題内容などから確かめてください。

2級と1級を合格率で比較

FP2級と1級の合格率の違いを見てみましょう。

試験時期 2級 1級
学科 実技 学科 実技
2021年1月・2月(再実施除く) 23.42% 45.58% 9.95% 88.49%
2021年5月・6月 33.82% 44.76% 20.05% 85.27%
2021年9月・10月 25.46% 40.03% 13.03% 85.16%
2022年1月・2月 19.50% 45.34% 6.67% 85.88%


2級は1級よりも学科試験の合格率が高いといえます。しかし実技では1級の方が高いのが特徴です。

1級の場合は学科試験もハイレベルなので、そこで正解率が高い場合は、充分な専門的知識を有しているのでしょう。以上から実技での対応力も高くなると考えられます。

それでも学科試験の合格率が高いぶん、2級の方がプレッシャーが少ないという考えもあるでしょう。

FP1級より2級は受験資格取得が容易

FP2級は、1級より受験資格を取りやすいといえます。1級を受けられるようになるまでのプロセスが複雑だからです。受験資格の違いについて、以下の表を確かめてください。

ランク 受験資格(いずれか1つ)
2級
  • FP3級、または金融渉外技能審査3級合格
  • 日本FP協会認定のAFP研修修了
  • FP業務で2年以上の実務経験
  • 日本FP協会のCFP認定者
  • 日本FP協会主催のCFP資格審査試験合格も認定は受けていない(合格日から翌々年度末まで有効)
  • きんざい(金融財政事情研究会)主催のFP1級試験で、学科試験は一部合格している(合格した試験当日から翌々年度末まで有効)
  • FP1級合格
  • きんざいによる普通職業訓練短期課程金融実務家FP養成コース修了後、1年以上実務経験あり(コース修了日から翌々年度末まで有効)


上記で特徴的なのは、FP2級に合格しても、すぐに1級に挑戦できないことです。たとえばFP3級に合格すれば、そのまま2級にチャレンジできます。しかし1級に臨むなら2級合格後、実務経験やCFP認定のような実績を得なければなりません。

以上から1級よりも2級の方が、チャレンジしやすい環境です。

2級は1級より出題内容が優しい

FP2級は1級よりも問題のレベルが低いといえます。級が下であるほど、問われる知識が少ないといえます。出題範囲も狭く、複雑な情報もあまり見られないでしょう。以上から2級は受験に向けた準備をしやすいといえます。

たとえば同じ法人生保の経理処理を扱った問題でも、2級は基礎知識で解けます。FPでは法人関連の金融知識を求められるのは、2級からです。そのため法人を扱う問題は、基本的な知識だけを問う問題が目立つでしょう。

しかし1級になると、個人だけでなく法人関連の金融知識でも複雑な情報が出ます。たとえば法人の生命保険にしても、2級は基礎知識で対処できます。しかし1級になると、経理処理の仕分けのように踏み込んだ情報も覚えなければなりません。

このように個人と法人を問わず、あらゆる複雑な金融知識を求められるのが1級の特徴です。2級ではこのような場面がないので、比較的楽に解ける問題があるでしょう。

2級は1級より回答形式が簡単

FP2級は1級と比べると、回答形式も簡単になります。FPはランクに応じて、級が上がるほど回答形式も複雑だからです。

きんざいによると、2級と1級の試験における回答形式の違いは以下になります。

試験形式 2級 1級
学科 マークシート60問 マークシート50問+記述5問
実技 記述5問 口頭試問


マークシートはいずれも4択です。ただし1級は、学科試験で記述問題が出ます。択一式なら選択肢の正誤を見分けることが重要ですが、記述式は正しい答えを独自で作り出さなければなりません。勉強が不十分だと解答に時間がかかったり、白紙解答になったりするリスクもあります。

さらに1級の実技は口頭試問なので、面接の対応力も問われるでしょう。きんざいでは実技の合格率が高いとされますが、面接という新しい形式が加わる以上、油断はできません。面接官に好印象を与えられるよう、受け答えを練習する必要があります。

2級の方が面接がないぶん、1級よりもシンプルなルールです。

主催者による難易度の違い

FPの資格試験では、2つの主催者が存在します。日本FP協会ときんざい(金融財政事情研究会)です。主催者による難易度の違いを見てみましょう。こちらを参考にすれば、どの主催者を通して受ける方が有利かを判断できます。

