マンション管理士とは?仕事内容やメリット・デメリットなど気になるポイントを解説

更新日:2024年2月29日

マンション管理士の仕事とは?ポイントや注意点などを解説

これからマンション管理士の試験を受けたいなら、まずその仕事内容を確かめましょう。この仕事では、マンション管理組合の総合的なサポートをします。独占業務はありませんが、住民の味方になれるのがメリットです。

今回はマンション管理士に興味がある方のため、仕事に関する基礎知識をまとめました。これを読めば合格後において、実際に管理士として働く状況をイメージできるでしょう。どのような点でやりがいを覚えられるかには、とくに注目してください。

目次

マンション管理士の仕事とは?

マンション管理士とは、マンションの維持・管理や管理組合の運営等について、管理組合の管理者やマンションの区分所有者等に対する相談・助言・指導その他の援助を行う専門家です。

マンション管理士になるためには、専門知識を習得して国家試験に合格し、登録を受けることが必要です。

マンション管理のアドバイザー

マンション管理士とは、賃貸物件管理のアドバイスをします。運営のサポートや問題解決、会計管理などにより、住環境を守るのです。管理士がいて初めて、住民たちは安心して暮らせます。

アドバイザーとしての目的は2つです。住民たちの安心と、マンションの価値の維持です。この2つの観点から、健全な住環境を守らなければいけません。そのために管理会社の方針の確認や、住民の問題解決などに努めます。

マンション管理士の社会的責任は、一般的な管理人とは違います。それでも社会的な使命感を覚えられるでしょう。

国家試験に合格しなければならない

マンション管理士を名乗るには、国家試験に合格しなければなりません。管理士自体が国家資格だからです。試験自体は難関ですが、ここを突破しなければ管理士と名乗ることはできません。

マンション管理士は名称独占資格のひとつです。無資格ではその肩書きを名乗れないことを意味します。資格がないのにプロフィールや名刺でマンション管理士と名乗ると違法です。以上から管理士と名乗る方は、指定試験に合格した方ととらえられます。

人々の住環境を守る肩書きだからこそ、マンション管理士と名乗る人は限られているのです。

マンション管理士の仕事内容は主に6つ

マンション管理組合の運営やアドバイス

マンション管理組合の運営やアドバイスは、管理士としてメインとなる仕事です。不動産の専門知識がない組合員のためにも、管理士の適切なサポートが欠かせません。このようなコンサルティングの重要性をまとめました。

分譲マンション所有者は、管理組合への参加が原則です。彼らをサポートするために、管理士が重要になります。

マンション運営では管理組合から代表者や運営参加者を選び、運営方針を決めるしくみです。組合員は不動産管理に詳しくないことが想定されるため、代表者選定から方針決定まで管理士のアドバイスが欠かせません。

マンション管理士のように専門知識のある方が入れば、組合は健全な管理運営ができます。トラブルのリスクを最小限にとどめるには、専門家の知恵がポイントです。

マンションの管理組合の運営では、管理士があらゆるケースに気を配らなければなりません。組合の構成から建物の管理まで、重要なポイントが多いからです。管理士は状況を細かく把握し、やるべきことを常に考えなければなりません。

管理組合の運営だけでも、必要な業務はさまざまです。たとえば役員の引き継ぎ時には、建物に関するヒアリングを済ませましょう。駐車場または駐輪場でのトラブルの有無、ペット飼育、生活マナー、修繕工事など、必要な情報はひととおり揃えるのが賢明です。

他にもマンションにおける年間スケジュール表、収支予算、トラブル時の対応方法などを逐一まとめておきましょう。このように管理組合の運営では、さまざまなチェックポイントがあります。

マンション管理士は健全なサポートのため、チェックポイントの確認が必要です。気になる点があれば組合員とのコミュニケーションで解決することになります。

大規模修繕計画のチェックや業者選定

マンション管理士業務の2つ目は、大規模修繕計画のサポートです。建物としての価値を守るには、修繕が欠かせません。しかし管理組合には施工の知識がないため、専門家のサポートが不可欠です。ここでは大規模修繕計画のサポートについてまとめました。

マンションの価値保全には、計画的な修繕が欠かせません。プラン策定は基本的にマンション管理士の仕事になります。この際、管理士のサポートによる正しい計画策定が大切です。

