社労士と行政書士の違いとは?難易度からダブルライセンスのメリットまで解説
更新日:2024年7月2日
社会保険・労務を専門に扱う社労士(社会保険労務士)と、行政機関への提出書類の作成や権利義務・事実証明に関する書類の作成代行、それらに関する相談業務を行う行政書士。いずれも人気資格なので、どちらの資格を取得するべきかと悩んでいる人もいるのではないでしょうか。
この記事では、それぞれの資格の特徴や業務内容、試験の難易度の違いなどを解説。将来どんな仕事をしたいのか、どういった知識を身につけたいのか、その目的によってどちらを取得したらいいか、といったことも記載します。
なお、社労士と行政書士のダブルライセンスを取得した場合のメリットも紹介。効率的なダブルライセンス取得に向けたポイントや注意点もお伝えします。
- 社会保険労務士の受験資格を得る目的で行政書士を受験する人は一定数存在している
- 両方取得するとお互いに担当できない分野を補い合うことができます
- ダブルライセンスによってワンストップで業務を行える点はセールスポイントとなる
- 専門性の高い社労士と行政書士、両方の担当業務を行える分、仕事の幅が広がる
- これまでのダブルライセンス取得者は、行政書士を先に取得した後、社労士を取る人が多い傾向にある
- フォーサイトのコースを受講すれば4ヶ月で合格することも可能
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社会保険労務士と行政書士の違いとは?
社会保険労務士は労働問題のエキスパートとして、企業や労働者から相談を受け、問題を解決できるようにサポートする仕事です。
一方、行政書士は許認可を中心に1万種類以上の書類作成に携わることのできる仕事で、書類作成に関する法律に詳しいことから街の法律家と呼ばれています。
両者は取扱い業務が大きく異なるため、全く別の範囲を担当している仕事と言えます。それぞれの業務内容や資格の概要については後ほど詳しくご紹介します。
社会保険労務士と行政書士を業務内容で比較
社会保険士は労務・社会保険分野の専門家です。企業や労働者から相談を受けますが、近年はハラスメントや給与、メンタルヘルス問題といった相談が増えています。
社会保険に関する相談では、医療保険や介護保険、年金、労災保険、雇用保険などを、労務問題では賃金や人事制度、安全衛生管理、就業規則などを扱います。携わる範囲が広いので、関連する法律をしっかり理解している必要があります。
業務のうち、以下は社労士の独占業務です。
- 労働社会保険諸法令に基づく書類の作成や代行
- 労働社会保険関係法令に基づく帳簿書類の作成
行政書士は行政手続を専門とする法律家です。官公署に提出する各種書類の作成代行、遺言や相続関係、自動車登録、土地活用、内容証明、各種契約書などの書類作成を行ったり相談に乗ったりしています。
これらの書類作成は手間も時間もかかるので、企業や個人事業主の多くは行政書士に専門業務を依頼します。
業務のうち、以下は行政書士の独占業務です。
- 行政機関に提出する許認可等の書類の作成
- 権利義務または事実証明に関する書類の作成
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社会保険労務士と行政書士を試験概要や難易度で比較
社労士と行政書士の資格取得の難易度は、取得条件や必要な学習時間などから大まかに判断できます。
受験資格
社労士の受験資格は下記のうち1つを満たしていることです。
- 大卒、短大卒、高専卒、または学校教育法により短大卒と同等以上の学力があると認められた人等
- 公務員としての行政事務、社労士や弁護士の補助事務などの実務経験が3年以上ある人等
- 行政書士、司法書士など厚生労働大臣が認めた国家試験に合格した人等
一方、行政書士には特別な受験資格はありません。
試験内容
社労士試験は選択式と択一式で、全てマークシート形式です。行政書士はマークシート式の択一式に加え、40字程度の記述式が採用されています。
合格難易度
社労士試験は6〜7%、行政書士試験は10%前後です。学習時間
試験合格に要する学習時間は、社労士は800〜1000時間程度、行政書士は600時間程度です。個人差はありますが、総学習時間の目安のみを見ると社労士試験のほうが難易度が高いと考えられます。社労士 | 行政書士 | |
受験資格 | 学歴、実務経験、試験合格の3つの受験資格のうち1つを満たしていること | 特別な受験資格は無し |
試験内容 | 択一式と選択式問題、全てマークシートで解答する | マークシート式の択一式と40字程度の記述式 |
合格率 | 6~7% | 10~15% |
必要な勉強時間 | 800~1000時間程度 | 600時間程度 |
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社会保険労務士と行政書士を年収で比較
社労士も行政書士も企業に務めるのか、独立開業するのかで年収が異なるのが特徴です。
社労士の年収は、企業に務めるのであれば約780万程度と言われています。
独立すると1,000万円を超える場合もありますが、大きく下回る場合もあります。
行政書士は、兼業や企業勤務の場合は500万円以上、独立開業では初期の5年間で300万円~400万円程度が相場です。
企業勤務型の社労士であれば、年収は高めで安定すると言えるでしょう。
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社会保険労務士と行政書士はどちらの資格取得を選ぶべき?