合格率の違い

日本FP協会ときんざいで、FP2級の合格率を比べてみました。

試験時期 日本FP協会 きんざい
学科 実技 学科 実技
2021年1月・2月(再実施除く) 44.02% 1.01% 23.42% 45.58%
2021年5月・6月 55.61% 66.67% 33.82% 44.76%
2021年9月・10月 50.56% 60.26% 25.46% 40.03%
2022年1月・2月 41.51% 56.33% 19.50% 45.34%

一方できんざいでは、学科試験の合格率相場が約25%程度です。実技でも45%近くが相場であり、日本FP協会に劣ります。このように主催者によって、合格率の違いは明らかです。

きんざいは実技試験科目が複数ある

きんざいでは、複数の実技試験科目があり、ここからひとつを選びます。FP2級の主催者ごとの実技試験科目の違いを確かめましょう。

主催者 実技試験科目
日本FP協会 資産設計提案業務
きんざい 個人資産相談業務、中小事業主資産相談業務、生保顧客資産相談業務、損保顧客資産相談業務から1科目

日本FP協会の実技科目はひとつだけです。これはきんざいにおける個人資産相談業務と似たコンセプトになります。一方できんざいには4つから1つを選ぶ形です。一般的なのが個人資産業務ですが、FPでやりたい仕事によっては、ほかの科目を選ぶ方もいます。

しかしきんざいの個人資産相談業務以外は、難易度が高い印象です。求められる知識がより専門的になるうえ、科目によっては対応テキストが見つからない可能性もあります。以上から実技科目の多さが、きんざいの実技合格率を引き下げているでしょう。

きんざいは金融機関の社員による団体受験がある

きんざいのFP2級合格率が日本FP協会より低い要因として、団体受験の存在が挙げられます。団体受験では企業による指示で、社員のほとんどが受ける形です。会社からの指示で受けているだけとして、モチベーションが低い方もいるでしょう。

日本FP協会では、団体受験はあまり見受けられません。自発的にチャレンジしている方には、試験に向けた準備を充分に整えているケースもあります。そのため日本FP協会は、相対的に合格率が高くなるのでしょう。

参考までにFP2級学科試験における受験者数を確かめてください。

日本FP協会 きんざい
2021年1月 2万6437人 5万0865人
2021年5月 2万6799人 4万4736人
2021年9月 2万6352人 4万3499人
2022年1月 2万7889人 4万1803人

このようにきんざいの受験者数は日本FP協会の2倍近くです。団体受験によって人数が増えており、そのうちモチベーションが低い方の割合が大きいのでしょう。試験に対する意欲が低ければ、合格には近づけません。

以上から受験者数の大きな差は、主催者ごとの合格率の違いに関わるでしょう。

FP2級の実技試験は科目ごとに難易度が異なるのか

FP2級の実技試験は、科目によって難易度が違うと考えてください。合格率だけでなく、学習環境による違いも影響するからです。科目によって勉強のしやすさが異なる点に気をつけてください。

きんざいにおけるFP2級の実技試験は、複数科目からの選択です。FP資格を生かしてやりたい仕事に合わせて、科目を決める方もいます。しかし合格を意識するなら、解きやすい科目を選ぶことも考えてください。

たとえば比較的難易度が低いものとして個人資産相談業務があります。この科目は実技としてはスタンダードで、準備を進めやすいからです。問題集やテキストでも個人資産相談業務に関する模範解答記載が見られます。

一方で生保顧客資産相談業務や損保顧客資産相談業務などもあります。しかしこれらは一般的な業務にはない専門性が求められます。さらにテキストでも対応していないケースがあるため、試験準備をしづらいのが難点です。

以上からFP2級の実技試験では、科目選択が合格の可能性を変えるかもしれません。

まずは、
フォーサイトで資料請求
してみませんか?

資料請求バナー

FP2級とほかの資格の難易度を比較

FP2級の難易度は、ほかの資格との比較でも検証可能です。合格率や勉強時間などを通して、FP2級の位置づけを確かめてください。ここでは宅地建物取引士や司法書士などの主要資格と比べます。

宅地建物取引士

宅地建物取引士は、主に不動産取引の仲介で重要な資格です。不動産取引や賃借時に、所有者や登記、不動産の構造などに関する重要事項を説明します。これは契約前にしなければいけないので、宅地建物取引士の責任は重大です。

