社労士と行政書士、どっちがおすすめ?ダブルライセンスは可能?

分かれ道に立つ男性

資格受験生の中には、社労士と行政書士のどちらの資格を取得するべきか、悩むケースが比較的多いようです。

すでに興味関心や将来的な展望がしっかり固まっている方であれば、そもそも「どちらを受験しようか」等と迷うことはないでしょう。

一方で、「法律を学んで資格を取りたい」「先々独立開業できる資格を取得しておきたい」程度の感覚で国家資格に挑む場合には、それぞれの資格の特徴以上に、合格のしやすさや仕事への活用の幅等が目標設定に影響を与えることも少なくありません。

実際のところ、社労士と行政書士ではどちらを受験するのが得策と言えるのでしょうか?

合格率、就職や収入等の観点から両資格を比較するとともに、社労士と行政書士のダブルライセンスの可能性についても考えていくことにしましょう。

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目次

社労士と行政書士、取るならどっち?

社労士と行政書士は共に、数ある士業資格の中では法律初学者にも目指しやすい資格の代表格と言えます。「どちらを受験しようか」とお悩みであれば、まずはそれぞれの仕事内容に着目するのが良いでしょう。

労働・社会保険分野の専門家である社労士と、許認可を中心に1万種類以上の書類作成に携わることのできる行政書士とでは、そもそも取扱業務が大きく異なります。

よって、まずは資格取得を通じてご自身がどのような知識を習得したいか、どんな分野で仕事をしたいかが、資格選びのポイントとなるでしょう。

とはいえ、資格取得の目的が「独立開業」「何でも良いので専門分野を持ちたい」といった場合には、将来性の観点でメリットのある資格を選ぶという道も想定されます。

社労士vs行政書士 就職

さて、ここからは試験のことではなく、資格取得後に目を向けていきましょう。

まずは社労士と行政書士の両資格を「就職」の観点から比較すると、断然「社労士」に軍配が上がります。

社労士は、独立開業の他、一般企業の社員として労働・社会保険関連業務に携わる「勤務社労士」となることができます。つまり、独立開業向けではあるものの、一方で就職を想定した際にも幅広い選択肢のある資格と言えるでしょう。

かたや行政書士はといえば、求人の少なさに象徴される通り、就職には不向きな資格であると言わざるを得ません。社労士のような「勤務」の登録区分がなく、業務の性質としても民間企業への行政書士としての就職はイメージしづらいと思います。

社労士vs行政書士 結局どっち?

さて、これまで様々な観点から社労士と行政書士を比較してまいりました。

様々な情報から、現状、「自分だったらこちらかな?」という見通しを持つことができているでしょうか?

社労士と行政書士、結局どちらの資格を取得するべきかは、皆さんが先々にどんなビジョンを描いているかによって異なります。独立開業を想定するなら、ご自身の興味関心やそれぞれの仕事の将来性を十分に検討し、目標を定めるべきです。

資格取得後に就職を目指すなら、「勤務」という登録区分のある社労士の方が、企業内で安定した収入の確保を狙うことができるでしょう。

さぁ、社労士と行政書士、皆さんの目標はどちらにしましょうか?

社労士と行政書士のダブルライセンスってどうなの?

4:1で天秤にかけられてる人たち

ちなみに、社労士と行政書士の両方を取得することで、相乗効果を狙うこともできます。つまり、「社労士か行政書士か」の2択ではなく、ダブルライセンスを目指す道もあるのです。

しかしながら、いずれも難関国家資格ですから、両方を取得するには相応の苦労を伴うことは間違いありません。社労士と行政書士のダブルライセンスのメリット、デメリットを正しく把握した上で、目指すべき道を検討するのが得策です。

社労士と行政書士のダブルライセンスのメリット

社労士と行政書士のダブルライセンスには、実務上、「会社設立からその後の労務管理」をワンストップで行えるというメリットがあります。

ダブルライセンスを活用することで、士業側は営業活動がしやすくなり、顧客はそれぞれの段階で専門家を検討する手間を省くことができます。

  • 行政書士:会社設立時に必要な許認可申請や定款作成等の「登記」以外の業務を行うことができる
  • 社労士 :会社設立時に必要な社会保険関係諸手続き、その後の雇用に伴う労働保険関係諸手続きや労務管理、助成金活用に携わることができる

上記は社労士と行政書士のダブルライセンスを活かした業務の一例ですが、工夫次第で資格活用の幅は無限に広がります。

皆さんなら、社労士・行政書士でどんなビジネスを展開しますか?

