建物区分所有法とは?|わかりやすく宅建・宅地建物取引士の解説
更新日:2019年7月29日
建物区分所有法とは
建物区分所有法とは、いわゆる分譲マンションに関する法律です。マンションで生活する場合、戸建住宅とは違う点が多々あります。まずは建物区分所有法の考え方からみていきましょう。
考え方
戸建住宅の場合、1人で建物を使用しています。
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それゆえ、原則他人のことは考えず自由に建物全体を使用できます。
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しかし、マンションのような大きな建物を区分して所有している場合には、エレベーターや敷地を共同で使用するため、他の住民を無視して生活することはできません。
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そこで、みんなが気持ちよく生活できるように、決まりを設けました。
これが建物区分所有法です。
このように、建物区分所有法の適用がある点で、マンションで生活する場合は、戸建住宅の場合と異なります。
建物区分所有法の全体像
- マンションは(a)建物(専有部分と共用部分)、(b)敷地、(c)敷地利用権から構成されます。そこで、まず、これはどのような内容で、どのように取り扱われるかが問題となります。
- 次に、マンションでみんなが気持ちよく生活するためには、
・みんなが集まって(集会)
・一定の決まり(規約)を作り
・全員がこれに従うことが必要です。また、
・決まりに違反した者に一定の措置を行う
ことが必要です。さらに、
・日常、マンションを管理する
ことも必要となります。そこで、この内容が問題となります。
- さらに、マンションが老朽化した場合、これを修理する必要があります。そこで、これをどのようになしうるかが問題となります。
- 最後に、宅建試験ではよく数字を変えて出題されますので、各数字をまとめることが必要です。
用語の定義
区分所有権と区分所有者の違い
例えば、マンションの101号室を辻さんが所有している場合、辻さんの101号室の所有権を「区分所有権」、辻さん(マンション101号室の所有者)を「区分所有者」と言います。
区分建物と区分所有建物の違い
区分所有建物とは、いわゆる「マンション」のことを言います。
一方で区分建物とは「マンションの中の専用部分」を言います。
例えば、辻さんが「スカイマンション」の「101号室」を所有していたとします。すると、区分所有建物は「スカイマンション」、区分建物は「101号室」ということになります。
通常、区分建物と区分所有建物はこのような使われ方をしますが、法律において明確な定義がなされているわけではありません。
建物区分所有法に関する過去問
問題
建物の区分所有等に関する法律に関する次の記述のうち、誤っているものはどれか。
- 区分所有者の承諾を得て専有部分を占有する者は、会議の目的たる事項につき利害関係を有する場合には、集会に出席して議決権を行使することができる。
- 区分所有者の請求によって管理者が集会を招集した際、規約に別段の定めがある場合及び別段の決議をした場合を除いて、管理者が集会の議長となる。
- 管理者は、集会において、毎年一回一定の時期に、その事務に関する報告をしなければならない。
- 一部共用部分は、区分所有者全員の共有に属するのではなく、これを共用すべき区分所有者の共有に属する。
平成25年度宅地建物取引士資格試験 問13
解説
- 誤り。
区分所有者の承諾を得て専有部分を占有する者は、会議の目的たる事項につき利害関係を有する場合には、集会に出席して意見を述べることはできますが、議決権を行使することはできません(区分所有法第44条第1項)。 - 正しい。
集会においては、規約に別段の定めがある場合及び別段の決議をした場合を除いて、集会の議長には、その集会を招集したのが、管理者なら管理者、区分所有者なら区分所有者の1人が議長になります(同法第41条)。この問題では、「区分所有者の請求によって管理者が集会を招集」していますので、管理者が集会の議長になります。 - 正しい。
管理者は、集会において、毎年1 回一定の時期に、その事務に関する報告をしなければなりません(同法第43条)。 - 正しい。
共用部分は、区分所有者全員の共有に属します。但し、一部共用部分は、これを共用すべき区分所有者の共有に属します(同法第11条第1項)。
建物区分所有法に関するよくある質問
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区分所有者の定数と議決権の違いがわかりません。
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区分所有者の定数と、議決権数の定義について、たとえば、101号室、102号室、201号室、202号室という全4室のマンションで、101と102はAさん1人で所有、201はBさん、202はCさんが所有している場合、区分所有者数はいわゆる頭数なので、ABCの3人となります。一方、議決権数ですが、1住戸につき1議決権がある場合、議決権数は4つとなります。
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区分所有法によって決められるマンションとは、分譲マンションですか?賃貸マンションですか?両方ですか?
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区分所有法は分譲マンションを対象としています。
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区分所有法33条2頁の正当な理由がある場合を除くとは具体的にどういう事でしょうか?
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規約の閲覧を拒むことができる正当事由につきましては、たとえば、規約を閲覧させることが、人命の安全に関わるものであったりすることが該当します。
窪田義幸(くぼた よしゆき)
″栄光を掴む″ための講義、″強い意欲″を持ち続けるための講義をめざします
【出身】愛知県
【経歴】立命館大学文学部卒。宅建・マンション管理士・管理業務主任者・賃貸不動産経営管理士。
【趣味】神社仏閣巡り
【受験歴】1999年宅建試験受験、合格
【講師歴】2001年よりフォーサイト宅建講座講師スタート
【刊行書籍】3ヵ月で宅建 本当は教えたくない究極の宅建合格メソッド (最短合格シリーズ)
【座右の銘】雨垂れ石を穿つ
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