合格率は2021年実施時に17.9%を記録しています。勉強時間相場は約200~300時間です。FP2級と同じ程度の勉強量で合格できる方もいます。しかし法律を扱う問題が多く、専門的な知識を正しく覚えなければなりません。間違った理解がないように良質な学習を進めることが大切です。

以上から宅地建物取引士の資格試験は、FP2級と勉強量は変わりません。その一方で試験本番は難しい印象です。全問題がマークシートによる四択で構成されているため、要点を理解したうえで正しい選択肢を見分けるテクニックが大切です。その意味では、FP2級の学科試験に通ずるものもあるでしょう。

司法書士

司法書士とは国家資格のひとつです。法務局や裁判所に提出するための重要書類を作ったり、それに関する手続きをしたりします。法人から相談を受けるケースもあるため、社会的なステータスが高いでしょう。

合格率は2021年実施時に約5.1%です。1ケタの合格率は資格取得の難易度が高いことを意味します。勉強時間の相場は約3000時間もあります。学ばなければいけないことが多いでしょう。

合格率や勉強時間から見て、FP2級の方がはるかに難易度が低いといえます。司法書士は充分な試験準備まで2~3年かかることも珍しくありません。以上からファイナンシャルプランナーとは比べものにならない専門的知識を、数多く勉強しなければならないのです。

ここまで見ると、FP2級は司法書士よりかは取りやすい資格といえます。

行政書士

行政書士は、官公署への書類提出や作成を進めるのが主な業務です。個人だけでなく法人からの書類手続き代行を受ける点で、司法書士と似ています。

社会的ステータスは司法書士の方が高いといえますが、行政書士の社会的な役割も大きく、独立開業する方も見られます。

合格率は2021年実施時に11.18%でした。勉強時間相場は約800~1000時間です。法律の予備知識があっても約500~600時間は必要とされます。以上から充分な準備に、1~2年かかるかもしれません。

以上からFP2級の方が、行政書士より難易度が低いでしょう。行政書士は司法書士ほどではありませんが、試験準備に時間がかかるからです。FP2級のような比較的簡単な資格から、試験に慣れていく戦略もあります。

ファイナンシャルプランナーにも専門的知識はありますが、行政書士ほどは厳しく求められないでしょう。

社会保険労務士

社会保険労務士とは、労働環境や保険、年金など社会的な問題に対処する専門家です。職場における労務管理やコンプライアンスのアドバイスをしたり、保険や年金に関わる相談に応えたりします。労務管理や保険、年金に関係した書類手続き代行も業務のうちです。

合格率は2021年実施時に約7.9%でした。勉強時間の相場は約1000時間も要します。1日3時間の勉強で1年弱かかる計算です。社労士は業務の分野が幅広いことから、覚えなければいけない法的知識も広いでしょう。

以上を考えるとFP2級の方が合格率が高く、勉強しやすいイメージです。社労士は業務の分野が幅広く、専門的知識の理解も難しいとされます。FP2級の方が、明らかに取りやすいでしょう。

税理士

税理士とは、税の専門家です。納税者に対して所得計算や、正しい納税方法などをめぐるサポートをします。国民の義務のひとつである納税が関わっているため、社会的な役割が大きいでしょう。

合格率は2021年実施時に約18.8%でした。ただし税理士試験には科目合格制度があります。試験内に複数科目があり、一部分だけ合格すれば、次回以降は不合格になった科目だけを受けられる制度です。

そのため税理士試験のデータでは受験者全体のうち、全科目合格を達成した方が合格率に含まれます。以上から実際は、複数年にわけて全科目合格を目指す方がいるのです。

勉強時間相場は約4000時間、3年で合格を目指すなら1年あたり約1300時間は必要です。そのためFP2級の方がはるかに取りやすい資格といえます。資格取得までのプロセスが難しい税理士よりも、FP2級の方が勉強計画を立てやすいでしょう。

中小企業診断士

中小企業診断士は、規模の小さい企業を相手にしたコンサルタントです。小規模会社の経営状況をチェックし、課題を突き止めます。そこから解決方法をアドバイスするのが主な業務です。

合格率は2021年実施時に18.3%でした。勉強時間相場は約800~1000時間になります。社会保険労務士より少し短い程度の学習量です。それでも士業資格だけあって、学習段階から難しいことが想定されます。

以上からFP2級の方が、中小企業診断士より難易度が低いでしょう。中小企業診断士で問われる知識は、小規模会社に関係することだけというイメージです。しかし基本的に法人を相手にするため、複雑な専門知識を要します。