社労士と行政書士の同時受験は可能?

社労士と行政書士のダブルライセンスを狙うなら、両資格の取得を可能にする、現実的な受験スケジュールの検討が欠かせません。

すでにいずれかの資格を取得しているのであればもう一方の資格取得に注力するのみですが、これからダブルライセンスを目指す場合、それぞれの受験時期をしっかり見極める必要があります。

社労士試験は例年8月下旬、行政書士試験は11月上旬のため、「頑張って同じ年に挑戦してしまおう!」という方も少なくありませんが、同時受験は避けた方が無難です。

社労士も行政書士も付け焼刃の知識でどうにかなる資格ではありませんから、じっくり一年間、腰を据えて対策することが合格の大前提です。

「二兎を追う者は一兎をも得ず」と言いますから、すでに法律が頭に入っている等の例外的なケースは別として、年度を分けての受験を検討しましょう。

社労士と行政書士は兼業できる?

晴れて社労士試験と行政書士試験に合格した後、両資格を上手く活用してビジネスを展開できるかどうかは、個々の力量次第です。

社労士と行政書士それぞれの仕事の特性を活かして相乗効果を発揮している敏腕な実務家を見かける一方で、ダブルライセンスは取得したものの結局どちらかの業務に偏る方も少なくありません。

当然のことながら、社労士業と行政書士業のどちらにも、登録すれば継続して費用がかかります。

よって、兼業を考える上では、自身が思い描くやり方が仕事として成立するのか、両資格の維持費を加味しても収入が期待できるのか等、現実的な可能性を正しく見極めることが肝心です。

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社労士と行政書士は両方取るべきか、どちらかで良いのか

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このページでは、社労士と行政書士について、それぞれの資格比較とダブルライセンスの可能性についてご紹介しました。

いずれかの資格で仕事をするにせよ、ダブルライセンスの活用を視野に入れるにせよ、専門分野を有することは仕事上の大きな強みとなります。ぜひ資格を取得して、ご自身のキャリアアップにつなげてください。

これから資格取得を目指す方であれば、まずは目標とする資格に注力しましょう。

社労士と行政書士について、取得するのはどちらかで良いのか、ダブルライセンスを目指すべきなのかという点については、ご自身の方針や希望によります。

一つの道を究めるのであれば絞り込みが必要ですし、仕事の間口を広げたいのであればダブルライセンスは有効な手段となるでしょう。

もちろん、方針を今すぐに決める必要はありません。まずはいずれかの資格で仕事をしてみて、必要に応じて次を目指すこともできます。

ただし、ひとたび士業として実務に携わったら、他の資格取得に時間を割くことは難しくなりますから、「ダブルライセンスを見据えて予め両資格を取得しておく」という可能性も視野に入れて検討すると良いでしょう。

まとめ

  • 資格受験生の間でしばしば議論される「社労士と行政書士はどちらがお勧めか」については、試験科目や内容、合格率、就職や年収等のあらゆる観点から比較し、目標を定めるのが得策です
  • 社労士と行政書士はダブルライセンスとしても相性の良い資格同士です
  • 社労士と行政書士の両方の資格取得を目指す場合、各資格の難しさを鑑みれば同年受験は避けた方が無難であり、段階的かつ戦略的にダブルライセンスを目指していくことをお勧めします
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この記事の監修者は
小野賢一(おの けんいち)

「そうだったのか!」という驚きや嬉しさを積み重ねましょう
【出身】北海道
【経歴】横浜国立大学大学院国際社会科学府修了。社会保険労務士、日商簿記2級等の資格を保有
【趣味】楽器演奏
【受験歴】2022年社労士試験初回受験、合格
【講師歴】2023年よりフォーサイト社労士講座講師スタート
【座右の銘】昨日から学び、今日を生き、明日へ期待しよう
フォーサイト公式講師X 小野賢一@社労士専任講師

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