債務不履行とは?|わかりやすく宅建・宅地建物取引士の解説

債務不履行とは?|わかりやすく宅建・宅地建物取引士の解説

債務不履行とは
目次

債務不履行とは

債務不履行とは、債務が履行されないことを言います。

債務不履行による損害賠償は、民法に規定されており、義務を果たさないことで損害賠償が発生します。例を使い、詳しく解説していきます。

例)恵子さんは、近藤不動産から家を買いましたが、約束の期日になっても引渡しをしてもらえないので、やむを得ずマンションを借りて住んでいます。恵子さんがマンションを借りなければならなくなったのは、近藤不動産が義務を果たさなかったため(=債務不履行)ですので、恵子さんはマンション代を近藤不動産に請求することができます。

要件

  1. 債務が有効に成立していて、弁済期にあるにも関わらず、債務の本旨に従った給付をしないことが必要です
  2. それが債務者の責に帰すべき事由(故意・過失)によることが必要です
  3. 損害が発生していることが必要です

効果

原則:実際に生じた損害について損害請求できます

例外:

  1. 損害賠償額の予定に基づいて請求できます。これは、実際に損害が生じた場合、いちいち実損額を計算するのは大変なので、当事者間で予め額を決めておくことを言います。
  2. 損害賠償額の予定は契約と同時にする必要はなく、また、金銭以外のものをもってすることもできます。
  3. さらに、当事者間でその賠償額で良いと言っているので、裁判所はこの額を増減することはできません。
  4. 違約金は損害賠償額の予定と推定されます。
効果

履行遅滞とは

履行が遅れることを言います。履行遅滞の場合、いつから遅れたと判断するのかが重要です。

  1. 確定期限債務の場合
    例)8月11日に借金を返す取り決めをしていた
    →期限到来時=8/12から履行遅滞となります。
  2. 不確定期限債務
    例)父が死亡したときに土地建物を渡す約束
    →期限到来を知ったとき=父の死亡を知ったときから履行遅滞となります。
  3. 期限の定めのない債務
    例)お金の返済は、貸した側がお金に困った時でいいという約束で借金をした場合
    →請求されたとき=貸した側が「返して」と言ってきたときから履行遅滞となります。
履行遅滞とは

履行とは

債務不能とは

履行ができなくなることを言います。

例)売主の過失で、目的物の建物が滅失した場合、建物を引き渡すことができませんので売主は債務不能となります。

ただし、金銭債務では履行不能は認められません。つまり、代金の支払いや借金の返済においては、どんな事情があろうともきちんと返しましょうということです。

債務不能とは

債務不履行による契約解除や損害賠償請求

契約書面である37条書面の相対的記載事項には、「損害賠償額の予定または違約金に関する定めがあれば、その内容」という事項があります。

ここでいう「損害賠償の予定」とは、契約の当事者のいずれか一方の債務不履行によって契約の解除がなされると、解除された者が被害を立証することなく、契約の際に定めた損害賠償を受け取れるように、最初に決めてしまうことをいいます。

また「違約金」とは、債務不履行があった場合、制裁の意味で没収する金銭をいいます。

債務不履行による契約解除や損害賠償請求

債務不履行による損害賠償請求権の消滅時効

債務不履行による損害賠償請求権の消滅時効は、本来の債務について請求できる時から起算して、10年となります。以下他の債権についての起算点と消滅時効までの時間をまとめましたので参考にしてください。

債権の内容 起算点 消滅時効までの時間
確定期限債務 期限の到来 10年
不確定期限債務 期限の到来
期限の定めのない債務 債権成立時
停止条件付債務 条件成就時
債務不履行による損害賠償権 本来の債務について履行請求できる時
契約解除による原状回復請求権 契約解除時
返済期限の定めのない金銭債務 債権成立後、相当期間経過後
占有回収の訴え 占有を奪われた時 1年
遺留分減殺請求権 相続が始まったことと、自分の遺留分を侵害していることが起きていることの2つを知った時
不法行為に基づく損害賠償債務 損害および加害者を知った時 3年
不法行為が行われた時 20年

債務不履行と不法行為の違い

債務不履行と不法行為は、両方要件を満たす場合もあり、その場合は、被害者が自身に有利な一方または両方を選択することができます。

債務不履行の例としては、上記で見てきたような、支払いが終わっているにも関わらず家の引渡しをしないことや、借金を返さないことなどがあります。家の引渡しや借金は、よほど悪質な例でない限り、不法行為になることはありません。不法行為は、駅のホームで歩きスマホをして、向かいから来る人にぶつかり、相手が線路へ落ちるといったケースや交通事故を起こし、相手方にケガをさせる場合などがあります。