ファイナンシャルプランナーも法人からの相談がありますが、中小企業診断士よりは知識が限定的です。

簿記1~3級

簿記とは、企業における出費や収益などの記録管理を意味します。資格としては、お金を管理するための知識を学ぶのが目的です。あらゆる企業で経理が重要になるため、資格を取りたいと思ったときに簿記から始める方もいるでしょう。

簿記には1級から4級まであるため、それぞれの合格率を確かめましょう。比較情報としてFP2級の合格率も載せます。

資格 合格率
簿記1級 10.2%(2021年11月実施)
簿記2級 17.5%(2022年2月実施)
簿記3級 50.9%(2022年2月実施)
簿記4級 63.1%(2020年4月1日~2021年3月31日実施)
FP2級(日本FP協会) 41.90%(2020年1月実施)


以上からFP2級の難易度は、簿記の2級と3級の中間です。簿記でいうと3級より受かりにくいといえますが、2級より受かりやすいでしょう。

勉強時間は簿記1級が約500~600時間、2級が約100~200時間、3級が約50~100時間です。FP同様、ランクが上がるごとに難しくなり、勉強時間も長くなります。FP2級は簿記2級並みの努力が必要でしょう。

FP2級難易度の年齢や業種による違い

FP2級の難易度について、年齢や業種によって異なると考える方もいるでしょう。年齢や業種別の合格率に関して、信頼できる情報源は見つかっていません。しかし金融関連の仕事を経験しているように、FPの予備知識がある程度あれば、2級をクリアしやすく感じる方もいるでしょう。

FP2級の難易度における、年齢や業種による違いを解説します。

年齢や業種などによる合格者詳細はわかっていない

結論からいうと、FP2級の合格率について、年齢や業種などによる違いはわかりません。日本FP協会ときんざいともに、合格者の詳細を明かしていないからです。信頼できる情報源からは、合格者に多い層の判別は、正確につかめないでしょう。

FP2級全体の合格率は約40%が相場で、勉強時間は約150~300時間は必要になります。どのような立場であっても、基本的に上記のような合格率に収まる形になるし、勉強時間も相場に従うのが理想です。

日本FP協会ときんざいが公表しているのは、ともに受験者に対する合格者の割合だけです。ただしCFP・AFP認定者のデータからある程度の推測はできます。しかし大切なのは立場に関わらず、ファイナンシャルプランナーになるための充分な努力です。

金融関連の従事者が多いか

FP2級に受かりやすい人物像のヒントとして、金融関連の従事者が挙げられます。FPはお金の知識を問う資格だからです。金融の仕事なら、働く過程で予備知識がともない、テキストや過去問の問題も最初から解きやすいでしょう。

日本FP協会の「CFP・AFP認定者 業種別属性データ」では、以下のような統計がわかっています。

属性 占有率
生保・損保 22%
証券 20%
事業会社 13%
銀行・金融 12%
FP事務所・士業事務所 7%
不動産・住宅 6%
協同組合 5%
官公庁・自治体・団体 3%
学生・主婦・主夫・その他 12%

※2021年7月時点


保険や証券、銀行、金融などお金を扱う分野の従事者だけで、過半数を超えています。以上からFPではお金に対する予備知識が通用しやすいでしょう。保険や金融機関で働いている方は、学習面でアドバンテージを得られるかもしれません。

お金の相談に応える仕事をしている方には、保険や金融の実務を経験しているケースが多いと想定されます。

年齢は40代~50代が多いか

年齢別では、40代~50代がFP有資格者に多いとされます。日本FP協会の「CFP・AFP認定者 年代別属性データ」で確かめましょう。

年代 占有率
10~20代 8%
30代 16%
40代 28%
50代 32%
60代以上 16%

※2021年7月時点


40代や50代の割合が多いのは、転職でファイナンシャルプランナーになるケースが目立つからでしょう。まず転職市場では有資格者が有利です。加えてファイナンシャルプランナーは資格としても人気があるため、新しい強みとしてアピールしやすいでしょう。

もともと金融従事者でありながら、独立を狙う層も考えられます。金融関連の会社で働き、ファイナンシャルプランナーとして開業したい方もいるでしょう。以上から人生経験はある程度重ねている方は、FP2級の資格を目指すうえでも有利です。

