ITパスポート試験に合格するための勉強時間は?取得するメリットや勉強方法も

更新日:2024年1月22日

ITパスポートって書いてある四角い木

ITパスポートという名称を聞くと、IT関係の企業で働く方のための資格というイメージがあるかもしれません。

しかしITパスポートは全社会人を対象とした国家資格であり、社会人として持つべきITリテラシーを持っていることを証明するための資格です。

そんなITパスポートを取得するためにはどの程度の勉強時間が必要なのか?また、ITパスポート試験に合格するためにはどのような知識が求められるのかといった点に関して解説していきたいと思います。

目次

ITパスポートとは?

ITパスポートという資格は、「情報処理技術者試験」という国家試験の1つの区分になります。情報処理技術者試験には合計12の資格が含まれており、その中でITパスポートはもっとも取得しやすい資格に位置付けられています。

このことからも分かるように、ITパスポートは、情報処理技術者試験という国家資格における入門編的な資格となります。

ITパスポートに関しては、以下の記事で詳しく解説していますので、参考にしてみてください。

ITパスポート試験の詳細はこちら

ITパスポートを取得するメリット

情報処理技術者試験においては、入門編的な資格となるITパスポート。そんなITパスポートを取得するメリットに関して紹介しておきましょう。

社会人全般に求められるIT知識が身につく

ITパスポートは、その名称に「IT」という単語が使われているため、IT業界に進む方向けの資格と思われるかもしれません。情報処理技術者試験のより上位の区分の資格に関しては、IT業界で働く方向けの資格となりますが、ITパスポートに関しては、特にIT業界向けの資格というわけではありません。

ITパスポートを取得して身に着けられるITに関する知識は、すべての社会人が持つべきレベルの知識です。

現状どの業界で働くにしても、ITを利用しない業界はありません。極端に言ってしまえば、メールを使うのもITを利用しているということになります。

そんなITを利用する際に身に付けておくべきITリテラシーが身につくのがITパスポートという資格。これから社会人となる大学生の方、出産や育児で一時期仕事から離れていた女性の方などに最適な資格といえます。

就職や転職で有利になる可能性がある

ITパスポートを取得することで、社会人として最低限必要なITリテラシーが身に付いていることを証明することができます。そのため、就職や転職というシーンではよりよい評価を受けられる可能性があります。

ただしITパスポートは、取得することで何か特定の業務ができるような資格ではありません。自身が持つ知識や能力を証明するために資格となりますので、ITパスポートを取得することで、どこか特定の業界に就職する際に有利になるということはありません。

これは反対に言えば、どんな業界でも同じような評価を受けられるということ。目指す業界に関係なく、就職や転職で有利になる資格と考えていいでしょう。

もちろんよりよい評価を受ける可能性はありますが、ITパスポートを取得しているからといって、必ず就職できるというわけではありませんので、その点は間違えないようにしてください。

ITパスポートの難易度

では、ITパスポートの試験の難易度はどの程度のものなのか。難易度が分かれば自ずと勉強時間もイメージできるようになるかと思いますので、まずはITパスポート試験の合格率を見ていきましょう。

2023年10月度のITパスポート試験の合格率は、53.7%。受験者の半数以上の方が合格しているということになります。2023年4~10月の半年間の累計でも、合格率は51.5%とやはり半数以上の方が合格しています。

合格率50%以上というのは、資格試験の中でもかなり高い水準であり、ITパスポートは比較的難易度の低い試験であるといえるでしょう。

ITパスポートの難易度に関しては、以下の記事で詳しく解説していますので参考にしてください。

ITパスポートの難易度についてはこちら

ITパスポート試験で求められる知識

ITパスポートの試験では3つの科目が出題されます。この3つの科目でどのような知識が問われるのか?この点に関して簡単に解説していきましょう。科目別の出題内容が分かれば、どの科目にどの程度の勉強時間が必要かも想像しやすくなるでしょう。

ストラテジ系

ストラテジ系の科目では、主に企業経営に関する問題が出題されます。出題数は全体で100問出題されるうちの35問程度です。

大分類 中分類
企業と法務 企業活動
法務
経営戦略 経営戦略マネジメント
技術戦略マネジメント
ビジネスインダストリ
システム戦略 システム戦略
システム企画

企業経営が中心となる科目ですので、経営に関する単語や、経営戦略に関する単語など、社会人ではない方にはあまり耳慣れない単語も多く出てきますので、しっかりと勉強時間を確保したい科目でもあります。

