詐術とは?|わかりやすく宅建・宅地建物取引士の解説

詐術とは?|わかりやすく宅建・宅地建物取引士の解説

詐術とは
目次

詐術とは

詐術とは、簡単に言うと「嘘をつく」ことです。民法上では嘘をつくことを詐術と表現します。詐術は英語では「falsification」と表記します。「falsification」は詐術の他に「改ざん」や「偽物」といった意味があります。宅建の試験においては、制限行為能力者が詐術を用いた場合の論点がよく出題されます。

詐術とは

制限行為能力者が詐術を用いた場合

①未成年者
②成年被後見人
③被保佐人
④被補助人

の制限行為能力者が詐術を用いた場合、その行為は取り消すことができなくなります。制限行為能力者とは保護に値する人を言いますが、嘘をついて行った行為までフォローしてあげる必要はないだろうというのが、法の解釈です。

例1)19歳の美咲さんは、成人式の前に二重の整形手術を行おうと考えました。しかし、手術には親の同意書が必要だったため、20歳であると偽って、整形手術を行いました。この場合美咲さんやその親は、手術を取り消すことができません。

例2)上記の例で、美咲さんが親(法定代理人)の同意を得たとして、自分で同意書を書いて提出した場合も、詐術的行為とされます。

制限行為能力者が詐術を用いた場合

消極的な詐術

上記の例のように、積極的に嘘を言う場合ではなく、未成年であることを黙っていた場合は詐術にあたるのでしょうか。

判例によると、単に黙っていただけでは詐術には該当しないとしています。しかし、未成年(制限行為能力者)であることを黙っていることが、他の言動と相まって相手方の誤解を誘発したり強めたりした場合には詐術に該当し、取り消すことはできないとしています。

例)19歳の美咲さんは時給が良いので、お酒を提供する店で夜アルバイトをすることにしました。しかしそのお店は20歳からしか働くことはできません。大人びた容姿の美咲さんは、面接の際特に年齢を確認されませんでした。その後の何気ない会話では「成人式の時には振袖を着た」や「わたしが20歳の頃は○○だった」などの発言を繰り返しました。

それらの発言が雇い主の誤解を強めたものとして、美咲さんは年齢を詐称したことに該当します。

制限行為能力者が詐術を用いた場合

詐術に関する過去問

問題

行為能力に関する次の記述のうち、民法の規定によれば、正しいものはどれか。

  1. 成年被後見人が行った法律行為は、事理を弁識する能力がある状態で行われたものであっても、取り消すことができる。ただし、日用品の購入その他日常生活に関する行為についてはこの限りではない。

  2. 未成年者は、婚姻をしているときであっても、その法定代理人の同意を得ずに行った法律行為は、取り消すことができる。ただし、単に権利を得、又は義務を免れる法律行為については、この限りではない。

  3. 精神上の障害により事理を弁識する能力が不十分である者につき、4親等内の親族から補助開始の審判の請求があった場合、家庭裁判所はその事実が認められるときは、本人の同意がないときであっても同審判をすることができる。

  4. 被保佐人が、保佐人の同意又はこれに代わる家庭裁判所の許可を得ないでした土地の売却は、被保佐人が行為能力者であることを相手方に信じさせるため詐術を用いたときであっても、取り消すことができる。

平成20年度宅地建物取引士資格試験 問1

解説

  1. 正しい。

    成年被後見人が行った法律行為は、事理を弁識する能力がある状態で行われたものであっても、取り消すことができます(民法第9条本文)。ただし、日用品の購入その他日常生活に関する行為については、この限りではありません(同法第9条但し書)。

  2. 誤り。

    未成年者がその法定代理人の同意を得ずに行った法律行為は、原則として取り消すことができます(5条1項、2項)。しかし、未成年者が婚姻をしたときは成年者とみなされます(同法第753条)。よって、婚姻をした未成年者は、未成年者であることを理由に、単独で行った法律行為を取り消すことはできません。これは、単に利益を得、または義務を免れる法律行為についても同じです(同法第5条第1項参照)。

  3. 誤り。

    精神上の障害により事理を弁識する能力が不十分である者については、家庭裁判所は、本人、配偶者、4親等内の親族、後見人、後見監督人、保佐人、保佐監督人または検察官の請求により、補助開始の審判をすることができます(同法第15条第1項)。ただし、本人以外の請求により補助開始の審判をするには、本人の同意が必要です(同法第15条第2項)。

  4. 誤り。

    被保佐人が、保佐人の同意を得なければならない行為であるにもかかわらず、その同意またはこれに代わる家庭裁判所の許可を得ないでしたものは、取り消すことができます(同法第13条第4項)。しかし、被保佐人が行為能力者であることを信じさせるために詐術を用いたときは、この行為を取り消すことはできません(同法第21条)。

詐術に関する過去問

詐術に関するよくある質問

被保佐人が詐術を用いた場合、行為を取り消すことができるとのことですが、詐術を用いたときは制限行為能力者であっても保護はされないのですか?

被保佐人が行為能力者であることを信じさせるため詐術を用いたときは、 その行為を取り消すことはできません。としています。

簡単に言えば、人をだますような被保佐人を保護する必要はないからです。

はっきりと嘘(詐術)を言わない限りは、詐術とはされないのですか?

単なる黙秘では詐術に該当しませんが、制限行為能力者であることを黙秘することも、それが制限行為能力者の他の言動などと相まって、相手方の誤信を誘発し、またはそれを強めた場合には、詐術に該当し取り消すことはできないとしています。