社会保険労務士(社労士)とは?

社会保険労務士という資格に関して、聞いたことはあるものの、どういう仕事内容なのかはわからないという方も多いかと思います。

そこでこの記事では社会保険労務士の具体的な仕事内容に関して紹介していきます。

また、そんな社会保険労務士になるためには何が必要か、試験はどのような内容か、資格を取得するメリットや、将来性などに関してまとめていきたいと思います。

目次

社会保険労務士の仕事内容

まずは社会保険労務士の仕事内容に関して簡単に紹介していきましょう。社会保険労務士の仕事内容は大きく分けて3つに分類され、それぞれが「1号業務」、「2号業務」、「3号業務」と呼ばれています。

〇1号業務【独占業務】
労働社会保険諸法令に基づく申請書の作成及び提出代行 など

〇2号業務【独占業務】
労働社会保険諸法令に基づく帳簿書類等の作成 など

〇3号業務
コンサルティング業務

この3つの仕事内容のうち、1号業務と2号業務は社会保険労務士の独占業務となっており、社会保険労務士資格を持っている方しかできない仕事内容となっています。

仕事内容の具体的な説明や、どのように仕事に活かせるのかなどに関しては、以下の記事で詳しく解説していますので参考にしてください。

社労士の独占業務とは?無償独占の意味と今後なくなるという噂の真偽

社会保険労務士として働くには?

社会保険労務士としての仕事内容をこなすためには、社会保険労務士試験に合格し、さらに2年以上の実務経験が必要となります。実務経験がないという方、また現状の仕事では実務経験を積めないという方に対しては、「事務指定講習」が行われます。

この事務指定講習を受講し、修了することで2年間の実務経験に置き換えることができますので、現状の仕事では実務経験を積むことが難しいという方は、この講習を受講しましょう。

社会保険労務士として登録をする場合、まずはご自身がお住まいの都道府県にある「社会保険労務士会」に入会の申請を行います。そこで簡単な審査が行われ、問題がなければ「全国社会保険労務士連合会」に登録されます。

この登録手続きが完了すれば、全国社会保険労務士連合会の名簿に名前が記載され、申請した都道府県の社会保険労務士会の会員となり、社会保険労務士としての仕事に就くことができるようになります。

社会保険労務士試験は難しい?

社会保険労務士として働くためには、まずは何より社会保険労務士試験に合格する必要があります。

その社会保険労務士試験の難易度ですが、決して簡単な試験ではありません。まずは試験の難易度に関して簡単に紹介しておきましょう。

社会保険労務士試験の合格率と難易度

社会保険労務士試験の例年の合格率は5%程度。その難易度はかなり高いということが分かります。

一般的に独学で社会保険労務士試験合格を目指す場合、800~1,000時間程度の勉強時間が必要と言われており、社会人の方が1年間みっちり勉強しても、合格できるかどうかという難易度と言われています。

社会保険労務士試験の難易度や合格率の推移などに関しては、以下の記事で詳しく解説していますので、これから受験を考えている方はしっかりとチェックしておきましょう。

社労士の難易度はどのくらい?他資格との難易度の違いは?

社会保険労務士試験概要

社会保険労務士試験は難関試験であり、挑戦するためにはしっかりとした準備期間が必要になります。

そんな社会保険労務士試験の試験内容や、試験のスケジュール感に関して簡単に紹介していきます。

試験内容

社会保険労務士試験の出題内容と、試験当日の時間割に関してまとめて紹介していきます。

社会保険労務士試験で出題される科目は8科目。8科目を科目ごとに受験するのではなく、8科目の内容がすべて含まれた試験を受験する形になります。

試験は午前と午後に分かれており、午前中に8科目の内容が出題される「選択式」の試験を、午後に同じく8科目の内容が出題される「択一式」の試験を受験し、試験は1日で完了します。

科目別の足切り点も存在するため、苦手科目があると合格が難しい試験であり、このあたりも試験の難易度に影響しているといえます。

社労士の試験内容は?科目別にポイントを確かめよう

試験スケジュールと申し込みに関して

社会保険労務士試験の例年のスケジュールに関して、大まかなスケジュール感を紹介しておきましょう。

4月中旬 試験の公示
4月中旬~5月下旬 試験の申込受付
8月第4日曜日 試験日
10月上旬 合格発表
10月中旬 合格証送付

社会保険労務士試験は、毎年4月の中旬に試験概要が公示され、ゴールデンウィーク辺りから申し込みが開始されます。試験は8月末の週末となり、試験結果の発表が10月上旬というスケジュールになっています。

