社労士試験概要 - 試験内容から科目別の対策方法まで解説

更新日:2024年8月16日

現状、漠然と「役に立つ資格を取りたい」とお考えの方には、「社労士資格の取得」がお勧めです。 働き方改革や年金問題に端を発した労働・社会保険分野への関心の高まりにより、2020年以降、社労士試験の受験者数は増加傾向にあります。

とりわけ最近では、深刻化する少子高齢化への対応策として、労働・社会保険分野であらゆる取り組みがなされ始めています。こうした時流に鑑みれば、専門知識を有する社労士の需要増はもはや必然ではないでしょうか。将来性は十分見込めますから、安心して社労士を目指しましょう!

このページでは、社労士試験への挑戦を検討中の皆さんに向けて、社労士の試験内容や配点、各科目の難易度や勉強方法について解説します。社労士合格への第一歩は、「敵を知ること」から。社労士の試験内容や取り組み方を正しく把握しましょう。

  • 社労士試験の受験に際しては受験資格が設けられており、「学歴」「実務経験」「厚生労働大臣の認めた国家資格合格」のうち、いずれかを満たしている必要があります。
  • 午前は選択式で10時30分から11時50分までの80分間、午後は択一式で13時20分から16時50分までの210分間となっています。
  • 社労士試験では科目ごとに時間の区切りがなく、自分自身で時間配分に留意する必要があります。
  • 配点から、「択一式を重視すべき」と考えられがちですが、合格基準点に鑑みれば、選択式の1問の重みに留意して臨むべしと言えます。
  • 社労士試験の選択式は、問題文の中の5つの空欄に当てはまる語句を、キーワード20個の語群から選択する出題形式です。
  • 社労士試験の択一式は五肢択一式となっており、設問に対する適切な解答を、5つの選択肢から選ばせる出題形式です。
  • 労働基準法は判例等を含めた深い知識が求められること、出題範囲が広いことから、社労士試験では比較的難易度の高い科目に位置づけられます。
  • 労働者災害補償保険法は「保険給付」を中心に、「適用関係」「時効」「通勤災害」の頻出分野については、基本的な内容で失点することのない様に理解を深める他、頻出の通則についてもおさえておけると安心です。
  • 雇用保険法は、社労士試験の試験範囲の中でも覚えるべき内容の多く、法改正が頻繁に行われるとあって、しっかり取り組んだ人とそうでない人との差が顕著に表れるテーマのひとつです。
  • 労務管理その他の労働に関する一般常識(以下「労一」)は「労働関係諸法令」「労働経済」「人事労務管理」の3分野から出題され、法令の知識の他、関連する統計、白書の概要もおさえておく必要があり、試験科目の中でも特に対策のしづらい科目と言えます。
  • 社一は労一同様、出題傾向に則した対策を心がけることで、確実に得点できる分野を増やしていくことが肝心です。
  • 健康保険法の対策のポイントとしては、「健康保険制度の全体像をイメージしながら全範囲の基本を習得すること」「“被保険者”“保険給付”“費用負担”のキーワードで内容を整理すること」で、一度の学習で完璧に理解しようとせずに反復学習によって理解を深めていく姿勢が肝心です。
  • 厚生年金保険法は、社労士試験の試験科目の中でも、労一・社一に次いで対策困難とされ、頭を悩ませる受験生は少なくありません。しかしながら、国民年金法との横断学習によって、効率良く制度理解を深めていくことができます。
  • 厚生年金保険法同様、年金科目というだけで苦手意識が抱かれがちですが、比較的素直な問題が多いため、基本を丁寧に習得することで高得点が狙える分野と言えます。
  • 近年、社労士試験は毎年4万人前後の受験生が挑戦し、合格率はおよそ6~7%で推移しています。
  • 例年の社労士試験では法改正 からの出題が見られるので、直前期には十分に対策をしておく必要があります。

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目次

社労士試験概要

社労士試験は、例年8月下旬に実施される、労働・社会保険関連の専門知識を問う国家試験です。受験に際しては受験資格が設けられており、「学歴」「実務経験」「厚生労働大臣の認めた国家資格合格」のうち、いずれかを満たしている必要があります。

