航空貨物のキーワード ULD(ユニット・ロード・デバイス)って何?

ULD(ユニット・ロード・デバイス)って何?

付加価値の高い電子部品や工業製品、貴金属、芸術品、フレッシュさが命の生鮮食料品、動植物、医薬品や医療機器、トレンドがあるファッション商品等が、航空機で輸送されています。海上輸送に比べスピーディーに運送できるのが、航空貨物輸送、最大の特徴です。

そんな航空貨物輸送におけるキーワード「ULD」について、ご紹介します。

目次

ULDとは?

ULD(Unit Load Device/ユーエルディー)とは、航空貨物を一定の単位(ユニット)にまとめ、航空機の貨物室に搭載(ロード)する用具(デバイス)の総称です。輸送するのに適した単位にまとめたものを物流用語でユニットロードといい、一般的に、板状のパレットと箱型のコンテナに大別されます。

また、ULDはパレットやコンテナに詰められた貨物の状態を指すこともあります。

パレット(Pallet)といえば、よく物流の業界で用いられる“すのこ”のような形状で、下部の隙間にフォークリフト等の爪を差し込み、荷物をパレット単位でまとめて運搬する荷役台を思い浮かべるかもしれません。

航空輸送に用いられるパレットは、アルミ製の板で、サイズは国際航空運送協会(IATA:International Air Transport Association)のルールで規格化されています。IATAとは、世界の航空会社により構成される業界団体です。

パレットの上に貨物を載せたのち、ネットを被せてしっかり固定をし、貨物を安定させます。さらに、盗難や雨濡れを予防するために、シートを被せる場合もあります。

コンテナのサイズについても、パレット同様にIATAのルールで統一されています。形状は海上コンテナのような直方体ではない、箱の上部や下部の角が切り取られたようになっているものがあります。それは、航空機内の限られたスペースに貨物を効率的に積み込むため、搭載する航空機の形状に合わせたコンテナの形にしているためです。

輸出貨物のビルドアップとは?
梱包や税関への輸出通関を終えた貨物をフォワーダー*等が仕向地ごとにULDに積みつけることをビルドアップ(Build up)といいます。

ビルドアップをしたULDはローダーと呼ばれる搭載機器を使用して航空機に積み込まれます。航空機内貨物室の床面には、IATA規格のパレットやコンテナを自動で貨物エリアの中に送り込める装置があり、所定の場所まで移動させることができます。

輸入貨物のブレイクダウンとは?
航空機が到着後、保税蔵置場などでULDを解体して輸入貨物を取り出すことをブレイクダウン(Break down)といいます。ブレイクダウンされたものは貨物のサイズや特殊貨物の種類によって仕分けされ、輸入通関が行われます。輸入許可後、貨物は輸入者のものに配送されます。

*フォワーダー(Forwarder)
貨物利用運送事業者のことを指し、最適な貨物輸送を手配する事業者のこと。日本の航空貨物の9割は色々な荷主の貨物を一緒に運ぶ混載貨物です。フォワーダー=混載業者との認識でもいいと思います。

ULDのメリットとして、

  • ULD単位でまとめて航空機に搭載や搬送ができ、作業の効率化を図れる
  • 個別のダメージを防止する
  • 貨物紛失のリスクを軽減させる などが挙げられます。

ところで、趣味でたまに航空便でスニーカーを個人輸入しているのですが、外箱の損傷が激しいときがあります。輸送やそれに伴う作業の途中で生じたものと思われます。カートンの箱がULDパレット上の外側に来る部分の角が凹まないように、航空便で輸送する貨物は梱包をしっかりしておく必要があります。

IATAの規定においても、安全に運送できて、運送上あらゆる事象に耐えられる梱包を行うことが、荷主の責任として要求されています。

ULDのサイズや種類

もそも航空機には人を乗せる「旅客機(Passenger)」と貨物をメインで運ぶ「貨物専用機(フレイター / Freighter)」の2種類あります。旅客機であれば、座席等の下の空間に、貨物機であれば、機体の上半分(メインデッキ:Main deck)と下半分(ロワーデッキ:Lower deck)の全体に貨物を載せることができます。

ちなみに、下部貨物室は航空機のお腹の部分に位置しているためか腹部を意味するBellyとも呼ばれます。

貨物をどの機種のどの部分に積み込むのか?どのような貨物を運搬するのか?がULDのサイズや種類に大きく関係しています。

では、ULDをパレットとコンテナに分けて、サイズの国際規格やコンテナの種類について、いくつかご紹介します。

パレットのサイズ

  • 88インチパレット(125inch×88inch)IATA code:PAG
  • 96インチパレット(125inch×96inch)IATA code:PMC

これらは主に一般貨物に用いられ、ULD外寸の幅を表しています。1inch=2.54cmですので、88inchは223.52cm、96inchは243.84cm、外寸の長さ125inchは317.5cmになります。

重量物やオーバーサイズ貨物を搭載する場合は、16フィートパレット等の特殊パレットを用います。ちなみに1feet=30.48cmですので、16フィートで長さ487.68cmとなります。

コンテナの種類

◇サイズや形状の観点より

  • LD3コンテナ IATA code:AKE
    ロワーデッキに搭載可能で、コンテナの下部が片方だけ斜めに切り取られた形状としています。
  • LD8コンテナ IATA code:DQF
    LD3よりも幅が広く、コンテナの下部は左右とも斜めに切り取られた形状をしています。

◇貨物の性質より

  • 保冷・冷凍コンテナ
  • 衣料品をハンガーに吊り下げたまま運ぶ「ガーメント(Garment)コンテナ」
  • 壁面に通気口がある「家畜専用コンテナ」

国際レースに出馬する競走馬も飛行機で移動します。通気口があるコンテナに乗っていくのかもしれませんね。

主要なものをいくつかピックアップして例に挙げました。航空機の機種やメインデッキorロワーデッキのどこに積むのか?貨物の重量や形状、長さ、大きさ、性質などによって、いろいろなサイズ・種類のパレットやコンテナがあります。

まとめ

パレットやコンテナのようなULDは、航空貨物の効率的な運搬を助け、なおかつ貨物へのダメージや紛失などを起こりにくくさせます。

また、航空貨物の輸送を最適化するために、パレットやコンテナは航空機の形状や貨物の性質に合わせたサイズや種類のものが複数ラインナップされています。

さいごに、YouTubeにULDを航空機に積み込む作業を映したタイムラプス動画等ありました。なかなか普段はみることができない航空機の貨物スペースや作業風景がおもしろいと思います。ご興味のある方はぜひ!

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