試験の申し込み方法や受験料、さらに試験当日の注意事項などに関しては、以下の記事に詳しくまとめていますので、参考にしてください。

社労士試験の試験申込は郵送かネットで!その方法と手順と注意ポイントを徹底解説

社会保険労務士資格を取得するメリット

社会保険労務士試験は簡単な試験ではありません。合格するためには最低でも1年、多くの方が数年間勉強を続けてようやく取得できるレベルの難関試験です。

こうした難関試験に挑戦するには、それなりに覚悟が必要となりますが、そこまでして取得するメリットがあるのかどうか、気になる方も多いかと思います。

そこで、社会保険労務士資格を取得するメリットに関していくつか紹介していきましょう。

就職や転職で有利になる

社会保険労務士は、給与所得者として一般企業に勤務しながら、士業としての仕事を行うことが可能な資格であり、活躍の場が非常に幅広いという特徴があります。

つまり、社会保険労務士の仕事内容は業種などに関係なく活躍できるということであり、就職や転職の際、業種を限定せずとも職探しができるようになる資格ということになります。

また、求人数が多いということはそれだけ好条件の求人も多いということ。転職を機にスキルアップ、年収アップを目指す方にはよりおすすめの資格となります。

転職や就職を目指す場合は、労働条件はもちろん、仕事内容をしっかりと確認し、社会保険労務士として活躍できるのか、社会保険労務士の資格を有効に活用できるのかも確認して選ぶようにしましょう。

収入アップが見込める

社会保険労務士として給与を得ている方の平均年収は、給与所得者全体の平均年収よりも高くなる傾向があります。つまり社会保険労務士資格を取得することで、収入アップが見込めるということになります。

また、社会保険労務士資格を資格手当の対象としている企業も多く、その相場は3~5万円程度。社会保険労務士資格を取得するだけで、転職などをしなくとも年収が36~60万円ほどアップすることも期待できます。

もちろん仕事内容自体にも魅力の多い資格ではありますが、さらに年収アップを目指せるというメリットもあります。

独立開業も可能

社会保険労務士は、独占業務を持つため独立開業という働き方も可能です。もちろん独立開業にはある程度のリスクもありますが、しっかりと努力・工夫をすれば一気に高年収を目指すことも可能です。

高収入にこだわらなくても、自分で独立開業することで自分らしい働き方、自分のライフスタイルに合わせた働き方も可能であり、さらに定年退職後にも収入を得ることが可能になります。

若いうちに資格を取得し、その資格を活かした仕事ができる部署で働きながら経験を積み、人脈を作りあげ、定年退職後に独立開業をするという働き方も可能。企業に勤務しながら、いろいろな仕事内容を経験することで、独立後にどのような仕事内容に重きを置いて働くかなども考えることができます。

現時点での収入アップやスキルアップに加え、将来の備えにもなる優秀な資格といえるでしょう。

社会保険労務士の働き方

上でも少し触れていますが、社会保険労務士としての働き方に関して、より詳しくその内容を解説していきましょう。

ちなみにどのような働き方をしようとも、当然ですが仕事内容に大きな差はありません。

企業勤務型

まずは、企業に勤務しながら社会保険労務士としての仕事内容に当たるという企業勤務型の働き方があります。

企業に勤務しながら、社会保険労務士としての仕事内容に携わる場合、自身が給与を受け取っている企業に関しての士業業務に限定されますし、士業としての仕事をしたことで、別途対価を得られるというわけではありませんが、社会保険労務士が携わる仕事内容を担当できるというのは間違いありません。

こうした経験は後に紹介する独立開業の際にも重要な経験となりますので、社会保険労務士としていろいろな仕事内容に携わるというのは、将来的にもおすすめとなります。

社会保険労務士の資格を活用できる部署は、労務関係の部署や、人事や総務が中心。いわゆるデスクワークとなります。社会保険労務士資格を持っていることでできる仕事内容もあり、資格のない方以上に活躍できると考えられます。