各受験資格の詳細は、『社会保険労務士試験オフィシャルサイト』で確認しましょう。

受験資格と併せて注意すべきは、「試験地」についてです。社労士試験の会場は、47都道府県のすべてに設置されているわけではなく、出願時の試験地希望の申告に応じて受付順で決定されます。そのため、出願はなるべく早く行うのが良いでしょう。受験手数料は15,000円です。社労士試験の合格基準は、後述する通り、出題形式ごと(選択式・択一式)、各科目ごとに定められています。

合格のためにいくつもの基準を満たさなければならない点、年度によって合格基準点が変動する相対評価である点に社労士試験特有の難しさがあり、合格率は概ね6~7%前後の狭き門です。

社労士試験の試験内容に関して

これから社労士試験合格を目指す皆さんであれば、まずおさえるべきは「社労士試験とはどんな試験なのか」です。

例えば、各科目の概要を知り、それぞれの関連性を頭に入れておくことは、社労士の膨大な試験範囲を効率良く学習する上でのヒントとなるでしょう。また、選択式対策の出題の特徴を知ることで、受験生の大半にとってネックとなる選択式対策がぐんと進めやすくなるはずです。

社労士試験の試験内容を正しく理解しましょう。

社労士試験の時間割

社労士試験は、1日ががりの長丁場です。午前は選択式で10時30分から11時50分までの80分間、午後は択一式で13時20分から16時50分までの210分間となっています。

選択式と択一式、それぞれの出題形式については次項で解説しますが、科目ごとに合格基準点が設けられていることを考慮すれば、まずは選択式で手ごたえを得られることが肝心です。例年、選択式で大幅失点となった受験生の中には、午後の択一式を受けない方も珍しくありません。これまでの努力の結果が、「途中棄権」で終わってしまうのはとてももったいないですね。

昼過ぎから夕方にかけての択一式は、問題数の多さや選択肢を読み込んで思考する必要性に鑑みれば、かなり手ごわい試験となります。一般的に、人の集中力は90分が限界と言われますから、210分間を戦い抜くためには、相当の精神力と忍耐が求められるでしょう。

ちなみに、社労士試験では科目ごとに時間の区切りがなく、自分自身で時間配分に留意する必要があります。特に択一式では、日頃の試験対策の段階から、長時間の集中力育成や解答順・解答ペースを掴む訓練に、意識的に取り組む必要があります。

社労士試験の出題形式

社労士試験の出題形式には、選択式と択一式があります。それぞれの配点は、選択式で各問1点として1科目5点満点の40点満点、択一式で各問1点として1科目10点満点の合計70点満点となっています。

配点から、「択一式を重視すべき」と考えられがちですが、合格基準点に鑑みれば、選択式の1問の重みに留意して臨むべしと言えます。

選択問題

社労士試験の選択式は、問題文の中の5つの空欄に当てはまる語句を、キーワード20個の語群から選択する出題形式です。

「1科目あたり5問の出題なら楽勝」と思われるかもしれませんが、語群には混同しやすい語句が並び、設問に対する正確な知識が求められます。

また、テーマによっては重箱の隅をつつくようなポイントが問われることもありますが、問題文全体を精読し、空欄前後の文脈から判断できます。試験時間をしっかり活用し、最後まで諦めずに取り組む姿勢が肝心です。

択一式問題

社労士試験の択一式は五肢択一式となっており、設問に対する適切な解答を、5つの選択肢から選ばせる出題形式です。正しい選択肢を解答させる設問の他、誤りの選択肢を答えさせるものもあるため、まずは何が問われているかを把握することが先決となります。

また、それぞれの選択肢の文中にはいわゆる「ひっかけ」もあるため、注意深く読み込まなければなりません。試験時間は210分ですが、読み込まなければならない選択肢の数は350(1問あたり選択肢5つ×全70問)にも上るため、時間配分に留意する必要があります。

社労士試験の試験形式のポイント

試験本番で実力を発揮するためには、社労士試験ならではの試験形式を理解し、対応できるようにしておくことが不可欠です。

ここからは、社労士試験の試験形式についておさえておくべきポイントをさらに細かく解説します。

試験はすべてマークシート方式

まず、社労士試験の解答形式ですが、全問マークシート方式となっています。行政書士試験等で見られる記述式の出題がないため、「マークシート方式なら簡単なのでは?」と思う受験生も多いようですが、合格率7%であることに鑑みれば油断は禁物です。

