社労士とは?仕事内容ややりがい、将来性を解説

社労士とは?
社会保険労務士(以下:社労士)とは労働問題と社会保険制度の専門家であり、その業務は労働、社会保険に関する業務となります。具体的には労働保険・社会保険諸法令に基づき、行政機関に提出する書類の作成や申請代行を行い、かつ個別労働関係紛争の解決手続の代理を行うことができます。
社労士の誕生は1968年(昭和43年)と比較的新しく、誕生の裏には戦後から高度成長期への日本社会の変化がかかわっています。
第二次世界大戦後、日本国憲法が制定されると、労働者の権利を守る労働三法が制定されます。その後、日本の経済成長とともに社会保障制度や厚生年金、労災制度などさまざまな労働に関する制度が発展していきます。
急速な経済成長の中で、さらに複雑化する労働や雇用に関する制度への理解不足も手伝い、経営者側と労働者側の紛争問題が増えていきます。いろいろな業種でストライキなどが頻発するようになると、こういった労働問題、雇用問題を解決するスペシャリストの重要性が認識され、社会保険労務士という資格が制定されるに至りました。
これだけではその活動のイメージがしにくいかと思いますので、そんな社労士に関して細かくまとめていきましょう。
八士業のひとつ
社労士は、弁護士、税理士、司法書士、行政書士、海事代理士、土地家屋調査士、弁護士とともに「八士業」のひとつに数えられる資格になります。八士業の有資格者は、業務上必要な場合、戸籍や住民票の度を請求できる請求権を持つ、特別な士業であり、非常に重い責任を負う士業でもあります。
ちなみにこの八士業との関係で社労士を紹介すると、社労士試験の受験資格には弁護士を除く6つの資格のいずれかを取得していると受験資格を満たすことになります。社労士試験の受験資格には学歴や職歴などに規定がありますが、これらを満たしていない方は、資格取得で受験資格を満たすこともできます。
弁護士資格を持っている方、司法試験に合格し、司法修習が修了している方は、無試験で社労士登録をすることが可能です。
国家試験に合格する必要がある
社労士になるためには社労士試験を受験し合格する必要があります。社労士試験は「全国社会保険労務士会連合会試験センター」が実施する国家試験であり、その難易度の高さと合格率の低さで有名な難関試験となります。
社労士の国家試験は年に1度の実施となっており、数年間かけて何度も受験を繰り返して社労士資格を取得する方も少なくありません。
試験では多くの法律問題が出題され、出題範囲は広範囲。しかも科目別の合格ラインもあり、全体を均等に勉強する必要があり、この点が難関試験といわれている理由の一つになります。
社労士の業務
難関資格と呼ばれる社労士が、実際にどのような業務を行うのかについて解説していきましょう。中には身近ではない、聞きなれない業務もあるかと思いますが、できるだけわかりやすくまとめていきます。
ここで紹介する業務は社労士にとって主な業務のみです。実際にはもっと細かな業務もありますので、興味のある方は調べてみるといいでしょう。
労働及び社会保険に関する書類の作成および手続き代行
社労士の独占業務であり、社会保険労務士法でいうところの「1号業務」と呼ばれる部分になります。
わかりやすく言えば、労働保険、社会保険、雇用保険などに関する、行政機関に提出する書類の作成と、行政機関への申請代行業務ということになります。例えば学生が社会人になり、国民保険から社会保険に切り替わる際に、雇った企業側が提出する被保険者資格取得届や、退職のために社会保険から国民保険に切り替える際の資格喪失届などの書類作成、申請代行がここに含まれます。
ほかにも労働保険に関する書類や、雇用保険に関する書類全般の作成、申請代行も社労士の独占業務です。
もちろんこれらの業務に関しては、社労士に依頼せずとも企業の担当者が行うことも可能です。しかしその労力や手間を考えた場合、多くの企業は社労士と契約し、これらの業務を代行してもらっています。
事務代理
上記の独占業務に加え、社労士は給与計算、人事雇用・労務に関する相談と指導、賃金や退職金、企業年金の制度の構築、各種助成金の申請と相談、さらに従業員のメンタルヘルス対策まで行うことが可能であり、社内の事務一般の代理を行うことができます。
こういった事務代理の業務に関しては社労士の独占業務ではなく、社会保険労務法の「3号業務」にあたります。社労士以外でも行える業務であり、実際こういった業務を社労士に依頼する企業は多くはありません。