独立開業型

社会保険労務士として独立開業をしている方も数多くいます。

独立した場合の仕事内容としては、多くの方が3号業務となるコンサルティング業務を中心に活躍しており、特定の顧客がつけば、長く安定した収入を見込むことが可能となります。

上でも書いた通り、独立開業の大きな魅力は、自分らしい働き方を実現できるという点。趣味の時間を大切にしたいのであれば週休3日という働き方もできますし、地元に帰って開業という形も選択できます。

また、仕事内容に関しても、コンサルティング業務を重視する、講演会や執筆を中心に考える、より人と接する仕事を増やすなど、自分らしい働き方を実現できるでしょう。

ただし、独立開業をするには、それなりの覚悟も必要です。独立する以上、社会保険労務士としての仕事内容以外に、営業、広告、宣伝、経理など、事務所経営に必要なあらゆる仕事内容を自分自身で行う必要があります。

そう考えると重要になるのが人脈と、独立までにどれだけ社会保険労務士としていろいろな仕事内容を経験したかという経験になります。

人脈があれば最初からある程度の信頼関係がありますし、こうした人脈から新たな顧客を紹介してもらえる可能性もあります。経験が多ければいろいろな依頼内容にも対応できますし、仕事の幅が広がります。

社会保険労務士の仕事内容は幅広いのが特徴。独立開業を目指す方は、多くの仕事内容を経験し、自身の仕事の幅を広げてから開業するのがおすすめです。

社会保険労務士の年収は?

気になる社会保険労務士の平均年収ですが、社会保険労務士の年収をきっちりと調査した公的データはありません。しかし、参考データとして、厚生労働省が毎年発表している「賃金構造基本統計調査」があります。このデータを参考にすると、およそ500万円程度と考えることができます。

これは、一般的な給与所得者全体の平均値よりも高く、社会保険労務士資格を持って企業に勤務することで、年収は高くなる傾向にあることが分かります。

独立開業した方の年収データとしては、参考になるデータがなくあくまでも想像の話になりますが、低収入の方と高収入の方でハッキリ分かれているという可能性が高いと考えられます。

社会保険労務士の方の収入に関しては、以下の記事で各種データを参考にまとめられていますので、そちらも参考にしてください。

社労士の年収は高いのか安いのか?最新調査結果から検証

社会保険労務士の将来性

ここでは社会保険労務士の仕事内容を考えつつ、資格や仕事内容の将来性について検証していきたいと思います。

AIの急速な成長や、日本社会の進む方向性など、気になる部分は多いかと思いますので、この点も踏まえて検証していきます。

AIの導入で一部業務は減少する可能性も

現状仕事内容全般に関する将来性を考える場合、意識しなければいけないのがAIの存在です。将来的に多くの仕事内容がAIに置き換えられるとも言われているだけに、社会保険労務士の仕事内容をAIが担当できるのかという点は気になるかと思います。

ハッキリ行ってしまえば、1号業務の多くは、AIでも対応可能な仕事内容かと思われます。申請書の作成という仕事内容に関しては、人間が行うよりもAIが行った方が人的ミスの可能性はなくなりますので、将来的にAIの仕事内容となるかもしれません。

また、作成した書類の申請に関しては、今後デジタル化が進むことが予想されます。そうなればAIを使用するまでもなく、マイナンバーカードを利用すれば、簡単に対応できる仕事内容と考えることもできます。

しかし、社会保険労務士の仕事内容はこれだけではありません。労働者と雇用者の間に起きる紛争の解決なども社会保険労務士として重要な仕事内容といえます。

こうした仕事内容は、AIやデジタルで置き換えるのが難しい仕事内容といえます。どちらの仕事も内容を考えれば対人間の仕事となります。AIなどにいくら理論的に説明されても、納得できない、信用できないという方は多いでしょう。

こういった仕事の場面では、いくらデジタル化が進もうとも、しっかりとした知識を持った社会保険労務士という人間による柔軟かつ、相手の心情を慮った対応が重要になります。

これからデジタル化が進む中で、社会保険労務士としての働き方や仕事内容の変化という面はあるかと思いますが、社会保険労務士の仕事がなくなるということはまずないと考えられます。