ここまでで、社労士と行政書士の違いはイメージできたのではないでしょうか。2つのうちどちらの資格を取得すべきかは、本人が将来的にどんな仕事をしたいか、どのようなビジョンを思い描いているか、といった目的によって異なります。
実際にどちらを選んだほうがいいか、その詳細については携わりたい仕事の方向性、確保できる勉強時間の多寡、どういった知識を身につけたいか、など様々な観点から、この後詳しく解説していきます。
労務管理の仕事をしたい場合
労務管理に興味がある方、労務管理の仕事を目指したい方には、社会保険労務士の資格を取得することをおすすめします。
社労士は、企業の労務環境・労働環境について手続きを行ったり、アドバイスをしたりするための資格です。ですから、労働や社会保険に関する業務に携わる人事・労務管理の専門家として活躍できるでしょう。
行政に関わる仕事がしたい場合
行政に関わる仕事がしたい方には、行政書士の資格の取得をおすすめします。
行政書士は、個人や企業を相手に行政への文書などを作成するための資格です。この資格を持っていれば、街の法律家として専門知識を活かして働けるでしょう。
近年、行政に提出する書類の種類は増えているので、今後活躍の場の広がりを期待できます。
勉強時間を確保できる場合
社労士と行政書士のどちらを選ぶかで迷っている場合、勉強時間をしっかり確保できるなら社労士をおすすめします。というのも、社労士は約800~1000時間の勉強時間を要する一方で合格すれば生涯の仕事にできる資格だからです。
幅広い法律知識を形にしたい場合
幅広い法律知識を得たい場合は行政書士資格の取得をおすすめします。なぜなら行政書士試験の受験にあたり、憲法や民法といった基本的な法律を勉強する必要があるからです。
また、仕事で依頼者の相談に乗る中で試験科目以外の様々な法律を学ぶこともあります。そのため、必然的に専門家として幅広い法律知識が身につくのです。
社労士の受験資格を得る目的で行政書士を取得する場合もある
社会保険労務士には受験資格があり、基本的に大卒や短大卒、高専卒の人でなければ受験できません。しかし、行政書士や司法書士などの一部国家資格を保有していれば、高卒であっても社労士試験の受験が可能になります。
そのため、社会保険労務士の受験資格を得る目的で行政書士を受験する人は一定数存在しているのです。事前に法律系の知識が身についていると、社会保険労務士の勉強の導入がスムーズに進むというメリットもあります。
社会保険労務士と行政書士のダブルライセンスを目指すメリットとは
社労士と行政書士の両方を取得し、ダブルライセンスを目指している人もいるでしょう。
社労士と行政書士を取得すると、一つの資格だけでは担当できない「それぞれの分野を補完できる」ほか、「営業がしやすくなる」「仕事や働き方の選択肢が増える」といったメリットを得られます。
ダブルライセンスのメリットは以下の通りです。
1.それぞれの分野を補完できる
社労士と行政書士は仕事の領域が異なりますが、業務上の相性が良く、両方取得するとお互いに担当できない分野を補い合うことができます。
例として、会社設立の際の手続きを挙げましょう。行政書士の担当分野は会社設立時に必要な許認可申請や定款の作成などで、社労士の担当分野は社会保険や労働保険の手続き、労務管理などです。
通常、企業側はそれぞれの業務を社労士と行政書士に依頼しますが、ダブルライセンスを取得していればワンストップで業務に対応できます。企業側も担当を変更せずに頼れるのでスムーズに会社設立を行えるでしょう。
2.営業がしやすくなる
社労士と行政書士の資格を持っていると、独立開業した際のセールスポイントが増え、営業をしやすくなるでしょう。
社労士事務所も行政書士事務所もたくさんあるので、他の事務所との差別化をはかる必要があります。そういったとき、ダブルライセンスによってワンストップで業務を行える点はセールスポイントとなるはずです。
3.仕事や働き方の選択肢が増える
社労士と行政書士の資格をダブルで取得すると仕事の選択肢を増やすことができます。専門性の高い社労士と行政書士、両方の担当業務を行える分、仕事の幅が広がるのです。
なお、社労士は企業や事務所に勤務することが多いのですが、行政書士の働き方はほぼ独立開業に限定されます。個人事務所は安定軌道に乗るまで大変な場合もありますが、ダブルライセンスならば勤務社労士として仕事のノウハウを学んだ後、独立することも可能です。
社労士と行政書士はどちらから勉強するべき?