それぞれの違いを表にまとめましたので、ご覧ください。

債務不履行 不法行為
契約の有無 原則として契約が必要 契約があってもなくても成立する場合がある
立証責任 債権者が債務不履行の事実を立証する 被害者側が加害者の故意・過失を立証する責任がある
時効期間 ・本来の債務を請求できるときから10年
・営利企業などが債権者となっている場合は5年
・損害と加害者を知ってから3年
・不法行為の発生から20年

債務不履行に関する過去問

平成24年度 第8問

債務不履行に基づく損害賠償請求権に関する次の記述のうち、民法の規定及び判例によれば、誤っているものはどれか。

  1. AがBと契約を締結する前に、信義則上の説明義務に違反して契約締結の判断に重要な影響を与える情報をBに提供しなかった場合、Bが契約を締結したことにより被った損害につき、Aは、不法行為による賠償責任を負うことはあっても、債務不履行による賠償責任を負うことはない。
  2. AB間の利息付金銭消費貸借契約において、利率に関する定めがない場合、借主Bが債務不履行に陥ったことによりAがBに対して請求することができる遅延損害金は、年5分の利率により算出する。
  3. AB間でB所有の甲不動産の売買契約を締結した後、Bが甲不動産をCに二重譲渡してCが登記を具備した場合、AはBに対して債務不履行に基づく損害賠償請求をすることができる。
  4. AB間の金銭消費貸借契約において、借主Bは当該契約に基づく金銭の返済をCからBに支払われる売掛代金で予定していたが、その入金がなかった(Bの責めに帰すべき事由はない。)ため、返済期限が経過してしまった場合、Bは債務不履行には陥らず、Aに対して遅延損害金の支払義務を負わない。

解説:

1.○
契約を締結する前の話ですので、債務不履行には当たりません。債務不履行とは、契約を締結した後で発生することに注意しましょう。この場合、債務不履行ではなく、不法行為による賠償責任を負う可能性があります。
2.○
金銭債務の利息は、年5分までと民法第404条に規定されていますので、正しい記述となります。
3.○
二重譲渡の場合は、どちらが先に登記をしたかが問題となります。問題の場合、Cが登記を済ませているので、Aは甲不動産の所有者となることはできません。
したがって、BはAに甲不動産を引き渡すことはできなくなり、Bの債務不履行が成立します。よって、AはBに債務不履行に基づく損害賠償請求をすることができるようになります。
4.×
金銭債務の債務不履行は、どんな事情があろうとも、返済しなければなりません。
お金を返さないことに言い訳は通用しないということですね。よって問題文は誤りとなます。

債務不履行に関するよくある質問

転貸人の債務不履行により契約解除したい場合は、どのような展開になりますか?

転貸人の債務不履行により契約解除したい場合は、賃貸人が転貸人に対して催告すれば良く、転借人に対して通知をする必要や賃料を支払う機会を与える必要もありません。

総合問題等の混在した問題の時に、「危険負担」に当たるのか、「瑕疵担保責任」「債務不履行」等に当たるのか今一つ見分け方が分からず、混乱しております。

たとえば、契約を結んだあと、家の引渡し前に、カミナリで家が滅失してしまった場合、売主(債務者)の落ち度がなく家を引き渡せなくなった場合、売主の引渡義務は消滅しますが、買主は代金を支払わなくてはなりません。これについては、いろいろな考えがありますが、売買契約の結果として、所有権は買主に移っていますので、買主が危険を負担するのが公平だという考えに基づきます。

危険負担の問題か、債務不履行の問題化の区別は、不能の時期と債務者に落ち度があるかないかがポイントになります。

なお、不能とは、売った家が燃えてしまって引き渡すことができなくなった状態をいいます。不能が、契約締結前で、

全部滅失なら「無効」
一部滅失なら「担保責任」

不能が、契約締結後で、

債務者に落ち度なしなら「危険負担」
債務者に落ち度ありなら「債務不履行」 
となります。

手付による解除と債務不履行による解除の違いはどのようなものになるでしょうか?解除時の手続き等も含め具体例などあれば併せてご教示下さい。

手付による解除は、簡単に言えば特に理由がなくても好き勝手に、契約を解除できるものとなります。

なお、手付解除の場合、損害賠償の請求はできません。一方、債務不履行による解除は、文言通り相手方に債務不履行(たとえば、物件を引き渡してくれない。代金を支払ってくれない。など)があった場合に解除を行います。

そして、契約解除を行っても損害が発生している場合には、損害賠償を請求できます。