保険の変更・見直しとは

保険の変更・見直しとは
目次

保険の変更とは

仕事の変化に伴う収入の増大、各事情による支出の増大などにより保険料の支払いが困難になった場合、保険契約を解約する手段を選択することがあります。

保険は一度解約すると元に戻すことができません。したがって、解約する前に各種契約の見直しなどにより対応できないか慎重に検討することが望ましいです。

一時的に現金が必要になった場合

一時的に現金が必要になった場合、保険を解約せずに現金を手にする方法があります。

<積立配当金の引き出し>

配当金の受取方法が積み立てであれば、契約者の請求に基づき全額または一部をいつでも引き出すことができます。ただし下記の点には注意が必要です。

1.一度引き出した配当金は元には戻せません。

2.税制適格特約を付帯した個人年金保険は、積立配当金の中途引き出しはできません。

<契約者貸付制度>

解約返戻金の一定割合の範囲内(通常は8~9割)で、それを担保に保険会社から融資を受けることができます。

ただし下記の点には注意が必要です。

1.貸付金には所定の利息がつきます。

2.貸付金と利息はいつでも全部または一部を返済することができますが、保険金や解約返戻金の受取時に相殺して清算することもできます。

3.貸付を受けても通常通り配当金は支払われます。

一時的に保険料の払込みを無くしたい場合

<自動振替貸付制度>

保険料の支払いが期日までにない場合、保険会社がその時点の解約返戻金の範囲内で、自動的に保険料を立て替えて保険料に充当し、契約を有効に継続させる制度です。

ただし下記の点には注意が必要です。

1.貸付金には所定の利息がつきます。

2.貸付金と利息はいつでも全部または一部を返済することができますが、保険金や解約返戻金の受取時に相殺して清算することもできます。

3.貸付を受けても通常通り配当金は支払われます。

4.自動振替貸付により充当された保険料も生命保険料控除の対象となります。

保険料の払込みを中止して契約を有効に継続したい場合

保険料の払込みを中止して、その時点の解約返戻金相当額を一時払保険料に充てて保険内容を変更する方法として払済保険と延長(定期)保険があり、保険料を支払わずに保障を継続したいときに利用されます。

変更する内容は各々で異なりますが、以下が共通点です。

  1. 変更後の保険は元契約よりもコンパクトになります。
  2. 元契約に付加されていた特約は消滅します。
  3. 保険会社所定の一定期間まであれば復旧により元契約に戻すことができます。
  4. 復旧の際には告知または診査が必要になる場合があります。

払済保険とは

元契約と同じ種類の保険か養老保険の、一時払契約に変更する方法です。一般的に元契約の保険期間は変わりませんが、保険金額が小さくなります。

払済保険とは

延長(定期)保険とは

解約返戻金を元に、元契約の保険金額と同額の一時払いの定期保険に変更する方法です。元契約の保険金額は変わりませんが、変更時点から何年保険期間を延長できるか、解約返戻金の額により異なります。

ただし、元契約の保険期間を超える場合は、元の保険期間までにとどめ、満了時に生存保険金が支払われます。

延長(定期)保険とは

保障を増やしたい場合の見直しとは

新たな保険に新規契約するほかに、既契約を活かして保障額を増やす方法がいくつかあります。

中途増額とは

既契約の保険金額を増額する方法です。増額部分の満期は既契約と一致します。

利点としては以下の点が挙げられます。

  1. 既契約の保障内容や保険期間は変更せずそのまま継続できます。
  2. 必要部分だけ上乗せしますので、既契約を解約してまったく新しく契約するより総保険料が割安になる場合があります。

注意点としては以下の点が挙げられます。

  1. 保険会社の承諾が必要です。
  2. 告知や診査が必要です。
  3. 増額部分の保険料は、増額時の年齢や保険料率で計算されます。

中途付加とは

既契約の保険に特約を中途付加する方法です。

利点としては以下の点が挙げられます。

  1. 既契約の保障内容や保険期間は変更せずそのまま継続できます。
  2. 割安な特約保険料が適用され、まったく新規で契約するより、総保険料が割安になる場合があります。
  3. 既契約と同一の保障の上乗せのほか、異なる保障を準備することもできます。例えば、死亡保障の保険に医療保障の特約を付加する等の方法があります。

注意点としては以下の点が挙げられます。

  1. 保険会社の承諾が必要です。
  2. 告知や診査が必要です。
  3. 中途付加する特約保険料は、付加時の年齢や保険料率で計算されます。
  4. 中途付加する特約は、主契約の契約内容により制約を受けます。

契約転換制度とは

現在の契約の責任準備金や積立配当金を転換価格として、新たに契約する保険料の一部に充当させる方法です。自動車の下取り制度と同様に、現在の査定価格(下取り価格)の分だけ、買換後の価格を割り引くことができます。

利点としては以下の点が挙げられます。

  1. まったく新規で契約するより転換価格の分だけ保険料が割安になります。
  2. 保険金額の増額、保険種類、保険期間、特約の内容等を総合的に変更できます。
  3. 特別配当金の権利は転換後契約に引き継げます。

注意点としては以下の点が挙げられます。

  1. 転換前と同じ保険会社にしか契約転換できません。
  2. 保険会社の承諾が必要です。
  3. 告知や診査が必要です。
  4. 転換時の年齢や保険料率で、転換後の保険料が計算されます。
  5. 転換前の予定利率は引き継げませんので、適用される予定利率が下がる場合があります。逆に上がる場合もあります。

保険の変更・見直しに関するよくある質問

生命保険控除の4万円と5万の違いが判らないので教えていただきたいです。

生命保険料等の控除につきましては、旧契約の期間に契約しても、平成24年1月1日以降に更新をした場合や、特約の中途付加をした場合等は新契約として扱われます。

保険期間を変えないのが払済、保険金額を変えずに保険期間が短くなるのが延長保険、と覚えているのですが、ちがうのでしょうか?

払済保険は、見直し時の解約返戻金をもとに保険期間をそのままにした同じ種類の保険または一時払いの養老保険などに切り換えるものです。

また、ご記載いただいたご質問内容の文面ですが、「保険期間を変えないのが払済保険、保険金額を変えずに保険期間が短くなるのが延長保険」というご理解で間違いありません。

「自動貸付制度」は猶予期間が過ぎると自動的に貸付が行われるので、失効はしないという認識で合っていますか?

終身保険や養老保険については、猶予期間を過ぎても保険料が支払われない場合は、自動振替貸付制度により保険料が充てんされるので契約が失効することは考えにくいです。定期保険や医療保険の場合は、自動振替貸付制度が適用されないため契約は直ちに失効することになります。

なお、解約返戻金の一部を保険料に振り返る制度なので、保険料に充当しきってしまって、その後保険料の支払がなけれぱ契約は失効します。

しかも、解約返戻金はすでに保険料に充当してしまっているので契約がなくなることによる解約返戻金の支払も当然ありません。

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