社労士試験の過去問を見れば一目瞭然ですが、選択式でも択一式でも、条文に関わる正しい知識がなければ正答することはできません。また、特に択一式では、条文の知識を元に、実際の事例について思考させる出題もあり、マークシート方式といえども一筋縄ではいかないでしょう。

社労士試験対策上、単なる条文暗記に終始することなく、内容を正しく理解し、実例について条文の知識を応用させて考えることができるレベルにまで落とし込んでおく必要があります。

試験は1日がかりのハードな時間割

すでに「社労士試験の時間割」でも触れた通り、社労士試験本番は1日がかりの長丁場となり、長時間の集中が求められます。試験時間は午前中の選択式80分、そして午後の択一式210分ということで、実際に模試等を受験するようになれば、誰しも社労士試験のハードさを身をもって実感することでしょう。

社労士試験では、原則として途中退出が認められません。試験中にトイレに行くことは可能ですが、時間が決まっていること、試験監督を伴って行かなければならないこと、複数人がトイレ退出を希望する際には案内があるまで待たなければならないこと等の苦労があります。

ただでさえ真夏の試験本番という大変さがありますが、途中退出不可という点を考慮しても、体調管理を万全にして臨めるようにしなければなりません。

社労士試験の出題科目と配点

社労士試験では、各科目について選択式と択一式でまんべんなく出題され、それぞれの配点は表の通りです。

社労士試験の出題科目と配点 参考:社会保険労務士試験オフィシャルサイト「社会保険労務士試験の概要」
試験科目 選択式 択一式
労働基準法及び労働安全衛生法 1問/5点 10問/10点
労働者災害補償保険法 1問/5点 10問/10点
雇用保険法 1問/5点 10問/10点
労務管理その他の労働に関する一般常識 1問/5点 10問/10点
社会保険に関する一般常識 1問/5点
健康保険法 1問/5点 10問/10点
厚生年金保険法 1問/5点 10問/10点
国民年金法 1問/5点 10問/10点
合計 8問/40点 70問/70点

社労士試験の出題科目では、異なる科目館で、類似する制度や用語が多く登場するという特徴があります。

そのため、各科目の対策に入る前に、社労士試験の各試験科目の概要を掴むことで、頭の中で知識を整理するための「引き出し」を作っておくことが重要です。 まずは、各科目を正しく理解しましょう。

労働基準法

労働基準法は、労働者保護を目的に、労働時間や休日、賃金支払い等の労働条件の最低基準を定めた法律です。社労士試験で出題されるすべての労働関係法令の基本となる科目であるため、条文理解はもちろん、主だった判例や通達についても正しく理解しておく必要があります。

労働基準法は、選択式・択一式共に、労働安全衛生法との組み合わせで出題されます。具体的には、選択式の5つの空欄のうち3つ、択一式の10問のうち7問が、例年労働基準法からの出題となっています。

身近なテーマが多いため、受験生にとっては取り組みやすい労働基準法ですが、判例等を含めた深い知識が求められること、出題範囲が広いことから、社労士試験では比較的難易度の高い科目に位置づけられます。

労働安全衛生法

労働安全衛生法は、労働条件の中でも「安全」「衛生」の分野に特化した基準を定める法律です。社労士試験では、労働基準法との組み合わせで、選択式の5つの空欄のうち2つ、択一式の10問のうち3問が、労働安全衛生法からの出題です。

性質上、専門的な用語や細かな内容が多く登場するため、「労働安全衛生法はなかなか覚えられない」と頭を悩ませる受験生も少なくありませんが、頻出のテーマに的を絞った対策が功を奏します。例年、「総則」「安全衛生管理体制」「健康の保持増進のための措置」はよく狙われますので、基本事項を中心に知識を固めておきましょう。

労働者災害補償保険法

労働者災害補償保険法は、業務起因性のある病気やケガを補償する労災保険について定めた法律です。社労士試験では、選択式で1問(空欄5つ)、択一式では労働保険徴収法とのセットで10問中7問が労働者災害補償保険法からの出題です。

