行政書士試験の難易度はどのくらい?

行政書士試験の難易度はどのくらい?

行政書士、難易度はどのくらい?

このコラムをご覧になっている方の中には、行政書士という仕事に興味がある、自分でもやってみたい!できるかな?と思っているけれど、「でも、試験が難しそう、、、」と、尻込みしてしまっている方も多いのではないでしょうか? ご存じの通り、行政書士は法律系の国家資格であり、国家試験に合格することが必要です。

国家試験、というととてもハードルが高いように感じられるかもしれませんが、一方で、「初学者でも○○ヶ月で合格!」なんていう宣伝文句もよく見られる行政書士。実際のところ、行政書士試験の難易度はどのくらいなのでしょうか? 本コラムでは、行政書士試験の難易度とその理由、他の法律系資格の難易度との比較、についてご説明をしていきたいと思います。

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目次

行政書士の難易度

行政書士試験は、数ある法律系の国家資格試験の中では比較的易しい部類にあたり、登竜門的な試験であると言われていますので、これまでに学校や職場で法律の学習経験がある人にとっては、チャレンジしやすい資格といえます。

しかし、法律になじみのない初学者にとっては、日常生活で接することのない法律の専門的な内容は決して簡単に身につくものではなく、さらに、昭和のころの試験よりも現在の方が試験内容も難しくなっていることから、それなりに時間を費やして真剣に取り組まなければ合格が難しい資格であることは間違いありません。

難易度の理由

それでは、行政書士試験の難しさの理由は、どの辺りにあるのでしょうか? ここで、行政書士試験の特徴を紹介しながら、その難しさの理由について考えてみたいと思います。

試験範囲が広い

行政書士試験の試験科目のメインは、憲法、民法、行政法、商法といった法令科目がメインです。それぞれ、法律の条文や判例の専門的な知識、さらにそれらの知識をベースとした応用的な思考力が問われます。 さらに、行政書士試験独特の科目として「一般知識」があり、これは個人情報保護・情報通信に関する問題や、政治経済などの時事問題、国語力を問う問題など、行政書士として必要な一般知識から常識問題まで、様々な分野の問題が出題されます。

このように、試験範囲が非常に幅広く、多くの知識を身につけなければならないため、特に予備知識のない初学者や、働きながら資格取得を目指す人にとっては、ハードルが高いと感じられるかもしれません。

全科目をまんべんなく学習する必要がある

行政書士試験に合格するためには、合計点が合格基準点を超えるということはもちろんですが、それ以外に、「一般知識」で56点中24点以上を取らなければいけない、という、いわゆる「足切り」制度があります。そのため、「配点の大きい法令科目に力を入れて、一般知識は捨ててしまおう!」ということはできず、両方をまんべんなく学習する必要があるのです。

また、行政書士試験には、合格した科目は翌年以降受験しなくてよい、という「科目合格制度」がありません。不合格だった場合には、翌年また一から受験することになるので、毎年全ての科目を勉強しなければならないことになります。 このように、一度に幅広く多くの知識を身につけなければならない、というところにも、行政書士試験の試験の難しさがあると考えられます。

記述問題がある

近年の行政書士試験では、記述問題が3問出題されています。それぞれ40字程度で答えるものですが、短いからといって簡単なわけではなく、正解にたどり着くためにはポイントを押さえて簡潔に記述する必要があるため、逆に難しいと感じる方も多いと思います。
しかも、この記述問題は、1問20点、計60点と、非常に配点の割合が高くなっています。全体の合計が300点、合格基準点が180点であることからも、配点の高さがお分かりになると思います。

択一問題は、マークしておけばたまたま正解するという可能性もゼロではありませんが、記述問題はそうはいきません。また、条文を覚えるだけではなく応用力も必要となるため、記述問題があることによって、試験の難易度も高くなっているといえます。

でも、初学者でも十分合格は可能です!

ここまで、行政書士試験の難しさの理由についてご説明してきました。これを読んで、もしかしたら「やっぱり、行政書士試験は自分には無理かなあ…」と、意気消沈してしまった方もいらっしゃるかもしれません。 しかし、決してあきらめる必要はありません!

行政書士試験では、基本的な知識があれば正解できる問題から、誰も答えられないような超難問まで、様々な難易度の問題が出題されます。また、特に法令科目では、例年よく出題される問題の傾向も比較的はっきりしています。そして、その中で、全体の6割を正解すれば合格できる試験です。

つまり、試験範囲を100%マスターできなくても、6割を正解できるための基本知識を確実に積み重ねていき、過去問対策を十分に行えば、初学者でも十分合格可能な試験なのです。 実際に、初めて法律の勉強を始めた方でも、勉強方法や勉強時間の取り方を工夫して、忙しい中でも効率的に6割正解するための知識を身に着け、見事合格を勝ち取った方、さらには一発合格された方もたくさんいらっしゃいますので、心配はいりません!

年度別の難易度

すでにご説明した通り、行政書士試験は、受験生の何パーセントを合格させるというような相対評価ではなく、300満点中、合格基準点の180点を超えれば誰でも合格できる、という絶対評価の試験です。したがって、試験が難しい年は合格率が下がり、試験が易しい年は合格率が上がる、というように、年度別の試験の難易度は、年度別の合格率と連動することになります。

現在の出題形式になってからは、難易度が極端に大きく変わることはないようですが、年度によっては急に一部科目の出題傾向が変わったり、法改正の直後には改正法に関連した問題が増えたり、というようなイレギュラーな年もありますし、多少の難易度の変動はあると思っていただいてよいと思います。

合格基準点ギリギリの実力で試験本番を迎える、というような時には、最後には運が左右する場合もあるかもしれません…!?