たとえば管理士は修繕計画策定時、内容精査をします。修繕が必要な部分が計画になかったり、不必要な工事が加わったりしていれば、トラブルになるからです。管理士は専門的見地だけでなく、建物の実態を見て計画調整を進めるのです。

業者選びや費用チェックでも、管理士のサポートが重要です。悪質な業者だと手抜き工事をしたり、マンション側に法外な請求をしたりするかもしれません。こうした事態を避けるためにも、管理士は組合に健全な業者の選び方を伝える必要があります。修繕計画こそ、管理士によるコンサルティングが重要です。

管理士のリードによって、健全な修繕計画を作れます。専門的知識の介入によって、工事のノウハウがない管理組合を助けられるからです。工事後のトラブルを未然に防ぐため、管理士が丁寧に助けてあげなければなりません。

マンションでの修繕工事が無事に済むように、管理士にはさまざまな場面でのリードが大切です。専門的知識のない管理組合のため、業者選定から施工完了まで助けてあげましょう。以上の取り組みがあってこそ、管理組合は大規模修繕を乗り越えられるのです。

管理組合の会計管理

マンション管理士の3つ目の業務は、管理組合の会計管理です。組合関連のお金の管理を意味します。彼らがお金を正しく使うためにも、管理士の専門的知識が大切です。会計管理の重要性を以下にまとめました。

マンション管理士は、組合が扱うお金の管理も手伝います。管理組合の運営予算や、大規模修繕用の積立金管理が必要だからです。これがないと組合が勝手にお金を使いこんだり、管理ミスによってマンション運営に失敗したりするおそれがあります。

マンションの階数や面積が大きいほど、予算も大きくなる点に注意です。以上を考えても予算管理は、信頼できる人物に限られるでしょう。マンション管理士がその役目を担うケースも想定されます。

マンションも組合のお金に支えられているのです。そのために管理士は、会計管理も引き受けます。

マンション管理士は、管理組合がお金を正しく使うためのサポートをします。予算管理を助けるだけでなく、その配分も管理組合に伝えなければなりません。管理士の介入があって初めて、マンションのお金を健全に使えるのです。

たとえばマンションは経年劣化をするため、大規模修繕が必要です。管理士は修繕のために、その時点でいくら使えるかを精査し、組合に資金配分を伝える必要があります。計画に応じて修繕積立金が集まっているかどうかも確かめなければなりません。

このように予算管理だけでなく、使い方に関してもマンション管理士のアドバイスを要します。

管理規約の運用

マンション管理士業務の4つ目は、管理規約の運用です。ここでは規約作成や確認のチェックがメインになります。以上を踏まえて、管理規約の重要点を確かめてください。

管理規約の作成や確認でも、マンション管理士が重要です。住人たちが健全に暮らすには、管理士の専門的知識が欠かせません。入居前の規約確定が通例ですが、あとから改定を受けるケースもあるため、管理士はここでもアドバイスが必要です。

たとえばペット持ち込み有無、駐車または駐輪時のマニュアルなど、あらゆる場面を想定してください。新しいマンションでは以上に基づいて、入居が始まる前にルールを決めなければなりません。また改定時も専門的見地を生かし、短期間で済ませることが大切です。

住民が安心して暮らすには、マンションのルールが大切です。策定時も管理士のサポートがカギになるでしょう。

管理規約を作るときは、少なくとも以下の確認に努めましょう。

  • 共用・専有部分の区別
  • 専有部分のリフォームの届け出に関する規定
  • 管理および修繕積立費の算定や使い道
  • 管理組合業務関連の規定
  • 管理組合役員の選び方やその業務に関する規定
  • 管理組合総会の開催や招集手続き、出席資格、議決権、成立要件などの取り決め
  • 総会における普通または特別決議の適用範囲
  • 管理規約上の禁止事項
  • 管理規約に付属する設備の使用ルール

管理組合運営には、以上に関するルール整備が重要です。共用や専有部分の区分けからはじまり、リフォームや修繕が必要になったときの取り決め、金銭的なやり取り、組合の運営方法など多岐にわたります。

このようにマンションの健全な運営には、細かい取り決めが重要です。管理士が専門的見地を活かし、規約策定に協力しなければなりません。

管理委託契約のチェックやアドバイス

マンション管理士の5つ目の業務は、管理委託契約のチェックやアドバイスです。しかし、管理士はあくまでも契約をサポートする立場なので、直接的に締結はできません。このように管理士と管理委託契約の関係性に注意しましょう。以下で詳細を解説します。

