損害保険の保険料と税金とは?|わかりやすくFP解説
更新日:2019年12月19日

地震保険料控除とは
平成18年度税制改正により、従来の損害保険料控除が廃止となり、平成19年1月から「地震保険料控除」が創設され、所得税は平成19年以降、住民税は平成20年以降について適用されることとなりました。
従来の火災保険・損害保険等に対する損害保険料は、経過措置として平成18年12月末日以前を始期とする一定の契約には、従来の長期損害保険料控除を適用することができます。
地震保険料控除の対象となる保険契約とは
地震保険料控除の対象となる保険契約は、以下のものです。
- 一定の資産を対象とする契約
- 自己や自己と生計を一にする配偶者その他の親族の所有する居住用家屋または生活に通常必要な家具、什器、衣類などの生活用動産を保険や共済の対象としているもの

控除の種類 | 年間払込保険料 | 控除額(所得税) |
---|---|---|
平成19年1月1日以降始期の地震保険契約 | 5万円以下 | 支払金額全額 |
5万円超 | 5万円 | |
旧長期損害保険契約の経過措置 | 1万円以下 | 支払金額全額 |
1万円超2万円以下 | 支払金額×1/2+5,000円 | |
2万円超 | 一律1万5,000円 | |
上記の両方がある場合 | ----------- | それぞれの方法で計算した金額の合計額(最高5万円) |
住民税の場合は、支払った地震保険料の2分の1の額が控除対象の額となり、最高2万5,000円を控除することができます。旧長期損害保険契約の経過措置については、最高で1万円です。
旧長期損害保険契約の経過措置とは
旧長期損害保険契約の経過措置とは、以下の条件を満たす契約をいいます。
- 平成18年12月31日までに保険始期のある契約
- 保険期間が10年以上ある契約
- 保険期間の満了時に満期返戻金が支払われる契約
※ただし、平成19年1月1日以降、保険料の変更が合った場合、経過措置の適用はできなくなります。
個人事業主が契約をしている場合の保険料とは
上記では、個人が契約した場合を解説してきましたが、個人事業主が契約をしている場合はまた経理処理が異なります。
事業に関連して支払った火災保険、自動車保険、賠償保険等の保険料および従業員を被保険者とする傷害保険等の保険料は、必要経費として経理処理することができます。店舗併用住宅の場合は、店舗部分の保険料のみが必要経費に計上することができます。なお、事業主本人を被保険者とする傷害保険の保険料は、必要経費にはなりません。
ただし、満期返戻金のある積立損害保険契約の場合は、積立保険料部分の金額は、保険期間満了まで資産計上し、その他の金額は、保険期間の経過に応じて必要経費として処理されます。
個人事業主が契約をしている場合の経理処理とは
原則として、その年度に対応する期間のみ必要経費として処理できます。
ただし、継続的記録があり、毎年同様の処理を行っている場合は、支払期日以後1年以内分の保険料は全額その年度の必要経費として経理処理が認められます。
なお、事業主本人が被保険者である傷害保険保険料など、事業主自身にかかる損害保険料は必要経費にはなりません。
法人が契約をしている場合の保険料とは
原則として、掛け捨ての部分の保険料は期間の経過に応じて、損金算入します。
ただし、満期返戻金がある場合は、積立保険料部分の金額は、保険期間満了まで資産計上し、その他の部分の金額は、保険期間の経過に応じて損金に算入されます。
法人が契約をしている場合の経理処理とは
原則として、その年度に対応する期間のみ損金算入することができます。
ただし、1年以内分の保険料で、毎年継続して支払日の属する事業年度の損金に算入しているときは、全額その年度の損金として経理処理が認められます。
損害保険の保険料と税金に関するよくある質問
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受け取った保険金や損害賠償金に税金がかかるかどうかの判断の仕方がわかりません。
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まず、検討していただきたいことは契約者が誰かではなく、損害保険契約の種類や内容です。
損害保険契約から支払を受ける保険金は、原則として非課税です。火災保険、自動車保険の賠償保険金、債務返済支援保険(所得補償保険金の一種である)は、原則通り非課税です。
しかし、傷害保険の死亡保険金は、例外的に課税対象となります。ここで、初めて、契約者や被保険者、保険金受取人が誰であるかにより、課税対象となる税金が異なってきます。
以上の内容をまとめると、損害保険契約から支払を受ける保険金は、原則非課税です。ただし、傷害保険の死亡保険金については、課税対象となりえます。左記のことを把握しておくことが、シンプルに判断するためのポイントです。
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法人が契約者、役員・従業員が被保険者となる傷害保険契約において、法人が支払う保険料が課税されるのか、非課税なのかがわかりません。
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法人が契約者、役員・従業員が被保険者となる傷害保険契約において、 法人が支払う保険料は、
①全員付保の場合
法人は福利厚生費として損金算入し、従業員は非課税となります。
②一部付保の場合
法人は給与として原則として損金算入し、従業員は給与として所得税の課税対象となります。
しかし、「法人契約特約」を付帯した場合は、法人は損害保険料として損金算入し、従業員は非課税となります。
「法人契約特約」とは、死亡保険金受取人が法人である場合に、死亡保険金だけでなく後遺障害保険金、入院保険金、通院保険金等についても法人に支払うものとする特約をいいます。
③被保険者が役員の場合
積立保険で保険料の払込方法が一時払いであったり、過大な給与とみなされる場合などは、損金にならないことがあります。
ここで、混乱してしまう要因の「非課税」という記述ですが、給与所得として所得税が課税される場合があるので、それに対比して非課税(=給与所得にならない)という意味となります。
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雇用主が従業員のために保険料を負担しているような場合、なぜ遺族が受け取った保険金は相続税となるのでしょうか?贈与税という認識でいました。
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雇用主が従業員のために保険料を負担しているような場合、勤務先の会社が負担した保険料相当額の経済的利益を従業員がまず享受し、これを実質的に従業員自ら負担したものとして扱われます。
したがって、従業員の死亡によりその遺族が保険金を受け取ったときは、みなし相続財産となります。
考え方としては、死亡退職金と同じように考えればよいと思います。
金山浩晃(かなやま ひろあき)
合格の先をイメージして!
【出身】埼玉県
【趣味】NFL(アメフト)観戦、カフェ巡り
【座右の銘】雲外蒼天