社労士は独学で合格できる?効果的な勉強方法についても解説

更新日:2023年9月15日

何か書いてる女性

労働者と雇用者の間に起きる問題解決に尽力し、労務管理、給与計算などの業務にも対応できる資格・社会保険労務士(以下:社労士)。

この社労士になるためには、社労士試験に合格する必要があります。社労士試験は年に1度実施され、合格率は6%程度という難関試験です。

社労士試験は独学でも合格できるのでしょうか?

この記事では社労士試験に独学で合格できるかどうか、さらに独学で合格するためにはどのようなポイントが重要なのかなど、独学という勉強方法にスポットを当てて解説していきたいと思います。

目次

社労士試験は独学でも合格できるのか?

社労士試験合格を目指す場合、考えられる勉強方法は基本的に3つ。

自分一人の力で勉強する独学、通信講座を受講する、予備校に通学するという3種類です。

この中で注目したいのが、自分一人で勉強を行う独学。紹介した3つの勉強方法の中では、もっとも難易度の高い勉強方法となりますが、実際独学で社労士試験に合格できるかどうかといえば、合格は可能です。実際に独学で社労士試験に合格した方もいますので不可能ではありません。

ただし、不可能ではないというだけで、独学での挑戦は簡単ではありません。社労士試験は出題科目が多く、しかも多くの法知識を問われるため、これらにすべて対応するのは簡単ではありません。

労務関係の部署などで実務経験がある方、大学等で法律に関する勉強をした方など、ある程度下地がある方であれば、独学で目指すことも可能かと思いますが、こうした経験のない初学者の方が、独学で挑戦するのはかなりハードルの高い挑戦となりますので、この点は意識しておきましょう。

独学で社労士試験合格を目指すメリット

社労士試験は難易度の高い試験であり、独学という勉強方法で挑戦するのは簡単な挑戦ではありません。しかしそれでも独学で挑戦するにはメリットもあります。そんなメリットをいくつか紹介していきましょう。

マイペースで勉強を進めることができる

独学の場合、勉強のスケジュールも自分で考えて勉強を進める必要があります。これも大変ではありますが、反対に言えばマイペースで勉強を進めることができるという独学という勉強方法のメリットともいえます。

予備校や通信講座という勉強方法を利用した場合、予備校や通信講座が決めたカリキュラムに沿って勉強していくことになります。特に予備校の場合は、決められた曜日・時間に予備校に通学する必要が出てきます。

仕事をしている社会人の方であれば分かるかと思いますが、仕事をしている以上急な残業や、断れない付き合いなどもあるもの。仕事の都合で予備校の授業に出席できないという日も出てくるでしょう。予備校を利用した勉強方法の最大のメリットは、専門講師の授業をライブで受けることができること。社会人の方はこのメリットを享受できない可能性があるということになります。

また、予備校通学や通信講座という勉強方法の場合、勉強のペースはそれぞれのカリキュラム次第となります。勉強のペースが遅すぎても、早すぎても勉強に対するモチベーションを維持するのは難しくなります。

自分の仕事の事情などに合わせて、自分のペースで勉強できるというのは、独学という勉強方法で勉強する大きなメリットといえるでしょう。

費用を抑えて目指すことができる

独学という勉強方法の最大のメリットは、なんといっても費用面でしょう。

予備校に通学する場合、予備校やカリキュラム次第ではありますが、15~25万円程度の受講料が必要になります。通信講座でも受講料は8~20万円程度。どちらの勉強方法も、ある程度の費用が必要ということになります。

一方独学の場合、必要になるのはテキスト代と模試を受験する受験料程度。1年間で考えても数万円以内で勉強を進めることができます。

社労士試験合格のために効率的な勉強方法は?

社労士試験に合格するためには、効率的に勉強し、できるだけ勉強期間を短くすることが重要になります。では、独学という勉強方法において効率的に学ぶためには、どのような勉強方法を意識するのがいいのか。このあたりを解説していきましょう。

試験日から逆算してしっかりと勉強スケジュールを立てる

社労士試験は年に1度の実施です。一度受験に失敗してしまうと、勉強期間が1年間延びることになり、特に独学という勉強方法では、モチベーションの管理など難しい部分が出てしまいます。

重要なのは一度の挑戦でしっかり結果を残すこと。そのためには試験日から逆算した勉強スケジュールが重要になります。独学という勉強方法の場合、当然ですがこのスケジュールの自分で作ることになります。

社労士試験の試験日から逆算し、まずは毎月のスケジュールを立てます。さらにその月のスケジュールをクリアするための週ごとのスケジュールを考え、最終的には毎日のスケジュールを考える。勉強スケジュールは大きなスケジュールから順に立てていきましょう。