また、企業法務に関する問題も出題されるため、ある程度の法律知識も必要です。とはいえ、そこまで難題が出題されるわけではありませんので、暗記が苦手という方でも十分対応は可能でしょう。

ストラテジ系のもうひとつのポイントは、「会計・財務」の問題で、一部」計算力が必要な問題が出題されるという点。ITパスポート試験はそこまで試験時間は長くないので、簡単な計算は暗算できるようにしておくといいでしょう。

マネジメント系

マネジメント系の科目では、プロジェクトの立案から成功までの流れや、システム開発、システム監査などの問題が出題されます。出題数は20問程度と、3科目の中ではもっとも少ない科目となります。

大分類 中分類
開発技術 システム開発技術
ソフトウェア開発管理技術
プロジェクトマネジメント プロジェクトマネジメント
サービスマネジメント サービスマネジメント
システム監査

出題数こそ少ないものの、特にまだ社会人の経験がない方、少ない方などにはあまり聞き慣れないビジネス用語が多く出題されますので、ある程度しっかり勉強時間を確保したい科目でもあります。

反対に言ってしまえば、こうしたビジネス用語の意味や使い方をしっかりと理解できれば対応できる科目でもありますので、特に初学者の方は、まずは単語の意味と内容を理解していくことを心がけましょう。

テクノロジ系

最後に紹介するのがテクノロジ系の科目です。出題数は45問程度と、3科目の中でもっとも多く、特に勉強時間を確保したい科目にもなります。

大分類 中分類
基礎理論 基礎理論
アルゴリズムとプログラミング
コンピュータシステム コンピュータ構成要素
システム構成要素
ソフトウェア
ハードウェア
技術要素 情報デザイン
情報メディア
データベース
ネットワーク
セキュリティ

テクノロジ系は、いわゆるIT関連と呼ばれる出題が多い科目であり、やはり専門用語の多い科目となります。PCの基本的な仕組みやアルゴリズム、さらに数学的基礎理論など、比較的広範囲から出題されます。

出題レベルこそそこまで高くないものの、出題範囲が広いことから対策にはある程度勉強時間が必要な科目となり、特に初学者の方が手こずる科目でもあります。出題範囲にはいろいろな専門用語があり、こうした専門用語の説明をする出題も多く、普段聞き慣れない単語に関してきちんと理解できるように、しっかり勉強時間を確保しましょう。

ITパスポート試験に合格するために必要な勉強時間

ITパスポート試験の出題内容や合格率などを紹介してきましたが、では実際にITパスポート試験に合格するためには、どの程度の勉強時間が必要になるのか。この点に関して紹介していきたいと思います。

ITの基礎的な知識がある方であれば80時間程度

ITパスポート試験に合格するための勉強時間は、受験する方の持っている知識やこれまでの経験によっても変わってきます。

ITに関する基礎知識がある方や、実際に社会に出て社会人としていろいろな実務に携わっている方であれば、必要な勉強時間はやや短くなります。

大学や専門学校などで、ITに関する勉強をした経験がある方、社会人としていろいろなプロジェクトに参加した経験がある方などの場合、およそ80時間程度の勉強時間で合格が目指せるでしょう。

ITパスポート試験はCBT方式を採用しています。CBT方式は自分で試験日を設定できる試験ですので、勉強をして自分がベストのタイミングで受験ができる試験ですので、これからITパスポートを目指す方は、あらかじめ大まかな試験日を決めて、その日程に向けて勉強を始めるといいでしょう。

初学者の方は100時間程度

これまで特にITに特化した勉強をしていない方、また社会人経験のない大学生の方などは初学者の方に当たるかと思います。こうした初学者の方は100時間程度は勉強時間を確保したいところです。

この100時間というのは、ある程度集中して、質のいい勉強をした場合の目安であり、なんとなく勉強を進めていると、それこそ200時間あっても合格は難しくなります。できるだけ勉強の質を上げるようにしましょう。

合格に必要な勉強時間を確保するには?