管理組合は管理会社に対して委託契約を結んでいます。以上から管理会社所属の管理士が、組合に対し規約をめぐるアドバイスを進められるのです。

必要に応じて規約作成や変更のサポートをしたり、大規模修繕工事の立案をしたりできる形です。またマンション管理士は、委託契約の内容を確かめ、問題点があれば組合へ契約の見直しを提案します。

このように管理士は、管理組合と管理会社の間に立ち、お互いの健全な関係を助けるのが仕事です。

マンション管理士の役目は、あくまでも契約のサポートです。委託契約を直接結ぶ立場ではありません。ただし管理組合が不利な契約を結んでしまわないように、必要な助言を与えることがあります。

マンション管理士は委託契約の内容に問題があったとき、すぐに管理組合で伝えなければなりません。契約時のリスクを知らせることで、組合がマンションの運営を満足にできなくなる可能性を抑えられます。

このようにマンション管理士は委託契約に直接関わりません。しかし契約後のトラブルを未然に防ぐには、管理士の組合に対するアドバイスが不可欠です。

住民同士のトラブルの解決

マンション管理士の最後の業務は、住民同士によるトラブルの解決です。マンション運営に関わっていると、住民同士のもめごとがあるかもしれません。専門的見地からトラブルの早期解決に努めるのも、管理士の仕事です。以下でその詳細をまとめました。

マンション管理士は、トラブルの解決に乗り出すこともあります。当事者同士で解決できないもめごとは、管理士が間を取りもつことがあるからです。共同住宅であるために、住民同士が使い方でもめることもあるでしょう。トラブルのせいで他の住民まで迷惑するかもしれません。そのため管理士の助力による早期解決が重要です。

マンション管理士が解決に向かわなければいけない状況は、住民同士で問題を終わらせられないことを意味します。

このようにマンション管理士は、住民同士のトラブルにおける相談先として選ばれることがあります。

マンション管理士が解決に乗り出す問題もさまざまです。たとえば騒音や喫煙などで他の住民に迷惑がかかる状況が想定されます。他にもゴミ集積場や駐車場、駐輪場といった特定設備の使い方で、他の住民が迷惑になるかもしれません。

以上のようなトラブルが起きたとき、管理士の活躍が重要です。公平な観点から解決方法を伝えなければなりません。このとき気をつけるべきなのは、すべての住民に不利益が生じない解決方法を探ることです。しかし住民の迷惑行為があまりにもひどい場合は、集会を行い、裁判によって退去を命じることもあるでしょう。

このようにマンションの住民全体が納得できるように問題を解決するのが、管理士の努めです。

マンション管理士の魅力やメリット6つ

マンション管理士にはさまざまな魅力やメリットがあります。まずは資格取得により収入アップを見込めるでしょう。他にも就職や転職で有利になったり、住民との信頼関係を築いたりできるチャンスです。ここでは管理士の利点ややりがいなどをまとめました。

収入アップの可能性

マンション管理士の資格取得によって、収入アップを望めます。国家資格なので資格手当支給の可能性に期待してください。以上から転職者は、前の仕事よりもやりがいを感じられるかもしれません。

たとえば管理士資格取得によってスキルを認められれば、部署移動のうえで収入が上がるケースも見込めます。相応の知識を得なければ国家資格取得は難しいため、企業側も有資格者を人材として重要視するでしょう。

このようにマンション管理士の資格は、社会的ステータスを引き上げる可能性があります。

就職や転職で有利になれる可能性

マンション管理士の資格があれば、就職や転職で有利になれる可能性があります。社会的に資格としての需要があるからです。マンションのような住環境は衣食住に関わるため、企業も事業形態によっては、管理士資格のある人材を気に入るでしょう。

たとえばマンション管理士の有資格者を求める業種には、分譲マンション開発のデベロッパーが挙げられます。開発後のマンションには、新しい管理規約が必要で、策定には管理士のサポートが欠かせません。不動産売買業者でもマンション側とのコミュニケーションが求められるため、管理士がそれを助ける場面が想定されます。

このようにマンション管理士は社会的な需要があるため、資格があれば仕事を見つけられるかもしれません。

住民との信頼関係を築ける

マンション管理士は、住民との信頼関係を築けることがやりがいです。管理組合へのコンサルティングを通して、住民から頼りにされるでしょう。不動産や工事に関する専門知識の共有によって、住民が管理士に信頼を置くからです。