インプットとアウトプットをバランスよく取り入れる

法律関係の問題が多い社労士試験の勉強では、どうしても暗記などインプットを強く意識しやすくなります。しかし、社労士試験では、出題される法律を暗記するだけではなく、その内容をよく理解することが重要。そのためにはインプットに偏った勉強方法では結果が出しにくくなります。

テキストを読むなどインプットの勉強と、問題集や過去問などのアウトプットを効果的に採り入れて勉強を進めるように意識するといいでしょう。

重要部分・頻出項目は繰り返し勉強する

社労士試験は出題範囲が広く、受験科目も8科目と非常に多いのが特徴です。しかし過去問などにしっかりと取り組んでいると、頻出項目、重要項目というものが見えてくると思います。

過去問で頻出されている項目は、実際の試験本番でも出題される可能性が高い項目です。こうした項目は繰り返し勉強し、取りこぼしの内容に準備しましょう。

独学で社労士を目指すのであればテキスト選びが重要

社労士試験に独学という勉強方法で挑むのであれば、勉強を始める前に重要なポイントがあります。それがテキスト選びです。

独学という勉強方法で社労士試験に合格できるかどうかはこのテキスト選びにかかっているといっても過言ではありません。

社労士は人気資格のため、書店に行っても数多くのテキストが市販されています。テキストは社労士試験経験者向けのものや、初学者向けのものなど、いろいろな特徴がありますので、まずは自分に合ったテキストを見つけるのが重要です。

テキスト選びが重要になる理由に関していくつか説明していきましょう。

テキストは1つのシリーズでまとめるのがおすすめ

テキストを選ぶ場合、参考書や問題集を購入するかと思いますが、これらは同じ出版社の同じシリーズで統一するのがおすすめです。

同じ社労士試験のテキストと言っても、出版社やシリーズによって勉強の進め方が変わります。勉強の進め方が違うと、参考書と問題集がリンクしなくなってしまうため、勉強が進めにくくなってしまいます。

また、初学者の方など、独学での勉強に不安を感じている方は、複数のテキストを揃えてしまうということも多いかと思います。しかしこれもあまりおすすめできません。

上で書いた通り、参考書はシリーズや出版社によって勉強の進め方や解説の仕方に違いがあります。複数のテキストで勉強することで、かえって混乱してしまう可能性があります。

独学という勉強方法で社労士試験に挑戦するのであれば、1つのシリーズのテキストで統一して、そのテキストを信じて勉強するのがおすすめ。そのため最初のテキスト選びは非常に重要になります。

勉強で頼れるのはテキストのみ

独学という勉強方法のデメリットとして、勉強をする中で不明な点、理解しにくい点が出てきた時に解決するのが難しいというポイントが挙げられます。

予備校に通学していれば講師に質問することができます。通信講座でも、こうした質問メールを送ることができる講座があります。しかし独学という勉強方法は文字通り自分一人で勉強をするため、解決してくれる人がいないということになります。

そんな時に頼れるのは手元にあるテキストのみ。こうした難解なポイントをスムーズに理解できるかどうかは、勉強効率に大きく影響しますので、テキスト選びが重要であるということになります。

イラストや図解などで分かりやすく解説している物を選ぶ

特に初学者で独学で挑戦するという方には、イラストや図解、図表が多く採用されているテキストがおすすめです。

社労士試験の出題科目に関して、下地となる知識がない方の場合、文字だけの解説では理解が難しい点がいくつもあるでしょう。こうした点を克服してくれるのがイラストや図解などです。

もちろん内容も重要ですが、パッと見て頭に入りやすそうな、見た目が分かりやすいテキストを選びましょう。もちろん色遣いなども重要なチェックポイント。一目で重要な部分が分かるような、色遣いやデザインが上手なテキストがおすすめです。

最新の法改正に対応している物を選ぶ

テキスト選びのポイントとしてもう1点挙げておくと、最新の法改正に対応しているテキストを選ぶのが重要です。

社労士試験では法律問題が多く出題されます。その法律は、定期的に改正を繰り返しており、社労士試験で出題される問題も、最新の法令に基づいた問題となります。

そのためテキストは最新版で学ぶのが基本。近年では、ネットなどで古本も簡単に手に入るようになりました。古いテキストは価格も安く気軽に購入できますが、場合によっては法令の内容が現在とは違う内容になっている可能性もあります。

社労士試験を独学で目指す以上、テキストは最新版のものを使用するようにしましょう。

科目別おすすめの勉強順序

社労士試験は出題科目が多いというのはここまでも繰り返し説明してきました。ではこの幅広い試験範囲をどのように勉強していくか。特に独学という勉強方法の場合、この勉強の順序も非常に重要になります。

