損害保険の保険金と税金とは?|わかりやすくFP解説

更新日:2019年12月23日

メダルの上に立ってる人
目次

損害保険を個人が契約している場合

個人が損害保険契約から支払いを受ける保険金は、原則として非課税です。

個人で契約している火災保険の場合

資産の損害を補償する内容は、原則非課税です。

個人で契約している傷害保険の場合

個人で契約している傷害保険の場合、支払い事由によって課税・非課税が異なります。

死亡保険金の場合

契約者 被保険者 受取人 課税種類
被相続人 被相続人 相続人 相続税
相続人 被相続人 相続人 所得税・住民税
第三者 被相続人 相続人 贈与税
被保険者の勤務先の法人等 被相続人 相続人 相続税

後遺障害保険金・入院保険金・通院保険金・所得補償保険金の場合

後遺障害保険金・入院保険金・通院保険金・所得補償保険金の場合非課税となります。

個人で契約している自動車保険の場合

  • 賠償保険金…契約者には支払われず、被害者に支払われるため非課税となります。
  • 車両保険金…資産損害となるため、非課税となります。
  • 搭乗者傷害保険金・自損事故保険金…傷害保険と同じです。
  • 無保険者障害保険金…損害金の償金となるため、非課税です。
  • 人身傷害補償保険金…
    1. 傷害・後遺障害については非課税となります。
    2. 死亡保険金は被保険者の過失による部分は傷害保険と同じで、その他は非課税となります。

個人事業主が契約している火災保険の場合

  • 建物・什器等の保険金…非課税となります。
  • 商品等の保険金…事業所得の収入金額に計上します。
  • 利益保険金・店舗休業保険金…事業所得の収入金額に計上します。

個人事業主が契約している傷害保険の場合

個人事業主が契約している傷害保険の場合、受取人が誰であるかによって経理処理が異なります。

受取人が個人事業主の場合

保険金は事業所得の収入金額に計上しますが、その保険金を規定により従業員の退職金等 として支給する場合、退職金等は必要経費となります。

受取人が従業員またはその家族等の場合

  • 個人事業主の経理処理…
    事業主には収入がありませんので、収入に関する経理処理は不要です。ただし、積立保険で保険金受取により保険契約が失効する場合は、資産に計上している積立保険料を取り崩して必要経費にします。
  • 従業員の課税…
    個人契約の場合と同じです。障害保険金に関する保険金は金額に関わらず非課税となります。死亡保険金は相続税の課税対象となります。

個人事業主が契約している自動車保険の場合

  • 賠償保険金…収入金額に計上しますが、同額を賠償金として被害者に支払った場合は必要 経費となり、通常は非課税となります。
  • 車両保険金…原則非課税です。ただし修理費として受け取る保険金は事業所得の収入金額 になりますが、修理費は必要経費となります。
  • 搭乗者障害保険金・自損事故保険金・無保険車障害保険金・人身傷害補償保険金 …賠償保険金・傷害保険契約に同じ。

法人が契約している火災保険の場合

受取保険金は益金に算入し、損失額および関連費用は損金に算入します。保険差益が課税されます。

圧縮記帳とは

受け取った保険金で代替固定資産を取得・改良したときは、保険差益に一時に課税されないよう、圧縮記帳(税務上、本来課税所得として発生している特定の利益について、一定の要件の下に、その課税関係を将来に繰り延べる制度で、取得した資産の帳簿価額を圧縮して記帳し、その圧縮した金額を損金計上することにより、課税の対象とならないようにすること)が認められています。

圧縮限度額=保険差益×代替建物等(資産)に使った保険金(分母の金額が限度)/保険金等の額―支出した費用
ただし、圧縮記帳が認められるのは、建物・自動車等の固定資産に限られ、棚卸資産には適用されません。

法人が契約している傷害保険の場合

受取人が役員・従業員の場合

法人の経理処理は特にありません。積立保険料があれば取り崩します。役員・従業員の課税は個人契約と同じになります。障害保険金等の場合は、金額に関わらず非課税となります。

受取人が法人の場合

受取保険金は益金になりますが、それを役員・従業員の見舞金・退職金(役員の場合は適正額まで)として支給した場合は、見舞金・退職金等は損金となります。ただし、社会通念上、過大な見舞金は賞与となります。

法人が契約している自動車保険の場合

  • 賠償保険金…保険金を益金、支出額を損金として処理します。
  • 車両保険金…受取保険金は益金ですが、修理費は損金として処理します。圧縮記帳が適用できます。
  • 搭乗者傷害保険、自損事故保険、無保険車損害保険、人身傷害補償保険…傷害保険契約、賠償金と同じ。

法人が契約している労働災害総合保険の場合

保険料は全額損金へ算入します。保険金は、法人が補償保険金を受け取り、退職給与規定等に基づいて当該従業員の遺族に保険金と同額の死亡退職金を支給した場合、受け取った保険金の金額を益金に算入し、支払った死亡退職金の金額を損金に算入します。

損害保険の保険金と税金に関するよくある質問

「遊具の点検中に、従業員がケガをした場合に備える」保険として、最適な保険は何ですか?
「遊具の点検中に、従業員がケガをした場合に備える」保険としては、「労働災害総合保険」が最適となります。
任意の自動車保険はすべての契約が補償対象となるのでしょうか。
はい、全ての自動車保険が対象となります。
損害保険契約の場合、自賠責保険、地震保険、任意加入の自動車保険、火災保険、傷害保険などのほとんどの保険が対象になります。
ただし、火災保険の場合は、個人または小規模企業者等の契約に限られ、再保険は対象外となります。
保険の契約内容は、契約者と保険会社との契約によるものなので表向きは補償されないなっていても各保険会社の各契約においては補償されるものもあります。
法人が保険金を受け取った場合で、それを従業員に見舞金という形で支給した場合、どのような経理処理になりますか?
法人契約特約を付帯している契約で、法人が保険金を受け取った場合は、益金に計上しますが、その保険金を見舞金等として、役員・従業員に支給したときは、社会通念上相当な額であれば、損金に算入します。
この記事の監修者は
金山浩晃(かなやま ひろあき)

合格の先をイメージして!
【出身】埼玉県
【趣味】NFL(アメフト)観戦、カフェ巡り
【座右の銘】雲外蒼天

FPコラム一覧へ戻る