FP2級の難易度が高いと思ったときの対処法

FP2級で難易度が高いと思ったときは、正しい対処法の実践が重要です。ここでは以下の6つを挙げるので、それぞれの詳細を確かめてください。

  • 動画講義を活用する
  • WEBサイトで演習を重ねる
  • 過去問を繰り返して解く
  • 苦手分野は重点的に復習
  • 苦手分野は動画講義を見る
  • 試験免除制度を使う

動画講義を活用する

動画講義の利用により、高難易度の克服が可能です。eラーニングでは動画による授業が見られます。パソコンやスマートフォンからアクセスできるので、手軽に勉強を始められるのがポイントです。

動画講義では、単元ごとの解説が多いといえます。ひとつあたりの内容が限られているのが特徴で、再生時間も10分や15分のように短時間です。すぐに終わるならと思って、勉強する気になれるでしょう。

再生ページに関連動画があればアクセスして、すぐに学べるのもポイントです。この積み重ねによって、勉強量を稼げます。動画ひとつあたりの時間が短ければ、集中しやすく、ほかのコンテンツを確かめるモチベーションも上がるでしょう。

現代において動画講義は、資格試験に合格するための大切なツールです。

WEBサイトで演習を重ねる

インターネットには、FP検定試験を扱ったWEBサイトがあります。活用によって、合格に近づけるでしょう。WEBサイトはパソコンやスマートフォンからアクセスできるので、勉強を始めるまでの準備時間がかかりません。すぐに学習を始められる点でも得です。

スマートフォンからアクセスできるものなら、スキマ時間の有効活用が可能です。自宅以外の場所でも勉強できるのが大きいでしょう。通勤中の電車内や、仕事の合間で使っているカフェなど、さまざまな場所でインターネットを活用できます。

WEBサイトでもFP検定試験の問題について、模範解答に対する解説が載るケースもあるのです。解説から大切な知識を仕入れられるのも大きいでしょう。以上からインターネットは、信頼できるものならFPの勉強にも役立てられます。

過去問を繰り返して解く

過去問を繰り返して解く習慣で、FP2級合格に近づけます。実際にFP検定試験で使われた問題構成が載っているからです。試験の流れや本番の雰囲気を感じるためにも、過去問は重要でしょう。

過去問を通して、FP2級の難易度を体感したり、攻略法を見出したりできます。本番のように制限時間を設けて解くことで、試験の雰囲気を疑似体験できるからです。模試に行けない間は、過去問で試験の流れを覚えられるのも大きいでしょう。

過去問を繰り返し解けば、長期記憶に残ります。一冊を繰り返し使うことで、重要な情報がテキストの表示場所とともに記憶されるからです。以上から良質な過去問を一冊確保し、最低でも3周にわたって問題を解きましょう。

過去問の繰り返しは、ファイナンシャルプランナーの資格試験にも通用します。

苦手分野は重点的に復習

FP2級合格には、苦手分野の克服が重要です。苦手分野は間違えやすいといえますが、そのぶん得点の伸びしろも大きいといえます。これを生かして、苦手克服のチャンスをものにしてください。

模試や過去問を解いてみると、得点力の低い分野がわかります。得点の低い部分こそが苦手分野です。誤答の原因を細かく分析して、改善につなげる必要があります。

苦手分野については、誤答をした問題に対する解説をノートに書きましょう。なぜ間違えたのかを意識しながらメモをすることで正しい知識が定着しやすいといえます。このように苦手部分は比較的時間をかけながら取り組んでください。

FP2級合格に向けて、ひとつひとつ苦手を乗り越えていきましょう。

苦手分野は動画講義を見る

苦手分野の克服では、動画講義も役立ちます。何度も動画を見返すことで、知識が定着しやすいからです。パソコンやスマートフォンを使えばすぐに見られるので、時間が許す限り活用してください。

模試や過去問をやってみて、間違った単元があれば、該当動画を見返しましょう。どのように認識を間違えていたか、正しく理解するコツは何かなどがわかるからです。わからない部分を知りたいという意識を強く持ちながら動画を見ましょう。それによって、大切な知識が定着します。

模試や過去問の点数が想定より低かった場合は、苦手分野の動画だけを聞いてみましょう。これにより、効率的に弱点を克服できます。

試験免除制度を使う

FP2級には試験免除制度があります。学科と実技の片方だけ合格した場合、この制度を使えます。合格科目の有効期限はないので、リベンジをしやすいでしょう。

免除制度の利用時は、試験申請時に一部合格時の合格番号を記入します。これをすれば、クリア済みの科目は受け直す必要がありません。手続きの仕方を覚えれば、試験の条件を楽にする準備もできます。

試験免除制度の利用により、学習面の負担を和らげられます。一度目の試験で資格を取れなくても、学科と実技のどちらかに合格できれば、次回はその分野を受けなくてよいからです。次回の試験に向けて、不合格だったカテゴリーの勉強に集中できます。

このように試験免除制度によって、難易度を下げられるのがメリットです。

通信講座受講でFP2級の難易度を低く感じる可能性は?