労働者災害補償保険法は、社労士試験の各出題科目の中でも、対策しやすい科目とされます。その理由としては、「法改正が少ないこと」「頻出テーマが決まっており、出題が安定していること」等が挙げられます。

「保険給付」を中心に、「適用関係」「時効」「通勤災害」の頻出分野については、基本的な内容で失点することのない様に理解を深める他、頻出の通則についてもおさえておけると安心です。

雇用保険法

労働者の雇用の安定を確保するための諸制度について規定したのが、雇用保険法です。離職後の求職活動期間に受け取ることのできる失業給付や、育児期の労働者の所得補償となる育児休業給付金等は比較的なじみのある制度が出題範囲に含まれますが、給付の種類の多さやそれぞれの算定方法の理解がネックとなります。

社労士試験の試験範囲の中でも覚えるべき内容の多く、法改正が頻繁に行われるとあって、しっかり取り組んだ人とそうでない人との差が顕著に表れるテーマのひとつです。

社労士試験では、選択式で1問(空欄5つ)、択一式では労働保険徴収法とのセットで10問中7問が雇用保険法からの出題です。頻出の「総則」「失業等給付」を中心に、各制度を丁寧に整理しながら理解を深めましょう。

労務管理その他の労働に関する一般常識

一般常識は、その出題範囲の広さから、社労士受験生が特に苦手としがちな科目です。労務管理その他の労働に関する一般常識(以下「労一」)は「労働関係諸法令」「労働経済」「人事労務管理」の3分野から出題され、法令の知識の他、関連する統計、白書の概要もおさえておく必要があり、試験科目の中でも特に対策のしづらい科目と言えます。

とはいえ、例年の出題傾向を踏まえて対策することで、おさえるべきポイントを正しくおさえることも可能です。労一は、選択式で1問(空欄5つ)、択一式では5問出題されます。

合格基準点未達が懸念される科目ではありますが、選択式と択一式のいずれにおいても例年、合格基準点の補正が行われています。

社会保険に関する一般常識

社会保険に関する一般常識(以下「社一」)もまた、労一同様、通常の「一般知識」の概念を超える幅広い出題範囲がネックとなる科目です。国民健康保険法や介護保険法、児童手当法、確定給付企業年金法、確定拠出年金法等の健康保険及び年金関連法令の他、「厚生労働白書」からの出題もあり、対策は一筋縄ではいきません。

労一同様、出題傾向に則した対策を心がけることで、確実に得点できる分野を増やしていくことが肝心です。また、近年、政府が特に力を入れている分野に関わるテーマをおさえた対策も効果的です。例えば、年金や子育て等はまさに旬のテーマですから、今後の試験で狙われる可能性があります。

社一の出題は、選択式で1問(空欄5つ)、択一式で5問となっています。合格基準点が補正される可能性が高い科目なので、試験本番であまり手ごたえがなくても、あまり深刻になり過ぎずに他科目の解答に取り掛かるのが得策です。

健康保険法

健康保険法は、文字通り、健康保険制度に関わる保険給付等を規定した法律です。社会保険分野では比較的なじみ深いテーマですが、社労士試験の試験科目として考えるとなかなかの強敵で、苦手意識を持つ受験生も少なくありません。

なぜかというと、健康保険法の幅広い出題範囲からまんべんなく出題があるため傾向対策が難しい上に、設問自体も難化傾向にあるためです。

対策のポイントとしては、「健康保険制度の全体像をイメージしながら全範囲の基本を習得すること」「“被保険者”“保険給付”“費用負担”のキーワードで内容を整理すること」で、一度の学習で完璧に理解しようとせずに反復学習によって理解を深めていく姿勢が肝心です。

健康保険法の出題は、選択式で1問(空欄5つ)、択一式で10問となっており、選択式ではかなりの頻度で合格基準点の補正が実施されています。

厚生年金保険法

厚生年金保険法は、いわゆる「年金の2階部分」について規定した法律です。国民のすべてが加入する国民年金を1階部分として、これに上乗せして企業等で働く労働者が加入するのが厚生年金です。

厚生年金保険法は、社労士試験の試験科目の中でも、労一・社一に次いで対策困難とされ、「膨大な出題範囲」と「経過措置による制度の複雑さ」に頭を悩ませる受験生は少なくありません。しかしながら、国民年金法との横断学習によって、効率良く制度理解を深めていくことができます。

