社労士と簿記、どっちの資格が必要?難易度や専門性から考察

矢印と足

「仕事に活かせる資格である」というメリットは社労士も簿記も共通ですが、「それでは、どちらを取得するのが有利なのか」という観点ではあらゆる要素からの検討が必要になります。また、社労士と簿記の資格同士の相性次第では、ダブルライセンスという選択肢も視野に入ってくるのではないでしょうか。

このページでは、社労士と簿記の両資格はなぜ比較対象となるのか、社労士と簿記のダブルライセンスはどうなのかについて解説します。

目次

「社労士か、簿記か」議論はなぜ起こる?

人事労務分野の専門家である社労士と、企業のお金の動きを把握する上で役立つ簿記。そもそも全く異なる専門分野の資格であるにもかかわらず、資格受験生の中には「社労士か、簿記か」で比較検討する方は少なくありません。

このページを訪れた皆さんもおそらく、目下、「社労士か、簿記か」で悩まれている方々ではないでしょうか?

社労士でも簿記でも、とにかく仕事上必要とされる資格が欲しい!

社労士と簿記のどちらを取得するかを検討中の皆さんは、現状「何らかの仕事に活きる資格が欲しい」と考えており、せっかく取得するなら実務上どちらを取得するのが良いのかと検討されていることと思います。

実際のところ、資格取得を目指す方の大半が、意外にも「この資格」と決めているのではなく、何となく役に立つ資格が欲しいという思いでスタート地点に立つようです。そういった意味では、皆さんのお悩みは資格受験生としてはごく当たり前の検討事項と言えます。結論から言えば、社労士も簿記も、業種を問わずどんな企業においても役立つ知識です。

実務上のメリットにあまりこだわり過ぎることなく、ご自身の興味関心や試験対策の取り組みやすさといった観点から、受験資格を選ばれると良いでしょう。

社労士になるか、それとも税理士への挑戦を見据えて簿記1級に挑戦するかで迷っている

目先の仕事だけでなく、将来を見据えて「社労士か、それともゆくゆくは税理士か」で迷われているケースでも、現状「社労士か、簿記か」で検討している場合があります。

「税理士を目指すのに、なぜ簿記なのか」というと、税理士試験の受験資格が関係します。税理士試験に挑戦する際には、学識・資格・職歴のいずれかで受験資格を満たさなければなりませんが、現状ではこれを満たせない場合、「日商簿記検定1級合格者」となることが受験に向けた近道となり得るのです。

加えて、簿記1級まで取得することで、税理士試験の土台となる知識を習得できるため、税理士を目指す方がまずは簿記資格でステップアップするケースはごく一般的であると言えます。

よくある質問「社労士と簿記1級はどっちが難しい?」の答え

「社労士と簿記1級の難易度比較」については、これからいずれかの資格取得を志す資格受験生にとっては大きな関心事となっています。実際のところどうなのかといえば、これは一概に結論を導き出すことのできない難しい問いです。

そもそも、社労士と簿記1級では試験内容が大きく異なるため、体感的にどちらが難しいかは各人の興味関心や適性に左右されます。労働関係に興味があって法律学習に向いていれば社労士の方が受験しやすいですし、数字に強ければ簿記試験に有利と言えます。そのため、やはりご自身の適性や興味関心を踏まえた検討を欠かすことはできません。

ただし、合格率の指標で難易度を考えるなら、社労士試験が7%前後、簿記1級が10%なので、概ね同等のレベルと判断できそうです。

理想は「社労士も簿記も」 ダブルライセンスのススメ

天秤にかけられた人たち

せっかく「社労士と簿記」のいずれにも興味を持った資格受験生であれば、思い切ってダブルライセンスを目指すという可能性も視野に入れると良いかもしれません。

社労士と簿記、いずれも異なる専門性の証明となるからこそ、両方を携えることで仕事の幅をぐんと広げることが可能となります。社労士と簿記のダブルライセンスのメリットについて考えましょう。

社労士と簿記のダブルライセンスで「財務諸表が読めるプロ総務」に

まずは、企業での勤務を想定した場合のメリットですが、勤務社労士として給与計算業務に従事するとき、総務兼経理担当として財務諸表を扱うとき等に、簿記の知識が活かされるでしょう。

大きな会社であれば、勤務社労士として雇用されたら社労士業を中心に従事できます。一方で、小さな会社であれば勤務社労士でも他業務との兼任は珍しくなく、総務に経理と幅広く立ち回れる人材を重宝します。

よって、一人の社員が有するスキルや専門知識は、広いに越したことはないと言えます。

社労士の独立開業にも、簿記の知識が活かされる

また、開業社労士として独立する上で、簿記の知識は不可欠です。個人開業であれば確定申告が必要ですし、社労士法人を設立しても決算業務が生じます。

簿記に関わる知識を持っていなければ、必要な処理のための膨大な時間を費やしたり、処理を外注することに経費を回したりすることになります。法人化すれば手続きは複雑になりますが、少なくとも個人開業であれば、ご自身の事務所の処理はご自身で行えるのが理想です。

このように、簿記の知識がないのとあるのとでは、ご自身が主体となってビジネスを展開していく上では大きな差異を生じさせる要素となります。

簿記2級なら、無理なく社労士とのダブルライセンスが可能で、なおかつ役に立つ

社労士を主軸として仕事をする方が、簿記とのダブルライセンスを考えるのであれば、2級の難易度で無理なく資格取得し、なおかつ仕事に役立つ基本的な簿記の知識を習得するのがオススメです。

「せっかく目指すなら簿記1級」と考える方もいらっしゃるかもしれませんが、1級となるとぐんとハードルが高くなり、合格までに時間を要したり、頓挫する原因となったりすることもあります。

もっとも、税理士を目指す方が受験資格を満たすために挑戦するなら簿記1級が必要となりますが、あくまで社労士メインであれば1級にこだわる必要性は薄いと言えましょう。

まとめ

  • 資格受験生の中には「社労士か、簿記か」で迷う方も少なくありませんが、社労士も簿記も仕事に役立つ資格であるため、メリットにこだわり過ぎることなく、あくまでご自身の興味関心から選ばれるのが得策です
  • ゆくゆくは税理士を目指す方であれば、受験資格を満たすために日商簿記検定1級の合格が不可欠です
  • 「社労士と簿記1級はどちらが難しいか」の判断は人によって異なりますが、合格率で考えるなら概ね同等のレベルと考えることができます
  • 社労士と簿記はダブルライセンスとしても相性の良い資格同士です
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