ただし総務や人事といった人材を募集している企業が、応募してきた希望者を選ぶ際、社労士試験に合格している方がいれば、優先的に採用される可能性はあります。
労働関係紛争の代理
社労士の資格を有する者が、厚生労働大臣の指定する司法研修を受け、さらに「紛争解決手続代理業務試験」に合格することで、「特定社労士」という資格を取得することができます。この特定社労士の資格を持つと、企業内で発生した個別の労働関係紛争を解決するための手続きを代行することができるようになります。
具体的には社内で発生したパワハラやセクハラ、賃金未払いや不当解雇といった問題を解決するために従事できるということ。
これまでも個別労働紛争に社労士がかかわることがありましたが、この場合は基本的に会社側(経営者側)としてかかわる形に限定されていました。そこで2007年に新たに誕生したのが特定社労士であり、特定社労士は労働者側に立って解決をはかることができるのが特徴です。
帳簿書類の作成
企業には労働基準法に基づき、「労働者名簿」、「賃金台帳」、「出勤簿」の整備・管理・保管が義務付けられています。これらの帳簿を「法定三帳簿」と呼びますが、この法定三帳簿の作成や調整は、「2号業務」と呼ばれる社労士の独占業務となります。
もちろんこの業務に関しても、企業の担当者本人が行うこともできますが、法定三帳簿は法律の改正などに合わせて常に調整をしていく必要があり、法律的知識に乏しい一般の方では非常に困難な業務になります。
多くの企業は法定三帳簿の作成と調整を社労士に依頼しており、こちらも社労士の主な業務の一つといえるでしょう。
社労士の業務形態
社労士として働くにはいくつかのケースが考えられます。また社労士はほかの八士業とは違い、特別に認められている働き方がありますので、そのあたりも解説していきましょう。
個人開業
もっともわかりやすいのが独立し個人で開業する方法です。個人で事務所を開き、顧客を開拓して、顧客のさまざまなニーズに対応する働き方です。個人開業ですので比較的自由なスタイルで働けるという魅力はありますが、一方経理から営業まですべて自分で行う必要があったり、収入が安定しない部分があったりと、懸念すべきポイントもある働き方です。
個人開業をするには、何より社労士として各都道府県の社労士会に登録をしなければいけません。そして社労士会に登録するには、社労士試験に合格した後、2年以上の実務経験が必要となります。
もちろん実務経験を積むことができる職種であれば問題ありませんが、仕事上実務経験が難しい方には、社会労務士会が開催する講習を受けることで実務経験とみなすこともできます。
個人開業をする場合の開業資金はどのような業務を想定しているかで大きく変わります。社労士会への登録料は必要ですが、事務所を借りるかどうか、人を雇うかどうかなどの判断は各個人に任されています。
社労士の資格があれば個人開業をすることは可能ですが、個人開業をして収入が得られるかどうかはその人個人の準備や才覚に任されますので、まずはしっかりと準備をしてから開業するのがおすすめです。
企業内社労士
続いて社労士の資格を持ちながら、企業に就職して会社員として働く方法です。社労士がほかの士業と違うのはこの部分。弁護士や行政書士など、ほかの士業の資格を持つものが企業に就職した場合、その企業内においても自身の資格を使用した業務を行うことはできません。
つまり行政書士の資格を持っている方が就職した場合、行政書士の資格は持っているものの、行政書士は名乗れないということになります。行政書士を名乗れない以上、行政書士の資格がないとできない業務は行えず、あくまでその知識を業務に生かすことしかできません。
しかし社労士はその業務内容が企業の業務内容と深く結びついているため、就職していながら社労士としての業務を行うことが認められています。
ただし企業内社労士が、社労士としての資格を使用してできる業務はその企業内の業務に限られており、他社の依頼を受けて業務を行うことはできません。
一般的には大企業と呼ばれるような大きな企業が、企業内に社労士を雇い、社内の労務管理や事務、労働紛争の解決などで役立てているのが現状です。
社会保険労務士法人
社労士の働き方としては、社会保険労務士法人に登録するという方法もあります。社会保険労務士法人とは、2名以上の社労士が集まり設立できる法人であり、ここの登録する社労士は全員が理事となり、無限責任を負うことになります。
無限責任とは、連帯責任と考えても問題ありません。同じ社会保険労務士法人に所属するほかの社労士がミスを犯した場合は、その社労士法人に登録するすべての社労士が均等に責任を負うという考え方です。
