社労士有資格者のサラリーマンが副業で開業できるかを全力で考える!

社労士有資格者のサラリーマンが副業で開業できるかを全力で考える!

会社勤めをしながら社労士試験に合格された方にとって、せっかく取得した資格をどう活かすかは大いに悩まれるポイントとなります。

社労士資格で開業する、資格を活かして転職するまでには踏み切れなくとも、苦労の末に掴みとった難関士業資格合格をできれば人生のプラスに活かしていきたいものですよね。

折しも、働き方改革の追い風を受け、企業における副業解禁が進む昨今。

「社労士で副業」の選択肢に目を向ける有資格者は確実に増えています。

このページでは、働きながら副業として働くのは可能なのか、可能だとすればどんな働き方が想定されるのか等、副業としての社労士の働き方を考えていくことにしましょう。

目次

社労士資格を取得したサラリーマン、副業は可能?

社労士資格を取得したサラリーマン、副業は可能?

一般企業に勤める皆さんの勤務先は、副業に対してどのようなスタンスでしょうか?また、皆さんの周囲には、実際に副業をされている方はいらっしゃるでしょうか?

冒頭でも触れたとおり、世は働き方改革真っ只中。

今後ますます進展する働き手不足対応、そしてより一層の個々のキャリア形成を目指す目的で、日本企業においては今、副業解禁の波がやってきています。

ひと口に「副業」といってもその選択肢は様々で、もちろん、社労士資格を活用した副業もそのひとつです。

本項では、サラリーマンが社労士として副業するケースを想定し、注意すべき点について検討します。

社労士有資格者のサラリーマンが副業として開業すること自体は可能

社労士として手続き業務や書類の作成を行うなら、サラリーマンであっても開業登録が必要になります。

社労士法27条に、「社会保険労務士又は社会保険労務士法人でない者は、他人の求めに応じ報酬を得て、第2条第1項第1号から第2号までに掲げる事務を業として行ってはならない。」との定めがあり、これに違反した場合は1年以下の懲役または100万円以下の罰金に処せられるとの規定があるからです。

労務相談、コンサルティング等の俗に言う3号業務については、社労士登録がなくても行うことができます。

ただし、その際に「社労士」を名乗ることは認められておらず、あくまで「社労士有資格者」としての活動となりますので注意してください。

ここで気になるのが、「サラリーマンでも開業登録は可能なのか?」という点ですが、社労士法にはこれを制限する規定を設けていません。

よって、副業目的のサラリーマンであっても、開業登録はできます。

ちなみに「勤務等」の区分は、社内で勤務社労士として関連業務に従事するためのものですから、社外で行う副業のための登録はできません。

社労士有資格者のサラリーマンが副業するなら、会社規程に注意!

サラリーマンが副業をする場合、まず確認すべきは「会社が副業を認めているかどうか」です。

社会的には副業解禁の傾向にあるとはいえ、労務管理が複雑になる、社員の健康確保が難しくなるといった理由から、未だ副業を認めない企業も少なくありません。

労働政策研究・研修機構の「多様な働き方の進展と人材マネジメントの在り方に関する調査」(2018年)では、75.8%の企業が「副業・兼業の許可する予定はない」とのスタンスを示しており、労働者の副業解禁には慎重であることが分かります。

一般企業に勤める会社員が「副業をしたい」と考えたら、まずは社内規程から副業に関わる定めを確認しましょう。

おそらく副業については申請を原則としているケースがほとんどでしょうから、必要な手順を経て開始するのが得策です。

副業が認められていないのに行う、申請せずに副業する等の事実が判明すれば、懲戒対象となる可能性もあることに加え、副業として行っている社労士業の顧客にも迷惑をかけることになりかねません。

社労士開業しても、サラリーマンの土日の副業でなんとかなるか?

サラリーマンが副業として社労士業に従事する場合、主な活動時間は帰宅後、もしくは休日となるでしょう。実際に社労士として開業したとして、限られた時間だけで業務をこなすことができるのか、不安に感じる方もいらっしゃると思います。

サラリーマンの社労士の副業が土日メインの活動で成立するのかについては、主力業務や業務への取り組み方次第です。

例えば、執筆であれば、決められた期限さえ守ることができれば土日中心の取り組みでも問題ないでしょう。

また、労務コンサルについても、顧客との調整次第です。

加えて、手続き代行についても、主なものは24時間届出可能な電子申請で対応可能となっています。

ただし、助成金や派遣業許認可等、平日に窓口に足を運ぶ必要のある社労士業務については、土日中心では対応が難しいこともあります。

社労士資格取得後のサラリーマン 副業か独立開業かの選択肢

社労士資格取得後のサラリーマン 副業か独立開業かの選択肢

サラリーマンの社労士試験合格者の中には、「せっかく難関国家資格を取得したのだから、思い切って会社を辞めて開業しよう」という方も少なくありません。

確かに、社労士は独立開業しても一定の収入を見込みやすい仕事と言えますし、個人で事務所を運営するならば仕事に伴う時間や場所、業務内容の拘束から解放され、比較的自由度高く働くことができます。

