株式投資と税金とは?|わかりやすくFP解説

更新日:2020年1月28日

株式投資と税金とは?
目次

株式投資と税金とは

株式投資では、配当金による収益と、株式の譲渡(値上がり)による収益を見込むことができ、それぞれに課税されます。

上場株式等とは

上場株式等とは、証券取引所に上場されている株式、外国市場上場株式、上場転換社債型新型予約券付社債、公募株式投資信託、株価指数連動型上場投資信託(ETF)、上場不動産投資信託(J-REIT)などを指します。

上場株式等とは

配当課税(上場株式等)とは

源泉徴収税率は、以下の通りとなります。

2037年12月31日まで 2038年1月1日から
所得税 15% 15%
復興特別所得税 0.315%
住民税 5% 5%
合計 20.315% 20%

課税方法は、配当金受取時に上記の源泉徴収税率が源泉徴収され、金額に関わらず確定申告は不要です。

確定申告をした方が有利な場合には、確定申告をすることで他の所得と合わせて総合課税の対象となり、配当控除を受けることができます。

確定申告をして申告分離課税を選択することにより、上場株式等の譲渡損失と損益通算をすることができます。

「源泉徴収ありの特定口座」に受け入れる配当等については、申告をせずに、同口座内で生じた譲渡損失と損益通算をすることができます。

復興特別所得税とは

東日本大震災からの復興のための施策を実施するために必要な財源の確保に関する特別措置法の施行に伴い、平成25年1月1日から令和19年12月31日まで、復興特別所得税として所得税額の2.1%が追加課税されることとなりました。

譲渡益課税(上場株式等)とは

税率は配当課税(上場株式等)と同じです。譲渡所得の計算式は、

譲渡所得=譲渡による収入―(取得費+譲渡費用+借入金利子)

です。課税方式は、申告分離課税です。

損益通算は下記方法により行います。

  • 上場株式等の純譲渡損益、公募株式投資信託を換金した場合の値上がり益と値下がり損(譲渡損益)は、年間を通じて損益通算することができます。
  • 年間を通じた譲渡損が譲渡益を上回る場合には課税されず、上回った分の損失は、翌年以降3年間にわたり上場株式等の譲渡所得から繰越控除することができます。
  • 上場株式等の譲渡損失を上場株式等の配当所得と損益通算することもできます。

特定口座とは

配当所得と譲渡所得について上記のように定められた結果、結局のところ、投資家は確定申告をしなければならなくなりました。そこで、申告分離課税制度による投資家の手続きの煩雑さを解消するために証券会社で特定口座が用意されるようになりました。要点は次の通りです。

源泉徴収ありの特定口座とは

口座数 投資家は、証券会社1社につき1口座に限り、自身の選択により特定口座を開設できます
計算 特定口座内の上場株式等の譲渡による所得金額は、その特定口座内だけで計算されます
種類 投資家はいずれか一方の口座を選択できます(年の途中では変更できません)
源泉徴収 特定口座内の譲渡損益が計算され、源泉徴収される。配当等を受け入れることもでき、譲渡損失と損益通算されます。

ただし、複数の特定口座間や一般口座との損益通算、損失の繰越控除の適用を受ける場合には確定申告が必要です

源泉徴収なしの特定口座とは

口座数 投資家は、証券会社1社につき1口座に限り、自身の選択により特定口座を開設できます
計算 特定口座内の上場株式等の譲渡による所得金額は、その特定口座内だけで計算されます
種類 投資家はいずれか一方の口座を選択できます(年の途中では変更できません)
源泉徴収 証券会社から年間取引報告書が送られてくるので、投資家はそれに基づいて確定申告を行います。年間取引報告書によって簡易な申告が可能となります。配当等を受け入れることはできません

株式投資と税金に関するよくある質問

株式投資信託と公社債投資信託の違いを教えてください。

株式投資信託は「株式」を組み入れることができる投資信託であるのに対し、MMFのような「公社債投資信託」は、株式を一切組み入れることができません。

実際の投資対象が公社債のみで株式の組み入れがなくても、約款上株式の組み入れが可能となっているものは「株式投資信託」に分類されます。

これに対し、公社債投資信託は、公社債と短期金融商品を投資対象とする投資信託で、 前述の通り、株式の組み入れは一切できません。

投資信託の分配について教えて下さい。

投資信託は、ファンドマネージャーが毎日運用して1年に1回決算を行い、1年間の間にどのぐらい儲けたのか計算をします。そして、利益が出ているならばそれを投資家に分配します。

この決算のタイミングは、投資信託の種類ごとにことなり年1回のものもあれば、年12回(つまり毎月)決算するものもあります。

株式投資の配当による収入の課税について教えてください。

配当による収入は、株式投資の場合、株式を発行している会社が投資家に配当金を支払うときに源泉徴収します。

次に、配当金を受け取った投資家は、確定申告の書類にその内容を記載して申告します。この収入金額は、必要経費や源泉徴収された金額は無視した金額となります。

配当所得の計算上の必要経費は「元本取得のための負債利子」ですが、それが「ない」場合、配当収入の金額がそのまま配当所得の金額になります。

確定申告というのは、税金の前払い的要素である源泉徴収された税額と、正しい税額との差を精算する意味もありますから、申告書に記載する収入については、源泉徴収される前の金額を記載します。

配当所得の場合、総合課税を選択すれば、適用税率は超過累進税率により、所得の多い場合は、税率が源泉徴収税率の20%よりも高くなり、逆に所得が少ない場合は、税率が源泉徴収税率の20%よりも低くなることがあります。

どちらになるのかは、1年間終わってみて、収入がいくらで、所得がいくらでという計算をしてみないとわかりません。

源泉徴収は、そういったことを無視して一律20%なわけですから、正しい税額との間に差が生じるのは必然となるわけです。

この記事の監修者は
金山浩晃(かなやま ひろあき)

合格の先をイメージして!
【出身】埼玉県
【趣味】NFL(アメフト)観戦、カフェ巡り
【座右の銘】雲外蒼天

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