年金制度特有の「経過措置」については、措置の内容と併せて、その背景の理解にも努めるとスムーズです。厚生年金保険法の出題は、選択式で1問(空欄5つ)、択一式で10問です。択一式では、頻出テーマで確実に得点し、6点確保を目指したいところです。

国民年金法

国民年金法は、20歳以上の国民が例外なく加入する年金制度を規定した法律です。厚生年金保険法同様、年金科目というだけで苦手意識が抱かれがちですが、比較的素直な問題が多いため、基本を丁寧に習得することで高得点が狙える分野と言えます。

「難しそう」という先入観を持たずに、学習を進めましょう。対策の基本は、頻出のキーワードを中心に理解を深めていくことです。基本給付となる「老齢基礎年金」「障害基礎年金」「遺族基礎年金」の他、「被保険者」「届出等」「第1号被保険者に対する独自給付」「保険料」、「保険料免除」等が例年狙われやすいテーマです。

横断学習に取り組みながら、厚生年金保険法との知識の混同に気を付けましょう。国民年金法からは、選択式で1問(空欄5つ)、択一式で10問が出題されます。

社労士試験の合格基準点

社労士試験では、選択式と択一式のいずれにも、科目ごと・総得点について合格基準点が設けられており、合格するためには各合格基準点を満たさなければなりません。つまり、一度の試験でいずれの合格基準をも満たさなければならない点に、社労士試験合格の難しさがあります。

さらに、相対評価によって合格・不合格が決まる点も、社労士試験の特徴です。各回の合格点は以下の目安を基準としつつ、受験生の得点分布や平均点に連動する形で毎年変動します。

【選択式試験:総得点40点中28点以上、かつ各科目5点中3点以上】
【択一式試験:総得点70点中49点以上、かつ各科目10点中4点以上】

ご参考までに、2019年度から2023年度に実施された社労士試験の選択式・択一式・総得点の合格基準点を確認しましょう。

近5年間の合格基準点
年度 選択式 択一式 備考
総得点 科目別 総得点 科目別
2019年度 26点 3点 43点 4点 社会保険に関する一般常識の選択式は2点
2020年度 25点 3点 44点 4点 労務管理その他の労働に関する一般常識・社会保険に関する一般常識・健康保険法の選択式は2点
2021年度 24点 3点 45点 4点 労務管理その他の労働に関する一般常識の選択式は1点
国民年金法の選択式は2点
2022年度 27点 3点 44点 4点
2023年度 26点 3点 45点 4点

社労士試験における各科目の合格基準点の補正、いわゆる「救済」についてはしばしばブラックボックスと言われていますが、実施の有無に関しては以下の通り一応の基準があります。

○救済は、各科目について原則的な合格基準点を適用した場合、50%以上の受験者が不合格となる場合に行われる。
○ただし、例外的に、以下の場合には救済は行わない。
・救済を行うことで70%以上の受験生が合格基準点を満たす場合
・補正の結果、合格基準点が選択式で0点、択一式で2点以下となる場合

参考:厚生労働省「社会保険労務士試験の合格基準の考え方について」

救済は、特に選択式でかなりの頻度で実施されており、科目ごとでは「社一」「労一」「健康保険」でよく見られます。ただし、2022年度、2023年度に関しては、選択式・択一式ともに救済なしとなっている点に注意が必要です。

こうした傾向を踏まえれば、今後の社労士試験では救済が実施されにくい出題となっていくことが予想されます。これから社労士試験に挑戦する受験生であれば、救済を期待せずとも、各科目の原則的な合格基準点である「選択式で3点」「択一式で4点」「総得点で70%」を満たせるような取り組みを講じていくのが得策です。

すべての科目についてまんべんなく知識を習得し、応用力を高めてまいりましょう。

社労士試験の合格率・難易度

近年、社労士試験は毎年4万人前後の受験生が挑戦し、合格率はおよそ6~7%で推移しています。しばしば社労士資格との比較対象として挙げられる行政書士試験で合格率10%前後ですから、社労士試験の難易度の高さが伺えるのではないでしょうか。