社労士法人は、個人開業をしたいがまだ準備不足という方や、将来独立開業をするために社労士としての業務を経験をしたい方などにおすすめの働き方。ただし非常に重い責任を負う働き方ですので、意識を高く持って業務にあたる必要があります。
社労士資格の活かし方
社労士の資格を取得し、社労士として登録している方は、労働や雇用のスペシャリストとして働くことができます。しかし、具体的にこの社労士の資格を活かすとなると、どのような働き方が考えられるか、今一つ分かりにくい部分もあるでしょう。
そこで、社労士の資格があるからこそできる働き方や、資格の有効な活用方法などを考えていきたいと思います。
企業に就職しても資格を活かすことができる
繰り返しになりますが、社労士という資格は、企業に就職してもその企業内で社労士としての業務が行える唯一の士業です。この大きなメリットを活かした働き方を考えたいところです。
もっとも有効に活用できるのは、就職や転職において、より高い収入を望めるということでしょう。企業内に社労士の資格を持つ人を雇っている企業は少なくありませんが、社労士の資格を持つ方を、社労士として雇うのは基本的に大企業のみです。
社労士の資格を持つ方の知識は、どのような労働現場でも有効に活用できます。しかしそういう理由ではなく、社内に社労士を設置したいという企業の多くは規模の大きい企業になります。こういった求人は多くはありませんが、応募者もさほど多くないのが現状です。
現在勤めている企業より大きな企業に転職する、しかも資格を活かした特別な部署で働くとなれば、収入が高くなるのは間違いありませんし、将来的にも不安のない転職ができるということになるでしょう。
社労士の資格を持つ方がその力を発揮できる部署は、一般的には人事部や総務部といった部署。大企業で労務管理に力を入れている場合は、労務管理部などが活躍の場となります。
また、こうした大企業への転職や就職は、さらにその先でも役立つ可能性が高くなります。将来的に個人開業を考えている方にとって、重要なのは人脈づくりです。大企業で社労士として働くことができれば、仕事上いろいろな業種、士業の方と知り合いになるチャンスが増えます。
こうした人脈は、独立開業後の業務などで大きな影響を与えることになります。企業から給与という安定した収入を得ながら、社労士として働くことは、将来の独立にも大きく役立つ働き方といえるでしょう。
他業種からの取得が魅力的
社労士の資格自体は非常に魅力的であり、資格取得に興味があるという方も少なくないでしょう。しかし、そんな時に気になるのが、社労士の資格を取ってどう活かすか?というポイントではないでしょうか?
現状人事や総務で事務ワークをしている方にとっては、自身の仕事と関連する資格ですから大いに役立つのは当然ですが、こういった事務職とまったく関係な職業の方が取得しても活用の方法があるのかどうかが気になるところです。
しかし、社労士という資格の特徴を考えると、むしろ他業種の方こそ取得した時にプラスが大きくなります。
社労士の業務内容を見ると、業種を限定せず、ほぼすべての労働環境で力を発揮できる資格であることが分かります。しかし、範囲が広すぎて、悪い言い方をすれば広く浅く活躍できる資格とも考えられます。
そこでポイントとなるのが、社労士の資格と関係ない業種の方の専門知識と、社労士の知識を併せて、ある分野に特化した業務を行うという活用方法です。
例えばSEなどIT関係の業種で、システムやプログラムにかかわる仕事をしていた方が社労士の資格を取った場合を想像してみましょう。今後日本社会のデジタル化は加速し、多くの現場でペーパーレスな社会が作られていくことが予想されます。
多くの書類作成に携わる社労士ですが、紙の書類にしか対応できないとなれば、どんどん活躍の場は狭まっていくでしょう。そこで活用できるのがSEとして得たコンピューターに関する知識と経験です。
ITの知識を活用し、いち早く書類のデジタル化に対応できる社労士となれば、より業務の幅は広がるでしょう。また、同時にデジタル業界から多くの仕事を請け負うことになるかもしれません。
では、学校や予備校の講師・教師の方はどのような活用方法があるでしょうか?学校などで教壇に立つ方は、人に物を教えることに長けているという特長を持っています。この経験と社労士の資格を活かし、企業のコンサルティングや講演会などで壇上から語るという仕事が想像できます。
ほかにも営業職しか経験がないという方なら、個人開業をした際に、顧客を獲得する営業スキルを持っているという事になり、個人開業後の営業活動で非常に助かるはずです。
