構造・設備とは

マンション管理士試験の中で、マンションの構造や設備に関する分野は、建築基準法・都市計画法・消防法など法律知識から幅広く出題されます。さらに、設備・調査・診断に関しては、実務的な知識も出題されます。この分野は学習量が非常に多く、かつハイレベルなので、範囲を広げて勉強すると試験日までに間に合いません。得点に結びつくような問題に的を絞って、そこをきっちりと学習することが大切です。

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目次

マンションの「構造・設備」に関する問題とは?

マンション管理士試験の「構造・設備」の分野は、正確には「マンションの建物及び附属施設の構造及び設備に関すること」といいます。マンションの構造や設備に関しての問題や、長期修繕計画、建物設備の診断、大規模修繕などに関して出題されます。毎年10〜15問は出されるので、しっかり得点できるようにしましょう。

この分野は、建築分野に詳しい人や知識を持っている人は得意かと思われます。この分野には縁のなかった文科系や、管理の実務経験に乏しい事務系などの人は、非常に苦労するでしょう。しかし専門性の高い建築などの知識が要求されるのではなく、あくまで法律系の問題のほうが多く、暗記と解釈が必要とされるため逆に文科系の人のほうが得意かもしれません。また、2級建築士入門レベルのテキストの建築・設備を読むだけでも勉強になります。

「構造・設備」の分野は効率よく頻出テーマを中心に勉強する

マンション管理士試験の「構造・設備」の分野は、法規関連・各設備知識・建物調査診断・修繕方法など幅広く、かつ奥が深いことが特徴です。また、毎年新しい論点が登場する傾向にもあります。10〜15問は出題されるので、しっかりと得点を稼ぎましょう。

ただし、高得点を狙おうとするあまりに、手を広げて深追いし、勉強を進めるのは得策ではありません。手を抜くことのできない分野ではありますが、「頻出テーマ」を抑えて効率よく勉強しましょう。学習するべき範囲は「給水設備・水道法」「排水設備・下水道法」「消防用設備・消防法」です。

勉強すべき範囲その1「給水設備」と「水道法」

「給水設備」と「水道法」で重要なポイントは以下のとおりです。

「給水設備」

5種類の給水設備の適用と違いを把握しましょう。

  • 水道直結方式:地上2〜3階程度までの建物に適用
  • 高置(こうち)水槽方式(重力方式):1980年代までのマンションに多い
  • 圧力タンク方式:高置水槽が設置できない小規模マンションに採用されていることが多い
  • タンクなしブースター方式(ポンプ直送方式):受水槽は必要、高置水槽と圧力タンクは不要
  • 増圧直結給水方式:2000年以降に登場、直接増圧給水設備を経て各住戸に給水。中規模までのマンションが対象

簡易専用水道の管理

簡易水道の意義や管理基準ほか、専用水道と簡易専用水道の「定期検査」を比較して違いを覚えましょう。
そのほかにも、「水道の概略」や専用水道の管理なども頭に入れておいてください。

勉強すべき範囲その2「排水設備」と「下水道法」

排水設備に関しては、排水方式やトラップの意味、必要性・形などが重要ポイントです。
また、下水道法に関しては以下を頭に入れてください。

  • 下水道法の定義
  • し尿浄化槽設備・浄化槽法の定義
  • 浄化槽清掃業の許可
  • 報告書の提出
  • 浄化槽の検査

勉強すべき範囲その3「消防用設備」と「消防法」

「消防用設備」に関しては、以下のポイントが重要です。

  • 防火管理者とはどのようなものか、その区分について
  • 防火管理者の義務
  • 消防用に供する設備(消化器、屋内消火栓設備など消化設備/警報設備/避難設備)
  • 消防用水
  • 消火活動上必要な施設
  • 消防用設備の点検及び報告

「消防法」は分量が多いため、マンションに関係する部分だけを抜粋して勉強します。

  • 防火管理者の選任(管理組合が設けられている場合、設けられていない場合などの選任など)
  • 防火管理者の業務の委託(第三者に防火管理者の業務を委託するための条件とは)

勉強すべき範囲その4「ここもポイント!」

過去の出題状況を見ると、毎年出題されるテーマがあります。以下の事もおさえておきましょう。

  • 都市計画法:12種類の用途地域や、そのほか地域地区の定義や違いをおさえましょう。毎年1問は出題されます。
  • 建築基準法:居室内の採光や換気、防火地域・準防火地域内の規制などをおさえましょう。毎年2〜4問出題されます。
  • マンションの構造:耐震改修・遮音性能・断熱改修・コンクリートの特性・防水の分類と特徴などを中心におさえておきましょう。
  • マンションの維持管理:長期修繕計画の作成・コンクリートの劣化などに関する調査と診断・防犯指針などに関することが重要なテーマとなります。

マンション設備に関しては、前項でご紹介した水道法や消防法などを中心に勉強してください。

深追いをせずに暗記を中心にして学習を

情報量の多いこの分野は、「効率的な暗記」をする勉強法で進めましょう。

「覚える」のではなく「思い出す」暗記方法で脳に刻み付ける

試験に頻出する知識を覚えるためには、「情報を頭に詰め込もう」とする勉強法は効率が悪いものです。「情報を思い出す」ことに重きを置いた暗記法のほうが記憶に刻まれます。

1.テキストの暗記したい部分を読む
2.テキストを閉じる
3.今読んだことを思い出す

最初はすぐに思い出せなくても、何度も繰り返すうちに「思い出す力」が付いてきます。思い出すのを諦めて、すぐにテキストを見ることはやめましょう。「思い出そう!」と頑張るうちに、脳が「これは大切なことだ」と認識し、記憶に刻まれるようになります。

目を閉じて何度も声に出して唱える

覚えたいことをきちんと思い出せたら、何度も声に出して唱えてみましょう。
その際、テキストを見てはいけません。あくまでも「思い出す」作業を中心に行うことが大切です。

どうしても思い出せないことは暗記ノートに書く

「情報を思い出す」力を鍛えながらも、どうしても覚えられないことが出てきます。その場合は、携帯に便利なサイズの暗記ノートを作りましょう。覚えられない項目を書き出し、1日のうちに何度も見て思い出す作業を行ってください。
「電車の待ち時間」「ランチでオーダーした食事が来る間」「ちょっとトイレタイム」など、こまめに何度も見ては思い出す作業を繰り返すと、必ず記憶に刻まれるようになるでしょう。

フォーサイトのサンプルテキスト

過去に何度も出題されている知識を確実に身に付けよう

「マンションの建物及び附属施設の構造及び設備に関すること」の分野は、法規関連・各設備知識・建物調査診断ほか、範囲があまりにも広いので、すべてを勉強しようとすると大変です。しかし毎年10〜15問ほどは出題されるため、おろそかにはできません。建築や設備関連の勉強をするのは初めての人はかなり戸惑うと思いますが、割り切って頻出のテーマを暗記してください。暗記はご紹介したように「思い出す方法」でしっかりと記憶に刻み込んでくださいね。

この記事の監修者は
北川えり子(きたがわ えりこ)

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【出身】東京都
【経歴】拓殖大学外国語学部卒。マンション管理士・管理業務主任者、行政書士、海事代理士、宅建等の資格を保有。
【趣味】旅行、ドライブ
【座右の銘】未来とは、今である。

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