行政書士になるには?受験資格はなし!公務員は有利!

試験合格以外でも行政書士になれる!?

行政書士になるにはどうすれば良いでしょうか。
まず真っ先に思い浮かぶのが、行政書士試験に合格するということだと思います。
多くの行政書士は試験を突破してきていますが、実は行政書士になる方法はそれだけではありません。

一般的に、行政書士は他の士業に比べて様々なバックグラウンドの人がいると言われています。
その理由の一つが、行政書になるルートがいくつかあるからだと考えることができます。
もしかしたら、試験を受けずに行政書士になれるかもしれません。
是非チェックしてみて下さい。

目次

行政書士になるには① 試験に合格する

誰でも狙えるのが試験に合格する方法

行政書士になるには、と考えて最もスタンダードな方法が、
行政書士試験に合格する方法です。

日業連(日本行政書士連合会)のアンケート調査によると、
試験合格者の割合は68.5%にもなります。
行政書士試験には受験資格の制限がなく、誰でも受験できるので、行政書士になる最も近道と言えるでしょう。

行政書士試験では、だいたい4,000人~6,000人の合格者が毎年誕生しています。
しかし、その全員が行政書士登録するわけではありません。
試験に合格しても、行政書士登録をしなければ行政書士にはなれません。

行政書士試験について

行政書士試験は、毎年11月に行われます。年に1回しか試験はありません。
例年7月に試験が公示されます。スケジュールはおおむね次の通りです。

受験願書・試験案内配布 7月~8月
受験申し込み 7月~8月
試験 11月(3時間)
合格発表 1月

試験に関する情報は、一般財団法人行政書士試験研究センターのホームページで見ることができます。
受験手数料は7,000円となっており、試験はマークシートと記述問題が出題されます。

また、記述は40字程度にまとめる問題が3問でます。
そのため、宅建士試験など完全マークシートの試験に比べると難しさが少し高くなっています。

試験科目 法令科目と、一般知識科目があります。
○法令科目
基礎法学、憲法、民法、行政法、商法・会社法
○一般教養
政治・経済・社会、情報通信、個人情報保護、文章理解
合格基準
  • 法令等科目の得点が、122点以上(5割以上)
  • 一般知識等科目の得点が、24点以上(4割以上)
  • 全体で180点以上(6割以上)
この3つをすべてクリアすると合格です。
1つでもクリアできなければ不合格です。一般知識で4割取れずに不合格になる人が大勢います。

受験資格なし!誰でも(高卒・中卒でも)受験できます

行政書士試験には、受験資格の制限がありません。
受験資格とは、その試験を受けるための資格です。
例えば、司法試験ならロースクール卒業、税理士試験なら簿記1級、社会保険労務士なら大卒以上、など、様々な受験資格が定められています。

行政書士にはそういった受験資格の制限がないので、誰でも受験できます。
そのため、年齢、性別、国籍は問わないため、法律系資格の登竜門として挑戦する人が多いようです。
また、17歳や18歳の合格者も毎年のように出ています。

ただし、行政書士登録ができるのは20歳からです。
一度合格すれば、登録しないからといって資格が失効することはないので、学生のうちなど時間があるときに挑戦してみるのが良いでしょう。

行政書士になるには② 公務員

行政書士になるには②公務員

長く公務員として努めた人にはチャンスがある

行政書士になるには、試験に合格する以外にも方法があります。
その1つが、「公務員・行政事務」といわれる仕事を長年務めた人に与えられる資格です。
日業連のアンケート調査によると、公務員・行政事務からの行政書士登録者は15.5%もいます。

試験なしで行政書士になるには

国又は地方公共団体の公務員として行政事務を担当した期間及び特定独立行政法人又は特定地方独立行政法人の役員又は職員として行政事務に相当する事務を担当した期間が通算して20年以上(高卒者は17年以上)になる者

(東京都行政書士会のサイトから一部抜粋)

上記に該当する方は、無試験で行政書士の資格をもらうことができます。
簡単に言えば、公務員を17年もしくは20年間勤めた人は、無資格で行政書士資格がもらえるということです。

もともと、行政書士は公官署に提出する書類を作るのがメインの仕事のため、そのような仕事を長年務めてきた人であれば、その資格を与えても問題ないとされています。
この場合も、登録しなければ行政書士として働くことはできません。

元公務員行政書士は意外と多い

行政書士登録者の15%以上が元公務員です(平成30年度現在)。
実際、研修会などでも60歳以上と思われる新入会員行政書士に出会うことが度々ありますが、彼らの多くは退職した元公務員です。

また、元の職場の経験を活かした仕事で成功する人も多くいます。
例えば、

  • 入国管理局での経験を活かして、外国人向けVISAの仕事をする
  • 警察官だった経験を活かして、風俗営業許可の仕事をする
  • 市区町村役場の戸籍課にいた経験を活かして、相続業務を行なう

などがあります。

行政書士になるには③ 他資格

行政書士になるには③他資格

他資格に合格すると、行政書士資格がもらえる!