合格に必要な勉強時間は80~100時間程度。ではこの勉強時間を確保するのに、どの程度の期間が必要になるのかを考えてみましょう。

平日仕事をし、週休2日の社会人の方の場合、仕事のある日に確保できる勉強時間は1~2時間程度ではないでしょうか。

仮に朝9時から夕方18時まで仕事だとして、通勤時間が片道1時間と考えると、朝7時に起きて、夜は19時頃帰宅することになります。自宅にいるのは12時間となりますが、このうち睡眠時間が7時間、食事や入浴の時間や家事の時間も必要ですので、自由にできる時間は3時間程度でしょう。

この3時間を勉強時間に充てることができればいいのですが、集中して勉強をする、休憩しながら勉強をすると考えた場合、確保できる勉強時間は1~2時間程度でしょう。

仮に平日毎日1時間、土日は1日5時間勉強時間を確保した場合、1ヶ月~1ヶ月半程度で80時間の勉強時間が確保でき、2ヶ月程度で100時間の勉強時間を確保できます。

いずれにせよ、ITパスポートに合格するためには1~2ヶ月程度の勉強期間が必要ということになります。

ITパスポート試験の難易度をほかのIT系資格と比較

最初に紹介した通り、ITパスポートは情報処理技術者試験の区分の1つです。では、その情報処理技術者試験のほかの区分の資格と比較した場合、どの程度難易度に差があるのかを解説していきましょう。主に勉強時間という観点から比較していきたいと思います。

基本情報技術者試験と比較

基本情報技術者試験は、情報処理技術者試験のレベル2に区分されている資格で、ITパスポートのひとつ上の区分の資格となります。

区分としては1つしか変わらないということになりますが、試験の傾向は大きく変わります。ITパスポートは社会人全般が持つべき資格と紹介しましたが、基本情報技術者試験に関してはIT業界を目指す方向けの資格となります。IT業界を目指す方にとっては入門編的な資格となりますが、難易度はITパスポートよりは高くなります。

基本情報技術者試験に合格するために必要な勉強時間は150~200時間ほど。ITパスポートよりもかなり難易度が高い試験となります。

基本情報技術者試験の難易度に関しては、以下の記事でも詳しく解説していますので、参考にしてください。

基本情報技術者試験の勉強時間についてはこちら

応用情報技術者試験と比較

応用情報技術者試験は、情報処理技術者試験でレベル3に区分されている資格であり、基本情報技術者試験の上位資格となります。

応用情報技術者試験はIT業界で働く上で、実際に実務でも活用できるレベルの知識が必要になる資格です。そのためITに関するより深い知識が必要であり、さらにその知識を実務で応用できるだけの能力が必要な試験です。

ITパスポートと比較するとかなり難易度の高い試験であり、合格に必要な勉強時間は500時間程度。合格するためには半年間以上の勉強期間が必要となるでしょう。

ITパスポート試験合格へのポイント

ITパスポート試験に合格するためには、ある程度の勉強時間が必要です。また、勉強時間だけではなく、意識しておきたいポイントがいくつかありますので、これからITパスポートを目指す方は、以下のポイントを意識して勉強を始めましょう。

合格までの勉強時間を短縮する

ITパスポートの試験自体はそこまで難易度の高い試験ではありません。勉強時間もさほど長くありませんので、比較的誰でも取得が目指せる資格です。

難易度の高い試験ではないからこそ意識したいのが、より短い勉強時間で合格を目指すことです。

ITパスポートはCBT方式の試験ですので、試験日に合わせて勉強を進める必要はありません。自分のタイミングで受験できますので、ドンドン勉強を進めて早めに受験できるように準備しましょう。

自分に合ったテキストを見つける

ITパスポートは短い勉強時間で挑戦できる試験です。そのため独学で合格を目指す方も多いかと思います。独学で目指す方は自身でテキストを選んで勉強をする形になりますが、問題となるのがテキスト選びです。

この記事で何度か触れている通り、ITパスポートは情報処理技術者試験の入門編的な資格です。そのためITパスポート試験のテキストの中には、ITパスポートをきっかけにさらに上位の資格を目指す方向けのテキストもあれば、最短でITパスポートのみを目指す方向けのテキストもあります。

こうしは市販のテキストの中から、自身に合ったテキストを選んで勉強するのがポイントです。ITパスポートの市販テキストはかなり数が多くなりますので、数あるテキストの中から自分に合ったテキストを見つけましょう。

テキスト選びのポイントに関しては、以下の記事でも詳しく解説していますので参考にしてください。

ITパスポート試験のテキスト選びについてはこちら

勉強スケジュールを立てて実行する

勉強に集中する、勉強の質を上げるという点では勉強スケジュールをしっかりと立てることが重要です。また立てたスケジュールの通りに勉強を進めていくのもポイントです。

ITパスポートはCBT方式の試験ですので、まずは自身である程度大まかに受験するタイミングを決め、そのタイミングに合わせて逆算してスケジュールを立てましょう。

スケジュールを立てて勉強を進めることで、勉強は効率的になります。また、スケジュールを毎日クリアしていくことで毎日達成感を感じながら勉強を進めることができます。達成感を感じることで勉強に対するモチベーションを維持することもできます。