働き方改革が進む今後は業務も拡大する可能性が高い

もうひとつ注目したいのが、現在でも改革が進む2つの分野です。それが働き方改革と女性活躍社会の実現です。

現在の日本では、個人それぞれの働き方を考え直す動きや、女性がより活躍できる社会の実現という点が大きくクローズアップされています。この点で社会保険労務士が活躍する場、できる仕事内容はより広がると考えられます。

どちらの改革においても考えられるのが、より多様な働き方が出てくるということです。働き方のバリエーションが増えれば、それだけ雇用者と労働者の間に労務関係の課題も増えていくでしょう。こういった課題に向き合うのが社会保険労務士の仕事内容と考えられます。

今後のことを考えると、より活躍できる社会保険労務士のパターンは2種類。より専門性の高い社会保険労務士と女性の社会保険労務士です。

働き方が多様化すると、すべての働き方、仕事内容、職種に1人の社会保険労務士が対応するのは難しくなります。そうなると求められるのが専門性です。これからの社会保険労務士は、各分野に関する専門性を持てるかどうかが重要になるかもしれません。

特定の業種に強い、特定の働き方に強いなど、社会保険労務士として、自身の特色を持つことで、より多くの仕事を任されるようになることが予想されます。

また、統計上まだ少ない女性の社会保険労務士も今後仕事の場が増えると予想されます。

女性がより積極的に社会に出るということは、女性特有の労務問題も増えるということ。こうした女性特有の問題や悩みに親身に相談に乗れるのは、やはり同じ女性の社会保険労務士でしょう。

今後女性の社会保険労務士の需要は増えることが予想されます。社会保険労務士の仕事内容を考えると、体力が必要ということもありませんので、女性でも十分に活躍することができるでしょう。資格の取得を考えている女性の方には、ぜひ前向きに取得を検討してもらいたいと思います。

社会保険労務士資格をを目指すなら通信講座がおすすめ

社会保険労務士試験が難関試験であっても、目指すは早期の取得です。より短期間で、より確実に合格に近づくためには、通信講座の利用がおすすめ。そんなおすすめ理由を紹介していきましょう。

独学よりも効率的

独学は自分一人で勉強を進めますので、どうしても勉強効率は低く、勉強時間も長くなります。

予備校や通信講座を利用すれば、専門講師の講義を受講できますし、オリジナルテキストも手に入ります。何より最短合格を目指せる勉強カリキュラムが手に入りますので、必然的に勉強は効率的になり、勉強時間も短くなります。

予備校よりも費用を抑えられる

勉強効率が高くなるという点では、予備校も通信講座も同じですが、ではなぜ通信講座のみをおすすめするのかとなると、2つの点が挙げられます。

ひとつは時間の有効活用という点。予備校に通う場合、通学時間が必要になります。片道30分でも1度の授業で1時間の通学時間が必要です。通学時間とはいわゆる移動時間であり、無駄な時間です。通信講座であれば、通学の必要はないため、無駄に消費する時間はありません。

もうひとつのポイントが費用面です。

一般的に予備校の受講料と通信講座の受講料を比較すると、予備校の受講料は通信講座の受講料よりも高くなります。場合によっては2倍以上高くなることもあります。

同じレベルの講義を受講し、同じレベルのオリジナルテキスト、勉強カリキュラムが手に入るのであれば当然費用の安い通信講座がおすすめということになります。

まとめ

社会保険労務士の仕事内容は多岐にわたり、企業に勤務しながらでも活躍できる資格となります。仕事内容には独占業務もあるため、資格取得によるメリットは大きく、難関試験とはいえ、取得を目指すのがおすすめの資格といえます。

また仕事内容に独占業務があるということは、独立開業も目指せるということ。多様な働き方があり、また高収入が目指せるのが社会保険労務士の特徴といえるでしょう。

社会保険労務士の仕事内容を考えた場合、将来的にもその需要が減るということは考えにくく、将来を考えた場合でも取得はおすすめとなります。

社会保険労務士として働くためには、なにより社会保険労務士試験に合格する必要があります。そのためには独学にはこだわらず、より効率よく短期間で合格できる勉強方法がおすすめです。

おすすめしたいのは通信講座の利用。予備校と同じハイレベルなテキスト、講義、テキストが手に入り、予備校よりも安く、また時間効率も高い勉強法となりますので、本気で社会保険労務士を目指す方は、まずは通信講座の利用を検討してみましょう。