社労士法第17条の付記印とは?これひとつで一部の添付書類省略可能

社労士法第17条の付記印とは?これひとつで一部の添付書類省略可能

付記印とは?

社労士試験の勉強をしていると、「付記」という言葉を目にすることがあります。「付記」とは、文字通り「本文に付け加えて書き記すこと」を意味しますが、日常生活においてはあまり聞き慣れない言葉かもしれません。社労士試験対策に取り組んで、初めて「付記」というキーワードを知った受験生もいらっしゃるのではないでしょうか?

ところで、社労士業界には「付記印」というものがあります。このページでは、実務のみならず試験対策につながる知識として、社労士の付記印の役割を解説することにしましょう。

目次

社労士の付記印とは?活用のメリットを知る

通常、労働・社会保険関連の申請書類を提出する際には、申請内容の根拠となる資料を添付します。ただし、社労士が作成した書類については、手続き簡略化の観点から、一部の資料添付を省略することができることになっています。

この取扱いを「付記」といい、申請書の「社会保険労務士記載欄」の近くの欄外余白等に付記印を押印することで認められます。

皆さんが晴れて社労士になって、実務に携わるようになったら、比較的頻繁に活用するツールのひとつと言えます。

「17条付記」で省略できる添付書類がある

社労士の付記印には、「社労士法 第17条の付記」の記載があります。これは、社労士の付記について、社会保険労務士法第17条第1項に下記の通り定められているからです。

‘社会保険労務士又は社会保険労務士法人は、申請書等(厚生労働省令で定めるものに限る。)を作成した場合には、厚生労働省令で定めるところにより、当該申請書等の作成の基礎となった事項を、書面に記載して当該書面を当該申請書等に添付し、又は当該申請書等に付記することができる’

出典:電子政府の総合窓口e-Gov「社会保険労務士法」

社労士による付記で省略できる添付書類は、出勤簿、労働者名簿、賃金台帳のいわゆる「法定三帳簿」です。ただし、申請書に社労士の付記印が押印されているからといえども、申請書の内容に不備や疑義があれば、行政からは資料の提示が求められることになります。

社労士の付記印を使える届出

社労士の付記印は、労働・社会保険関係のどんな届出にも使えるわけではなく、その範囲は限られています。下記は、社労士付記により添付書類を省略できる主な届出です。

  • 雇用保険 被保険者資格取得届
  • 雇用保険 被保険者資格喪失届及び雇用保険 被保険者離職証明書
  • 雇用保険 被保険者転勤届
  • 雇用保険 被保険者氏名変更届
  • 雇用保険 被保険者休業開始時賃金証明書
  • 雇用保険 被保険者六十歳到達時等賃金証明書
  • 労働保険 保険関係の成立の届出
  • 厚生年金保険 被保険者報酬月額算定基礎届

雇用保険の資格取得や喪失、厚生年金保険の算定基礎など、社労士として実務に携わる上で、比較的頻度の高い手続きについて付記が認められていることが分かります。

社労士の付記印は手書きでも良い?

社労士の付記は、手書きで記入して認められるケースは少なく、多くの場合、窓口で付記印の押印が求められる取り扱いとなっています。もっとも、窓口によっては、社労士が提出する書類は自動的に添付書類の提出が不要となることもあるようですが、あくまで付記印の押印が原則と考えておくと良いでしょう。

社労士の付記印は形式が決まっており、都道府県の社会保険労務士会入会後、社会保険労務士協同組合で購入することができます。「社労士法 第17条の付記」の枠と、「労働者名簿」「出勤簿」「賃金台帳」それぞれの小さな印がセットになったタイプの他、すでに枠内に法定三帳簿の文字が入ったタイプの2種類があり、選んで購入できるようになっています。

社労士試験では「付記」のキーワードが問われることも

「付記」のキーワードが問われる

冒頭で触れたとおり、「付記」は社労士の実務上だけでなく、試験対策上もおさえておくべき用語です。実際に、第44回の選択式試験(「社会保険に関する一般常識」)では、付記に関する設問が出題されています。

‘社会保険労務士法第17条第項では、「社会保険労務士又は社会保険労務士法人は、申請書等(厚生労働省令で定めるものに限る。)で ( A )につき相談を受けてこれを審査した場合において、当該申請書等が労働社会保険諸法令に従つて作成されていると認めたときは、厚生労働省令で定めるところにより、その審査した事項及び当該申請書等が労働社会保険諸法令の規定に従つて作成されている旨を、書面に記載して当該書面を当該申請書等に添付し、又は当該申請書等に(  B  ) することができる。」と規定されている。'

<解答>
A:他人の作成したもの
B:付記

このように、( B )の正答は「付記」となりますが、「摘記」の選択肢に惑わされた受験生が多かったようです。「摘記」とは「要点を抜き書きすること」であり、( B  )の解答としては不適切です。試験対策上、「付記」についてはその用語自体はもちろんのこと、その意味についても正しく把握しておく必要があります。

社労士の付記印?メリット印??違いを解説

違いを解説

社労士の実務には、付記印の他にも「メリット印」という印も登場します。付記印とメリット印はしばしば混同されがちですが、両者が示す内容はそれぞれ異なります。

社労士の付記印は、前述の通り、社労士法第17条に基づいて届出に係る一部の添付資料の省略を示すものです。一方でメリット印は、雇用保険被保険者資格取得届、資格喪失届、氏名変更届などの一部の様式にある「社会保険労務士記載欄」の内容を示すもので、「提出代行者印・事務代理者印・事務担当者印」のことです。

記載内容は「日付」、「所属の都道府県社労士会名」、「提出代行者・事務代理者・事務担当者」のいずれかの表示、「社労士名」、「電話番号」等となっています。こちらも、社労士の実務に携わるようになったら備えておきたいツールですね。

まとめ

  • 付記印とは、社労士法第17条に基づき、届出に係る添付書類の一部の省略を示す印のことで、これを押印することにより、出勤簿、労働者名簿、賃金台帳のいわゆる「法定三帳簿」の提示を省くことができます。
  • 社労士の付記はすべての届け出に使えるわけではなく、その範囲は限られています。
  • 付記印には決まった形式があり、申請書に手書きで付記印の記載内容を記しても認められないケースがほとんどです。
  • 社労士の付記については本試験の選択式で出題実績があり、実務上のみならず、試験対策上もおさえておくべきキーワードであるといえます。
  • 社労士が実務上活用する印には付記印の他、「メリット印」もありますが、両者の役割は全く異なるものです。