このように、多くの労働環境で力を発揮する社労士の資格は、今まで別の業務をしていた方こそ活かしやすい資格と考えることもできます。自分が持つ力で、どのように社労士の資格が活かせるかを考えてみましょう。
特定分野に特化する方法も
上でも触れたとおり、社労士の資格はほぼすべての業種で活躍できる資格です。そのメリットを活かすのも一つの方法ですが、いろいろな分野の中からひとつの分野に特化した社労士となるのも一つの活かし方となるでしょう。
特定の分野に特化する場合、社労士資格を活かすためにも、その分野の知識を増やす必要があります。IT業界であればIT業界の、建設業界であれば建設や建築に関する知識が求められます。
もちろんそのためにほかの資格を取得するというのもひとつの手ですが、資格を取得するまで行かなくとも、自分が携わっている業界関する知識を身につけましょう。
ひとつの分野に特化することで、社労士としての個性を持つことができ、その分野で大きく業績を伸ばすこともできるでしょう。
社労士のメリットとデメリット
取得が難しいことで有名な社労士の資格ですが、取得をすることにはメリットとデメリットが存在します。デメリットとして考えれば、取得に膨大な勉強時間が必要になることもデメリットといえるでしょう。そんなメリットやデメリットに関してまとめてみましょう。
メリット① 資格を持つことで就職や転職が有利に
社労士の資格を取得するのは非常に難しく、それだけに就職や転職では有利に働くことが多くなります。もちろん企業内社労士として募集をかけている企業もあるでしょうし、そうではなくても社労士の資格を持っている=豊富な法知識があるということの証明になりますので、好条件での就職や転職が可能になるでしょう。
また、就職や転職という点で考えれば、社労士の資格がないと所属することができない社会保険労務士法人も転職先として候補に上がります。
メリット② 個人開業で長く続けることができる
社労士の資格は、一度取得すれば資格はく奪処分を受けるような事がない限り更新の必要がない資格になります。定年退職後に個人事務所を開業することもできますので、長く仕事を続けることができる資格になります。
社労士の個人開業はさほど難しい手順がなく、開業資金もそれほどかからないといわれています。社会保険労務士会への登録は必要ですが、その登録料もさほど高くはなく、自宅を利用するのであれば事務所の資金も必要ありません。
人を雇わず自分ひとりで開業するのであれば30~50万円程度の資金で開業することが可能です。もちろん開業後には宣伝広告費や営業活動費などが必要にはなりますが、ほかの士業と比較しても比較的開業のハードルは低いといえるでしょう。
デメリット① 業務内容が分かりづらい
社労士の業務内容は、弁護士や医師のように前面に出るような派手な業務はありません。むしろ企業や労働者を陰で支えるような、言い方の問題はあるかもしれませんが、いわゆる地味な業務になります。そのためこの資格の重要性、難易度などが外部に伝わりにくい部分があり、せっかく苦労して取得したのに…という事態も考えられます。
もちろん仕事上では非常に有用な資格ですので、仕事の中で困るような事態は少ない資格であることは間違いありません。
デメリット② 心的負担が大きくなることも
社労士の仕事は細かい事務作業や書類の作成、数字の検証などが中心となります。人によっては非常にストレスが溜まりやすい仕事ともいえるでしょう。さらに個別の労働紛争を解決することができる資格ですから、労働者側や経営者側から何かと意見を求められたりするケースも多くなるでしょう。
社労士の対応により、経営者側、労働者側ともに納得できるような労働環境、雇用条件が満たされたとしても、中にはその環境や条件を良しとせず、社労士に対して快く思わない方が出てくる可能性もあります。
特定社労士ともなれば、労働者側と経営者側の間に挟まれながら紛争解決に奔走しなければならなくなり、心的負担は大きい資格ともいえるでしょう。
社労士の魅力
社労士の資格を取得することにはメリットもデメリットもあります。それでも非常に多くの時間を資格取得のために費やし、試験に合格。さらに社労士として業務を行うことには大きな魅力があることも間違いありません。
そんな社労士の業務の魅力についてまとめていきましょう。
労働者と経営者双方から信頼される
この社会を形成している大きな要素の一つが人々の労働です。その労働に関して深い知識を持つのが社労士という資格になります。労働に密着する仕事であり、労働者の立場も、経営者の立場も深く理解できる社労士は、双方から大きな信頼を寄せられる存在となります。