そこで社労士試験の試験科目から、何をどんな順序で勉強するべきかという点を紹介しましょう。紹介するのはあくまでも一例です。実際には自分が進めやすいような順序を自分で考えることも重要ですので、参考程度にしていただければと思います。

勉強する分野 勉強する科目 備考
1 労働と雇用に関する分野 労働基準法 全ての科目の基本
2 労働安全衛生法
3 労働者災害補償保険法
4 雇用保険法
5 労働保険の保険料の徴収等に関する法律 労災法・雇用保険法を理解した後
6 労務管理その他の労働に
関する一般常識
7 保険と年金に関する分野 健康保険法
8 国民年金法 健康保険法を理解した後
9 厚生年金保険法 国民年金法を理解した後
10 社会保険に関する一般常識

社労士試験の出題科目は8科目。出題される分野は10分野になります。この10分野を大きく分けると、「労働と雇用」の分野と「保険と年金」の分野に分けることができます。

勉強する順序としては、まずは「労働と雇用」を学び、続いて「保険と年金」を学ぶのがおすすめ。特に「保険と年金」に関しては暗記する部分も多くなるので、後半に学ぶのがおすすめです。

続いてそれぞれをもう少し細かく解説していきましょう。

労働基準法が全体の基本

社労士試験全体において、基本となるのが労働基準法という法律です。この法律の内容に関しては、どの分野を勉強する際にも必要となってきますので、まずはこの労働基準法に関して、単に暗記するだけではなく、その内容を理解できるように勉強を進めていきましょう。

まずは労働と雇用に関する法律から学ぶ

労働基準法が理解できれば、続いて労働と雇用の分野の各法律に関して勉強を進めていきます。この際に優先するのが労働安全衛生法の理解です。この法律を理解すれば、その後の雇用保険に関する分野も理解しやすくなるでしょう。

雇用保険の分野に関しては、まずは雇用保険法を理解しましょう。雇用保険法を理解しないと、その雇用保険の徴収に関する法律は理解しにくい部分があります。

一般常識の勉強は、このタイミングで一度簡単に済ませておき、最終的には試験直前に、保険と年金の一般常識とともにまとめて勉強するのがおすすめです。

保険と年金に関する科目の勉強順序

保険と年金の分野を勉強する順序は、基本的に法律のできた順に学ぶのがおすすめ。すでにある法律で、足りない部分を補うために新たな法律は制定されます。つまり、より古い法律を理解していないと、以降制定された法律がなぜ誕生したのかが理解しにくくなります。

社労士試験の保険と年金の分野で言えば、上記の表の順番がおすすめ。基本的に法律の制定が古い順になっています。

独学で社労士試験に合格するのが難しい理由

社労士試験は難関試験のひとつ。当然独学で目指すのは難しい試験となりますが、具体的にどのようなポイントが難しい要因となるのかを解説していきましょう。

出題科目が多く対応が難しい

社労士試験で出題されるのは10分野から8科目。数多い資格試験の中でも出題科目数の多い試験ということになります。

さらにこの8科目ですが、科目ごと、さらに解答方式ごとに足切り点が設定されています。足切り点の詳細に関してはほかの記事で解説していますので詳細は省きますが、足切り点があるということは、苦手科目があると合格できないということになります。

また、社労士試験の特徴として、科目別合格がないという点も注目すべきポイントです。科目別合格がないということは、社労士試験を受験する場合は必ず8科目を受験し、さらにその8科目で足切り点をクリアしなければ合格できないということになります。

試験科目が多いというだけで、独学では勉強計画を考えるのが難しくなりますが、さらにその全科目で苦手を作らず、平均的に知識をつけていくのは簡単ではありません。

単純に社労士試験の難易度が高いというだけではなく、科目の数の多さ、そして足切り点の存在などが、より独学での挑戦を難しくしている理由といえるでしょう。

勉強期間が長くなりモチベーションの維持が難しい

社労士試験の独学で挑戦しようとすると、長い勉強期間が必要になります。

初学者の方が、独学で社労士試験に合格するために必要な勉強時間は、800~1,000時間と言われています。一般的な平日は仕事という社会人の方がこれだけの勉強時間を確保するために必要な期間を考えてみましょう。

仕事のある平日に毎日2時間勉強し、土日に5時間ずつ勉強をして1年間でおよそ1,000時間程度の勉強時間を確保できます。とはいえ、仕事をしている以上、残業の日もあるでしょうし、週末も友人や恋人と過ごす時間や、家族のための時間なども必要でしょう。そう考えると、上記の予定で勉強を進めても、1年間で合格するのは難しいということになります。

独学という勉強方法の場合、勉強期間が長くなるのは大きな問題です。勉強期間が長くなれば、勉強に対するモチベーションの維持が難しくなります。モチベーションが下がれば勉強効率は下がり、800~1,000時間という勉強時間では、合格を目指すのは難しくなります。

社労士試験のような難関試験に挑む場合は、どれだけ勉強期間を短くし、モチベーションを保ったまま受験できるかというのが大きなポイントとなります。この点を考えると独学という勉強方法で挑戦するのは難しいと言わざるを得ないでしょう。

独学では不安がある方は?