社労士試験の難易度の背景として、「試験科目の多さ(試験範囲の広さ)」「試験形式ごと、科目ごと等、細かく設定された合格基準点」があります。合格基準点については、仮に特定の試験形式、もしくは科目で達成したとしても翌年以降の社労士試験に繰り越すことができませんから、一度の試験ですべての合格基準を満たす必要があります。

社労士試験合格へのポイント

社労士試験の出題形式や科目、合格基準点等を踏まえれば、合格に向けて、幅広い試験範囲についてまんべんなく知識を深めることが不可欠です。試験対策では、以下の2点を意識した取り組みがポイントとなります。

択一式の対策をして理解を深める

社労士試験の出題形式は選択式と択一式に分かれますが、いずれの形式においても択一式対策を主軸として、丁寧に知識を習得する姿勢が肝心です。選択式では、例年、各科目幅広い出題範囲の中から特定のテーマが抽出され、5箇所の空欄補充が求められます。

そのため、「どこが狙われるか分からないから対策が難しい」と感じる受験生も少なくありませんが、学習の基本はあくまで「各科目、偏りのない知識の習得」です。選択式への対応ということで、どうしても狙われそうなテーマやキーワードの抽出にばかり気をとられがちですが、このような取り組みは実際の試験に活かされにくいと言えます。

一見すると遠回りのようにも感じられますが、択一式対策を丁寧に講じ、正しい知識をもってすべての選択肢の正誤を検討できるようになっておくことが、選択式対策にもつながります。

出題科目のすべての範囲について理解を深めることを大前提として、旬のテーマ・キーワードを意識するといったスタンスが得策です。

苦手科目を作らない

また、社労士試験の合格基準を考慮すれば、すべての科目でまんべんなく得点しなければならないことは明らかです。科目ごとに合格基準点が設定されているので、苦手科目で大幅に失点してしまうと、それをカバーする術がありません。

税理士試験のように、科目合格を積み重ねながら何年もかけて合格を目指すことができませんから、受験に際して苦手科目だけに注力することも不可能です。よって、合格を目指すためには、「苦手科目を作らない」ことが大前提となります。

社労士試験対策のポイントは、各科目の頻出テーマを中心に、偏りなく基本的な知識を正しく習得しておくことです。苦手科目の合格基準点割れは何としても防いだ上で、得意科目で得点を伸ばすイメージで取り組みましょう。

社労士試験のスケジュールと申し込み方法

社労士試験は、毎年8月の第4日曜日に実施されます。これに先立ち、4月中旬に試験の詳細が公示されますので、参考:『社会保険労務士試験オフィシャルサイト』を確認するようにしましょう。

合格発表は、2021年度までは11月に行われていましたが、2022年度以降は10月上旬に変更となっています。受験後には「合格点を確保できているか」「救済はあるのか」等で気を揉むものですが、こうした期間が短縮されたことは受験生にとって朗報ではないでしょうか。

社労士試験の受験申込は、2024年度より、原則としてインターネットにて行うこととなっています。『社会保険労務士試験オフィシャルサイト』でマイページ登録後、必要な情報の入力、顔写真等の添付書類のアップロードを行い、受験料の支払いを済ませれば申込完了です。

ただし、当面の間は、従来通り郵送による申し込みも可能となっています。この場合、試験センターに受験案内を請求し、受験申込書の記入、必要書類を添付の上、郵便局窓口にて受験手数料を支払い、簡易書留で郵送する流れとなります。受験申込期間は毎年4月中旬から5月末日までとなっています。

受験資格確認のための書類等、準備に時間を要する場合がありますので、受験を迷われている場合でも準備だけは余裕をもって進めましょう。

社労士最短合格なら通信講座がベスト

難易度の高い社労士試験で合格を勝ち取るためには、通信講座の活用がお勧めです。 通信教育を活用することで、社労士試験のプロによる体系的なカリキュラムで効率良く学ぶことができます。

教材が最新の試験傾向に対応しているので、頻出テーマや法改正の対策はもちろん、統計・白書対策も万全です。カリキュラムには模擬試験や過去問対策が組み込まれていますから、インプットだけでなく本番形式での問題演習にも取り組むことができます。

受験生の中には、「通信より通学派」の方も多いかもしれませんが、通信講座なら、仕事や家庭の都合に合わせて勉強を進められます。また、受講費用や交通費を考慮すると、通学よりもコストを抑えられる点も、通信講座ならではのメリットと言えます。

通信講座というと、ひと昔前までは「一人で孤独に取り組むもの」といったイメージがありましたが、最近では通学講座と同レベルのサポート体制を完備する講座も少なくありません。自宅にいても、質問対応等を活用しながら、安心して学習に取り組むことができます。

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社労士試験に関する良くある質問

社労士試験には科目免除制度はありますか?