他の資格と難易度を比較

行政書士以外にも、法律系の国家資格には色々なものがあります。 ここでは、行政書士と他の資格(司法書士、税理士、社会保険労務士(社労士)、宅地建物取引士(宅建))の難易度を比較してみたいと思います。

行政書士と司法書士、どちらが難しい?

行政書士と司法書士は、どちらも書類作成に関わる「書士業」です。それぞれ独占的な専門分野を持ちつつ、どちらの資格でも関われるような業務もあります。ですので、行政書士と司法書士を比べて、どちらの資格を取るか迷われる方も多いようです。 しかし、試験の難易度で言えば、司法書士の方がかなり難しい、と言えます。最近の司法書士試験の難しさは、最難関の司法試験にも匹敵するといわれています。

試験科目は行政書士に比べて司法書士の方がはるかに多いため、行政書士よりも広い範囲を勉強する必要があり、しかも司法書士は相対評価で合否が決まるため、何点とれば合格、という基準点が年によって変わります。

合格率は行政書士が約10%である一方で、司法書士は約3%程度であり、その難しさがお分かりいただけると思います。仕事をしながら勉強する場合、行政書士は頑張り次第では1年目での合格も可能ですが、司法書士は数年かけて合格を目指すのが一般的です。

行政書士と司法書士では、科目数は違うものの、共通する科目が比較的多いので、司法書士を目指す人が力試しに行政書士試験を受験することもあるようです。もしこれまで全く法律を学んだことのない人が両方の資格を目指すなら、まず行政書士試験に挑戦し、合格後にさらに知識を深め、ステップアップとして司法書士試験にチャレンジするのがよいと思います。

行政書士と税理士、どちらが難しい?

行政書士と税理士を比べた場合は、税理士の方がかなり難易度は高いです。 税理士試験は、会計2科目(簿記論、財務諸表論)と、税法9科目の合計11科目のうち会計2科目を含めた計5科目に合格することが必要です。暗記と法令の解釈が中心の行政書士試験と違って、それ以外に計算や数字もふんだんに出てきますので、数学系の勉強にも抵抗なく取り組める方でないと、かなり苦労するかもしれません。

税理士試験は、試験内容は難しいですが、科目合格の制度があり、一度合格した科目はその後一生有効です。したがって、1科目ずつ合格を積み重ね、数年かけて資格取得を目指すのが一般的です。 また、税理士試験に合格して税理士になると、無試験で行政書士にもなることができます。このことからも、行政書士に比べて税理士の方が難しいことがお分かりになると思います。

行政書士と社会保険労務士、どちらが難しい?

社会保険労務士の試験科目は、労働基準法、労働安全衛生法、雇用保険法、健康保険法、厚生年金保険法、他、全8科目あり、行政書士とは全く異なります。そのため、単純に難易度を比べることは難しいのですが、行政書士とほぼ同じくらいか、どちらかといえば社会保険労務士の方がやや難しいと言えるかもしれません。

行政書士と社会保険労務士の両方を目指すとすると、全く異なる分野を2つ学習しなければならず、さらに、社会保険労務士では、覚えなければならない数字や細かい法改正も多いため、一度に挑戦するのはかなり大変だと思います。

行政書士と社会保険労務士では、仕事の内容としてははっきり分かれている一方で、両者はとても親和性の高い資格で、両方の資格を持っていると業務の幅を大きく広げることができます。実際に、ダブルライセンスも持って活躍されている方もたくさんいらっしゃいます。

どちらかの資格に絞る場合は、試験の難易度はもちろんですが、まずは自分の将来像をじっくり考え、どちらを受験するかを決めるといいと思います。また、ダブルライセンスを狙う場合でも、一度に両方を勉強するよりは、1つずつ順番に合格を目指すのがおすすめです。

行政書士と宅地建物取引士、どちらが難しい?

宅地建物取引士(宅建)は法律系資格の中では難易度が低く、易しいと言われる資格です。試験は択一問題のみで記述問題もなく、行政書士と比べても、宅建の方が易しい、と言えるでしょう。例えば、両者に共通する科目である民法で比べてみると、行政書士では「広く深い」知識を問われる一方で、宅建では「狭く浅い」出題になっています。そのため、行政書士試験に合格できる実力を身につければ、宅建の資格も取得しやすくなります。

行政書士と宅建も親和性が高い資格なので、ダブルライセンスを持つことによって仕事の幅が広がる組み合わせです。行政書士を目指すのであれば、宅建も一緒に取得しておくと、将来の仕事に大きく役立つと思います。

以上、行政書士試験の難易度について紹介しましたが、いかがだったでしょうか? 資格取得を考えているけれど、どの資格がいいんだろう?と迷っている方は、上でご紹介した他の資格との比較も参考にしながら、ご自分の将来のプランをじっくり考えてみて下さいね。

決して簡単とは言えない行政書士ですが、やる気さえあれば誰にでも合格の可能性がある試験ですから、これを読んで、一人でも多くの方に、自分にもできるかもしれない、頑張ってみようかな、と感じていただければ嬉しいです!