スケジュールは最終的には毎日単位のものまで作成しましょう。また、緩すぎず、キツ過ぎずのスケジュールを立てられるように調整しましょう。

過去問対策でしっかりと傾向をつかむ

どの資格試験でも同様ですが、ITパスポート試験においても過去問対策は有効な対策となります。過去問対策をする際は、できるだけ最近の試験で出題された過去問を活用しましょう。

過去問対策は単純に知識を身に付けるというだけではありません。ITパスポート試験の出題傾向も身に付けることができる対策となります。勉強を進めてから過去問対策をするというよりは、勉強の序盤からどんどん過去問に挑戦することで、ITパスポート試験の傾向をつかみながら勉強を進める方が効率的になります。

独学では難しい場合は通信講座の受講も

ITパスポート試験は、そこまで難易度の高い試験ではありませんので、独学でもしっかり勉強時間をかければ十分合格を目指すことはできます。しかし、科目別の出題傾向の部分でも触れた通り、全体的に専門用語などを知る必要がある試験でもあります。

こうした専門用語を覚える勉強は、独学では難しい部分があります。専門用語で躓くようですと、想像以上に勉強時間が必要になるケースもあります。

特に初学者の方が独学で挑戦しようとして、挫折してしまうケースもあるようです。

ITパスポート試験は、その難易度や資格の内容からも、あまり勉強時間をかけて取得を目指す資格ではありません。あまりに勉強時間がかかりそうな場合は、通信講座を利用して短期間で取得するのがおすすめです。

ITパスポート合格のために通信講座をおすすめする理由

ITパスポート資格を取得するために、独学では勉強時間がかかるという場合は、通信講座の利用がおすすめです。

通信講座を利用した場合、どのようなメリットがあるのか紹介していきましょう。

より短期間での合格が目指せる

通信講座には、当然ですが専門講師がいます。この専門講師はITパスポート試験に精通しており、試験の専門家であり、人に物を教える専門家でもあります。

こうした専門講師がいる通信講座では、ITパスポート試験の出題傾向をしっかりと把握し、最短で合格できるためのオリジナルテキストを製作しています。さらにもっとも効率的に学べる勉強カリキュラムもこのオリジナルテキストに沿った形で用意しています。

つまり、通信講座を利用することで、最短でITパスポート試験合格が目指せ、勉強時間も大幅に短縮できるということになります。

就職や転職が近く、何か資格が欲しいと考えている方でも、最短2週間程度の勉強時間でも合格を目指せますのでおすすめです。

勉強だけに集中できる

通信講座を利用するメリットは、授業があるというだけではありません。独学でITパスポート試験を目指す場合に、勉強以外で必要な手間を一気に解消できるというメリットがあります。

その手間がテキスト選びと勉強スケジュールの立案です。ITパスポートは、独学でも2ヶ月程度の勉強時間で合格を目指せる資格です。その2ヶ月間のために、数多くある市販のテキストから自分に合った1冊を選び、また勉強をするスケジュールを考えるというのは大きな手間となります。

こうした手間を省けるだけでもかなりの時間短縮となるでしょう。

まとめ

ITパスポートという資格は、IT業界で働く方だけではなく、すべての社会人が身に付けておくべきITリテラシーが身についていることを証明する資格です。

情報処理技術者試験という国家資格の1つの区分であり、この国家資格の中でも入門編にあたる資格であり、資格取得の難易度はそこまで高くない試験です。

ITパスポートを取得するために必要な勉強時間は独学で80~100時間程度。しっかり勉強時間を確保できれば、1~2ヶ月程度で取得できる難易度になっています。

ITパスポートを独学で目指す方は、自分に合ったテキストを探し、しっかりと勉強スケジュールを立てて勉強の準備をしましょう。勉強を進める場合は、適宜過去問対策をしながら進めると勉強効率は上がります。

ITパスポートはその難易度からも、しっかりと勉強時間を確保できれば独学でも合格を目指せる試験です。それでも独学では不安な方、独学で始めたもののなかなか勉強がはかどらないという場合は、通信講座の利用も考えるのがおすすめ。

通信講座を活用すれば、より効率的に、より短い勉強時間で合格を目指せるでしょう。

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