ここまで独学という勉強方法で社労士試験に挑戦することを前提にいろいろと解説をしてきました。

しかし最初に書いた通り、社労士試験は独学で合格するのはかなり難しい試験です。

独学で挑戦することに少しでも不安があるという方は、独学という勉強方法にこだわらず、いろいろな勉強方法を検討すべきでしょう。

予備校通学よりも通信講座がおすすめ

独学以外の勉強方法としては、予備校通学と通信講座受講が考えられます、社労士試験に挑戦するというのであれば、おすすめは通信講座の受講です。

予備校通学と通信講座受講を比較した場合、予備校通学にはいくつかのデメリットが考えられます。

まずは費用面。予備校の受講料は一般的に通信講座の受講料よりも高額であるという傾向があります。

さらに予備校のメリットである、授業をライブで受けることができるという点に関しては、上でも少し触れましたが、社会人の場合は享受できないケースも考えられます。

もうひとつは通学時間。予備校が近所にあるという方は問題ありませんが、多くの方は予備校までの通学時間が必要かと思います。通学時間は単なる移動時間であり、ハッキリ言ってしまえば無駄な時間です。毎日の生活の中で勉強時間の捻出が大変な社会人の方にとって、この通学時間は非常に無駄な時間ということになります。

通信講座であれば、まずは受講料が安めであり、通学時間は全く不要です。授業に関してもマイペースで受講できますので、仕事で残業した日や、どうしても外せない予定があった日などは、無理に受講する必要はありません。

特に社会人の方にとっては、独学同様マイペースで学べるのが通信講座のメリット。かつ、専門講師の講義動画や、オリジナルテキスト、効率的なカリキュラムが手に入るわけですから、独学以上に効率よく学べるのは間違いありません。

社労士試験を目指すのであれば、おすすめの勉強方法は通信講座の受講ということになります。

3つのセットから選べるフォーサイトの社労士講座

社労士試験対策を行っている通信講座は数多くありますが、なかでもおすすめはフォーサイトの社労士講座。

フォーサイトは高い合格実績に加え、理解しやすいオリジナルテキスト、効率的に学べるカリキュラム、社労士試験に精通した講師の講義動画に加え、eラーニング教材も充実しており、より短期間での合格を目指すことができます。

そんなフォーサイトの社労士講座には、受講生のレベルに合わせて選べる3つのバリューセットがあります。初学者向け、経験者向けなど、自分のレベルに合わせて選べますので、無駄なく、無理なく勉強を進められるでしょう。

まとめ

社労士試験は難関試験ではありますが、独学で合格した方もいる試験でもあります。

ただし、独学という勉強方法で合格を目指すのはかなりハードルの高い挑戦であり、決しておすすめできる勉強方法ではありません。

それでも独学で挑戦するという方は、テキスト選び、勉強スケジュール、モチベーション管理などに気を遣い、しっかりと勉強を進めていきましょう。

独学では自信がない、独学では不安という方も多いかと思います。そういった方は独学という勉強方法にこだわらず、通信講座の受講がおすすめとなります。

数ある通信講座の中では、見やすいオリジナルテキストや、使いやすいeラーニング教材などが充実し、さらに受講生に合わせた3つのバリューセットがあるフォーサイトがおすすめ。

自分に合ったセットを選び、無駄なく勉強を進め、できるだけ短期間での社労士試験合格を目指しましょう。

この記事の監修者は
小野賢一(おの けんいち)

「そうだったのか!」という驚きや嬉しさを積み重ねましょう
【出身】北海道
【経歴】横浜国立大学大学院国際社会科学府修了。社会保険労務士、日商簿記2級等の資格を保有
【趣味】楽器演奏
【受験歴】2022年社労士試験初回受験、合格
【講師歴】2023年よりフォーサイト社労士講座講師スタート
【座右の銘】昨日から学び、今日を生き、明日へ期待しよう
フォーサイト公式講師X 小野賢一@社労士専任講師

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