基本情報技術者試験で頻出のLANとWANの違いは?

更新日:2021年7月2日

基本情報技術者試験で頻出のLANとWANの違い

現代ではコンピュータ間通信により仕事や趣味を行うのは一般的になりました。しかしながら、コンピュータ間通信がどのように行われているのかあまり意識したことはないのではないでしょうか。

コンピュータ間での通信範囲を表す言葉として、LANとWANが挙げられます。LANとWAN内で、コンピュータはどのような通信を行っているのか、この記事で解説します。

目次

LAN

LANとは、ローカルエリア内で構成されたネットワーク環境のことです。ローカルエリアの例としては、学校内や職場内、家庭内などが挙げられます。

つまり、一定の組織内で閉じた範囲のネットワークがLANと覚えておけばよいでしょう。LANを実現する技術として、現在ではイーサネット(Ethernet)と呼ばれる規格が主に利用されています。

以下では、イーサネットを利用したLANについて紹介します。

無線LAN

無線LANは、イーサネットの技術を利用したケーブルレスでの通信のことです。日常生活の中では、wifiなどと呼ばれていることもあります。

無線LANはIEEE(アイ・トリプル・イー)にて様々な規格が定められています。無線LANの主な規格は下表のとおりです。

下に行けば行くほど新しい規格であり、通信速度が向上しています。

規格名 周波数帯 通信速度
IEEE802.11b 2.4GHz 11Mbps
IEEE802.11g 2.4GHz 54Mbps
IEEE802.11a 5GHz 54Mbps
IEEE802.11n 2.4GHz 600Mbps
IEEE802.11n 5GHz 600Mbps
IEEE802.11ac 5GHz 6.9Gbps
IEEE802.11ax 2.4GHz、5GHz 9.6Gbps

上記の表の中で、周波数帯という記載がありますが、これは各規格が通信に利用する周波数を示したものです。無線LANでは主に2.4Ghz帯と5Ghz帯が用いられます。

2.4Ghz帯は障害物に強く離れた場所でも通信がしやすい一方で、電子レンジなど他の機器でも利用される周波数帯であるため電波干渉が起きやすいです。

一方で5Ghz帯は電波干渉が少なく通信速度も速いというメリットがありますが、障害物に弱いというデメリットがあります。

有線LAN

有線LANとは、イーサネットの技術を利用し、ケーブルを介して行う通信のことです。利用するケーブルにより通信速度が異なります。

有線LANケーブルの主な規格は下表の通りです。下に行けば行くほど、高速に通信を行うことができます。

なお、より高いカテゴリであっても、それ以下の通信速度で通信を行うことができます。

例えば、CAT8のケーブルで通信を行う場合、40Gbps以外にも10Gbps(10GBASE-T)や1Gbps(1000BASE-T)での通信も可能です。一般的に10GBASE-Tなどに対応する通信機器のコストは高いため、そこまで通信速度が必要ではない場合は1000BASE-Tで通信を行うこともあります。

規格 最大通信速度 伝送帯域
CAT5 100Mbps 100MHz
CAT5e 1Gbps 100MHz
CAT6 1Gbps 250MHz
CAT6A 10Gbps 500MHz
CAT7 10Gbps 600MHz
CAT7A 10Gbps 1GHz
CAT8 40Gbps 2GHz

なお、上記の表の伝送帯域とは、データの伝達に用いられる周波数の広さを示すものです。より大きい値のほうが一度に多くのデータを送ることができます。

WAN

WANとは、拠点間などを結ぶ広域でのコンピュータ間通信のことです。会社の本店から支店の間や、日本と海外拠点の間などをつなぐ際に用いるのがWANです。WANは主にNTTやKDDIなどの通信事業者が提供するサービスを利用して実現します。

以下でWANの実現方法について解説をします。

専用線方式

WANの実現のための手法の一つとして、専用線方式が挙げられます。専用線方式とは、通信を行う拠点間に専用の回線を敷設して、その回線を用いて拠点間通信を行うことです。

個別に回線を引く必要があるためコストは高くなりますが、セキュリティ面や信頼性に優れています。

拠点間で大量のデータをやり取りするようなケースでは、専用線を引くことで他の通信に邪魔されることなく安定的にデータを通信することができます。

パケット交換方式

パケット交換方式とは共用の回線を用いた通信方法で、データをパケットと呼ばれる小さな単位で分割し、パケットごとに通信を行うものです。複数の拠点間で回線を共用するためにコストは安くなりますが、通信の安定性や速度面では専用線に劣ります。

回線を共用するため、過去にはセキュリティ上のリスクも高い方法でしたが、近年では以下で紹介するVPNなどを活用することでパケット交換方式であったとしてもセキュリティリスクを抑えることができるようになりました。

VPN

VPNとは、共通の回線を利用しつつも、仮想的に専用線のように通信を可能とする技術のことです。各パケットを暗号化して送付することで、共用回線を利用しつつも通信の安全性を確保することができます。

近年では、共用の広域回線ではなくインターネットを用いてWANを実現するケースも増えてきました。インターネットとVPNを用いて暗号化通信を行うことを、インターネットVPNといいます。テレワークの拡大などを背景として、インターネットVPNの利用は広まっています。

まとめ

この記事では、基本情報技術者試験を受けようとされている方に向けて、LANとWANに関する内容の解説を行いました。LANとWANは日常的に利用しているものであるにも変わらず、あまりその存在を意識したことはないのではないでしょうか。

基本情報技術者試験の学習をきっかけにLANとWANについて理解を深めることをおすすめします。

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