長年、会社員として決められた時間、場所で仕事をしてきた方にとっては、開業社労士の自由な働き方は大きな魅力として映ることでしょう。

しかしながら、自由を手に入れることは、同時に責任を負うこととも言えます。

仕事がなければたちまち収入は途絶えますし、何かあったときのリスクは常に自分自身で背負うことになります。

仕事のあてのない開業当初は、おそらく会社員時代以上に厳しい状況に立たされることになるでしょう。

勤めながら社労士資格を取得できたとして、その資格をどう活かしていくかは慎重に検討すべきテーマといえます。

サラリーマンを辞めて社労士になれるかの決断・注目点

会社員の独立開業に伴うリスクのうち、最も影響が大きいのは「これまで安定して得られていた収入が途絶えること」です。

実際に社労士として独立開業したと仮定して、仕事のあてはあるのか、営業活動が上手くいくのか、自身強みや信頼のおける人脈はあるのか等を十分に検討しましょう。

開業社労士の廃業率は70~80%とも言われますから、「とりあえず開業」で順調に上手くいく等の甘い考えは禁物です。

会社員が社労士資格を取得したら、とりあえずは副業を前提に、会社を辞めないで実務の世界を垣間見てみるのも方法のひとつです。

登録をすれば研修会に出席できるようになりますから、そこで実務知識を得たり、人脈を広げたり等、本格的な開業に向けた準備ができます。

「開業には思い切りが重要」と言われますが、それはしっかりと準備をされた方が一歩踏み出す際に必要な考え方であり、向こう見ずの船出を後押しするための言葉ではありません。

社労士取得後のサラリーマンは、副業ではなく「転職」を選ぶケースが多い

ちなみに、著者の周囲では、社労士資格を取得した会社員が進む道として多いのは、開業でも副業でもなく、「現状維持(資格は取得したが当面は何も行動を起こさない)」もしくは「転職」です。後者の場合、社労士事務所や日本年金機構などへの転職で、社労士業界に足を踏み入れるケースを散見します。

転職をした方でも、ゆくゆくは開業を目指す方、開業は目指していないがキャリアチェンジしたい方など、将来の希望は様々です。

しかしながら、「これから長く社労士の知識を活かして働きたい」という部分は共通項のようです。

ただし、今後、副業や兼業が当たり前になってくれば、状況は変わってくるかもしれません。

そうなれば、「会社員でも副業で社労士」という方も増えてくることでしょう。皆さん自身が、これから社労士資格を取得して、新しい資格活用の道を切り開いていくことも可能ではないでしょうか?

社労士取得でサラリーマンが副業 番外編

社労士取得でサラリーマンが副業 番外編

さて、「これから社労士試験に合格して、会社員のまま副業で社労士になるぞ!」という方は、ぜひその目標に向かってモチベーション高く社労士を目指してまいりましょう。

しかしながら、現状、社労士業界を知らない皆さんが副業の候補として社労士を具体的に考える上では、何かと迷われることや不安要素なども湧いてくるものと思われます。

ここからは、副業としての社労士業について、気になる疑問に実務家目線でお答えすることにしましょう。

社労士資格でサラリーマンが「副業成功」といえる収入の目安は?

サラリーマン副業社労士が成功しているかどうかは、社労士としての活動にかかる費用を副業収入で回収できているか、その上で利益が出ているかを基準に考えると良いでしょう。

まずは登録費用や年会費について、他のページでも紹介している通り、下記の諸費用を社労士業の副業で回収できるかを検討してみてください(価格は東京会の場合、2019年11月時点)。

  • 登録免許税  30,000円
  • 登録手数料  30,000円
  • 入会金    50,000円 (開業)
  • 年会費    96,000円 (開業)※毎年納めます
  • 事務指定講習(登録に必要な実務要件を満たせない場合) 77,000円

また、新たに社労士業を開始するためには、副業であっても諸経費が必要になります。

必要な営業経費やWEBサイト管理費用、セミナー受講、書籍代等も含めて、副業収入でまかなえる、その上で収入が見込めるのであれば、社労士として副業成功と考えて良いでしょう。

副業なら、社労士と行政書士どちらがオススメ?

これから何かしらの副業をしたいと考えて、士業資格の取得に注目された方もいらっしゃるでしょうか。

その場合、副業として活かすことを考えたときに社労士が適切なのか、他士業でさらに可能性のある資格がないのかと検討されるかもしれません。

副業として社労士が良いか、それとも行政書士が良いかは、本人の強みや希望、仕事の見込み等から総合的に判断する必要があります。また、これから資格取得を目指すのであれば、そもそもどちらの資格に合格できるか、といった問題もあるでしょう。

社労士であれ行政書士であれ、開業登録をして自身で事務所運営をしていく上での苦労は同様です。

ただし、社労士の場合、勤務社労士として働く道がありますから、「副業から始めて本格的に社労士業に興味をもった」「とはいえ、いきなり独立開業は自信がない」といった場合も、ひとまず転職で社労士業に従事できるので安心です。

思い切って社労士開業しても、副業で収入を得るのはアリ?

これまでは、「会社員を本業、社労士業は副業」という観点から様々解説しましたが、もちろんパターンとしては「社労士業を本業、別途副業をする」といった可能性もあります。

実際のところ、開業社労士が収入を見込めず、生活費を確保するために一般的なパート・アルバイトとして副業する例はあります。

また、開業登録をすると、労働基準監督署や年金事務所の相談員の仕事が斡旋されることもあります。

「副業」という観点からは外れますが、このような「行政協力」として週2~3日の勤務で収入を得つつ、実務経験を重ねていく道もあります。

まとめ

  • 会社員が副業社労士を目指すなら、会社規程を確認し、そもそも副業が認められているかどうかを確認する必要があります
  • 会社員が副業で社労士の開業登録をすることは可能ですが、本業に支障をきたさない程度に副業するためには工夫が必要です
  • 会社員の副業の場合、勤務しながらの社労士業とはいえ「勤務等」の登録は適切ではありません
  • 社労士登録をしない副業は、「労務コンサルを主とする3号業務のみに特化する」「社労士を名乗れず、あくまで有資格者としての活動となる」点に注意しなければなりません
  • 登録費用や年会費といったコストを賄いつつ利益を出すことができれば、副業社労士としてはまずまず成功といえます