社労士試験には、特定の要件を満たすことで試験科目の一部が免除される「科目免除制度」があります。この制度を利用することで、負担を軽減し、効率的に試験に合格することが可能です。

科目免除の要件については「社会保険労務士試験オフィシャルサイト」に細かく規定されていますので、ご確認ください。いずれの要件でも、労務管理の実務経験を積んできた人を対象としていることが分かります。

参考:全国社会保険労務士会連合会試験センター「社会保険労務士試験オフィシャルサイト_免除資格者」

このページでも繰り返しご紹介していますが、社労士試験では、他資格でよくある「科目合格制度」がありません。つまり、実務経験等による科目免除の対象者以外は、原則として試験範囲の全科目の合格基準を一度の試験で満たさなければならない点に注意が必要です。

社労士試験では法改正による影響は有りますか?

社労士試験が法律の試験である以上、毎年の法改正の影響は免れられません。試験年度の4月上旬時点までに施行された改正が試験範囲となっており、具体的な施行時期に関しては受験案内に明記されます。

例年の社労士試験では法改正からの出題が見られるので、直前期には十分に対策をしておく必要があります。

ただし、フォーサイトを始めとする社労士講座のテキストや講義には、すでに試験範囲に含まれる法改正の内容が盛り込まれています。よって、特別な法改正対策に取り組まなくても、しっかり必要な改正項目をおさえることが可能です。

法改正対応の観点から、試験年度に合った、最新の社労士講座で学ぶのが得策です。

社労士試験に一発合格する確率は?

社労士試験は合格率6~7%の狭き門ですから、一発合格できる受験生というのはほんの一握りです。平均的な社労士試験の受験回数は3~4回と言われていますから、ある程度腰を据えて合格を目指す必要がありそうです。

ただし、社労士試験は、受験回数が多くなればそれだけ合格の可能性が高まるわけではありません。最短ルートでの合格を目指すなら、学習の質や学習効率を高める取り組みが不可欠です。

独学は得策ではなく、専門の社労士対策講座の活用がお勧めであると言えます。社労士講座選びの際には、カリキュラムや教材の内容はもちろん、合格率等の結果にも着目することで、間違いのない受講選択ができそうですね。

まとめ

労働・社会保険関係法令についての幅広い知識が問われる社労士試験は、合格率6~7%の難関国家資格試験です。合格を目指す上では、各科目の概要を正しく理解し、例年の出題傾向や頻出テーマ、対策のポイントを踏まえた対策に取り組むことが何よりも大切です。

社労士試験の難しさは、合格基準点が出題形式ごと・科目ごとに細かく設定されている点、科目合格制度がないため一度の試験ですべての合格基準を満たす必要がある点にあります。合否は相対評価によって決まるため毎年基準点が変動しますが、それぞれの科目について、厚生労働省が示す原則的な合格基準点である「選択式で3点」「択一式で4点」「総得点で70%」に目標設定をするのが良いでしょう。

これを達成するためには、各科目の頻出テーマを中心に、偏りなく基本的な知識を正しく習得することが求められます。質が高く、効率の良い学習を実現するためには、独学は得策ではありません。社労士試験対策専門の通信講座を活用し、忙しい毎日の中でも無理なく対策を進めるのが得策です。

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この記事の監修者は
小野賢一(おの けんいち)

「そうだったのか!」という驚きや嬉しさを積み重ねましょう
【出身】北海道
【経歴】横浜国立大学大学院国際社会科学府修了。社会保険労務士、日商簿記2級等の資格を保有
【趣味】楽器演奏
【受験歴】2022年社労士試験初回受験、合格
【講師歴】2023年よりフォーサイト社労士講座講師スタート
【座右の銘】昨日から学び、今日を生き、明日へ期待しよう
フォーサイト公式講師X 小野賢一@社労士専任講師

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