社労士と行政書士は親和性が高いので、ダブルライセンスの取得もおすすめです。ただし、2つの資格を取得する際は無理の無い学習スケジュールを立てましょう。
社労士と行政書士の試験を同年に受ける同時受験という方法もありますが、試験範囲も出題科目も異なるので同時並行での学習は大変です。どちらも国家資格で難易度も高いため、一つ一つ受験するほうが無難と言えます。
なお、これまでのダブルライセンス取得者は、行政書士を先に取得した後、社労士を取る人が多い傾向にあるようです。その理由は行政書士のほうが比較的取り組みやすいからと考えられます。
社労士は学歴などの条件をクリアしていなければ受験できないけれど、行政書士など一部の国家資格を保持していれば受験が可能になることからも、先に行政書士試験を受験するほうが良策でしょう。
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フォーサイトで資格取得した人の勉強方法・合格できた秘訣
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勉強時間は人によって様々ですが、例えば行政書士の合格後に社労士に挑戦した40代男性は、6ヶ月の間に600時間の勉強時間を取り、初回合格を果たしました。
平日は1~2時間、土日は6時間を目安とし、講義を1周した後、講義、テキスト、過去問を繰り返したそうです。また、社労士と行政書士に連続合格した30代男性は10ヶ月の間に1000時間勉強し、初回合格。
テキスト・過去問・講義をタブレットに入れ、通勤時間、昼休みなどの隙間時間に勉強したと言います。
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社労士・行政書士最短合格なら通信講座がベスト
社労書士試験・行政書士試験という難関を最も効率的に突破する方法は、通信講座を選ぶことです。その理由を具体的に説明していきましょう。
①通信講座なら自分のペースで効率的に学習できる
スマホやタブレットを利用して勉強できる通信講座を利用すれば、時間や場所を選ばず、ちょっとした時間を学習に充てられます。
これは通勤や通学の電車の中、家事の合間の時間や職場の昼休みなど、日常の隙間時間にも勉強できるということを意味します。忙しくても、自身の生活リズムに合わせて自由に学習を進められるでしょう。
②費用を抑えられる
スクールなど通学講座の場合、どうしてもまとまった授業料がかかるうえ、通学するための交通費も必要となります。
その点、通信講座ならば受講料もリーズナブルだし、自宅や好きな場所で勉強できるので交通費も要りません。
③サポート体制が充実
独学での勉強では、疑問が湧いたときも1人で調べなければならないので解決するのに時間がかかりがちです。
でも、サポート体制がしっかりした通信講座なら気軽に質問できて、わからない状態が長引かないのでスムーズに勉強を続けることができます。不安を感じることなく学びを深められるでしょう。
フォーサイトの社労士・行政書士通信講座の特徴
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通常、社労士や行政書士の試験には約1年の準備期間を要しますが、フォーサイトのコースを受講すれば5ヶ月で合格することも可能です。短期間での成功は、合格点を取ることを目指したフォーサイト合格メソッド満載の教材作りに注力しているからこそ実現できます。
②合格できない場合も心配無用
受講料が全額戻ってくるので、リスクを考えず勉強に専念できます。
③満足度の高いテキスト
試験に必要な情報を抽出したテキストはフルカラーでイラストも豊富。それが高い合格率につながっています。
④講師歴20年強の講師たち
二神大貴講師・小野賢一講師・加藤光大講師・竹田裕一郎講師という経験豊富な講師陣が質の高い授業や教材を提供しています。
⑤eライブスタディ
定期的に実施されるライブ配信講義を視聴すると、独学でもペースを落とさず計画的に学び続けられます。
通信講座を体感するなら資料請求しよう!
①実物と同じテキストは問題集を手にできる
サンプルテキストや問題集を閲覧することで、実際の講座で使われる教材の内容を確かめることができます。このことにより、教材がどの程度理解しやすく、勉強に適しているか、という点をご自身で体感することができるのです。
②無料でeラーニングを試せる
スマートフォン一台があれば、時間や場所を選ばずにいつでもどこでも学習できるeラーニング講座を無料で視聴できます。その使いやすさや気軽に学べる楽しさを、ぜひ実感してみましょう。
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社会保険労務士試験・行政書士試験を最短でクリアするためのコツをまとめた、フォーサイトオリジナルの書籍を進呈します。
フォーサイトが20年以上かけて築いてきたフォーサイト合格メソッドに取り組むことで、やる気がみなぎって合格モードに切り替わり、最高のパフォーマンスを発揮できるようになるはずです。効率良く学び、短期集中で確実に合格を果たすためにも、成果の出やすい勉強法を実践してください。
社労士、行政書士の資格を取るならフォーサイトの通信講座を選ぶべし
社労士と行政書士は両方取ったほうがいいか、どちらか片方でいいのか。両方取得する場合、どちらを先に取るべきかなど、ご自身の中で考えはまとまりましたか?この先、どのように仕事をしていきたいかによって選ぶ資格や勉強の仕方は変わってくるでしょう。
仕事の幅を広げ、様々な業務にあたりたいなら、ダブルライセンスの取得を視野に入れるのもおすすめです。ぜひフォーサイトの通信講座を活用して最短距離での合格を目指しましょう。
1分で完了!
小野賢一(おの けんいち)
「そうだったのか!」という驚きや嬉しさを積み重ねましょう
【出身】北海道
【経歴】横浜国立大学大学院国際社会科学府修了。社会保険労務士、日商簿記2級等の資格を保有
【趣味】楽器演奏
【受験歴】2022年社労士試験初回受験、合格
【講師歴】2023年よりフォーサイト社労士講座講師スタート
【座右の銘】昨日から学び、今日を生き、明日へ期待しよう
●フォーサイト公式講師X 小野賢一@社労士専任講師