管理組合は分譲マンションのオーナーで構成されます。また組合業務の大部分は住民のためです。業務をスムーズに進めるには、管理士の役割が欠かせません。以上から管理士が有能なら、住民たちは安心して暮らせるでしょう。

仕事の成功体験の積み重ねにより、管理士は住民から感謝を受けることもあります。ここから管理士は社会的なやりがいを見出すのです。

財産としてのマンションを守れる

マンション管理士としての知識は、財産としてのマンションを守るきっかけにもなります。不動産もいつ災害などのトラブルに見舞われるかわかりません。管理士の知識は、トラブルの予防や対処に役立つでしょう。

マンションは数千万円や数億円のような多額の価値をもちます。このような資産の維持管理は、社会的な使命感を覚えられるでしょう。特に非常事態の予防や、起きたときの迅速な対応ができれば、管理士としての実績になります。

以上から管理士の知識は社会的なやりがいだけでなく、資産価値を守るうえでも重要です。

幅広い業務経験が可能

マンション管理士のメリットは、幅広い業務経験です。さまざまな場面でスキルを活かせば、それらが社会人としての経験値になります。仕事で必要とされる場面が多ければ、それだけでやりがいになるでしょう。

業務の種類が多い場合、それも大変ととらえる方もいます。しかしトラブル解決や大規模修繕工事の施工、会計管理などで成功すれば、管理士としてのステータスになるでしょう。このように管理人にとっては、経験値を重ねるほどやりがいが増えていきます。

マンション管理士の業務は幅広いといえますが、そのぶん社会的なやりがいの獲得や、コミュニケーション能力向上のチャンスを秘めています。

独立開業をする方もいる

マンション管理士の資格を活かして、独立開業をする方もいます。一般的には管理士の資格だけでの独立は厳しいでしょう。しかし他の資格との併用によって、独立後に収入が高くなることもあります。

たとえばマンション管理士と宅地建物取引士のダブルライセンスなら、賃貸物件関連のノウハウが深いでしょう。賃貸系の不動産を強みとした働き方で、顧客を増やせる可能性があります。他にも社労士とのダブルライセンスなら、マンションの管理組合だけでなく、管理会社の労務管理のアドバイスも可能です。

このようにダブルライセンスによって、マンション管理士としての社会的視野も広がるでしょう。

マンション管理士の注意点やデメリット2つ

マンション管理士はやりがいのある仕事ですが、注意点もあります。コミュニケーション能力やメンタルの強さが求められるでしょう。以下の詳細を踏まえて、自身がマンション管理士に向いているかを、あらためて熟考してみてください。

コミュニケーション能力が重要

マンション管理士の仕事では、コミュニケーション能力がカギを握ります。管理組合や住民などの意思疎通が重要だからです。これがうまくいかないと、管理士自身がトラブルの原因になるかもしれません。

一方でコミュニケーションが得意な人なら、住民や管理組合、管理会社などとの関係構築もうまくいくでしょう。マンション管理士の資格取得だけを目的とせず、意思疎通を活かした仕事への意欲を確かめてみてください。

メンタルの強さも欠かせない

マンション管理士としては、メンタルの強さも欠かせません。住民同士のトラブルを解決しなければならないからです。トラブルの当事者によっては、感情的な振る舞いをすることがあるでしょう。しかしこうした場合も恐れずに、毅然とした対処が必要です。

トラブルへの関与では、ストレスが想定されます。マンション管理士の仕事を始める前には、ストレス解消法を考えておくとよいでしょう。ストレスをため込まずに受け流す方法や、日ごろから自己肯定をするクセをつけることも賢明です。このようにメンタルのコントロールも、マンション管理士として重要になります。

マンション管理士になるためには?

マンション管理士になるための第一歩は、「国家試験合格」です。マンション管理士試験の概要を確認しましょう。

マンション管理士の試験内容

マンション管理士試験は毎年11月の最終日曜日に実施され、試験時間は2時間の長丁場となります。出題範囲は、マンション管理に関連する法令や実務に関することの他、管理組合運営、建物の構造・設備等多岐に渡り、マンション管理にまつわる幅広い専門知識が問われます。

設問は四肢択一のマークシート方式のみとなり、記述式による解答はありません。年齢や学歴、実務経験等の受験資格が設けられておらず、挑戦しやすい国家試験のひとつではありますが、試験地が主要都市に限定されているため、あらかじめ確認が必要です。

マンション管理士試験の難易度・合格率

マンション管理士試験は、宅地建物取引士や管理業務主任者とともに「不動産三冠資格」に位置づけられる難関国家資格です。合格率は例年10%前後となっており、直近の2023年度試験では10.1%でした。

合否判定は、相対評価であり、合格点は例年、36点~40点で推移しています。

マンション管理士と管理業務主任者との違いは?

