行政書士で開業するためには?

行政書士で開業するためには?

実務経験なしでも独立開業できる!

行政書士を目指す人の多くは、将来的に独立開業したいと考えているのではないでしょうか。

行政書士は、実務経験が無くてもいきなり独立開業できる資格です。

税理士などは、独立開業するためには2年以上の実務経験が必要です。
開業するためのハードルが高い資格に比べると、行政書士はとても簡単に独立開業することができます。
だからこそ、開業にかかる費用やリスクを事前に考えておかなければなりません。

目次

開業にはどんなリスクがあるのか

開業にはどんなリスクがあるのか

例えば、独立開業すると個人事業主になるので、健康保険や年金も全て自分で払わなければなりません。

毎年確定申告をして、税金を納める必要もあります。
雇用保険もないので、仕事が無くても自己責任です。
会社員であれば、会社が何でもやってくれるし、社会保障のセーフティネットもありますが、個人事業主はほとんどのことが自己責任です。

事前にどんな費用がかかるか、どうしたら経営がうまくいくかを良く考えてから実行に移すことが大事です。

考えても失敗する事はあります。
しかし、次にチャレンジするときにはその経験が活きるでしょう。
失敗を恐れずにチャレンジしてほしいと思います。

行政書士として自宅などで開業するための費用

行政書士で開業するための費用

登録関係費用だけで約30万円必要!

開業費用としては、

  • 登録費用
  • 事務所賃貸費用
  • 事務機器等の費用
  • 人件費(雇用する場合)

を考える必要があります。

このうち、登録費用だけは絶対にかかる費用です。
その他は、事務所を借りても借りなくても良いし(自宅兼事務所でも開業可能)、事務機器などは無理に買う必要はありません。

それぞれ、どの程度の費用がかかるかを見てみましょう。

登録費用

行政書士になるには、各都道府県の行政書士会を通して日業連に登録・入会しなければなりません。
その費用は、都道府県によって異なりますがだいたい30万円くらいかかります。

東京都行政書士会の例
入会金 200,000円
登録手数料 25,000円
東京都行政書士会会費3ヶ月分 21,000円
登録免許税 30,000円
(合計) 276,000円

これらの他、バッジや帳票類、職印(行政書士の印鑑)など

これが行政書士になるための最低限の費用です。
分割払いはできないので、一括で用意する必要があります。

事務所を借りる費用①

行政書士は、自宅兼事務所での開業も可能です(事務スペース、応接スペースが確保できることが条件です)。
そのため、事務所を借りずにスタートする人も大勢います。
ここでは、事務所を借りる場合の費用を考えてみます。

独立事務所
場所によって賃料のばらつきが非常に大きいですが、1ルーム(6畳程度)で7万円~12万円くらいかかります。

共同事務所
何人かで事務所をシェアする形態です。
複数人で頭割りするので独立事務所よりも費用は抑えられ、3~6万円くらいが多いようです。
広さや場所によって異なります。

シェアオフィス
他業種の様々な人たちがシェアするオフィスです。
安いところだと2万円くらいから借りられますが、個室ではなくフリーアドレスの机1つということが多いです。

シェアオフィスでも登録は可能ですが、ある程度独立して応接できるスペースがないと認められません(都道府県の行政書士会によって基準は異なる)。

大都市だと設備の整った個室シェアオフィスも多数ありますが、賃料は8万円~くらいと高めです。

事務所を借りる費用②

事務所を借りる際には、毎月の賃料だけでなく、敷金・礼金や保証金、仲介手数料なども考えに入れておかないと、大幅に予算をオーバーしてしまいます。

居住用の賃貸とは異なり、事務所用賃貸の場合は敷金2カ月・礼金2カ月以上が当たり前なので、少なくとも賃料の6カ月分くらいは初期費用として考えておく必要があります。

また、水道光熱費や事務所までの交通費などのランニングコストも発生します。

事務機器を買う・借りる費用

行政書士は書類を作るのが主な仕事なので、パソコンとプリンターは必須です。
お客様の書類をコピーする事も多いので、プリンターにコピー機能やスキャン機能があると良いでしょう。

最初から全て揃えるかは別として、次のような事務機器が必要になってきます。

  • 鍵付きの書庫 20,000円くらい~
  • クラウドサーバー 月額数百円~
  • 複合機(いわゆるコピー機) リース月額5,000円台~ 
  • 業務用シュレッダー 10,000円台~

リースより買い取りの方が安いものもありますが、リースだとメンテナンスが付いているので長く使うものはリースがおすすめです。

人を雇う費用

アルバイト、パート、正社員など雇い方によって費用は変わってきますが、いずれにしても最低賃金を下回ることはできません。
東京都の最低賃金は985円です。

賃金以外にも、個人事業主なら常時5人以上雇用すれば社会保険加入義務があるので、社会保険料も発生します。
また、1人でも雇用すれば労災保険の加入が必要で、毎年労災保険料を納めます。

これらの費用を見積もって、それでも人を雇った方が良いと判断するのでもなければ、無理に雇用する必要はありません。
人を雇うのは経営が軌道に乗ってからでも遅くはありません。

行政書士で独立開業して食べていける?

行政書士で独立開業して食べていける?

