単体規定とは?|わかりやすく宅建・宅地建物取引士の解説

更新日:2019年8月14日

単体規定とは?
目次

単体規定とは

個々の建物の構造上・防火上・衛生上の安全を確保するための規定です。

これは、全国で適用されます。

敷地に関する単体規定

建築物の敷地は、排水や湿気の関係のためこれに接する道の境より高くなければなりません。

また、建築物の地盤面は、これに接する周囲の土地より高くなければなりません。

単体規定とは?

建物に関する単体規定

建物の安全

  1. 建築物は、自重・積載荷重・積雪荷重・風圧・土圧および水圧並びに地震その他の震動および衝撃に対して安全な構造でなければいけません。
  2. 建築物の安全上必要な構造方法に関して政令で定める技術的基準に適合しなければいけません。
  3. 下記の建築物については、その構造方法は、政令で定める基準に従った構造計算によって安全性が確かめられたものでなければいけません。
  • 高さが60mを超える建築物
  • 高さが60m以下の建築物のうち、木造の大規模建築物、木造以外の大規模建築物
  • 高さが60m以下の建築物のうち、その主要構造部(床、屋根及び階段を除く)を石造・れんが造・コンクリートブロック造・無筋コンクリート造その他これらに類する構造とした建築物で高さが13メートル又は軒の高さが9メートルを超えるもの

建築物の防火

  1. 以下の条件のいずれかを満たす場合、建築物の主要構造部(床・屋根・階段を除く)は、原則として耐火構造等としなければいけません。
  • 高さが13mを超える場合
  • 軒高が9mを超える場合
  • 延べ面積が3,000㎡を超える場合
  1. 延面積が1,000㎡を超える建築物は、耐火建築物・準耐火建築物などを除き、原則として防火上有効な構造の防火壁によって有効に区画し、かつ、各区画の床面積の合計をそれぞれ1,000㎡以内としなければいけません。
  2. 特殊建築物のうち、一定の大規模なものは、防火地域・準防火地域以外においても耐火建築物または準耐火建築物としなければいけません。

建築物の設備

  1. 高さ20mを超える建築物には、原則として被雷設備を設けなければいけません。
  2. 高さ31mを超える建築物には、原則として非常用の昇降機(エレベーター)を設けなければいけません。
  3. 建築物に設ける昇降機は、安全な構造で、かつ、その昇降路の周壁および開口部は防火上支障のない構造でなければいけません。

建築物の衛生

  1. 住宅、学校、病院等の居室(居住のための居室、学校の教室、病院の病室等これらに類する一定のものに限る)には、その床面積に対して、原則として一定割合以上の採光のための窓その他の開口部を設けなければいけません。
  • 採光のため…住宅の居室:1/7以上 住宅以外:1/5~1/10で定める割合以上
  • 換気のため…1/20以上
  1. 住宅の居室・学校の教室・病院の病室・寄宿舎の寝室で地階に設けるものは、壁および床の防湿の措置その他の事項について衛生上必要な政令で定める技術的基準に適合するものとしなければいけません。
  2. 建築物は、石綿その他の物質の建築材料からの飛散または発散による衛生上の支障がないよう、次に掲げる基準に適合するものとしなければいけません。
  • 建築材料に石綿その他の著しく衛生上有害なものとして政令で定める物質を添加しないこと
  • 石綿等をあらかじめ添加した建築材料(石綿等を飛散または発散させるおそれがないものとして国土交通大臣が定めたものまたは国土交通大臣の認定を受けたものを除く)を使用しないこと。
  • 居室を有する建築物にあっては、上記2点に定めるものの他、石綿等以外の物質でその居室内において衛生上の支障を生ずるおそれがあるものとして政令で定める物質の区分に応じ、建築材料および換気設備について政令で定める技術的基準に適合すること。
単体規定とは?

その他の単体規定

  1. 地方公共団体は、条例で、津波・高潮・出水等による危険の著しい区域を災害危険区域として指定することができます。
  2. 地方公共団体は、条例により、建築基準法の単体規定より厳しい制限を付加することができます。また、市町村は、国土交通大臣の承認を得て、区域を限って条例で制限を緩和できます。
単体規定とは?

単体規定に関するよくある質問

このコラム内の「その他の単体規定」の項に、『地方公共団体は、条例により、建築基準法の単体規定より厳しい制限を付加することができます。また、市町村は、国土交通大臣の承認を得て、区域を限って条例で制限を緩和できます。』とありますが、地方公共団体と市町村を使い分けしている意味を教えて下さい。
地方公共団体とは、都道府県と市町村が該当します。このうち、国土交通大臣の承認を得て、区域を限って条例で単体規定よりも、制限を緩和できるのは、市町村であって、都道府県は行うことが出来ないため、ここでは使い分けをしています。
石綿(アスベスト)の使用の有無の調査が記録されていないときは「無」と書かなければならないのか、それすら書かなくて良いのかどちらでしょうか?
該当がない場合は、「それすら書かなくてよい」という事になります。しかし調査が行われている場合は、しっかりその使用の有無は書かなければなりません。ですので、通常は、アスベストの項目はございません。
この記事の監修者は
窪田義幸(くぼた よしゆき)

″栄光を掴む″ための講義、″強い意欲″を持ち続けるための講義をめざします
【出身】愛知県
【経歴】立命館大学文学部卒。宅建・マンション管理士・管理業務主任者・賃貸不動産経営管理士。
【趣味】神社仏閣巡り
【受験歴】1999年宅建試験受験、合格
【講師歴】2001年よりフォーサイト宅建講座講師スタート
【刊行書籍】3ヵ月で宅建 本当は教えたくない究極の宅建合格メソッド (最短合格シリーズ)
【座右の銘】雨垂れ石を穿つ
フォーサイト公式Youtubeチャンネル「くぼたっけん」
フォーサイト講師ブログ

宅建コラム一覧へ戻る