マンション管理士と混同されがちな「管理業務主任者」について、理解しておきましょう。両者はいずれもマンション管理に関わる専門資格ですが、実務上は真逆の立場をとる専門家です。

マンション管理士が管理組合側(区分所有者及び住民)のコンサルタントであるのに対し、管理業務主任者は管理会社の立場から管理組合側に対する重要事項説明や管理事務に関する報告を行う役割を担います。

参考:公益財団法人マンション管理センター マンション管理士試験について

マンション管理士のキャリアパス

マンション管理士の資格を目指すなら、取得後のキャリアパスまで考えましょう。たとえば収入の個人差に要注意です。企業で雇われる場合と独立開業によっても、収入のもらい方が異なります。資格取得後に想定されるキャリアパスを以下にまとめました。

収入には個人差がある

マンション管理士の収入には、個人差があります。独立開業で年収1000万円を超える方もいれば、一般の正社員より少ない給料の方もいるからです。管理士としてどこまで稼げるかは、働き方次第でしょう。

また仕事がうまくいかないと、企業から解雇されるリスクもあります。独立開業者としては廃業も考えられるでしょう。収入の目標も重要ですが、まずはコンスタントに仕事を覚えていきながら、ビジネスを軌道に乗せることが大事です。成功体験の積み重ねによって、ある程度は自然と収入も増えていくでしょう。

企業に所属する場合

マンション管理士として、企業に所属する方もいます。この場合は資格手当による優遇に期待です。管理士は国家資格であり、衣食住に関連した仕事なので、人材としては重要視されるでしょう。

たとえば不動産系のコンサルティングや管理会社では、管理士資格が役に立ちます。管理組合運営のノウハウが業務上不可欠だからです。こうした環境を味方につけて成功を重ねれば、一定の収入アップも見込めるでしょう。

独立開業する場合

マンション管理士の資格だけで独立開業は難しいでしょう。しかし行政書士や社労士など他資格とのダブルライセンスがあれば、独立によってオリジナルの働き方ができます。自分にしかない強みを活かせば、企業として雇われる場合よりも収入が高くなるかもしれません。

たとえば行政書士や社労士なら、その資格だけでも独立開業が可能です。マンション管理士とのダブルライセンスがあれば、不動産系ビジネスに対するコンサルティングでスキルを発揮できるでしょう。他にも土地家屋調査士や宅建士とのダブルライセンスでは、不動産系の独自ビジネスで顧客獲得が可能です。

このようにマンション管理士は他資格との組み合わせ次第で、独立開業後に役立つかもしれません。

マンション管理士の将来性をチェック

マンション管理士は、長期的に将来性が見込めます。ライフスタイルの変化への適応で、シニア世代でも活躍できるでしょう。AIによる代替が利きにくい仕事であることもポイントです。ここではマンション管理士のこれからを述べていきます。

長期的に需要が見込める

マンション管理士は、これからも長期的な需要が見込めます。日常生活に深く関わる資格だからです。管理士に限らず住環境に関連した資格は、これからも一定の需要を生み出すでしょう。

管理士資格の需要は、社会情勢の変化によって増えるかもしれません。人間にとって家に住むことは当たり前です。今後社会の変容によってマンションのあり方が変われば、なおさら管理士によるコンサルティングが重要になるでしょう。以上からマンション管理士の需要は、今後も衰えなさそうです。

ライフスタイルの変化に対応できれば活躍を広げられる

マンション管理士は、ライフスタイルの変容に応じて、活躍を広げられる可能性があります。たとえば最近では一戸建てに興味を示さず、マンションに長年住み続ける方もいる状況です。そうした方が安心できるように規約整備をするのも、管理士の努めになります。

また都市部への人口集中もこれからのキーワードでしょう。その地域の分譲マンションの需要がマンション管理士の必要性につながるからです。以上からライフスタイルの変化に合わせて、管理士の需要が高まる可能性があります。