稼げる一方、甘くはない

行政書士として独立開業して食べていけるのか。
それは一言で言えばその人次第です。

しかし、会社員と違って失敗すれば収入は0円です。
多少のミスがあっても毎月一定のお給料がもらえる生活と比べれば、相当過酷な世界であることは確かです。

それでも長年行政書士を続けている人、成功している行政書士にはどんな特徴があるのでしょうか。
成功例、失敗例の両方から検討してみましょう。

開業成功例に学ぶ

独立開業して成功している行政書士には、いくつか共通の特徴があります。

それは、

  • 営業を積極的に行なう
  • 他士業との連携を大切にする
  • 人脈が広い

もちろん、この他にも業務研修に出たり、勉強会に参加するなど仕事のやり方についても熱心に研究していますが、それ以上に積極的に人と会うことを大切にしています。

なぜなら、

仕事は、待っていても入ってこないから取りに行かなくてはならないからです。
どんなに仕事ができる人でも、仕事が来なければその力を発揮する事はできません。
成功している行政書士たちは、そのことを良く分かっているのです。

だから、異業種交流会などで積極的に人脈を作り、行政書士の仕事ではない話でも他士業の仲間を紹介するなど、日ごろから紹介したりされたりする環境を作っています。

開業失敗例に学ぶ

成功例に比べて、失敗しがちな例です。

  • 業務研修を良く受ける
  • なんでも自分でやろうとする
  • 営業や売り込みは相手に迷惑だと思っている

一見真面目で勉強家に思えます。
会社員ならこれで良いかもしれません。
しかしこの態度では仕事を取ってくることは難しいでしょう。
行政書士として成功するには、仕事を取れるかどうかが重要です。

なんでも自分でやろうとすると、人脈が広がりません。
時には他士業や先輩に頼ることも大事です。

また、何でも自分でやろうとする人は出来ないことを断ってしまうので、その仕事は二度と来ません。
断るのではなく、出来る人に紹介すれば、そのうちその人から紹介が返ってくるかもしれません。
そういうチャンスを作るという意識が無いのが問題です。

業務研修も、何でもかんでも受ければ良いというものではなく、自分の専門をいくつかに絞るのが望ましいです。
飲食店で言えば、寿司もラーメンも出す店に、おいしい寿司を食べたい人は行かないでしょう。
士業もそれと同じです。

独立に向いている人、向いていない人

独立に向いている人、向いていない人

行政書士の働き方は、独立開業だけではありません。
企業内の法務部や総務部で働いたり、行政書士事務所や法人に雇用されるという働き方もあります。

だから、「独立開業よりも雇用される方が向いているかも!」と思ったら、無理に独立する必要はありません。

独立に向いている人、向いていない人についてまとめます。

独立に向いているのはこんな人

独立に向いているのは、

  • 人と会うことが好き、人脈を広げるのが得意
  • 臨機応変に考えられる
  • 失敗してもまたやり直せる(再び就職できる能力がある)
  • 人より得意だと言える分野が1つでもある
  • 3カ月くらい収入が無くても暮らしていける蓄えがある

この様な人です。
特に、最後の蓄えは大事です。
開業してすぐには収入よりも出費の方が多いので、そこに耐えられるだけの蓄えが無ければあっという間に廃業に追い込まれるでしょう。

成功する人は、行政書士にならずとも会社員であっても生き生きと働ける人でもあります。
仮に失敗しても、また働いて次のチャンスを待てる気持ちがあるような人でもあります。

独立に向いていないのはこんな人

独立に向いている人の裏を考えれば、向いていない人になります。
例えば、

  • 人づきあいが苦手
  • 指示待ちが多い
  • 今の仕事が嫌なのでとりあえず別のことをしたい
  • 貯金が無い
  • 一度失敗したら立ち上がれない
  • 資格に過大な期待がある

こういう人は、行政書士事務所に勤めてみて現実を見てから開業を考えた方が良いでしょう。
人の下で働くことで輝く人もいます。誰もが独立する必要はないのです。

開業行政書士からのアドバイス

開業行政書士からのアドバイス

実際に開業している行政書士からのアドバイス

開業すれば、自分の裁量で仕事ができます。
だから、もっと柔軟に考えてみても良いと思います。

例えば、フルタイムで行政書士をやるのではなく、副業としてやってみるのもその一つです。

行政書士は続けるほど収入が増え、経営が安定します。
細くても長く続けることが大事だと思っています。

副業としてやってみる

完全に独立する前に、会社の許可をもらって副業として始めてみるのも良いと思います。
ネットだけで完結する仕事や、土日を使ってできる仕事を選べば無理なくできるでしょう。
「そういう仕事にはどんなものがあるか」と考えることも、仕事のうちです。

副業なら、収入にこだわらずにできるので、開業の「助走」として考えてみるのが良いでしょう。
全くの未経験から独立するよりも、自信が付くと思います。
いわばお試し期間なので、色々工夫や実験をしてみると良いですね。

もちろん、依頼するお客様はプロの行政書士に頼んでいると思っているので、しっかりと誠実な対応が必要です。

アルバイトしながらやってみる

開業後に、並行してできるアルバイトがあれば収入面の心配が少し楽になります。
日中は行政書士、夜はアルバイトという生活だと体力的にはきついと思います。
しかし、開業して一日中一人でいるよりも、ある程度社会との接点を持つ毎日の方が精神的には楽なはず。

自宅でできるアルバイトなら、仕事の合間にできて良いですね。
最近では、そういう在宅仕事専門のサイトなどもあるので探すのはそれほど大変ではありません。

可能であれば、他士業の事務所でアルバイトさせてもらいましょう。
自分の仕事でも活かせる知識が得られるかもしれません。

まとめ

独立するということは、自分自身で責任を持てば柔軟な考え方も許されるということです。
開業して安定した経営を続けていくには、柔軟な考え方と行動力が大事です。

それ以前に、費用の問題もあるので考えるだけでなくコツコツ準備する必要もあります。

はじめることばかりを考えるのではなく、再起が可能な撤退ラインも考えておくべきでしょう。
一度失敗しても、もう一度チャレンジできる余力を残しておくことは大事です。

行政書士は仕事の幅が広く、魅力的な仕事です。
十分に準備ができたら、恐れずにチャレンジしてみましょう。