FP2級の難易度が高いと感じても、通信講座での勉強を通して克服の可能性があります。動画講義や、テキストのわかりやすさなどが重要です。通信講座受講のメリットをまとめました。

動画講義のわかりやすさが重要

通信講座でFP2級の勉強をするなら、動画コンテンツの充実は欠かせません。動画講義の内容がわかりやすければ、勉強が楽しくなるでしょう。そのためには動画の質を見極めてください。

勉強に前向きになれば難易度を低く感じる可能性があります。たとえば動画講義ではひとつあたり10分から15分のように、短時間で済む場合があるのです。少しの空き時間にひとつでも動画を見る習慣をつければ、習熟度が進むでしょう。

動画講義では講師の質も大切です。良質な講師なら授業を理解しやすいといえます。指導や合格実績、講義スタイルなどを確かめ、どのような講師に教えてもらいたいかを考えてください。

このように動画コンテンツの質は、学習環境に影響します。良質な動画講義で、勉強を楽しめる状況を作りましょう。

明快なテキストにこだわろう

動画講義ではテキストのわかりやすさも重要です。通信講座では専用のテキストを使うので、難解だと学習内容に響きます。一方でテキストがわかりやすければ、FP2級の難易度を低く感じる可能性があるのです。

たとえばテキストは白黒よりもフルカラーが望ましいといえます。さまざまな色を使っていることで、情報を見分けやすいからです。フルカラーは目に優しい印象なので、勉強がはかどるでしょう。

文章ばかりでなく、イラストや画像、補足説明などもチェックしてください。副次的な情報を受けているものは試験範囲のなかでとくに重要と判断できます。また文字だけでなくイラストや画像によって、要点をつかみやすいのもポイントです。

通信講座でもテキストがついてくる場合があるので、ぜひ中身をチェックしてください。

FP2級の難易度は独学だとどれほどになるのか?

FP2級は、独学でも合格できる可能性はあります。しかし通信講座より難易度を高く感じるかもしれません。とくに金融の初学者には、FPの独学は難しいでしょう。

金融や保険、不動産などお金に関わる仕事を経験していれば、独学でも勉強がはかどるかもしれません。それでも通信講座によるサポートの有無により、勉強の進みやすさは異なります。FP2級合格のため、使えるツールは積極的に使いましょう。

独学の難点はモチベーションの維持です。自力でスケジュール管理できるメリットもあります。しかし仕事の忙しさややる気のなさを理由にして、学習予定を後回しにしてしまう方もいます。そのため一度計画を決めたら、最後まで貫き通す意志が大切です。

以上からFP2級は、独学で合格するケースもありますが、それまでのプロセスが難しいといえます。

フォーサイトにおけるFP2級の合格率

FP2級の合格率は、全国平均とフォーサイト受講者限定で異なります。以下の表を確かめてください。

試験時期 フォーサイト受講者 全国平均
2019年1月 80.0% 40.39%
2019年5月 83.7% 40.68%
2019年9月 81.4% 43.41%

フォーサイト受講者に限った合格率は、全国平均の2倍程度です。動画による受講により、FP2級の問題を解きやすくなっているからでしょう。以上からFP資格を求めるなら、フォーサイトに頼ってみませんか。

まとめ

FP2級の合格率は、学科と実技の同時受験で約40%程度です。司法書士や行政書士のような士業資格よりは高いといえます。しかしFP3級より難しい側面もあることに注意です。

FP2級の難易度は、たとえるなら簿記2級と3級の間ぐらいです。勉強時間も約150~300時間は必要なので、慎重に計画を立てたうえで学習を進めましょう。

動画講義の活用、予備知識などで難易度を低く感じるかもしれません。場合によっては試験免除制度の利用も可能です。動画や過去問のようなさまざまなツールを使って、困難を乗り越えましょう。

FP2級は資格試験としては合格しやすいといえます。しかし油断せず、入念な準備を進めてください。

参考: 一般社団法人 金融財政事情研究会の各時期FP試験結果データ