もちろん信頼が大きいということはそれだけ収入も大きくなる可能性を秘めており、社労士としてしっかりとその知識を生かすことができれば、大きな収入を得ることも可能でしょう。
社労士の力で労働状況の改善が可能
社労士の業務の中心は、企業側の理念を理解しつつ、法令の基づいて労働者の労働環境を改善していくことになります。社労士は依頼を受けた企業の就労規定を作成したり、改正したりすることも可能です。
自分の知識と力で、多くの労働現場の環境を改善し、労働者も経営者も満足できるような環境を実現できるのは、社労士にしかできない魅力的な仕事といえるでしょう。
社労士の将来性
2021年現在、国際的にはデジタル化が遅れているといわれている日本。そのため政府はデジタル庁を新設し、日本国内のデジタル化を急速に進める方針を打ち出しています。デジタル化やA.I.の導入が進む時代に突入し、社労士という資格にどれほどの将来性があるかを考えてみましょう。
デジタル化時代が来ても社労士の仕事はなくならない
確かにデジタル化は進み、A.I.もあらゆる労働現場で活用されるようになっています。とはいえ、労働をするのが人間からコンピューターにとってかわる未来は見通せず、どれだけデジタル化が進んでも、労働者がいなくなる未来は考えにくいところです。
企業があり、そこで労働する労働者が存在する限り、社労士が行う仕事がなくなることはありません。むしろ今後働き方改革が進んでいけば、経営者と労働者の感覚がズレていく可能性は大きくなります。
このズレを調整するために両者の間に入れるのは社労士のみであり、将来的にはその重要性がどんどん増していく可能性まで秘めています。
働き方改革の対応した柔軟な考え方が必要
2020年世界中で蔓延した新型コロナウイルス。このウイルスの蔓延で大きく変わったのがの本国内における働き方です。自宅にいながら仕事をするテレワークが広く広がり、またバーケーションと仕事を合わせたワーケーションなどを楽しむ人も増えてきました。近年の労働環境において大きな変革の時代に突入した証であり、労働と密着した業務が多い社労士にとってもいろいろな考え方が必要な時代になったともいえます。
もちろん社労士の基本は、法律に則った労働環境の構築です。しかしその法律の中でどこまで自由な労働環境が認められるか、どんな労働環境がベストかなど、非常に柔軟な考え方が試される時代になったともいえます。
社労士の仕事自体もデジタル化は進み、行政に提出する書類もどんどんデジタル化が進むでしょう。こうした時代の変化に遅れず、かつ社労士の基本理念を守っていくのが重要になっていくでしょう。
他の資格と併せ持つことで業務に幅が出る
社労士としての将来性を考えた場合、より専門的な知識を求められる場面も増えていくかと思います。企業の業務が細分化され、さらにその中で働き方まで細分化されることで、より多方面の知識を求められるシーンも増えるかと思います。
業務の幅を増やしていくには、ほかの資格を併せ持つのが有効。特に法律分野に特化した資格ですので、同じく法律の知識を生かせる資格などを主とするのもいいでしょう。
また、情報管理の部分でより知識を深めたいのであれば、情報処理技術者試験を受けるのもひとつの方法です。社労士としての知識に加え、ITに関する深い見識があればさらに業務の幅は広がるでしょう。
まとめ
社労士は、高度成長期の日本で誕生した、労働問題と保険制度、雇用問題のスペシャリストです。誕生は昭和40年代と比較的新しい資格ですが、弁護士や税理士とともに八士業のひとつという非常に重大な責任を負う資格になります。
社労士試験は難易度の高さと合格率の低さで有名であり、取得難易度の高い資格として知られています。しかし同時に人気の資格でもあり、その理由に働き方の自由度の高さがあります。
ほかの士業同様に、個人開業や特定の法人(社会保険労務士法人)での業務も可能ですが、それ以上に特徴的なのが企業内でも社労士として業務を行うことができる点です。働き方が幅広く、さらに独占業務も多いことから、取得希望者の多い資格になります。
労務関係の書類がなくなることは将来的にも減らないため、将来的にも安定的に仕事のある資格ではあると思われますが、社会のデジタル化などに合わせ、社労士の働き方も考えていく必要があるでしょう。
人気の難関資格社労士資格を取得するには、しっかりとした準備が必要。通信講座などを利用して、社労士試験対策を行うのがおすすめです。