行政書士試験合格、公務員経験以外にも、行政書士になれる第3のルートがあります。
それが、他資格合格者に与えられる行政書士資格です。
日業連によると、この方法で行政書士になった人は、約14%います(弁護士0.2%、弁理士0.2%、公認会計士0.3%、税理士13.4%)。

ただし、これらの資格試験に合格しても、行政書士として登録しなければ行政書士の業務を行なうことはできません。

この資格を取ると、行政書士資格がもらえる

  • 弁護士
  • 弁理士
  • 公認会計士
  • 税理士

上記の試験合格者は、自動的に行政書士になる資格ももらえます。

この中で行政書士との親和性が高いのが税理士です。
行政書士業務は、営業許可を取ったり新しいビジネスを始める場面での仕事が多いので、新規顧問先を獲得したい税理士とは相性が良い資格です。

多くの場合、これらの資格兼業者は行政書士でない方の資格がメイン業務で、行政書士業務はその資格と関連するごく一部の業務しか扱っていません。

これらの資格はそもそも行政書士よりも難しい資格なので、行政書士になるためのルートとしては、あまりお勧めできませんが、もし既に持っている資格があれば検討してみても良いでしょう。

独学で行政書士になれる?

独学で行政書士になれる?

独学で合格を目指すなら長期戦を覚悟する

行政書士を目指す場合、最も近道といえるのが試験に合格することです。
そこで受験を考えたときに「独学で合格できるだろうか?」と考える人も多いと思います。
ここでは、行政書士試験に独学で合格が可能な資格なのか、考えてみたいと思います。

3つの選択肢~独学、通信、通学~

資格試験を受けようと思ったら、独学、通信、通学のどれを選ぶか迷うのではないでしょうか。
独学を選ぶ人が多いのですが、挫折してしまう人が多いのも事実です。
まずは、それぞれのメリット・デメリットを考えてから慎重に選択しましょう。

メリット デメリット
独学
  • 費用が安い
  • 始めたいときに始められる
  • 自分のペースで勉強できる
  • 先生がいないのでわからなくなるとつまずきやすい
  • だらだらしやすい
  • 挫折しやすい
通学
  • 勉強のペースを強制的に作ってくれる
  • 先生がいるので、質問できる
  • 同じ目標を持った仲間に良い刺激をもらえる
  • 費用が高い
  • スクールのスケジュールに拘束される
  • 場所が遠いと通うのが大変
通信
  • 優れた教材が比較的安く手に入る
  • 自分のペースで勉強できる
  • 多くの場合、質問サポートがある
  • 価格差が大きいので、どれを選んで良いか迷う
  • サボりだすと独学と同じになる

こうして比べてみると、通信は独学のデメリットを補って、通学のメリットを比較的手軽に手に入れられる方法と言えます。

時間をかけるなら独学でも合格可能

独学の良いところは、やる気になったときにすぐ始められる点と、自分のペースで勉強できる点です。
そのため、本気で目指すかどうか迷っている資格について、独学で少し勉強してみて判断する、というアプローチは良いと思います。
少し実際に勉強を始めてみて、本気で目指したいと思ったら通信や通学も検討してみましょう。

独学でも合格しやすい人には特徴があります。
それは、

  • 資格勉強の経験者
  • 合格まで時間がかかっても良い人

です。

ある程度資格試験の勉強法が分かっていれば、独学でもかまわないと思います。
また、合格まで長い時間がかかっても良いと考えるなら、独学でコツコツ勉強する方法もあります。
趣味として資格を取りたいなら、独学でも良いでしょう。

しかし、短期合格や目標とする期限があるなら、やはり独学よりは通信や通学の方が合格しやすいのは確かです。
行政書士試験はある程度長期間の勉強が必要なので、そのスケジュールを意識した教材や授業でペースを作っていくことが重要だからです。

まとめ

行政書士になるには?という疑問についてまとめてきました。
多くの人は、行政書士試験合格を目指すことになります。

試験は毎年1回しか行なわれないので、情報収集をするとともに試験に向けて勉強のスケジュールを組んで行きましょう。