AIによる代用が難しいため将来性が高い

マンション管理士は、AIによる代用が難しいといえます。規約や会計管理、トラブル解決などのコンサルティングでは、人間の介入が不可欠だからです。人間の感情や事情に幅広く対応するうえで、AIでは限界があるでしょう。以上から今後AIの発達が目覚ましくなっても、人間のマンション管理士が重要視されそうです。

シニア層の活躍も期待できる

マンション管理士はシニア層にとって、新しいキャリア構築のチャンスにもなります。豊富な人生経験を味方に、人々が安心して暮らせる環境を作れるでしょう。

また賃貸物件の管理士は、未経験でも始めやすいのが特徴です。以上から定年退職後のキャリアとしても期待できるでしょう。若い世代に限らず、シニア層でもマンション管理士としての道を開けます。

これからマンション管理士になるのであれば

近年、マンション管理士への需要が高まりをみせています。マンションの数が増えればその分マンション管理士の活躍の場が広がることはもちろん、都市部を中心に増加する高経年マンション問題への対応においても専門家の存在は不可欠です。

「資格を取得して仕事で活躍したい」という方にとって、マンション管理士は注目すべき国家資格と言えるでしょう。合格率10%前後の難関・マンション管理士試験の合格を目指すなら、時間や場所を選ばず、効率重視で学べる教材の活用が得策です。

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マンション管理士の求人は?

マンション管理士の仕事ができる求人の特徴を紹介します。主にマンション施工販売や管理を一手に引き受ける事業者や、管理組合運営、コミュニティサポートなどで、管理士が求められるようです。求人の背景を見ていきましょう。

マンション施工販売や管理を一手に引き受ける業者

マンション管理士を求める求人には、施工販売や管理などの複数業務を一手に引き受ける業者が想定されます。自社から管理組合への連絡や調整業務を、管理士にまかせるためです。

たとえば新しいマンションの施工が終わったら、管理組合が成立します。組合は住環境の維持や管理が使命です。組合が間違った行動をしないように、コンサルタントの役目として管理士も必要になります。

また企業がマンションの販売や管理をするうえでも、その建物におけるルール策定や周知などが必要でしょう。そこで物件を扱う企業が、管理士のサポートを求める場合があります。管理組合と良好なコミュニケーションをとるためです。

以上からマンションを商品として扱う企業は、管理士のサポートが常に必要であると考えてください。

管理組合の運営

マンション管理士は、管理組合の運営者を求めるグループからも必要とされます。管理組合が運営を正しく進めるために、管理士のサポートが重要だからです。以上の目的で、マンション管理会社が管理士対象の求人を出すことがあります。

管理組合は基本的に、分譲マンションの持ち主全員による構成です。しかしなかには、不動産関連の知識がない方もいるでしょう。そうした方が知らないうちにルール違反を犯したり、組合や他の住民とトラブルを起こしたりするかもしれません。

以上の問題への対処として、管理士のサポートが不可欠です。このような背景から、マンション管理を手がける会社が管理士を探すことがあります。

コミュニティづくりのサポート

コミュニティづくりのサポートという目的で、管理士対象の求人を出す事業者もいます。主に不動産管理会社がこのような目的で、管理士を探す形です。マンションによっては、住民同士によるイベントやサークルを企画します。管理組合のメンバーがそこに関わっている以上、管理士のサポートが欠かせません。

たとえば子育て世代やシニア世代など、特定の層を対象としたサークルも見られます。こちらを健全を進めるために、管理士のサポートが入ることもあるのです。マンションの住民が関わる以上、イベントやサークルの運営も管理士が手伝うことになるでしょう。

まとめ

マンション管理士は、分譲マンションの管理組合の運営に関わる仕事です。組合の運営や規約決定、大規模修繕工事などのコンサルティングが主な業務になります。一方でマンションのために使うお金の管理など、住民の知らないところでの活動も重要です。

マンション管理士は住環境に関わる仕事なので、今後も長期的な需要が見込めるでしょう。ライフスタイルの変化で需要が高まる可能性もあります。以上からコミュニケーション能力を活かしたい方は、マンション管理士の資格を目指してみませんか。

この記事の監修者は
北川えり子(きたがわ えりこ)

学びの楽しさをシェアしたい
【出身】東京都
【経歴】拓殖大学外国語学部卒。マンション管理士・管理業務主任者、行政書士、海事代理士、宅建等の資格を保有。
【趣味】旅行、ドライブ
【座右の銘】未来とは、今である。

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